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審決分類 |
審判 一部申し立て B21K 審判 一部申し立て B21K |
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管理番号 | 1028343 |
異議申立番号 | 異議1999-73545 |
総通号数 | 16 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-04-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-09-10 |
確定日 | 2000-09-27 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 登録第2591851号「セラミックスフィードローラー」の請求項1、2、4及び5に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 登録第2591851号の請求項1、2、4及び5に係る実用新案登録を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 実用新案登録第2591851に係る考案についての出願は、平成5年9月29日に実用新案登録出願され、平成11年1月8日にその実用新案の設定登録がなされ、その後、実用新案登録異議申立人日本碍子株式会社から実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成12年4月17日に実用新案登録異議意見書とともに訂正請求書(後日取り下げ)が提出された後、該訂正の拒絶理由の通知を兼ねて取消理由が再度通知され、その指定期間内である平成12年7月31日に実用新案登録異議意見書とともに上記訂正請求書に対する手続補正書が提出され、さらに取消理由が通知され、その指定期間内である平成12年9月4日に実用新案登録異議意見書とともに訂正請求書が提出されたものである。 第2 訂正の適否 平成12年4月17日付けの訂正請求は、上記のように取り下げられている。以下、平成12年9月4日付けの訂正請求の適否について検討する。 1 訂正の内容 (1) 訂正事項a 登録時の明細書(以下「登録明細書」という)の実用新案登録請求の範囲の請求項1中の「前記スリーブがその中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って」を、「前記スリーブがその中心線に平行な半径方向の平面に沿って」と訂正する。 また、登録明細書の考案の詳細な説明中、段落番号【0009】の「前記スリーブがその中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って」を「前記スリーブがその中心線に平行な半径方向の平面に沿って」と、段落番号【0015】の「これに対して、本考案のセラミックスフィードローラーでは、セラミックス製のスリーブ3が、図2に示すごとく中心線に直角な平面に沿って、及び/又は図3に示すごとく中心線に平行な半径方向の平面に沿って」を「これに対し、本考案の請求項1に記載されたセラミックスフィードローラーでは、セラミックス製のスリーブ3が、図3に示すごとく中心線に平行な半径方向の平面に沿って」と、段落番号【0029】の「しかも、円環状のセラミック製のスリーブをその中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って」を「しかも、本考案の請求項1に記載されたフイードローラーでは、円環状のセラミック製のスリーブをその中心線に平行な半径方向の平面に沿って」とそれぞれ訂正する。 (2) 訂正事項b 登録明細書の実用新案登録の請求の範囲の請求項1中の「複数に分割されていることを特徴とするセラミックスフィードローラー。」を、「複数に分割され、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有していることを特徴とするセラミックスフイードローラー。」と訂正する。 また、登録明細書の考案の詳細な説明中、段落番号【0009】の「複数に分割されていることを特徴とするものである。」を「複数に分割され、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有していることを特徴とするものである。」と訂正する。 (3) 訂正事項c 登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項3を独立請求項とし、引用した請求項に記載されていた「スリーブがその中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割され」を、「スリーブがその中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割され、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有しており、」と訂正する。 登録明細書の考案の詳細な説明の段落番号【0009】「特徴とするものである。」の後に、「更には、金属製のローラー本体と、ローラー本体の外周部に嵌合したセラミックス製のスリーブとからなり、前記スリーブがその中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割され、その外周の円周にコイル材を挟む溝部を有しており、前記ローラー本体が、ケイ素含有量5?30重量%のアルミニウム合金からなるものである。」を、段落番号【0015】の「防止できるのである。」