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審決分類 |
審判 全部申し立て B25C |
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管理番号 | 1028338 |
異議申立番号 | 異議1998-75002 |
総通号数 | 16 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-04-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-10-08 |
確定日 | 2000-09-04 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 登録第2568721号「圧縮空気駆動型ファスナ打込機のトリガロック機構」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 登録第2568721号の実用新案登録を維持する。 |
理由 |
1.本件実用新案登録第2568721号は、平成4年7月31日の出願であって、平成10年1月16日に設定登録がなされたものであって、その後、日立工機株式会社より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成11年8月11日に訂正請求がなされたものである。 2.本件実用新案登録に対し、異議申立人日立工機株式会社は、甲第1号証として特開昭55-5233号公報を及び甲第2号証として実願昭59-84721号(実開昭61-901号)のマイクロフィルムを提示し、本件実用新案登録の請求項1に係る考案(以下、「本件登録実用新案」という)は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから実用新案法第3条第2項の規定に違反して登録されたものである旨主張する。 3.上記取消理由は、前記甲第1号証及び甲第2号証を引用し、本件登録実用新案は、第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから実用新案法第3条第2項の規定に違反して登録されたものであるから取り消すべきというものである。 4.上記訂正請求によって訂正された明細書の請求項1に係る考案(以下、「訂正考案」という。)は、その実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものである。 「ファスナ打込用ドライバを駆動する打込ピストン・シリンダ機構と、枢動自在のトリガレバーを介して手動操作され打込ピストンの往復動を制御するトリガバルブとを備えた圧縮空気駆動型ファスナ打込機の安全装置であって、前記トリガレバーが指掛け板と該指掛板の両側縁から互いに平行に立上った側板とを有し、ファスナ打込機のハウジングから突出した2枚の平行なブラケットの内側に前記側板が配置され、該側板の前端部分で前記ブラケットに設けられた枢軸により回転自在に支持されており、前記トリガレバーの両側板の縁に近接して枢軸の位置より離れた個所に一端にダイヤルを備えたロックロッドを前記2枚のブラケットに回転自在に挿通して支持し、該ロックロッドの前記トリガレバーの両側板に対応した部分には円周面と円形断面の一部を切欠した部分からなるロック・フリー切替部を前記2枚のブラケットの間に形成してなり、前記ロック・フリー切替部の円周面を前記トリガレバーの両側板の縁と係合させてトリガレバーをロックするようになしたトリガロック機構。」 5.上記訂正請求の適否について判断する。 (1)上記訂正は、願書に添付された明細書(以下、「登録明細書」という。)を、以下のa及びbのとおり訂正するものである。 a.実用新案登録請求の範囲について、 「該側板の前端部で前記ブラケットに設けられた枢軸」を「ファスナ打込機のハウジングから突出した2枚の平行なブラケットの内側に前記側板が配置され、該側板の前端部分で前記ブラケットに設けられた枢軸」と訂正(以下、「訂正事項a-1」という。)し、「ロックロッドを回転自在に設け」を「前記2枚のブラケットに回転自在に挿通して支持し」と訂正(以下、「訂正事項a-2」という。)し、「ロック・フリー切替部を形成してなり」を「ロック・フリー切替部を前記2枚のブラケットの間に形成してなり」と訂正(以下、「訂正事項a-3」という。)する。 b.