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審決分類 審判 判定 同一 属する(申立て不成立) B65H
管理番号 1025120
判定請求番号 判定2000-60053  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案判定公報 
発行日 2001-03-30 
種別 判定 
判定請求日 2000-04-25 
確定日 2000-09-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第1750765号の判定請求事件について、次のとおり判定する。   
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「ウエブ切断装置」は、登録第1750765号実用新案の技術的範囲に属する。
理由 1.請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、イ号図面およびその説明書に示す「ウェブ切断装置」(以下、「イ号物件」という。)は、登録実用新案第1750765号考案の技術的範囲に属しない、との判定を求めるものである。

2.本件登録実用新案
本件登録実用新案(以下「本件考案」という。)は、明細書および図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりのものであり、その構成を符号を付し分節して記載すると次のとおりである。
「A:第1、第2ワインダドラム間のポケット部に持込まれたコアに、ウェブが 巻付けられて形成された巻取ロールをダンプバーでクレイドル上に押出すウ ェブ巻取装置において、
B:前記ポケット部の下部に紙切ナイフを有し、かつ同紙切ナイフの取付フレームを兼ね、ウェブ先端を第1ワインダドラム外周に沿ってガイドするウェブガイドと、切断されたウェブを保持する紙押えロールを備えると共に、これらを一体化し装備してなることを特徴とする
C:ウェブ巻取装置。」
〔なお、符号A?Cは便宜上付した。〕

3.イ号物件
請求人が提出した「イ号図面(第1ないし3、9および16図)およびその説明書(特公平7-110729号公報)」の記載からみて、本件に係るイ号物件は、本件考案の構成に即し、かつ符号も対応させて記載すると、次のとおり特定される。
「a:第1、第2ワインダドラム間のポケット部に持込まれたコアに、ウェブが 巻付けられて形成された巻取ロールをダンプロールでクレイドル上に押出す ウェブ巻取装置において、
b:前記ポケット部の下部に紙切ナイフを有し、かつ同紙切ナイフの取付フレームを兼ね、ウェブ先端を第1ワインダドラム外周に沿ってガイドするウェブガイド(カッティングサポート)と、切断されたウェブを保持する紙押えロールを備えると共に、これらを一体化し装備してなることを特徴とする
c:ウェブ切断装置。」

4.対比・判断
イ号物件の構成が本件考案の各構成要件を充足するか否かについて検討する。
1)構成Aについて
イ号物件の構成aが本件考案の構成Aを充足するか否かは、本件考案の「ダンプバー」とイ号物件の「ダンプロール」との間に違いがあるか否かにつきる。そこで検討するに、登録実用新案の技術的範囲は、願書に添付した明細書の実用新案登録請求の範囲の記載に基づいて定めるのが原則である。この大原則に従って本件請求の範囲に記載された「ダンプバー」という用語が通常有する意味について検討すると、「ダンプバー」のうち、「ダンプ」はある物体を降ろす、あるいは傾けたりひっくり返すことを、「バー」は棒または棒状体を意味する。したがって、「ダンプバー」は、物体を降ろすための棒状の部材であると通常解釈できる。さらに、本件請求の範囲には、「巻取ロールをダンプバーでクレイドル上に押出す」と記載されている。この記載からも「ダンプバー」は、物体(巻取ロール)を降ろす(クレイドル上に押出す)ためのものと明確に理解できる。
他方、イ号物件における「ダンプロール」も巻取ロールをクレイドル上に押出す機能を有するものである。してみると、「ダンプバー」も「ダンプロール」も巻取ロールを押出す機能を有する点で共通するものであり、両者は巻取ロールを押出すという点では同一の部材ということができる。そして、両者は「バー」と「ロール」との相違はあるが、これは前者が非回転部材で後者が回転部材であることを区別しているに過ぎないものであり、また、「ダンプロール」は回転体であっても棒状体であることには変わりがないのであるから、「ダンプバー」の一般的概念に包含されるものといえる。
そうすると、巻取ロールをクレイドル上に押出す部材として、イ号物件の構成aにおける「ダンプロール」は本件考案の構成Aにおける「ダンプバー」に包含されるものであり、両者はその余の構成要件に差異がないのであるから、イ号物件の構成aは本件考案の構成Aを充足する。
2)構成Bについて
イ号物件の「カッティングサポート」は本件考案の「ウェブガイド」に相当する。
したがって、イ号物件の構成bは本件考案の構成Bを充足する。
3)構成Cについて
イ号物件も切断装置を備えた、ウエブを巻取った巻取ロールをクレイドル上に押出すウエブ巻取装置である。
したがって、イ号物件の構成cは本件考案の構成Cを充足する。
以上のとおり、イ号物件は、本件登録実用新案の構成AないしCの構成全てをを充足する。