の後に、「更に本考案の請求項3に記載されたセラミックスフイードローラーでは、セラミックス製のスリーブ3が、中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割されているため、同様な効果がある。」を、段落番号【0029】の第5行目の「提供することができる。」の後に「更に本考案の請求項3に記載のフイードローラーでは、その中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割してあるので、同様の効果がある。」をそれぞれ加える。 (4) 訂正事項d 登録明細書の実用新案登録の請求項5を、請求項4とし、「その分割面がスリーブの中心線に向いて」の後に、「おり、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有して」を加える。 (5) 訂正事項e 登録明細書の実用新案登録の請求項4を、請求項5とし、「その分割面がスリーブの中心線に向いて」の後に、「おり、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有して」を加える。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 (1) 訂正事項aについて 上記訂正事項aの請求項1に対する訂正は、スリーブの分割平面に関し、訂正前には、中心線に直角な平面又は平行な平面ないしは直角及び平行な平面として選択的に記載されていたものを、平行な平面のみに限定するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的としたものに当たる。 また、これに伴う考案の詳細な説明に対する訂正は、実用新案登録請求の範囲の訂正と整合を図るものであるから、明瞭でない記載の釈明に相当する。 そして、訂正事項aは、上記のように選択的に記載されていた事項のうちの一つであるから、登録明細書に記載された事項であり、該訂正は、新規事項の追加に該当しない。また、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、変更するものでもない。 (2) 訂正事項bについて 上記訂正事項bの請求項1に対する訂正は、スリーブの形状を限定するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的としたものに該当する。 また、これに伴う考案の詳細な説明に対する訂正は、実用新案登録請求の範囲の訂正と整合を図るものであるから、明瞭でない記載の釈明に相当する。 そして、上記訂正事項bの訂正に関し、登録明細書の考案の詳細な説明の段落番号【0024】には、「一方、スリーブ3はSi_(3)N_(4)焼結体からなり、外周に沿ってコイル径に対応した円環状の溝部8が形成してあると共に、中心線に平行な半径方向の互いに直交する2平面に沿って4分割されている。」と記載されていることから、訂正事項bは登録明細書に記載されているものと認められ、上記訂正bは、新規事項の追加に該当しない。 また、上記のように、スリーブの形状を限定するものであるから、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、変更するものではない。 (3) 訂正事項cについて 上記訂正事項cの請求項3に対する訂正は、上記訂正事項bと同様に、スリーブの形状を限定するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的としたものに該当する。 また、これに伴う考案の詳細な説明に対する訂正は、実用新案登録請求の範囲の訂正と整合を図るものであるから、明瞭でない記載の釈明に相当する。 そして、上記訂正事項cの訂正に関し、登録明細書の考案の詳細な説明の段落番号【0024】には、上記第2の2(2)で示した記載があるから、訂正事項cは登録明細書に記載されているものと認められ、上記訂正cは、新規事項の追加に該当しない。 また、上記のように、スリーブの形状を限定するものであるから、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、変更するものではない。 (4) 訂正事項d及びeについて 上記訂正事項d及びeは、上記第2の2(2)に示したように、登録明細書に記載されていた事項である。したがって、同訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当する。 さらに、訂正事項d及びeは、新規事項を追加するものではなく、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、変更するものでもない。 3 独立登録要件 (1) 訂正考案 訂正明細書の請求項1ないし5に係る考案(以下、それぞれ「訂正考案1」ないし「訂正考案5」という。)は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし5に記載される次の事項により特定されるとおりのものである。 訂正考案1:「【請求項1】金属製のローラー本体と、ローラー本体の外周部に嵌合した円環状のセラミックス製のスリーブとからなり、前記スリーブがその中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割され、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有していることを特徴とするセラミックスフィードローラー。」 訂正考案2:「【請求項2】前記スリーブが、窒化ケイ素系又はサイアロン系のセラミックスからなることを特徴とする請求項1に記載のセラミックスフィードローラー。」 