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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) A01K
管理番号 1028326
審判番号 無効2000-35138  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-04-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-03-15 
確定日 2000-12-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第2538533号実用新案「愛玩動物用の首輪又は胴輪」の請求項1ないし2に係る考案の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第2538533号実用新案の請求項1ないし2に係る考案についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯・本件登録考案
本件実用新案登録第2538533号の実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2に係る考案(平成3年10月30日出願、平成9年4月4日設定登録。)は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものと認められる。
【請求項1】 愛玩動物の運動量を測定するための計測器が、首輪又は胴輪の帯本体に取り付けられていることを特徴とする愛玩動物用の首輪又は胴輪。
【請求項2】 愛玩動物の運動量を測定するための計測器が、首輪又は胴輪の帯本体から、垂設されていることを特徴とする愛玩動物用の首輪又は胴輪。(以下、「本件登録考案1、2」という。)
2.請求人の主張
これに対して請求人は、
本件登録考案1、2は、その出願日以前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された考案であるか、もしくは甲第1号証又は甲第1?4号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第1項第3号又は同条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができず、無効とされるものである、
と主張し、証拠方法として、
1)甲第1号証:週刊文春3月1日号平成2年3月1日第32巻第8号の「オートメ給餌器」の記事の129頁下欄第10?20行
2)甲第2号証:特開昭61-162935号公報
3)甲第3号証:実願昭59-139514号(実開昭61-54802号)のマイクロフィルム
4)甲第4号証:実願昭54-17294号(実開昭55-117067号)のマイクロフィルム
5)参考資料1の1:登録商標第1728037号登録原簿
6)参考資料1の2:商公昭59-20894号公報
7)参考資料2の1:平成3年7月16日閉鎖の請求人の役員欄の用紙の謄本
8)参考資料2の2:請求人の現在の登記簿謄本
9)参考資料2の3:株式会社ヤマックスコーポレーションの閉鎖登記簿謄本
10)参考資料2の4:株式会社ヤマックスコーポレーションの現在の登記簿謄本
を提出している。
3.各甲号証刊行物
請求人の提出した各甲号証のうち、甲第1、2号証刊行物の記載については下記のとおりである。
甲第1号証:週刊文春3月1日号 平成2年3月1日第32巻第8号の「オートメ給餌器」の記事の129頁下欄10?20行には、ペットに対するオートメ給餌器の記事の後に、
「売れ行き好調に気をよくして、今度は親会社のお得意の万歩計を犬猫用に改良し、首に下げるペット運動量計を開発しようとしている。「ペットの世界は、人間の後をおいかけています。今のグルメ時代の次に来るのは、きっと肥満問題です。それを先取りして、面白い商品をつくっていくつもりですよ」」(129頁下欄、10?20行)、と記載されている。
なお、万歩計(山佐時計計器株式会社の登録商標)とは、参考資料1の2(商公昭59-20894号公報)における商品区分において歩数計、即ち運動量を測定するための計測器であると認められる。
甲第2号証:特開昭61-162935号公報は、消費カロリー計測器に関するもので、
「本発明は、人もしくは動物、例えば各種ペットに取付けて任意の時間における運動消費カロリー、および、基礎代謝消費カロリーを測定する消費カロリー計測器に関し、詳しくは、例えば1日の総摂取カロリーに対する消費カロリーのバランスを把握して糖尿病等の予防もしくは治療等に利用するものである。」(第1頁右欄14?20行)、
「消費カロリー計測器の加速度センサは、運動消費カロリーと基礎代謝消費カロリーの合算消費カロリーを計測される人もしくは動物の運動の加速度に対応した電気信号を出力させるもので、」(第3頁左上欄20行?右上欄4行)、
「以上の各電気要素で構成される消費カロリー計測器1の操作表示面の一例を第5図に示す。なお、第6図はその右側面図を示したものである。第6図に示すように、消費カロリー計測器1は背面にクリップ1Aを設け、被計測人の腰部、胸部に取り付け易いように形成される。」(第4頁右欄1?6行)、
「前記人の消費カロリーを計算するための式(1)を、任意の動物の消費カロリーを計算するための式に変更してプログラムを設定することによって、人と同様に任意の動物の消費カロリーを計測することができる。」(第6頁右上欄12?16行)、
と記載されている。
4.周知技術