考案の詳細な説明について、 段落【0005】の「【課題を解決するための手段】 本考案は、ファスナ打込用ドライバを駆動する打込ピストン・シリンダ機構と、枢動自在のトリガレバーを介して手動操作され打込ピストンの往復動を制御するトリガバルブとを備えた圧縮空気駆動型ファスナ打込機の安全装置であって、前記トリガレバーが指掛け板と該指掛板の両側縁から互いに平行に立上った側板とを有し該側板の前端部分で枢軸により回転自在に支持されており、前記トリガレバーの両側板の縁に近接して枢軸の位置より離れた個所に一端にダイヤルを備えたロックロッドを回転自在に設け、該ロックロッドの前記トリガレバーの両側板に対応した部分には円周面と円形断面の一部を切欠した部分からなるロック・フリー切替部を形成してなり、前記ロック・フリー切替部の円周面を前記トリガレバーの両側板の縁と係合させてトリガレバーをロックするようになしたトリガロック機構にある。」を「【課題を解決するための手段】 本考案は、ファスナ打込用ドライバを駆動する打込ピストン・シリンダ機構と、枢動自在のトリガレバーを介して手動操作され打込ピストンの往復動を制御するトリガバルブとを備えた圧縮空気駆動型ファスナ打込機の安全装置であって、前記トリガレバーが指掛け板と該指掛板の両側縁から互いに平行に立上った側板とを有し、ファスナ打込機のハウジングから突出した2枚の平行なブラケットの内側に前記側板が配置され、該側板の前端部分で前記ブラケットに設けられた枢軸により回転自在に支持されており、前記トリガレバーの両側板の縁に近接して枢軸の位置より離れた個所に一端にダイヤルを備えたロックロッドを前記2枚のブラケットに回転自在に挿通して支持し、該ロックロッドの前記トリガレバーの両側板に対応した部分には円周面と円形断面の一部を切欠した部分からなるロック・フリー切替部を前記2枚のブラケットの間に形成してなり、前記ロック・フリー切替部の円周面を前記トリガレバーの両側板の縁と係合させてトリガレバーをロックするようになしたトリガロック機構にある。」と訂正する。 c.考案の詳細な説明について、 段落【0006】の「【考案の作用・効果】 本考案のトリガロック機構は、回転操作可能なロックロッドのロック・フリー切替部を直接トリガレバーに当接させてトリガレバーをロックするようにしているので、作業者による不用意な実打が防止出来、また、ロックロッドの端部が他の物品等に接触した場合や、工具を横向きに置いた場合でもロック状態が変更されず安全が維持できる。さらに、ロック・フリー切替部の円周面をトリガレバーの両側の側板に係合させてトリガレバーをロックするようにしたので、過大な操作力でトリガレバーが操作された場合でもトリガレバーの傾き変形が発生せず、誤動作を確実に防止することが出来る。」を「【考案の作用・効果】 本考案のトリガロック機構は、回転操作可能なロックロッドのロック・フリー切替部を直接トリガレバーに係合させてトリガレバーをロックするようにしているので、作業者による不用意な実打が防止出来、また、ロックロッドの端部が他の物品等に接触した場合や、工具を横向きに置いた場合でもロック状態が変更されず安全が維持できる。さらに、トリガーレバーの側板を2枚のブラケットの内側に配置したので、トリガーレバーがブラケット内で安定し、また上記ブラケットにロックロッドを支持させてそのロック・フリー切替部の円周面をトリガレバーの両側板の縁と係合させてトリガレバーをロックするようにしたので、操作時にはトリガーレバーの両側に力が加わる。したがって、かなり大きな操作力でトリガレバーが操作された場合でもトリガレバーは安定して作動し、傾き変形が発生せず、誤動作を確実に防止することが出来る。」と訂正する。 (2)上記訂正のうち、 aの訂正事項についてみると、訂正事項a-1は、トリガーレバーを支持する部材を、ファスナ打込機のハウジングから突出し、トリガーレバーの側板の外側に位置する2枚の平行なブラケットと特定するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮に相当し、訂正事項a-2は、ロックロッドの設置構成を2枚のブラケットに挿通して支持するものに限定するものであるから実用新案登録請求の範囲の減縮に相当し、訂正事項a-3は、ロック・フリー切替部の位置を2枚のブラケットの間と限定するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮に相当する。 bの訂正事項についてみると、この訂正事項は、実用新案登録請求の範囲の訂正に伴い、考案の詳細な説明の【課題を解決するための手段】の欄の記載をこれに整合させたものであるから、明りょうでない記載の釈明に相当する。 cの訂正事項についてみると、この訂正事項は、実用新案登録請求の範囲の訂正に伴い、考案の詳細な説明の【考案の作用・効果】の欄の記載をこれに整合させたものであるから、明瞭でない記載の釈明に相当する。 