訂正考案3:「【請求項3】金属製のローラー本体と、ローラー本体の外周部に嵌合した円環状のセラミックス製のスリーブとからなり、前記スリーブがその中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割され、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有しており、前記ローラー本体が、ケイ素含有量5?30重量%のアルミニウム合金からなることを特徴とするセラミックスフィードローラー。」 訂正考案4:「【請求項4】前記スリーブがその中心線に平行な半径方向の平面に沿って分割され、その分割面がスリーブの中心線に向いており、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックスフィードローラー。」 訂正考案5:「【請求項5】前記スリーブがその中心線に直角な平面に沿って複数に分割されており、その分割面がスリーブの中心線に向いており、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有していることを特徴とする請求項3に記載のセラミックスフィードローラー。」 (2) 当審が通知した取消理由通知の概要 当審が平成12年1月12日付け及び平成12年5月19日付けで通知した取消理由は、実用新案登録異議申立人日本碍子株式会社が提示した 甲第1号証:特公平 3- 80564号公報、 甲第2号証:特開昭63-207413号公報、 甲第3号証:特開昭61-189853号公報、 甲第4号証:特開昭63- 83288号公報、 甲第5号証:CERAMICS PRODUCTS「NGK産業機械用セラミックス」、日本ガイシ株式会社、1992年3月、 甲第6号証:アドバンストセラミックス、宗宮重行編、第66?67頁、1984年2月20日第1刷発行、株式会社講談社 を、それぞれ、刊行物1ないし6として引用し、登録明細書の請求項1、2、4及び5に係る考案は、上記刊行物1ないし4に記載された考案であるか、上記刊行物1ないし4に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、当該考案に係る実用新案登録は、実用新案法第3条第1項及び同条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきであるというものである。 また、当審が平成12年8月22日付けで通知した取消理由通知は、登録明細書の請求項1に係る考案は、コイル材と接触する部位として溝部を有することが前提となっているところ、該請求項1の記載はこの点が明確でないから、当該考案に係る実用新案登録は、実用新案法第5条第5項及び第6項に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであり、取り消されるべきであるというものである。 (3) 請求項1の記載要件の充足について 上記第2の1(2)に示したように、上記訂正事項bは、請求項1の記載において、スリーブの形状に「その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有している」点を限定するものであるから、この訂正により、請求項1に係る考案の構成に欠くことができない事項は明確となり、実用新案法第5条第5項及び第6項に規定する要件は充足される。 (4) 引用刊行物記載の考案 当審が通知した取消理由で引用した上記刊行物1ないし6には、それぞれ以下の記載がある。 (ア) 刊行物1 第1頁第2欄第3行から第7行に 「この発明は、特に溝型硬質リングとして超硬合金、各種高速度鋼合金、セラミックその他特殊鋼等の硬質材料のいずれかを使用して形鋼を熱間圧延するのに好適な深溝付きの形鋼用熱間圧延ロールに関する。」と、 第2頁第4欄第16行から第22行に 「1は形鋼用熱間圧延ロールで、ロール本体2と、溝型硬質リング3と、「締付け部材」としての中間リング5,6と及び締付けナット7とから主に構成されている。溝型硬質リング3は深溝28の底部Bより左右対象に分割された左右一対の分割硬質リング8,9とされ、深溝28の合わせ面は略V字形状とされている。」と、 第2頁第4欄第28行から第30行に 「そしてこのような溝型硬質リング3には、超硬合金、高速度鋼合金、セラミックその他特殊鋼等の硬質材料が採用される。」と、 第3頁第6欄第21行から第24行に 「成形時加圧力が深溝の底部に応力集中したとしても最初から分割されている分、この応力による溝型硬質リングの割れは全く回避されるという効果が得られ」と記載されている。 (イ) 刊行物2 第1頁の特許請求の範囲の欄に 「丸物材料を搬送する搬送ローラにおいて、軸部材と、その軸方向の縦断面が実質的にV字形状に形成され搬送される前記丸物材料とその外周面とが転接するセラミックス製のローラ部材と、このローラ部材を軸部材に着脱可能に挟持する1対のホルダと、これらのホルダ及びローラ部材の間に介装されホルダ及びローラ部材の熱膨張を吸収する弾性部材と、を有することを特徴とする搬送ローラ。」と、 第2頁右下欄第1行から第7行に 「軸部材12には軸受16側にストッパ部14が形成され、ストッパ部14の位置まで第1のホルダ24が挿入されている。この第1のホルダ24と略同形状の第2のホルダ26が軸部材12の軸受18側に挿入され、ローラ部材30がホルダ24及び26の間に配設されるようになっている。」 第2頁右下欄第12行から第15行に 「ローラ部材30は、リング状をなし、軸方向に切断されると、その外周42がV字形状に形成されており、V字の谷部にて2分割されている。」と、 第2頁右下欄第17行から第19行には 「ローラ部材30はセラミックス製であり、例えば、窒化珪素(Si_(3)N_(4))でつくられている。」と、 第3頁右下欄第12行から第15行には、 「上記第1の実施例によれば、ローラ部材30が窒化珪素でつくられているので、その外周42が殆ど摩耗せず、搬送ローラ10の寿命を大幅に延長することができた。」と記載されている。 (ウ) 刊行物3 第1頁の特許請求の範囲の欄に 「中空の水冷駆動軸とその外側のセラミックスロールとの間に、空気層を形成しかつ衝撃緩和機能を有する金属体を介在せしめたことを特徴とする搬送ローラ。」と、 第2頁左下欄第17行から同右下欄第7行に 「図において、(1)は鋼製の中空駆動軸であり、その軸心中央を貫通して冷却水の通路となる中空部(13)が設けてある。中空軸(1)の一端側には、形止突起部(11)としての大径部が形成されており、他側には雄ねじ部(12)が形成されている。 (2)は上記中空軸(1)に外嵌されたセラミックスロール群で、中空の截頭円錐形状のセラミックスロール(21)6個から成っている。このロール(21)は2個1組として管棒材を搬送すべく截頭部同志を互いに当接させて管棒材の搬送部とし、3組が軸の長手方向に並設される。」 第4頁右上欄第8行から第9行に 「ロールに応力が集中する部分がないので、この部分を起点とする破損を防止できる。」と記載されている。 (エ) 刊行物4 第1頁の特許請求の範囲の欄に 「水平方向に隣接して配置された多数の酸洗槽の境界上部に回転可能に取付けられ、水平方向に移動しながら酸洗槽内の酸に浸漬される鋼材を支持する酸洗用ダムロールにおいて、金属製のロール軸の外周に弾性体を被覆し、該弾性体外周に接着剤を介して周方向に複数部分に分割されたセラミックス製のスリーブを設けたことを特徴とする酸洗用ダムロール。」と、 第2頁右上欄第19行から同左下欄第10行に 「更に、スリーブを構成するセラミックスとしてはアルミナ、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素等を挙げることができる。 〔作用〕 このような酸洗用ダムロールによれば、金属製のロール軸とセラミックス製のスリーブとの間に弾性体及び接着剤が介在し、かつセラミックス製のスリーブが周方向に複数部分に分割されているので、鋼板からの荷重を受けても分割されたスリーブの一部だけが応力を受け、弾性体の変形により応力を分散することができ、高い機械的強度を得ることができる。」と、 第2頁右下欄第11行から第14行に 「このスリーブ4は周方向に3分割されており、断面円弧状の3分割体が組合わされて外径250mm、長さ1800mmの円筒状をなしている。」と記載されている。 (オ) 刊行物5 刊行物5には、窒化珪素を材料とするSN-73Mが、室温での4点曲げ強度1150MPa、硬度〔ヌープ300g荷重〕14GPaであることと、SN-61が、室温での4点曲げ強度1130MPa、硬度〔ヌープ300g荷重〕18GPaであることが示されている。 (カ) 刊行物6 刊行物6には、各種セラミックスの硬さが示されており、その示された範囲において、同一荷重で測定した場合のヌープ硬度とビッカース硬度を比較すると、ビッカース硬度の値の方が大きいことが示されている。 (5) 対比・判断 (ア) 訂正考案1との対比・判断 訂正考案1と、刊行物1ないし6に記載された事項とを比較すると、刊行物1ないし6のいずれにも、セラミックスフィードローラーにおいて、「スリーブがその中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割され、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有している」構成は開示されていない。そして、訂正考案1は、上記構成を備えることによって、コイル材のようなワークを移送するために使用するフィードローラーにおいて、ワークから加えられる応力を分散して緩和し、スリーブの亀裂や破損を防ぐという顕著な効果を奏するものである。故に、訂正考案1は、刊行物1ないし6に記載されたものに基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではない。 なお、刊行物4に記載されたものには、セラミックス製のスリーブをその中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割する構成がみられ、刊行物2及び3に記載されたものには、セラミックス製のローラ部材がその中心線に直角な平面に沿って複数に分割し、該ローラ部材の外周の円周方向に沿って搬送物を挟む溝部を設ける構成がみられるが、上記刊行物のいずれにも、これらの構成によってワークから加えられる応力を分散するとの作用効果の記載はなく、むしろスリーブ又はローラ部材とその駆動軸との間に設けられた弾性部材により、該応力分散効果を得ているものと認められる。故に、上記各刊行物に記載されたものの寄せ集めによって訂正考案1を構成することがきわめて容易であったとすることはできない。 したがって、訂正考案1は、実用新案登録出願の際独立して登録を受けることができるものである。 (イ) 訂正考案3との対比・判断 訂正考案3と、刊行物1ないし6に記載された事項とを比較すると、刊行物1ないし6のいずれにも、セラミックスフィードローラーのスリーブを「ケイ素含有量5?30重量%のアルミニウム合金から」構成する点は開示されていない。そして、訂正考案3は、上記構成を備えることによって、コイル材のようなワークを移送するために使用するフィードローラーにおいて、ワークの品質を維持しながら、耐摩耗性の向上させ、高速送りに耐える強度を確保するという顕著な効果を奏するものである。故に、訂正考案3は、刊行物1ないし6に記載されたものに基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではない。 したがって、訂正考案3は、実用新案登録出願の際独立して登録を受けることができるものである。 (ウ) 訂正考案2、4及び5との対比・判断 訂正明細書の請求項2、4及び5は、請求項1又は3を直接又は間接に引用して記載しており、訂正考案2、4及び5は、訂正考案1又は3の構成を全て備えた上で、さらに限定を加えたものであるから、前記のとおり、訂正考案1及び3が上記刊行物1ないし6に記載されたものに基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではない以上、訂正考案2、4及び5も、上記刊行物1ないし6に記載されたものに基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではない。 したがって、訂正考案2、4及び5は、実用新案登録出願の際独立して登録を受けることができるものである。 (6) むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)付則第9条第2項の規定により準用され、同付則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する同第126条第2ないし4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 第3 実用新案登録異議の申立てについての判断 1 申立ての理由の概要 実用新案登録異議申立人日本碍子株式会社は、上記甲第1ないし6号証を提出し、登録明細書の請求項1、2、4及び5に係る考案は、甲第1ないし4号証に記載された考案と認められるので、実用新案法第3条第1項に違反して登録されたものであり、また、登録明細書の請求項2に係る考案は、甲第1ないし4号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案を行うことができたものと認められるので、実用新案法第3条第2項に違反して登録されたものであり、登録明細書の請求項1、2、4及び5に係る実用新案登録は、平成6年法律第116号付則第9条第2項によって準用する特許法第113条に該当するので、取り消されるべきものである旨を主張している。 2 本件考案 本件については、上記のように訂正が認められ、本件登録の請求項1ないし5係る考案は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし5に記載されたとおりのものと認められる。その請求項1ないし5に係る考案は、上記第2の3(1)で示したとおりである。 3 判断 本件登録の請求項1、2、4及び5に係る考案は、上記第2の3(5)で示した様に、上記刊行物1ないし6に記載されたものではなく、また、同刊行物に記載されたものに基づいて当業者がきわめて容易に考案を行うことができたものでもない。 そして、他に本件請求項1、2、4及び5に係る登録を取り消すべき理由を発見しない。 4 むすび 以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1、2、4及び5に係る登録を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1、2、4及び5に係る登録を取り消す理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 セラミックスフィードローラー (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 金属製のローラー本体と、ローラー本体の外周部に嵌合した円環状のセラミックス製のスリーブとからなり、前記スリーブがその中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割され,その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有していることを特徴とするセラミックスフィードローラー。 【請求項2】 前記スリーブが、窒化ケイ素系又はサイアロン系のセラミックスからなることを特徴とする請求項1に記載のセラミックスフィードローラー。 【請求項3】 金属製のローラー本体と、ローラー本体の外周部に嵌合した円環状のセラミックス製のスリーブとからなり、前記スリーブがその中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割され、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有しており、前記ローラー本体が、ケイ素含有量5?30重量%のアルミニウム合金からなることを特徴とするセラミックスフィードローラー。 【請求項4】 前記スリーブがその中心線に平行な半径方向の平面に沿って分割され、その分割面がスリーブの中心線に向いており、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックスフィードローラー。 【請求項5】 前記スリーブがその中心線に直角な平面に沿って複数に分割されており、その分割面がスリーブの中心線に向いており、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有していることを特徴とする請求項3に記載のセラミックスフィードローラー。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、冷間鍛造分野等において、コイル材のようなワークを移送するために使用するフィードローラーに関する。 【0002】 【従来の技術】 例えば、冷間鍛造の初工程においては、上下に配置した直径300?400mmの鋼製フィードローラーを用いてコイル材を挟み、鋼製フィードローラーを回転させてコイル材を切断工程に高速で定尺に送って切断している。 【0003】 かかる従来の鋼製のフィードローラーは、1個当たり20kg程度の重さがあるにも拘わらず、自動車部品等の多品種製品を製造する場合には、使用するコイル材の直径も多岐にわたるため、それぞれのコイル径に合わせて合計4?6個の重い鋼製フィードローラーを交換する必要がある。 