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審決分類 |
審判 一部申し立て A01D |
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管理番号 | 1028344 |
異議申立番号 | 異議1999-73247 |
総通号数 | 16 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-04-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-08-24 |
確定日 | 2000-09-20 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 登録第2590850号「携帯用自動果実落し機」の請求項1ないし4、6に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 登録第2590850号の請求項1ないし2に係る実用新案登録を維持する。 |
理由 |
理由 1.手続の経緯 実用新案登録第2590850号の考案についての出願は、平成5年11月16日に実用新案登録出願されたものであって、平成10年12月11日にその実用新案登録の設定登録がなされ、その後、株式会社共立より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年7月27日に訂正請求がされたものである。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 実用新案登録権者が求めている訂正の内容は以下のとおりである。 特許明細書の実用新案登録請求の範囲の記載 「【実用新案登録請求の範囲】【請求項1】 エンジンと、エンジンの回転運動を往復運動に変換する変換機構と、前記変換機構に連結される操作杆と、前記操作杆の先端部に取り付けられるフック部とからなり、前記操作杆は変換機構に連結されフック部を往復運動させる駆動軸とこの駆動軸を収納する収納管とからなり、前記フック部は係止杆を平行に設けたコ字状枠体に取付軸を固着してなることを特徴とする携帯用自動果実落し機。 【請求項2】 前記駆動軸と収納管は分割してなる連結軸と連結管を連結して組み立てることを特徴とする請求項1記載の携帯用自動果実落し機。 【請求項3】 前記フック部は摺動軸を介して駆動軸に連結することを特徴とする請求項1または請求項2記載の携帯用自動果実落し機。 【請求項4】 前記フック部に弾性体を被覆したことを特徴とする請求項1または請求項3記載の携帯用自動果実落し機。 【請求項5】 前記摺動軸には切欠を設け、収納管に取り付けた固定ネジの先端部に固定した半月キーを前記切欠内に挿入させて摺動軸の往復幅とともに回転を規制することを特徴とする請求項2または請求項3記載の携帯用自動果実落し機。 【請求項6】 前記収納管の先端部には、フレ止め用キャップを取り付けることを特徴とする請求項1?請求項5のいずれか1項に記載の携帯用自動果実落し機。」を、 「【実用新案登録請求の範囲】【請求項1】エンジンと、エンジンの回転運動を往復運動に変換する変換機構と、前記変換機構に連結される操作杆と、前記操作杆の先端部に取り付けられるフック部とからなり、前記操作杆は変換機構に連結されフック部を往復運動させる駆動軸とこの駆動軸を収納する収納管とからなり、前記駆動軸と収納管は分割してなる連結軸と連結管を連結して組み立てられており、前記フック部は係止杆を平行に設けたコ字状枠体に取付軸を固着してなるとともに、摺動軸を介して駆動軸に連結してなり、前記摺動軸には切欠を設け、収納管に取り付けた固定ネジの先端部に固定した半月キーを前記切欠内に挿入させて摺動軸の往復幅とともに回転を規制することを特徴とする携帯用自動果実落し機。 【請求項2】収納管の先端部には、フレ止め用キャップを取り付けることを特徴とする請求項1に記載の携帯用自動果実落し機。」と訂正する。 (2)訂正の目的の適否、拡張・変更の存否 上記(1)の訂正については、訂正前の実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし4を削除し、請求項5と請求項1?3を結合して、独立項である新たな請求項1とし、請求項6を新たな請求項1の従属項である新たな請求項2とするものであるから、(1)の訂正は実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、上記(1)の訂正は、願書に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内においてするものであって新規事項を追加するものでなく、かつ、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)独立要件 (訂正明細書の考案) 訂正明細書の請求項1ないし2に係る考案(以下、「訂正明細書の考案」という)は、訂正明細書における実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項((1)訂正の内容の項参照。)