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審決分類 審判 全部申し立て   A61M
管理番号 1025106
異議申立番号 異議1998-72402  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-05-12 
確定日 2000-07-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第2553647号「X線造影性カテーテル」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2553647号の実用新案登録を取り消す。
理由 1.手続の経緯
実用新案登録第2553647号の請求項1に係る考案は、平成3年6月21日に出願され、平成9年7月18日に設定登録され、その後その実用新案登録ついて異議申立人テルモ株式会社より実用新案登録異議の申し立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年11月11日に訂正請求がなされ、訂正拒絶理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年10月14日に、該訂正請求に対する手続補正書が提出されたものである。

2.訂正の補正の適否の判断
a.実用新案権者が求める訂正の補正の内容
上記手続補正により、特許権者は下記のとおりの訂正の補正(以下、補正事項という)を求めている。

「X線造影剤を含有せしめた」の記載を「X線造影剤を該有機高分子に対して、50?70重量%未満含有せしめた」と補正する。

b.訂正請求書の補正が、その要旨を変更しているか否かの判断
実用新案権者がした訂正の内容(以下、訂正事項という)は下記のとおりである。

請求項1の「カテーテルを形成する有機高分子と同じ有機高分子にX線造影剤」の記載を、特許請求の範囲の減縮を目的として、「カテーテルを形成する有機高分子と同じ有機高分子に平均粒子径が0.2μm?2μmのX線造影剤」と訂正する。
上記訂正事項と補正事項は、全く異なる事項であり、上記手続補正により、上記補正事項を追加したことは、訂正請求に係る訂正を求める範囲を実質的に拡大変更するものであるから、上記訂正請求書の要旨を変更するものといわざるを得ない。
よって、上記訂正の補正は平成6年法律第116号附則第9条第2項の規定で準用する特許法第120条の4第3項で準用する特許法第131条第2項の規定を満たしていないから、上記訂正の補正を認めることはできない。

3.訂正の適否についての判断
イ.独立して実用新案登録を受けることができるものであるかの判断
a.訂正明細書の請求項1に係る考案
上記のとおり、訂正の補正は認められなかったから、訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、本件訂正考案という。)は、上記訂正請求書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された下記のとおりのものである。

カテーテルの長手方向に沿って、カテーテルを形成する有機高分子と同じ有機高分子に平均粒子径が0.2μm?2μmのX線造影剤を含有せしめた組成物をカテーテルの少なくとも一つのルーメンに充填してなることを特徴とするX線造影性カテーテル。

b.引用刊行物の記載事項
上記本件訂正考案に対して、当審が通知した訂正拒絶理由通知書で引用した刊行物1乃至4には下記のとおりの記載がある。
刊行物1:特開昭56-119263号公報
「本発明は、医療用及び外科用の管において、X線に対して透過性で且つ上記管の内面及び外面全体を形成して摩擦係数の低いなめらかな面を与えるプラスチック材と、このプラスチック材に完全に埋め込まれて包囲されそして上記管の両端間で上記管に沿って延びた放射線不透過層とを含んだ可撓性物質の押出成形管を具備し、公知カテーテルの多くの欠点を解消する改良されたカテーテルをもたらす様な医療用及び外科用の管を提供するものである。」(公報2頁右下欄10-19行)
「このカテーテルは可撓性物質の押出成形管を備えている。この可撓性物質は、X線に対して透過性で管の外面及び内面全体を形成して摩擦係数の小さいなめらかな面を与える様なプラスチック材12を含んでいる。換言すれば、このプラスチック材12が管のポア内面及び管の外面を形成する。更に、上記可撓性物質は、プラスチック材12に完全に埋め込まれて包囲されて管の両端間で管に沿って延びる一体押出成形された放射線不透過層14も備えている。」(公報3頁左下欄17行-右下欄6行)
「換言すれば、放射線不透過層14は純プラスチック12と同じ種類のプラスチック並びに放射線不透過材の均質混合体である。層14の混合体はプラスチック材12の純組成物で完全に包囲される。」(公報3頁右下欄16-20行)
「第3図は本発明のカテーテルの別の実施例を示しており、純プラスチック材12’は放射線不透過層を形成する1対の直径方向に対向したストリップ14’を完全に包囲し且つ取り巻いている。ストリップ14’によって形成された放射線不透過層もプラスチック材12’と同じプラスチック材と、放射線不透過材との混合体で構成される。」(公報4頁右上欄2-8行)
そして、第3図にはカテーテルを形成する管の一部分に放射線不透過層14’が設けられているものが記載されている。