【0004】 この為、コイル径に合わせた鋼製フィードローラーの交換には多大な労力を要し、作業者の疲労が大きいことに加え、極めて危険な作業でもあった。 【0005】 又、鋼製のフィードローラーは、コイル材等のワークとの接触による摩耗の発生が大きく、その為に寿命が非常に短いという問題点があった。 【0006】 【考案が解決しようとする課題】 従来の鋼製フィードローラーが非常に重く、しかも摩耗により寿命が短いという問題点を解決するためには、フィードローラーのうちワークと接触する部分を軽量で且つ耐摩耗性に優れたセラミックスで構成することが考えられる。 【0007】 しかしながら、セラミックスは比較的脆い材料であるため、ワークとの接触部分に大きな応力が加わると、その部分に亀裂が生じたり或いは破損したりして、かえって寿命を短くするという欠点がある。 【0008】 本考案はかかる事情に鑑み、フィードローラーのワークとの接触部分にセラミックスを使用することによって、全体の軽量化を達成すると共に、摩耗の低減に加えてセラミックス部分の亀裂や破損を防止し、満足すべき寿命を有する信頼性の高いフィードローラーを提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するため、本考案が提供するフィードローラーは、金属製のローラー本体と、ローラー本体の外周部に嵌合した円環状のセラミックス製のスリーブとからなるセラミックスフィードローラーであって、前記スリーブがその中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割され、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有していることを特徴とするものである。更には、金属製のローラー本体と、ローラー本体の外周部に嵌合した円環状のセラミックス製のスリーブとからなり、前記スリーブがその中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割され、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有しており、前記ローラー本体が、ケイ素含有量5?30重量%のアルミニウム合金からなるものである。 【0010】 【作用】 本考案のセラミックスフィードローラーでは、図1?図4に示すように、ワークと接触するローラー本体2の外周部に円環状のセラミックス製のスリーブ3を設けてあるので、従来の鋼製フィードローラーに比べて耐摩耗性に優れ、寿命の延長を図ることができると共に、移送されるワークの品質を維持する上でも有利である。又、セラミックス製のスリーブ3を設けることによって、フィードローラー1全体を軽量化し、交換作業における疲労の軽減及び安全性の向上を期待できる。 【0011】 スリーブ3を構成するセラミックスとしては、耐摩耗性と共に強度及び靱性にも優れた窒化ケイ素(Si_(3)N_(4))又はサイアロン系のセラミックスが好ましい。特に、ビッカース硬度Hvが1400kgf/mm^(2)以上で且つ曲げ強度100kg/mm^(2)以上の窒化ケイ素又はサイアロンを使用すれば、ワークの品質を維持しながら、耐摩耗性の向上と高速送りに耐える強度が得られる。 【0012】 ローラー本体2は、従来と同様に鋼製であっても良いが、アルミニウム合金を使用することにより更に軽量化を達成できる。特にケイ素含有量が5?30重量%の高剛性のアルミニウム合金が好ましい。その理由は、ケイ素含有量が5重量%未満では剛性が不足し、使用時に変形や摩耗の発生が著しく、逆に30重量%を越えると靱性が不足するため破損にいたる可能性があるからである。 【0013】 更に、本考案のセラミックスフィードローラーは、上記した耐摩耗性の向上と軽量化に加えて、ワークに接触する部分が鋼に比べて脆いセラミックス製であるにも拘わらず、このセラミックス製の円環状のスリーブがワークとの接触によって加えられる応力により、亀裂や破損を生じることがない。 【0014】 即ち、ローラー本体の外周部に嵌合するセラミックス製のスリーブが、一体物である場合には、図5に示すように、ワークであるコイル材10との接触面積を増加させるため、スリーブ3の外周に円周方向に沿ってコイル径に合わせた溝部8を設けたとしても、コイル材10は溝部8全体と面接触することは少なく、必ず点接触ないし線接触となる箇所が生じる。その結果、コイル材10と接触するスリーブ3の微小な接触部分に大きな応力が加わり、スリーブ3に亀裂11や破損が発生するのである。 【0015】 これに対して、本考案の請求項1に記載されたセラミックスフィードローラーでは、セラミックス製のスリーブ3が、図3に示すごとくその中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割されているため、スリーブ3に加わる応力を分散して緩和させることができ、従ってスリーブ3に亀裂や破損が発生することを防止できるのである。更に本考案の請求項3に記載されたセラミックスフィードローラーでは、セラミックス製のスリーブ3が、その中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割されているが、この場合も同様の効果がある。 【0016】 尚、スリーブは2分割又はそれ以上に分割されても良く、その中心線に平行な半径方向の平面に沿って分割された分割面は、スリーブの中心線に向いていることが好ましい。又、分割されたスリーブの互いの分割面は密着させても良いし、必要に応じて隙間が生じるように離間させても良い。 【0017】 【実施例】 実施例1 本考案のフィードローラーの一具体例として、中心線に直角な1平面に沿って2分割された円環状のセラミックス製のスリーブを備えたフィードローラーを、図1及び図2に示した。 