により特定されるとおりのものである。 (引用刊行物記載の考案) 当審において通知した取消理由書で引用した刊行物1(米国特許第3174269号明細書(甲第1号証))には、「それぞれのU形部材13は、湾曲部材13aにより接続される一対の間隔を有して立設する立設部材13bを含む。」(第4欄第54?55行)、「サクランボを木から採るために本装置10を使用する時には、作業者は一方の手で前記エンジングリップ31を握り、他方の手で前記長手方向ハンドルバー33を握る。前記エンジンが作動すると、前記出力軸16が回転して前記プーリー17を駆動し、プーリー17はプーリー22を駆動する。前記円板24及び前記偏心ピン25が回転して、前記長杆12に往復動を与える。該長杆は、前記杆案内筒29内で動いて、作業者に過大な負担をかけることなく、加振作用を改善せしめつつ、前後への直線往復運動を行う。 第1図に示す如く、木の枝が、前記U形部材13の指部間に位置せしめられ、前記長杆の往復運動が前記枝に伝達される。これにより、前記枝が振動して、サクランボが木から落下する。」(第5欄第29?43行)、第1、2図の記載からみて、 「エンジンと、エンジンの回転運動を往復運動に変換する円板24・偏心ピン25と、前記円板24・偏心ピン25に連結される長杆12・杆案内筒29と、前記長杆12・杆案内筒29の先端部に取り付けられるU形部材13とからなり、前記長杆12・杆案内筒29は円板24・偏心ピン25に連結されU形部材13を往復運動させる長杆12とこの長杆12を収納する杆案内筒29とからなり、前記U形部材13は立設部材13bを設けた湾曲部材13aからなる自動果実収穫機」が記載されている。 刊行物2(特開昭62-158425号公報(甲第2号証))には、「回転シャフト(2)について述べると、該回転シャフト(2)は二つに分割され、?スプライン構造となっている。また、操作桿(1)((1)は(3)の誤記と認める。)は二つに分割され、?連結部を袋ナット(4)で締付け固定できる構成となっている」(第2頁右上欄第3?11行)、「つぎに、先端の枝掛具(13)を所要の枝(a)に掛けて原動機(1)により回転シャフト(2)を回転させれば、傘歯車(8)を介して傘歯車(10)が回転させられ、クランク(12)により枝掛具(13)が往復動させられ、枝(a)が前後に振られ、果実がふり落とされる。なお、枝掛具(13)の内部にはゴム等の緩衝材(17)を設けると枝を損傷させることが全くないものである。」(第2頁右下欄第5?12行)、第1、2、4図の記載からみて、 「原動機の運動を伝達する回転シャフト(2)と、回転シャフト(2)を収納する操作桿(3)は、分割してなる回転シャフト(2)と操作桿(3)を連結して組み立て、往復動する枝掛具(13)内部にゴム等の緩衝材(17)を被覆した果実収穫機」が記載されている。 (対比・判断) 訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、「本件請求項1に係る考案」という。)と刊行物1ないし2に記載された考案とを対比すると、刊行物1ないし2のいずれにも、本件請求項1に係る考案を特定するための事項である、「前記摺動軸には切欠を設け、収納管に取り付けた固定ネジの先端部に固定した半月キーを前記切欠内に挿入させて摺動軸の往復幅とともに回転を規制する」事項が記載されていない。そして、当該事項により、本件請求項1に係る考案は、「切欠49の水平面49aと半月キー52の水平面52aとを相対させることによって、オスネジ47が緩んだ場合にも摺動軸45の回転を防止し、フック部7の方向を常に一定に保つことができる」(【0012】)という特許明細書記載の顕著な効果を奏するものであり、本件請求項1に係る考案は、刊行物1ないし刊行物2に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案できたものではない。 訂正明細書の請求項2に係る考案は、本件請求項1に係る考案を更に限定したものであるから、上記請求項1に係る考案についての判断と同様の理由により上記甲号各証に記載の考案から当業者がきわめて容易に推考しうるものではない。したがって、訂正明細書の請求項1ないし2に係る考案は実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。 (4)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、平成11年法律第41号附則第15条の規定による改正後の平成6年法律第116号附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.実用新案登録異議の申立てについて (1)本件考案 本件請求項1ないし2に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし2に記載された事項(2.(1)訂正の内容の項参照。)により特定されるとおりのものである。 (2)申立ての理由の概要 申立人は、本件考案についての実用新案登録に対して、証拠として甲第1号証(米国特許第3174269号明細書)、甲第2号証(特開昭62-158425号公報)、甲第3号証(特開平3-190686号公報)を提出し、訂正前の本件請求項1?4、6に係る考案の実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、本件考案についての実用新案登録を取り消すべき旨主張している。 甲第1号証、甲第2号証には、2.(3)独立要件(引用刊行物記載の考案)の項に記載されたとおりの考案が記載されている。 甲第3号証には、「コンプレッションクランプ54は、・・・管25,26の伸長を相互に関して可能にする。」(第4頁右下欄第4?9行)の記載が記載されている。 (3)判断 本件請求項1は、異議申立てのされていない訂正前の請求項5に対応し、さらに減縮されたものであるので、本件請求項1に係る考案に対しては異議申立てがなかったものと認める。以下、訂正前の請求項6に対応する請求項2に係る考案について判断する。 申立人の提出した甲第1号証ないし甲第3号証には、いずれも本件請求項2が従属する請求項1に記載された「前記摺動軸には切欠を設け、収納管に取り付けた固定ネジの先端部に固定した半月キーを前記切欠内に挿入させて摺動軸の往復幅とともに回転を規制する」事項が記載されていない。そして、当該事項により、本件請求項2に係る考案は、「切欠49の水平面49aと半月キー52の水平面52aとを相対させることによって、オスネジ47が緩んだ場合にも摺動軸45の回転を防止し、フック部7の方向を常に一定に保つことができる」という特許明細書記載の顕著な効果を奏するものであり、本件請求項2に係る考案は、刊行物1ないし刊行物2に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案できたものではない。 4.むすび 以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項2に係る考案の実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項2に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 したがって、本件考案についての実用新案登録は拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものと認めない。 よって、平成6年法律第116号附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により上記のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 携帯用自動果実落し機 (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 エンジンと、エンジンの回転運動を往復運動に変換する変換機構と、前記変換機構に連結される操作杆と、前記操作杆の先端部に取り付けられるフック部とからなり、前記操作杆は変換機構に連結されフック部を往復運動させる駆動軸とこの駆動軸を収納する収納管とからなり、前記駆動軸と収納管は分割してなる連結軸と連結管を連結して組み立てられており、前記フック部は係止杆を平行に設けたコ字状枠体に取付軸を固着してなるとともに、摺動軸を介して駆動軸に連結してなり、前記摺動軸には切欠を設け、収納管に取り付けた固定ネジの先端部に固定した半月キーを前記切欠内に挿入させて摺動軸の往復幅とともに回転を規制することを特徴とする携帯用自動果実落し機。 【請求項2】 収納管の先端部には、フレ止め用キャップを取り付けることを特徴とする請求項1に記載の携帯用自動果実落し機。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 この考案は、梅、栗、くるみ等の果実を落として収穫する際に使用する携帯用自動果実落し機に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 梅、栗、くるみ等の果実を収穫するときは1個ずつもぎ取るのではなく、幹や枝を揺すって落下させるか、あるいは枝を棒やさおで叩いて落下させている。