刊行物2:特表昭57-501165号公報
「本発明は一般に放射線写真に不透過性の医療用チューブ類に関し、更に詳しくは医療処置中に身体の腔部に導入されるカテーテルカニューレおよびその他の類似チューブに関する。
・・・・近時、このようなチューブ類はそのチューブの長さ全体に伸びるX線不透過性の縞を持つように製作され、患者の身体にX線ビームをあてることによって、カテーテルの相対位置が蛍光透視またはX線のフィルム上に現れるようにされている。」(公報2頁左上欄5-15行)
「チューブの本体内にカプセル状に包み込まれ且つ共押し出しされてチューブの長さにそって縦方向に伸びる1本またはそれ以上の放射線不透過性物質の縞がある。」(公報2頁右下欄8-11行)
「1つの具体例において、縞を構成する前述の放射線不透過性物質は10?30重量%の三酸化ビスマスを透明プラスチック物質に混ぜてチューブの壁に共押し出ししたものからなる。均等量の硫酸バリウムまたは亜炭酸ビスマスも使用することができる。然しながら、高濃度の放射線不透過性物質を縞の内部に含有させてX線下で十分に見えるようにすることが特に重要である。チューブ自体はポリテトラフロロエチレン、ポリ弗素化エチレン/プロピレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリエチレン、ポリウレタンまたはポリプロピレンから作ることができる。同様に、放射線不透過性物質とまぜるプラスチック物質もこれらの物質のいづれか1つから構成しうる。」(公報3頁左上欄1-11行)
「第4図に示すように、3つ組の縞16,18および24をチューブ12内に共軸的にカプセル状に包み込むこともできる。」(公報3頁右下欄17-19行)
そして、第4図にはカテーテルを構成するチューブの一部に断面円形状の放射線不透過部16,18,24が埋め込まれていることが記載されている。

刊行物3:特開昭61-103450号公報
「本発明は、ポリテトラフロロエチレン(以下、PTFEという)を用いたX線不透過性を有する可撓性チューブに関するものである。」(公報1頁右下欄8-10行)
「上記のような従来の医療用チューブの問題に鑑みて、X線造影性を有し、しかも柔軟性、可撓性、耐キンク性、耐皺性の優れた医療用チューブをつくることが当業界の課題となっていたのである。」(公報2頁左上欄17-20行)
「先ず、X線造影剤として、従来からこの目的に使用されている無機粉末、例えば硫酸バリウム、酸化ビスマス、硝酸ビスマス、炭酸ビスマス、ニッケル粉などの微粉末で、平均粒径が10μm以下、好適には3μm以下、特に1μm以下のものを用意する。平均粒径が10μm以上では、次の成形工程での加工性が著しく阻害されるからである。このX線造影剤粉末を水に分散させ、必要に応じて界面活性剤を混合し、次いでPTFEディスパージョンに添加し、攪拌混合する。攪拌混合の過程で、PTFE微粒子が造影剤微粒子の周りに析出し、ゲル化して沈澱する。このゲル化までの過程を共凝析という。この共凝析の終りの過程で酸またはアルカリを少量添加すると沈澱が促進される。沈澱が完了したら、上澄み液を傾斜し、得られるPTFEとX線造影剤との混和物を乾燥する。この共凝析法によってはじめて20重量%(以下、%はすべて重量%を表わす)以上のX線造影剤をPTFE中に混合でき、そして次の形成工程を経ても外観上大きな問題のない成型品が得られる。この混和物中のX線造影剤の含量は、混和物の全重量の20?70%、好適には40?60%とする。20%以下では充分なX線造影性能が得られず、また70%以上では成形性が低下すると共に、X線造影剤が成形品から離脱する等の問題が生ずるからである。」(公報2頁右上欄19行-右下欄4行)