そして、訂正された実用新案登録請求の範囲に記載された「ファスナ打込機のハウジングから突出した2枚の平行なブラケットの内側に前記側板が配置され、該側板の前端部分で前記ブラケットに設けられた枢軸」の構成は、登録明細書の段落【0008】の「コンタクトアームの後端部5aは、・・・ハウジング3の一部をなすグリップ7と平行に突出した2枚のブラケット8を通ってトリガーレバー内に進入し」の記載及び願書に添付された第2図から直接的かつ一義的に導き出せるものであり、「前記2枚のブラケットに回転自在に挿通して支持し」の構成は、登録明細書の段落【0011】の「2枚のブラケット8に、トリガロック機構1が設けられている。図2に示されているようにトリガロック機構1は、2枚のブラケット8間に挿通された円形断面ロックロッド18と、」として直接記載されており、「ロック・フリー切替部を前記2枚のブラケットの間に形成してなり」の構成は、登録明細書の段落【0011】の「ロックロッド18の中間部には、上記円形断面の半分を切欠いた半円形断面を有するロック・フリー切替部20が形成されている。」として直接記載されている。 また、cの訂正事項で追加された「トリガーレバーがブラケット内で安定する」及び「操作時にはトリガーレバーの両側に力が加わる」の記載も、トリガーレバーの配置から必然的に生じる作用であるから、登録明細書に記載された事項から直接的かつ一義的に導き出せるものである。 そうすると、上記訂正事項は、いずれも、願書に添付された明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものである。 そして、この訂正によって、考案の目的が変更されるものでもないから、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張するものでもなく、また、変更するものでもない。 (3)次に、独立登録要件について判断する。 実用新案登録異議申立人が提示した甲第1号証及び甲第2号証には、次の考案が記載されていると認められる。 甲第1号証;「ファスナ打込用ドライバを駆動する打込シリンダ機構と、枢動自在のトリガレバーを介して手動操作され打込ピストンの往復動を制御するトリガバルブとを備えた圧縮空気駆動型ファスナ打込機の安全装置であって、 前記トリガレバーが指掛け板と該指掛板の両側縁から互いに平行に立上った側板とを有し該側板の前端部分で枢軸により回転自在に支持されており、 前記トリガレバーの両側板の縁に近接して枢軸の位置より離れた個所に回動体22を回転自在に設け、回動体の底に設けられた突起24をトリガーレバーの両側板の縁と係合させてトリガーレバーをロックするトリガロック機構。」の考案 また、回動体22に換えて、トリガレバーの枢軸より離れた個所に、摺動操作自在に、凹溝56が形成されたスライド部材55を設け、トリガレバーの両側壁の縁と係合させる考案が記載されている。 甲第2号証;電動工具の安全装置であって、前記トリガレバーが側部に係合面を備え、前端部分で枢軸により回転自在に支持されており、前記トリガレバーの縁に近接して枢軸の位置より離れた個所に一端につまみを備えたロックロッドを回転自在に設け、該ロックロッドの前記トリガレバーの係合面7に対応した部分には円周面と円形断面の一部を切欠した部分からなるロック・フリー切替部を形成してなり、前記ロック・フリー切替部の円周面を前記トリガレバーの係合面7と係合させてトリガレバーをロックするようになしたトリガロック機構。」の考案 (4)訂正考案と前記甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案とを対比すると、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案は、訂正考案の必須の構成である「ファスナ打込機のハウジングから突出した2枚の平行なブラケットの内側に(トリガレバーの)側板が配置され」、「ロックロッドを前記2枚のブラケットに回転自在に挿通して支持し」た構成が記載されておらず、かつ、該構成を示唆する記載もない。 なお、甲第1号証には、トリガレバ19を枢動支持する枢軸20が釘打機本体3にどのように設けられるかの具体的記載はなく、また、枢軸20が当然に2枚のブラケットに設けられたものであると認めることもできない。 そして、訂正考案は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案にはない、「大きな操作力でトリガレバーが操作された場合でもトリガーレバーかは安定して作動し、傾き変形が発生せず、誤動作を確実に防止することが出来る」という明細書(段落【0006】)に記載された格別の効果を奏するものである。 したがって、訂正考案は、前記甲第1号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。 (5)以上のとおりであるから、上記訂正請求は、平成6年法律第116号附則第9条第2項で準用する特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する同法第126条第2項?第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 6.次に、実用新案登録異議の申立てについて判断する。 (1)本件登録実用新案は、訂正された明細書の実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりのものであって、上記4で認定したとおりのものである。 (2)しかしながら、本件登録実用新案は、上記5(4)で示したように、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。 7.したがって、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては、本件実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に、本件実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 圧縮空気駆動型ファスナ打込機のトリガロック機構 (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】ファスナ打込用ドライバを駆動する打込ピストン・シリンダ機構と、枢動自在のトリガレバーを介して手動操作され打込ピストンの往復動を制御するトリガバルブとを備えた圧縮空気駆動型ファスナ打込機の安全装置であって、前記トリガレバーが指掛け板と該指掛板の両側縁から互いに平行に立上った側板とを有し、ファスナ打込機のハウジングから突出した2枚の平行なブラケットの内側に前記側板が配置され、該側板の前端部分で前記ブラケットに設けられた枢軸により回転自在に支持されており、前記トリガレバーの両側板の縁に近接して枢軸の位置より離れた個所に一端にダイヤルを備えたロックロッドを前記2枚のブラケットに回転自在に挿通して支持し、該ロックロッドの前記トリガレバーの両側板に対応した部分には円周面と円形断面の一部を切欠した部分からなるロック・フリー切替部を前記2枚のブラケットの間に形成してなり、前記ロック・フリー切替部の円周面を前記トリガレバーの両側板の縁と係合させてトリガレバーをロックするようになしたトリガロック機構。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、圧縮空気を動力とする圧縮空気駆動型ファスナ打込機の安全装置としてのトリガロック機構に関する。 【0002】 【従来技術およびその問題点】 従来の圧縮空気駆動型釘打機には、釘打機の操作者に、実打(釘を実際に釘打込材に打込むこと)することを意識させるため、釘を打出すノーズの先端面を釘打込材に当接させる前に、トリガレバーと連動するコンタクトアームの先端接触部(ノーズの先端面より前方に突出した位置にある)を操作者が必ず釘打込材に当接させるように構成された安全装置が設けられている。また、別の安全装置として、トリガレバー上又はこれの近傍に横方向に摺動操作が可能な操作部を設け、該操作部と連動したロック部をトリガレバーの一部分と係合させてトリガレバーの動きをロックする機構を設けた釘打機等がある。 【0003】 前者の安全装置が設けられていても、操作者が釘打機を携行して作業現場を移動する際に、トリガレバーを引いたままの状態であれば、コンタクトアームの先端接触部が偶然に操作者の身体の一部または作業現場に存在する物体にぶつかつて、釘打機が不用意に実打してしまう事故が生じることがあった。特に、この事故は、人身事故となることもあり、危険である。また、後者の安全装置では、釘打機等の工具の側方に突出したトリガロック機構の操作部に作業者や他の物品が当たったり又は、工具を横向きにおいた状態で等でロック機構の操作部が不用意に操作されてしまい、知らずにトリガレバーを操作して事故を発生させる場合があった。また、トリガレバーの中心からずれた一ケ所でトリガレバーと係合してロックするものであるため、大きな操作力でトリガレバーを操作した場合に、トリガレバーが傾き変形してその結果ロック状態であるにも関わらずトリガバルブを作動させてしまうことがある。 【0004】 【考案が解決しようとする課題】 本考案の課題は、圧縮空気駆動型ファスナ打込機による不用意な実打を防止する安全装置を提供することである。 