本件登録考案の出願以前において、犬、猫などの愛玩用動物に取り付ける首輪及び胴輪、および該首輪などに物品を取り付けることは周知であると認められる。(例えば、実願平1-29582号(実開平2-120154号)のマイクロフィルム、実願昭63-105996号(実開平2-29263号)のマイクロフィルム、実願昭63-88282号(実開平2-9063号)のマイクロフィルム参照)
5.対比・判断
(本件登録考案1について)
本件登録考案1と、上記周知技術を対比すると、両者は愛玩動物用の首輪又は胴輪である点で一致し、本件登録考案1のものでは、愛玩動物の運動量を測定するための計測器が、首輪又は胴輪の帯本体に取り付けられているのに対し、上記周知技術のものは、そのような構成が無い点で相違している。
この点について検討すると、上記甲第1号証には、ペット運動量計(本件登録考案1、2の運動量を測定するための計測器に相当)を首に下げる点、また、甲第2号証には、消費カロリー計測器1(本件登録考案1、2の運動量を測定するための計測器に相当)を動物にも取り付ける点が記載されるように、愛玩用動物に運動量を測定するための計測器を取り付けることが公知であり、しかも愛玩用動物の首輪などに物品を取り付けることが周知である以上、物品を取り付ける手がかりとしての首輪又は胴輪に計測器を取り付けることは、当業者であればきわめて容易に想到し得ることというべきである。また、本件登録考案1の奏する効果も、上記周知技術及び甲第1、2号証のものから予測される程度のものであって格別なものということはできない。
(本件登録考案2について)
本件登録考案2と、上記周知技術を対比すると、両者は愛玩動物用の首輪又は胴輪である点で一致し、本件登録考案2のものが、愛玩動物の運動量を測定するための計測器が、首輪又は胴輪の帯本体から、垂設されているのに対し、上記周知技術のものはそのような構成が無い点で相違している。
しかし、上記本件登録考案1の判断において述べたように、上記甲第1、2号証には愛玩用動物に運動量を測定するための計測器を取り付けることが記載され、また、愛玩用動物の首輪などに物品を取り付けることが周知である以上、物品を取り付ける手がかりとしての首輪又は胴輪に計測器を取り付けることは、当業者であればきわめて容易に想到し得ることであり、また、愛玩用動物の運動量を測定するための計測器を、首輪又は胴輪の帯本体から垂設させるように構成することも、首輪又は胴輪に物品を取り付ける際の常套手段の一つであるので、当業者の設計的事項程度のことというべきである。
また、本件登録考案2の奏する効果も、上記周知技術及び甲第1、2号証のものから予測される程度のものであって格別なものということはできない。
6.被請求人の主張
被請求人は、甲第1号証に記載された内容は本件登録実用新案の出願時に考案として完成していたものについての記載であるとは到底認定することができず、甲第1号証の記載をして、実用新案法第3条第2項に掲げられる「考案」とは認められず、甲第1号証には考案自体が存在しないのであるから、この存在を前提とする実用新案法第3条第2項の規定に該当する余地がない、と主張している。
確かに甲第1号証には、上記に記載されているように、「・・・首に下げるペット運動量計を開発しようとしている。・・・」の記載があるが、この記載があれば、具体的にどのように首に下げるかの記載が無くとも、その記載をもとにして当業者であればきわめて容易に本件登録考案1及び2が想到し得るものであるならば、上記甲第1号証には、実用新案法第3条各項に掲げられる「考案」が記載されているというべきであるので上記主張は採用できない。
また、被請求人は、甲第2号証には、各種ペット(愛玩動物)に消費カロリー計測器を装着して、愛玩動物の健康を維持することが開示されているとする請求人の主張は、甲第2号証の内容を誤解若しくは曲解している、と主張しているが、甲第2号証には、上記3.各甲号証刊行物において引用したように「人、もしくは動物、例えばペットに取り付けて、・・・例えば1日の総摂取カロリーに対する消費カロリーのバランスを把握して糖尿病等の予防もしくは治療等に利用するものである。」(第1頁右欄14?20行)と記載されていることから明らかなとおり、甲第2号証記載の消費カロリー計測器は、健康のためのものであるということができるので上記主張は採用できない。
したがって、本件登録考案1、2は、上記周知技術及び甲第1、2号証記載のものから当業者がきわめて容易に考案することができたものである。
7.むすび
以上のとおりであるから、本件実用新案登録に係る考案は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるので、その登録は、同法第37条第1項の規定により、これを無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-09-28 
結審通知日 2000-10-13 
審決日 2000-10-25 
出願番号 実願平3-97320 
審決分類 U 1 112・ 121- Z (A01K)
最終処分 成立    
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 新井 重雄
鈴木 寛治
登録日 1997-04-04 
登録番号 実用新案登録第2538533号(U2538533) 
考案の名称 愛玩動物用の首輪又は胴輪  
代理人 大貫 和保  
代理人 木戸 一彦  
代理人 木戸 伝一郎  
代理人 小竹 秋人  

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