【0018】 このフィードローラー1においては、ローラー本体2は、組成が12重量%Si-Alのアルミニウム合金からなり、複数箇所にボルトによる取付孔4を設けてある。このローラー本体2の外周部には、円周に沿って一部を切り欠くことにより一側面側に解放する小径部5を形成し、その反対側に突出側部6を段状に残してある。 【0019】 一方、スリーブ3はSi_(3)N_(4)焼結体からなり、外周に沿ってコイル径に対応した円環状の溝部8が設けてあり、その溝部8の中央で中心線に直角な1平面に沿って2分割されている。この2分割された円環状のスリーブ3をローラー本体2の小径部5に嵌合した後、小径部5の端にナット7を更に嵌着し、ナット7と反対側の突出側部6とでスリーブ3が外れないように締め付けて固定してある。 【0020】 この場合、中心線に直角な平面に沿い2分割されたスリーブ3は、各々分割された形状のものを製造した後組み合わせても良いし、一体的に製造した後切断加工により分割しても良い。又、2分割されたスリーブ3の互いの分割面9は密着させても良いし、隙間が生じるように離間させても良い。 【0021】 分割されていない一体物のSi_(3)N_(4)製スリーブを上記と同様のローラー本体の外周部に固定したフィードローラーでは、コイル材から加わる応力によって溝部に亀裂が入ったり、又は破損することにより、寿命が1000時間程度であったのに対し、上記2分割されたセラミックス製のスリーブを外周部に嵌着した実施例1のフィードローラーでは寿命が約2500時間となり、2.5倍に寿命を延ばすことができた。 【0022】 実施例2 本考案のフィードローラの一具体例として、中心線に平行な半径方向の2平面に沿って4分割された円環状のセラミックス製のスリーブを備えたフィードローラーを、図3及び図4に示した。 【0023】 このフィードローラー1において、ローラー本体2は、組成が20重量%Si-Alのアルミニウム合金からなり、複数箇所にボルトによる取付孔4を設けてある。このローラー本体2の外周部には、実施例1と同様に円周に沿って一部を切り欠くことにより一側面側に解放する小径部5を形成し、その反対側に突出側部6を段状に残してある。 【0024】 一方、スリーブ3はSi_(3)N_(4)焼結体からなり、外周に沿ってコイル径に対応した円環状の溝部8が形成してあると共に、中心線に平行な半径方向の互いに直交する2平面に沿って4分割されている。この1/4円弧状に4分割されたスリーブ3をローラー本体2の小径部5に嵌合した後、小径部5の端に嵌着したナット7と反対側の突出側部6とでスリーブ3が外れないように締め付けて固定してある。 【0025】 この場合、1/4円弧状に4分割されたスリーブ3は、各々分割された形状のものを製造した後組み合わせても良いし、一体的に製造した後切断加工により分割しても良い。又、4分割されたスリーブ3の互いの分割面9は密着させても良いし、隙間が生じるように離間させても良い。 【0026】 分割されていない一体物のSi_(3)N_(4)製スリーブを上記と同様のローラー本体の外周部に固定したフィードローラーでは、コイル材から加わる応力によって溝部に亀裂が入ったり、又は破損することにより、寿命が1000時間程度であったのに対し、上記4分割されたセラミックス製のスリーブを用いた実施例2のフィードローラーでは寿命が約2000時間となり、2.0倍に寿命を延ばすことができた。 【0027】 又、アルミニウム合金製のローラー本体とセラミックス製のスリーブを組み合わせた実施例1及び2のフィードローラーは、従来の同一寸法の鋼製のフィードローラーに比べて全体の重量が約半分以下となり、著しい軽量化を達成できた。 【0028】 【考案の効果】 本考案によれば、フィードローラーのワークとの接触部分にセラミックスの円環状のスリーブを設けることによって、全体の軽量化を達成できると共に、ワークとの接触による摩耗を著しく低減させることができ、加えてワークの品質の維持を図り、歩留まりを向上させることができる。 【0029】 しかも、本考案の請求項1に記載されたフィードローラーでは、円環状のセラミックス製のスリーブをその中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割してあるので、ワークから加えられる応力が分散して緩和され、スリーブの亀裂や破損を防ぐことができ、摩耗の低減と相まって、満足すべき寿命を有する信頼性の高いフィードローラーを提供することができる。更に本考案の請求項3に記載のフィードローラーでは、円環状のセラミックス製のスリーブをその中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割してあるので、同様な効果がある。 【図面の簡単な説明】 【図1】 中心線に直角な平面に沿って2分割された円環状のセラミックス製のスリーブを備えた本考案のフィードローラーの一具体例を示す正面図である。 【図2】 図1のフィードローラーの縦断面図である。 【図3】 中心線に平行な半径方向の平面に沿って4分割された円環状のセラミックス製のスリーブを備えた本考案のフィードローラーの一具体例を示す正面図である。 【図4】 図3のフィードローラーの縦断面図である。 【図5】 セラミックス製の一体物のスリーブがコイル材から加わる応力により亀裂を生じた状態を示す概略の断面図である。 【符号の説明】 1、フィードローラー 2、ローラー本体 3、スリーブ 4、取付孔 5、小径部 6、突出側部 7、ナット 8、溝部 9、分割面 10、コイル材 11、亀裂 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 1.訂正事項a 実用新案登録第2591851号考案の明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1中の「前記スリーブがその中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って」を、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、「前記スリーブがその中心線に平行な半径方向の平面に沿って」と訂正する。 