【0005】 【課題を解決するための手段】 本考案は、ファスナ打込用ドライバを駆動する打込ピストン・シリンダ機構と、枢動自在のトリガレバーを介して手動操作され打込ピストンの往復動を制御するトリガバルブとを備えた圧縮空気駆動型ファスナ打込機の安全装置であって、前記トリガレバーが指掛け板と該指掛板の両側縁から互いに平行に立上った側板とを有し、ファスナ打込機のハウジングから突出した2枚の平行なブラケットの内側に前記側板が配置され、該側板の前端部分で前記ブラケットに設けられた枢軸により回転自在に支持されており、前記トリガレバーの両側板の縁に近接して枢軸の位置より離れた個所に一端にダイヤルを備えたロックロッドを前記2放のブラケットに回転自在に挿通して支持し、該ロックロッドの前記トリガレバーの両側板に対応した部分には円周面と円形断面の一部を切欠した部分からなるロック・フリー切替部を前記2枚のブラケットの間に形成してなり、前記ロック・フリー切替部の円周面を前記トリガレバーの両側板の縁と係合させてトリガレバーをロックするようになしたトリガロック機構にある。 【0006】 【考案の作用・効果】 本考案のトリガロック機構は、回転操作可能なロックロッドのロック・フリー切替部を直接トリガレバーに係合させてトリガレバーをロックするようにしているので、作業者による不用意な実打が防止出来、また、ロックロッドの端部が他の物品等に接触した場合や、工具を横向きに置いた場合でもロック状態が変更されず安全が維持できる。さらに、トリガレバーの側板を2枚のブラケットの内側に配置したので、トリガレバーがブラケット内で安定し、また上記ブラケットにロックロッドを支持させてそのロック・フリー切替部の円周面をトリガレバーの両側側の縁と係合させてトリガレバーをロックるようにしたので、操作時にはトリガレバーの両側に力が加わる。したがって、かなり大きな操作力でトリガレバーが操作された場合でもトリガレバーは安定して作動し、傾き変形が発生せず、誤動作を確実に防止することが出来る。 【0007】 【実施例】 以下、本考案の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。本考案のトリガロック機構1を備えた圧縮空気駆動型釘打機2は、そのハウジング3の前部に打込ピストン・シリンダ機構(図示せず)を内蔵し、打込ピストン・シリンダ機構によって、打込ピストンと一体のロッド状ドライバ(図示せず)を往復動させる。ドライバは、釘打作業者のトリガレバー4の手動操作により、打込ピストン・シリンダ機構の下端に取付けられたノーズ(図示せず)内を往復動し、ノーズ内に予め送り込まれていた連結釘の先頭位置の釘を釘打込材に打込む。従来の圧縮空気駆動型釘打機と同様に、コンタクトアーム5の先端接触部(図示せず)がノーズの先端部の周りに配置されており、ノーズの先端面が釘打込材に当接される前に、コンタクトアーム5の先端接触部が釘打込材に当接されるように、コンタクトアーム5の先端接触部の先端面は、ノーズの先端面より前方に突出している。 【0008】 図1に示されているように、コンタクトアーム5の後端部5aは、打込ピストン・シリンダ機構の軸と平行に延び、ハウジング3の一部をなすグリップ7と平行に突出した2枚のブラケット8を通ってトリガレバー4内に進入し、トリガレバー4の内部に配置されたコンタクトアーム係脱レバー6と係脱する。 【0009】 上記グリップ7内には、圧縮空気貯溜室9が形成されている。打込ピストン・シリンダ機構と近接するグリップ7の個所には、二重スプール弁構造のトリガバルブ10が配置され、内側トリガバルブステム11の操作端11aがぐリップ7からトリガレバー4の方へ突出している。トリガバルブ10は、空気通路12を通じて、操作者によるトリガレバー4の手動操作により圧縮空気貯溜室9と、打込シリンダにおいて打込ピストンの上方に形成される打込ピストン上室(図示せず)と、大気との間の空気の連通を開閉制御することにより、打込ピストン・シリンダ機構の打込ストロークの開始および復帰ストロークの開始を制御する。 【0010】 図1に示されているように、上記トリガバルブ10とコンタクトアーム5の後端部5aとの間において、トリガレバー4がブラケット8に枢軸13によって枢支されている。トリガレバー4は、図1および図2から判るように、全体がほぼ弓形に湾曲しており、枢軸13の反対側に位置する指掛け板14と指掛け板14の両側縁で互いに平行に立上った側板15aおよび15bと、側板15aおよび15b間に存在し、枢軸13と反対側に設けられた枢軸16により枢支されたコンタクトアーム係脱レバー6と、側板15aおよび15bの間において枢軸13に近接した個所に設けられコンタクトアーム係脱レバー6の下面と係脱するピンストッパ17とから成る。 【0011】 図1?図3から判るように、トリガレバー4とトリガバルブ10との間において、2枚のブラケット8に、トリガロック機構1が設けられている。