刊行物4:特開平 1-178540号公報
「ところで前述したように、医療用チューブの構成材料には、X線撮影によるチューブの位置確認のためにX線不透過性の無機粉末を多量に配合する必要があるが、ポリエチレンにかかる無機粉末を多量に配合すると押出加工性が低下して断面寸法および表面平滑性が特に要求される医療用チューブの製造が困難となる問題がある。」(公報2頁左上欄12-18行)
「本発明は多ルーメンカテーテルの製造をも可能な押出加工の優れたポリエチレン組成物を提供しようとするものである。
すなわち本発明は、低密度ポリエチレンと、該低密度ポリエチレン100重量部あたり、エチレン-酢酸ビニル共重合体とエチレン-エチルアクリレート共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種5?50重量部と、X線不透過性の無機粉末10?100重量部とからなることを特徴とする医療用チューブ形成用組成物である。」(公報2頁右上欄7-16行)
「X線不透過性の無機粉末としては、人体あるいは被検動物に対して無害でかつX線不透過性であれば任意のものが使用できるが、好ましくは硫酸バリウムおよび次炭酸ビスマスである。本発明において使用するX線不透過性の無機粉末は、粒径が20μm以下、特に2μmの微粉末が好ましい。」(公報2頁右下欄15行-3頁左上欄1行)
「実施例1
・・・・平均粒径が約0.8μmの硫酸バリウム」(公報3頁右上欄10-15行)

c.対比・判断
上記刊行物2には「カテーテルカニューレおよびその他の類似チューブの長さにそって縦方向に伸びる、チューブ自体を作るものと同じプラスチック物質に放射線不透過性物質をまぜた物質を、チューブを形成する環状部分内に断面円形状に包み込むX線造影性カテーテル」が記載されている。
そして、本件訂正考案のルーメンとは、通常カテーテルのチューブに設けられた長手方向にそった穴を指し、上記刊行物2に記載された、チューブの縞の部分に、放射線不透過性物質を混ぜた物質を充填しなければ、それは、該チューブに設けられた長手方向にそった穴であり、この点で、上記刊行物2にも実質的に本件訂正考案のルーメンに相当するものが記載されている。
その上で、本件訂正考案と上記刊行物2に記載された考案とを対比すると、上記刊行物2に記載された「カテーテルカニューレおよびその他の類似チューブの長さにそって縦方向に伸びる」、「チューブ自体を作るものと同じプラスチック物質に」、「放射線不透過性物質をまぜた物質」、「チューブを形成する環状部分内に断面円形状に包み込む」、「X線造影性カテーテル」は、それぞれ、本件訂正考案の「カテーテルの長手方向に沿って」、「カテーテルを形成する有機高分子と同じ有機高分子に」、「X線造影剤を含有せしめた組成物」、「カテーテルの少なくとも一つのルーメンに充填」、「X線造影性カテーテル」に相当するから、本件訂正考案と刊行物2に記載された考案とは「カテーテルの長手方向に沿って、カテーテルを形成する有機高分子と同じ有機高分子にX線造影剤を含有せしめた組成物をカテーテルの少なくとも一つのルーメンに充填してなるX線造影性カテーテル」の点で一致し以下の相違点で相違する。
(相違点)
本件訂正考案のものは、X線造影剤の平均粒子径が0.2μm?2μmであるのに対し、上記刊行物2にはX線造影剤についてその粒子径について記載がない点。