ところで、請求人は本件判定請求書6?7頁において以下の(イ)?(ニ)を挙げて、イ号物件の「ダンプロール」と本件考案の「ダンプバー」とは異なるものであると主張している。これらの主張は、全て本件考案における「ダンプバー」の用語解釈を、本件考案の詳細な説明の記載に基づいておこなって導き出したものである。しかしながら、登録実用新案の技術的範囲は、願書に添付した明細書の実用新案登録請求の範囲の記載に基づいて定めるのが原則であることは前述のとおりであり、本件考案はその請求の範囲の記載から技術的意義が明確に把握できるのであるから、その記載のみでは技術的意義を明確に理解することができない特段の事情があるものとはいえない。
以下、当該主張について検討する。
(イ)について
判定請求人は、イ号物件の「ダンプロール」は断面円形であり、断面菱形の本件考案の「ダンプバー」とは相違すると主張する。しかしながら、本件請求の範囲において「ダンプバー」の断面形状については何ら限定されていない。
したがって、この主張は当たらない。
(ロ)について
判定請求人は、本件明細書において「ダンプロール9」と「ダンプバー9’」とが使い分けて使用されていることから、本件考案の「ダンプバー」とイ号物件の「ダンプロール」とは異なるものであると主張する。しかしながら、「ダンプロール9」と「ダンプバー9’」との使い分けは本件明細書中の実施例におけるものであり、本件請求の範囲における「ダンプバー」と詳細な説明における「ダンプバー9’」とを同一のものとして論ずることはできない。
したがって、当該主張は当たらない。
(ハ)について
判定請求人は、本件明細書の詳細な説明に記載された「ダンプバー9’」は前進することによってウエブを切断するのに対し、イ号物件では巻取ロールの自重により生じた張力によっってウエブが切断されるという作用効果の点で異なるものであると主張する。しかしながら、本件請求の範囲では、「ダンプバ-」と紙切ナイフとが協働によりウエブを切断するということまでは限定していない。
したがって、当該主張は当たらない。
(ニ)について
判定請求人は、ウエブの切断先端の保持が、本件考案においては、明細書の詳細な説明の記載によれば「ダンプバー9’」の作用に基づくものであるのに対し、イ号物件では、ドラムロールに形成された「吸引孔」のバキュームによる吸引によるものであって、両者は効果が相違すると主張する。しかしながら、本件考案における前記作用効果は「紙切ナイフ」および「紙押えロール」により奏されるものであり、「ダンプバー」の構成とは別個独立に奏されるものである。
また、イ号物件における「吸引孔」は本件請求の範囲では特定されていない構成であって、両者の対比の対象とはならない構成である。
したがって、当該主張は当たらない。
なお、被請求人は、請求人の「ダンプバー9’の作用に基づいた効果」および「容易推考性」に関する主張について釈明を求めているが(判定請求答弁書6頁(ニ)、同10頁(ニ))、これらの点は釈明を受けても本件判定の結論に影響を及ぼすものではないので請求人に釈明を求めない。

5.むすび
以上のとおりであるから、イ号物件は、本件登録実用新案の技術的範囲に属する。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
イ号の説明

「a:第1、第2ワインダドラム間のポケット部に持込まれたコアに、ウェブが 巻付けられて形成された巻取ロールをダンプロールでクレイドル上に押出す ウェブ巻取装置において、
b:前記ポケット部の下部に紙切ナイフを有し、かつ同紙切ナイフの取付フレームを兼ね、ウェブ先端を第1ワインダドラム外周に沿ってガイドするウェブガイド(カッティングサポート)と、切断されたウェブを保持する紙押えロールを備えると共に、これらを一体化し装備してなることを特徴とする
c:ウェブ切断装置。」
判定日 2000-08-17 
出願番号 実願昭58-13493 
審決分類 U 1 2・ 1- YB (B65H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 篠崎 正海  
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 鈴木 美知子
森林 克郎
登録日 1988-11-24 
登録番号 実用新案登録第1750765号(U1750765) 
考案の名称 ウエブ巻取装置  
代理人 青山 正和  
代理人 志賀 正武  
代理人 藤田 考晴  
代理人 清水 守  
代理人 高橋 詔男  
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