図2に示されているように、トリガロック機構1は、2枚のブラケット8間に挿通された円形断面ロックロッド18と、ブラケット8から突出したロックロッド18の一端に固着されたダイヤル19と、ダイヤル19の回転を180°で止めるストッパ(図示せず)とダイヤル19と一のブラケット8との間に配装された圧縮コイルばね19aとから成る。ロックロッド18の中間部には、上記円形断面の半分を切欠いた半円形断面を有するロック・フリー切替部20が形成されている。このロック・フリー切替部20は、枢軸13に近接し枢軸13の位置より指掛け板14の方へずれた個所で、トリガレバー4の側板15aおよび15bの上端縁前部21aと係合する。 【0012】 図1に示されているように、トリガロック状態のときは、操作者がダイヤル19を回して、ロックロッド18のロック・フリー切替部20の円柱面20aをトリガレバー4の側板15aおよび15bと係合させる。これにより、トリガレバー4は、解放位置(非作動位置)に存在した状態でロックされ、操作者は、作動位置へ引くことができない。 【0013】 図3に示されているように、トリガフリーのときは、操作者がトリガロック位置からダイヤル19を180°回して、ロック・フリー切替部20の直径面20bをトリガレバー4の側板15aおよび15bの上端縁前部21aと対向させる。このときは、トリガレバー4の側板15aおよび15bの上端縁後部21bがトリガバルブ10の前端面10aに当接するまで、操作者は、トリガレバー4を回動できる。 【0014】 このとき、コンタクトアーム5の先端接触部が釘打込材に当接する前にトリガレバー4が引かれれば、ロック・フリー切替部20の直径面20bは、トリガレバー4の側板15aおよび15bの上端縁前部21aと係合し、コンタクトアーム係脱レバー6は、トリガバルブ10の状態を変更しない範囲でトリガバルブステム11と当接する。この状態で、コンタクトアーム5の先端接触部が釘打込材に当接しノーズの先端面まで後退すると、コンタクトアーム5の後端部5aは、コンタクトアーム係脱レバー6の先端と当接し、これをトリガバルブステム11の方へ移動させる。これにより、コンタクトアーム係脱レバー6は、枢軸16を中心に回動され、トリガバルブステム11をトリガバルブ10の前端面10の方へ後退させ作動位置(すなわち、空気通路12がトリガバルブ10を通じて大気に連通する位置)に到らせる。これにより、打込ピストンの打込ストロークが開始される。 【0015】 他方、コンタクトアーム5の先端接触部が釘打込材に当接された後でトリガレバー4が引かれるときは、コンタクトアーム5の後端部5aがコンタクトアーム係脱レバー6の先端部をトリガバルブステム11の方へ移動し、その位置で仮固定した後、側板15aおよび15bの上端縁後部21bがトリガバルブ10の前端面10aに当接するまで、トリガレバー4が作動位置へ引かれる。これにより、コンタクトアーム係脱レバー6がトリガバルブステム11の操作端11aに当接し、トリガバルブステム11をトリガバルブ10の状態が切り替わるまで移動させる。 【0016】 上記実施例においては、ロックロッドは、半円形断面のロック・フリー部を有しているが、ロックロッドの回転角度によりトリガレバーの側板との係合位置がロックまたはフリー位置に切換わるものであれば、ロックロッドの断面形は、適宜選択しうる。上記実施例においては、トリガロック機構が圧縮空気駆動型釘打機に適用されているが、これに限定されず、ステープル、鋲およびネジなどの圧縮空気駆動型ファスナ打込機に適用できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本考案のトリガロック機構を具えた圧縮空気動力型釘打機のトリガレバーおよびトリガ関連機構を示す断面図であって、トリガロック状態を示す。 【図2】図1におけるA-A線断面図である。 【図3】本考案のトリガロック機構を具えた圧縮空気動力型釘打機のトリガレバーおよびトリガ関連機構を示す断面図であって、トリガフリー状態を示す。 【符号の説明】 1 トリガロック機構 2 圧縮空気動力型釘打機 4 トリガレバー 8 ブラケット 10 トリガバルブ 15a 側板 15b 側板 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 a.実用新案登録請求の範囲について、 「該側板の前端部で前記ブラケットに設けられた枢軸」を「ファスナ打込機のハウジングから突出した2枚の平行なブラケットの内側に前記側板が配置され、該側板の前端部分で前記ブラケットに設けられた枢軸」と、「ロックロッドを回転自在に設け」を「前記2枚のブラケットに回転自在に挿通して支持し」と、「ロック・フリー切替部を形成してなり」を「ロック・フリー切替部を前記2枚のブラケットの間に形成してなり」と、それぞれ実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする訂正をする。 