(相違点について)
刊行物3には「平均粒径が10μm以下、好適には3μm以下、特に1μm以下のものを用意する。」(公報2頁左下欄2-4行)と記載しており、刊行物4には「粒径が20μm以下、特に2μmの微粉末が好ましい。」(公報2頁右下欄19行-3頁左上欄1行)、「平均粒径が約0.8μmの硫酸バリウム」(公報3頁右上欄15行)と記載している。
本件訂正考案は、平均粒径が0.2?2μmであり、刊行物3及び4の数値範囲はいずれも前記数値範囲を含んでいる。
数値範囲の上限については、刊行物3に「好適には3μm以下」とした上で「特に1μm以下」としていること、及び刊行物4の「特に2μm以下」の記載からみて、当業者が適宜設定できる数値にすぎない。
次に、下限値の「0.2μm」について検討するに、刊行物3及び4には、例えば「1μm以下」というように下限値が示されていない。
この点について、実用新案権者は意見書において、「平均粒子径を0.2μmよりも小さくすると、X線造影剤の一次凝集の集合体である2次凝集が多くなる。2次凝集は、一次凝集に比して安定性に欠けているため、すなわち2次凝集は1次凝集に再分割されやすいため、上記と同様に柔軟特性、可撓性、強度、剛性、弾性力などの機械的な物性が安定しない。さらに、平均粒子径が小さくなると、X線造影剤の含有水分量が増加することから、押し出し加工時において該水分の揮散による発泡問題が生じ易くなるため、結果的に外観の平滑性に問題が生じる場合がある。」旨主張している。
しかし、訂正明細書または図面には下限値の技術的意義について何等記載されておらず、その出願当初の明細書または図面にも何等記載されていないから、実用新案権者が主張する下限値に対する技術的意義は、明細書の記載に基づくものではない。
また、刊行物3には「X線造影剤を有し、しかも柔軟性、可撓性、耐キンク性、耐皺性の優れた医療用チューブをつくることが当業界の課題となっていた」(公報2頁左上欄18-20行)、「次の形成工程を経ても外観上大きな問題のない成型品が得られる。」(公報2頁左下欄17-18行)と機械的な物性、及び外観について課題としていたところであり、刊行物4にも「押出加工性が低下して断面寸法および表面平滑性が特に要求される医療用チューブ」(公報2頁左上欄16-18行)と記載があるとおり、機械的な物性、及び表面の平滑性について課題としていたところである。
そうであれば、刊行物3及び刊行物4記載の数値範囲内において、上記刊行物3に記載の機械的な物性、及び外観についての課題、および刊行物4に記載された機械的な物性、及び表面の平滑性についての課題に基づき、X線造影剤の平均粒径について検討し、下限値を0.2μmとすることは当業者が適宜選択しうる設計的事項に過ぎない。
よって、本件訂正考案の数値範囲は、刊行物3及び4の記載事項に基づいて当業者がきわめて容易に想到しうる程度のことに過ぎない。
また、本件訂正考案による効果も、上記刊行物2乃至4の記載から当業者が予測しうる程度のものである。

以上のとおりであるから、本件訂正考案は上記刊行物2乃至4に記載された考案に基づき当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものである。

ロ.むすび
したがって、上記訂正は、平成6年法律第116号附則第9条第2項の規定で準用する特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第4項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。

なお、上記2.bに記載したとおり、実用新案権者がした訂正の補正は、訂正請求書の要旨を変更するものであるから、訂正の補正を認められないが、仮に上記補正を認めたとしても下記のとおりである。

訂正の補正により補正された本件請求項1に係る考案(以下、本件補正考案という。)は「カテーテルの長手方向に沿って、カテーテルを形成する有機高分子と同じ有機高分子に平均粒子径が0.2μm?2μmのX線造影剤を該有機高分子に対して、50?70重量%未満含有せしめた組成物をカテーテルの少なくとも一つのルーメンに充填してなることを特徴とするX線造影性カテーテル。」である。
上記本件補正考案のうち「カテーテルの長手方向に沿って、カテーテルを形成する有機高分子と同じ有機高分子に平均粒子径が0.2μm?2μmのX線造影剤を含有せしめた組成物をカテーテルの少なくとも一つのルーメンに充填してなることを特徴とするX線造影性カテーテル。」については上記3.イ.cで記載したとおりである。
上記本件補正考案は、該構成に加えX線造影剤を「該有機高分子に対して、50?70重量%未満」含有する構成を限定したものである。
ところで、上記訂正拒絶理由通知で通知した刊行物3には、「(以下、%はすべて重量%を表わす)・・混和物中のX線造影剤の含量は、混和物の全重量の20?70%、好適には40?60%とする。20%以下では充分なX線造影性能が得られず、また70%以上では成形性が低下すると共に、X線造影剤が成形品から離脱する等の問題が生ずるからである。」の記載があるのは上記のとおりである。
この「X線造影剤の含量は、混和物の全重量の20?70%」とは、上記混和物は、PTFEとX線造影剤の混和物であるから、上記の割合から、PTFEは、混和物の全重量の80?30%であると理解でき、これをもとにPTFEに対するX線造影剤の含量を求めると25%?233%であって本件補正考案の「該有機高分子に対して、50?70重量%未満」を含むものである。
そして、X線造影剤と有機高分子の割合を上記の範囲のとおりにする理由は、本件考案においては「本件考案において、X線造影剤は上記ポリマーに高い割合で配合されることが好ましく、その配合量はポリマーが成形可能な限度にまで高含有量とすることができる。その配合割合は、通常ポリマーに対して30?80%(重量)、好ましくは40?70%(重量)、さらに好ましくは50?70%(重量)である。30%(重量)以上の配合割合では造影性に優れ、また80%(重量)以内の配合割合であれば成形性の点で優れている。本考案においては、X線造影剤含有ポリマーよりなる部位がカテーテル壁によって囲まれているので高含有率にてX線造影剤を配合しても、カテーテル自体の特性を格別損なう恐れはない。」(明細書【0007】)であるのに対して、上記刊行物3のものは「20%以下では充分なX線造影性能が得られず、また70%以上では成形性が低下すると共に、X線造影剤が成形品から離脱する等の問題が生ずるからである。」というものであり、いずれも造影性と成形性という2つの観点から数値範囲を定めたものである。
よって、刊行物3に記載された数値の範囲内において造影性と成形性という観点に基づいて本件補正考案の数値範囲の如く定めることは、当業者が適宜なし得る設計的事項に過ぎない。また、本件補正考案による効果も上記刊行物2乃至4の記載から当業者が予測し得た程度のものといえる。
したがって、本件補正考案は上記刊行物2乃至4に記載された考案に基づき当業者が極めて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものであるから、仮に上記補正を認めたとしても、上記訂正について、本件訂正後の考案が、平成6年法律第116号附則第9条第2項の規定で準用する特許法第120条の4第3項で準用する特許法第126条第4項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。