このように、従来、果実は人力によって落下させて収穫しており、機械(装置)を使用して収穫する方法は行なわれていない。 【0003】 【考案が解決しようとする課題】 幹や枝を揺するには、木に登って揺するか、枝を持って揺すらなければならないが枝が折れて落ちる危険があり、また、落下する果実が身体に当たる危険がある。また、棒やさおで叩いて落下させる場合は、枝や果実を損傷させるおそれがある。さらに、人力による場合には、枝の高さや大きさによって完全に落下させることができないばかりでなく、長時間がかかり非能率的であった。 【0004】 この考案はかかる現況に鑑みてなされたもので、枝を振動させて果実を自動的に落下させ、安全にしかも能率的に収穫することができる携帯用自動果実落し機を提供しようとするものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】 この考案は上記目的を達成するため次のような構成とした。即ち、エンジンと、エンジンの回転運動を往復運動に変換する変換機構と、前記変換機構に連結される操作杆と、前記操作杆の先端部に取り付けられるフック部とからなり、前記操作杆は変換機構に連結されフック部を往復運動させる駆動軸とこの駆動軸を収納する収納管とからなり、前記駆動軸と収納管は分割してなる連結軸と連結管を連結して組み立てられ、前記フック部は係止杆を平行に設けたコ字状枠体に取付軸を固着してなるとともに、摺動軸を介して駆動軸に連結してなり、前記摺動軸には切欠を設け、収納管に取り付けた固定ネジの先端部に固定した半月キーを前記切欠内に挿入させて摺動軸の往復幅とともに回転を規制することを特徴とする。収納管の先端部には、フレ止め用キャップを取り付けることができる。 【0006】 【考案の作用】 変換機構によって変換された往復運動は、駆動軸を介してフック部を往復運動させる。フック部が往復運動することによって平行な係止杆内に挿入された枝は上下に揺すられることになる。操作杆を連結可能とすることによって枝の高さに対応することができ、作業を能率的に行うことができる。 フック部を弾性体で被覆することによって枝の損傷を防止する。 【0007】 【実施例】 以下に、この考案を実施例に基づき詳細に説明する。図1はこの考案に係る携帯用自動果実落し機の説明用斜視図、図2はエンジンの回転運動を往復運動に変換する変換機構の説明用概略斜視図、図3及び図4は操作杆の連結部分の組立前の斜視図及び断面図、図5はフック部の連結構造を示す一部断面図である。図中において、1はエンジン、3は変換機構、5は操作杆、7はフック部である。エンジン1の回転運動は変換機構3によって往復運動に変換され、操作杆5を介してフック部7を往復振動させるように構成されている。エンジン1は従来草刈機等に利用されている小型のエンジンであって加速レバー9を有し、前記加速レバー9は操作杆5に取り付けられている。エンジン1の回転運動は変換機構3によって往復運動に変換される。 【0008】 変換機構3はエンジン1の回転軸に取り付けられた歯車10とウォーム11とクランク歯車13とからなり、歯車10の回転がウォーム11を介してクランク歯車13を回転させるように構成されている。クランク歯車13に取り付けられた連接杆15が操作杆5の駆動軸17に連結されている。従って、エンジン1が作動して歯車10が回転すると、ウォーム11を介してクランク歯車13が回転し、連接杆15によって駆動軸17が往復運動することになる。また、歯車10とクランク歯車13の大きさを変えることによって減速させることができる。 【0009】 次に、操作杆5の構成について説明する。操作杆5は往復運動する駆動軸17とこの駆動軸17を収納する収納管19とからなる。前記駆動軸17及び収納管19は、それぞれ連結軸17a?17c及び連結管19a?19cに分割形成したものを連結して組み立てられている。図3及び図4は連結部分の構造を示すものである。連結軸17aは下端を連接杆15に連結し、上部にはメスネジ20が刻設されている。また、前記連結軸17b、17cの下部にはオスネジ21が、上部にはメスネジ20が刻設されており、それぞれメスネジ20にオスネジ21を螺合させて駆動軸17を構成する。 【0010】 一方、連結管19aの上部には挿入を容易にするためにスリット23が設けられており、連結管19b、19cの下部は細く縮経して挿入部25とされている。そして、連結管19aの上部と前記挿入部25の先端部には固定用ピン27を挿入する透孔29、30が設けられている。連結管19aにはバンド31が装着されており、連結管19bまたは連結管19cの挿入部25を挿入した後、バンド31をボルト33及びナット35によって締め付けて固定する。中間部の連結管19bの上部にもスリット23、透孔29が形成されており、バンド31が装着されている。