また、登録明細書の考案の詳細な説明中、段落番号【0009】の「前記スリーブがその中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って」を「前記スリーブがその中心線に平行な半径方向の平面に沿って」と、段落番号【0015】の「これに対して、本考案のセラミックスフィードローラーでは、セラミックス製のスリーブ3が、図2に示すごとく中心線に直角な平面に沿って、及び/又は図3に示すごとく中心線に平行な半径方向の平面に沿って」を「これに対し、本考案の請求項1に記載されたセラミックスフィードローラーでは、セラミックス製のスリーブ3が、図3に示すごとく中心線に平行な半径方向の平面に沿って」と、段落番号【0029】の「しかも、円環状のセラミック製のスリーブをその中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って」を「しかも、本考案の請求項1に記載されたフィードローラーでは、円環状のセラミック製のスリーブをその中心線に平行な半径方向の平面に沿って」と、それぞれ明瞭でない記載の釈明を目的として訂正する。 2.訂正事項b 同登録明細書の実用新案登録の請求の範囲の請求項1中の「複数に分割されていることを特徴とするセラミックスフィードローラー。」を、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、「複数に分割され、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有していることを特徴とするセラミックスフィードローラー。」と訂正する。 また、登録明細書の考案の詳細な説明中、段落番号【0009】の「複数に分割されていることを特徴とするものである。」を、明瞭でない記載の釈明を目的として、「複数に分割され、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有していることを特徴とするものである。」と訂正する。 3.訂正事項c 同登録明細書の実用新案登録の請求の範囲の請求項3を独立請求項とし、引用した請求項に記載されていた「スリーブがその中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割され」を、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、「スリーブがその中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割され、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有しており、」と訂正する。 また、明瞭でない記載の釈明を目的として、登録明細書の考案の詳細な説明の段落番号【0009】「特徴とするものである。」の後に、「更には、金属製のローラー本体と、ローラー本体の外周部に嵌合したセラミックス製のスリーブとからなり、前記スリーブがその中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割され、その外周の円周にコイル材を挟む溝部を有しており、前記ローラー本体が、ケイ素含有量5?30重量%のアルミニウム合金からなるものである。」を、段落番号【0015】の「防止できるのである。」の後に、「更に本考案の請求項3に記載されたセラミックスフィードローラーでは、セラミックス製のスリーブ3が、中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割されているため、同様な効果がある。」を、段落番号【0029】の第5行目の「提供することができる。」の後に「更に本考案の請求項3に記載のフィードローラーでは、その中心線に直角な平面に沿って及び/又は中心線に平行な半径方向の平面に沿って複数に分割してあるので、同様の効果がある。」をそれぞれ加える。 (4) 訂正事項d 登録明細書の実用新案登録の請求項5を、請求項4とし、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、「その分割面がスリーブの中心線に向いて」の後に、「おり、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有して」を加える。 (5) 訂正事項e 登録明細書の実用新案登録の請求項4を、請求項5とし、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、「その分割面がスリーブの中心線に向いて」の後に、「おり、その外周の円周方向に沿ってコイル材を挟む溝部を有して」を加える。 |
異議決定日 | 2000-09-07 |
出願番号 | 実願平5-57401 |
審決分類 |
U
1
652・
121-
YA
(B21K)
U 1 652・ 113- YA (B21K) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 廣野 知子 |
特許庁審判長 |
小林 武 |
特許庁審判官 |
中村 達之 鈴木 孝幸 |
登録日 | 1999-01-08 |
登録番号 | 実用新案登録第2591851号(U2591851) |
権利者 |
住友電気工業株式会社 大阪府大阪市中央区北浜四丁目5番33号 |
考案の名称 | セラミックスフィードローラー |
代理人 | 上代 哲司 |
代理人 | 中野 稔 |
代理人 | 上代 哲司 |
代理人 | 中野 稔 |
代理人 | 渡邉 一平 |