3.特許異議申立についての判断
a.本件発明
上記のとおり平成10年11月11日付け訂正は認められなかったため、請求項1に係る考案(以下、本件考案という)は訂正前の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された下記の事項によって特定されるとおりのものである。

カテーテルの長手方向に沿って、カテーテルを形成する有機高分子と同じ有機高分子にX線造影剤を含有せしめた組成物をカテーテルの少なくとも一つのルーメンに充填してなることを特徴とするX線造影性カテーテル。

b.引用刊行物の記載事項
上記本件考案に対して当審が通知した取消理由通知書で引用した刊行物2には、上記3.イ.bの刊行物2について記載したとおりの発明が記載されている。

c.対比・判断
そして、上記刊行物2には上記3.イ.cに記載したとおり、下記の発明が実質的に記載されている。

カテーテルカニューレおよびその他の類似チューブの長さにそって縦方向に伸びる、チューブ自体を作るものと同じプラスチック物質に放射線不透過性物質をまぜた物質を、チューブを形成する環状部分内に断面円形状に包み込むX線造影性カテーテル。
そして、本件考案と上記刊行物2に記載された考案とを対比すると、上記刊行物2に記載された「カテーテルカニューレおよびその他の類似チューブの長さにそって縦方向に伸びる」、「チューブ自体を作るものと同じプラスチック物質に」、「放射線不透過性物質をまぜた物質」、「チューブを形成する環状部分内に断面円形状に包み込む」、「X線造影性カテーテル」は、それぞれ、本件考案の「カテーテルの長手方向に沿って」、「カテーテルを形成する有機高分子と同じ有機高分子に」、「X線造影剤を含有せしめた組成物」、「カテーテルの少なくとも一つのルーメンに充填」、「X線造影性カテーテル」に相当するから、本件訂正考案と刊行物2に記載された考案とは「カテーテルの長手方向に沿って、カテーテルを形成する有機高分子と同じ有機高分子にX線造影剤を含有せしめた組成物をカテーテルの少なくとも一つのルーメンに充填してなることを特徴とするX線造影性カテーテル」の点で一致し相違するところがない。

d.むすび
以上のとおりであるから、本件考案は、上記刊行物2に記載された考案であり、本件考案についての実用新案登録は、実用新案法第3条第1項第3号の規定に違反してされたものである。
したがって、本件考案の登録は、平成6年法律第116号附則第9条第2項の規定で準用する、特許法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきである。

よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-06-06 
出願番号 実願平3-55735 
審決分類 U 1 651・ 121- ZB (A61M)
最終処分 取消  
前審関与審査官 山中 真  
特許庁審判長 高瀬 浩一
特許庁審判官 渡邊 聡
杉野 裕幸
登録日 1997-07-18 
登録番号 実用新案登録第2553647号(U2553647) 
権利者 三菱電線工業株式会社
兵庫県尼崎市東向島西之町8番地
考案の名称 X線造影性カテーテル  
代理人 渡辺 望稔  
代理人 三和 晴子  
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