b.考案の詳細な説明について、 段落【0005】の「【課題を解決するための手段】 本考案は、ファスナ打込用ドライバを駆動する打込ピストン・シリンダ機構と、枢動自在のトリガレバーを介して手動操作され打込ピストンの往復動を制御するトリガバルブとを備えた圧縮空気駆動型ファスナ打込機の安全装置であって、前記トリガレバーが指掛け板と該指掛板の両側縁から互いに平行に立上った側板とを有し該側板の前端部分で枢軸により回転自在に支持されており、前記トリガレバーの両側板の縁に近接して枢軸の位置より離れた個所に一端にダイヤルを備えたロックロッドを回転自在に設け、該ロックロッドの前記トリガレバーの両側板に対応した部分には円周面と円形断面の一部を切欠した部分からなるロック・フリー切替部を形成してなり、前記ロック・フリー切替部の円周面を前記トリガレバーの両側板の縁と係合させてトリガレバーをロックするようになしたトリガロック機構にある。」を「【課題を解決するための手段】 本考案は、ファスナ打込用ドライバを駆動する打込ピストン・シリンダ機構と、枢動自在のトリガレバーを介して手動操作され打込ピストンの往復動を制御するトリガバルブとを備えた圧縮空気駆動型ファスナ打込機の安全装置であって、前記トリガレバーが指掛け板と該指掛板の両側縁から互いに平行に立上った側板とを有し、ファスナ打込機のハウジングから突出した2枚の平行なブラケットの内側に前記側板が配置され、該側板の前端部分で前記ブラケットに設けられた枢軸により回転自在に支持されており、前記トリガレバーの両側板の縁に近接して枢軸の位置より離れた個所に一端にダイヤルを備えたロックロッドを前記2枚のブラケットに回転自在に挿通して支持し、該ロックロッドの前記トリガレバーの両側板に対応した部分には円周面と円形断面の一部を切欠した部分からなるロック・フリー切替部を前記2枚のブラケットの間に形成してなり、前記ロック・フリー切替部の円周面を前記トリガレバーの両側板の縁と係合させてトリガレバーをロックするようになしたトリガロック機構にある。」と、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正をする。 c.考案の詳細な説明について、 段落【0006】の「【考案の作用・効果】 本考案のトリガロック機構は、回転操作可能なロックロッドのロック・フリー切替部を直接トリガレバーに当接させてトリガレバーをロックするようにしているので、作業者による不用意な実打が防止出来、また、ロックロッドの端部が他の物品等に接触した場合や、工具を横向きに置いた場合でもロック状態が変更されず安全が維持できる。さらに、ロック・フリー切替部の円周面をトリガレバーの両側の側板に係合させてトリガレバーをロックするようにしたので、過大な操作力でトリガレバーが操作された場合でもトリガレバーの傾き変形が発生せず、誤動作を確実に防止することが出来る。」を「【考案の作用・効果】 本考案のトリガロック機構は、回転操作可能なロックロッドのロック・フリー切替部を直接トリガレバーに係合させてトリガレバーをロックするようにしているので、作業者による不用意な実打が防止出来、また、ロックロッドの端部が他の物品等に接触した場合や、工具を横向きに置いた場合でもロック状態が変更されず安全が維持できる。さらに、トリガーレバーの側板を2枚のブラケットの内側に配置したので、トリガーレバーがブラケット内で安定し、また上記ブラケットにロックロッドを支持させてそのロック・フリー切替部の円周面をトリガレバーの両側板の縁と係合させてトリガレバーをロックするようにしたので、操作時にはトリガーレバーの両側に力が加わる。したがって、かなり大きな操作力でトリガレバーが操作された場合でもトリガレバーは安定して作動し、傾き変形が発生せず、誤動作を確実に防止することが出来る。」と、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正をする。 |
異議決定日 | 2000-08-11 |
出願番号 | 実願平4-59703 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
YA
(B25C)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 島田 信一 |
特許庁審判長 |
小林 武 |
特許庁審判官 |
桐本 勲 鈴木 孝幸 |
登録日 | 1998-01-16 |
登録番号 | 実用新案登録第2568721号(U2568721) |
権利者 |
マックス株式会社 東京都中央区日本橋箱崎町6番6号 |
考案の名称 | 圧縮空気駆動型ファスナ打込機のトリガロック機構 |
代理人 | 瀬川 幹夫 |
代理人 | 瀬川 幹夫 |