操作杆5は上記構成とされていることから、中間部の駆動軸17b及び収納管19bの本数を必要に応じて省略し、あるいは増やすことによって長さの調節をすることができる。尚、図1において、37はグリップ、39は補助グリップである。 【0011】 フック部7は、図1及び図5に示すように、平行な係止杆40、41の端部を連結して略コ字状枠体43に取付軸44を固着してなり、実施例では略F字状をなしている。前記取付軸44は摺動軸45を介して駆動軸17cに連結されている。摺動軸45は下端部に刻設したオスネジ47が駆動軸17cのメスネジ20に螺合することによって連結されている。さらに、摺動軸45には切欠49が形成されており、前記切欠49に収納管19cに取り付けた固定ネジ50先端部に固定した半月キー52が挿入されている。前記切欠49は駆動軸17の往復寸法よりもわずかに長く形成されており、変換機構3に異常が生じた場合にフック部7の振動幅を規制するものである。 【0012】 さらに、摺動軸45の切欠49と半月キー52との関係を説明すると、図6及び図7に示すように、丸棒からなる摺動軸45の切欠49は水平面49aをなしており、半月キー52の水平面52aと相対している。前記半月キー52は丸棒を2つ割りした形状であり、円弧面に固定ネジ50が螺合して取り付けられている。このように、切欠49の水平面49aと半月キー52の水平面52aとを相対させることによって、オスネジ47が緩んだ場合にも摺動軸45の回転を防止し、フック部7の方向を常に一定に保つことができる。また、固定ネジ50を2つ設けることによって振動による固定ネジ50の緩みを防止することができる。 【0011】 前記、収納管19cの先端面には、往復運動(振動)をスムーズに行わせるためにフレ止め用キャップ51が取り付けられている。前記フレ止め用キャップ51は収納管19cの先端部に嵌着され、ビス53によって固定されており、摺動軸45が透孔54に挿通されている。図8はフック部7の他の実施例を示すもので、コ字状枠体43の中央部に取付軸44を固着してなる。この実施例の場合には、取付軸44からの係止杆の突出が少ないから枝に容易に係止させることができる。尚、フック部7は枝の上下に係止する係止杆を有するものであれば実施例に限定されるものではない。また、フック部7には枝の損傷を防止するために、スポンジ、ゴム等の弾性体で被覆することが好ましい。また、連結杆15の連結構造については実施例に限定されるものではない。さらに、上記実施例におけるフック部7及び取付軸44に代えて鋸を摺動軸45に連結し、連結管19cに枝を掛けるためのフックを取り付けることにより、自動枝打機として使用することが可能である。この場合、鋸の歯は押したときに枝を切断するように押す方向に歯先が向いているのが好ましい。 【0014】 次に、上記構成の携帯用自動果実落し機の使用方法について説明すると、操作杆5を組み立て、フック部7を連結した後、係止杆41、43の間に枝を挿入して枝に掛ける。作業者は枝から外れない程度に押し付けてエンジン1を作動させる。エンジン1が作動するとエンジンの回転運動は変換機構3によって往復運動に変換されるから、フック部7は往復運動によって枝を振動させる。枝の振動によって果実は自動的に落下する。枝の大きさや果実の種類に応じて加速レバー9を操作し、振動の速さを調節すれはよい。このように振動の調節によって、例えば実った栗だけを落とすことができる。さらに、振動の調節とともに、係止杆40、41の間隔の異なるフック部に取り換えることによって、枝の大きさや果実の種類に対応させ、能率よく落とすことができる。 【0015】 【考案の効果】 上記説明から明らかなように、この考案によれば任意の枝を振動させることによって自動的に果実を落下させて収穫することができる。作業者は収穫作業を安全に、しかも能率よくに行うことができ、枝を損傷させることがない。 【図面の簡単な説明】 【図1】 この考案に係る携帯用自動果実落し機の説明用斜視図である。 【図2】 エンジンの回転を往復運動に変換する変換機構の説明用概略斜視図である。 【図3】 操作杆の連結部分の組立前の斜視図である。 【図4】 操作杆の連結部分の組立前の断面図である。 【図5】 フック部の連結構造を示す一部断面図である。 【図6】 摺動軸の切欠と半月キーとの関係を示す斜視図である。 【図7】 同じく摺動軸の切欠に半月キーが挿入された状態の断面図である。 【図8】 フック部の他の実施例を示す斜視図である。 【符号の説明】 1 エンジン 3 変換機構 5 操作杆 7 フック部 9 加速レバー 17 駆動軸 19 収納管 20 メスネジ 21 オスネジ 23 スリット 25 挿入部 27 固定ピン 29 透孔 30 透孔 31 バンド 40 軸 41 係止杆 43 係止杆 45 摺動軸 49 切欠 50 固定ネジ 51 キャップ 52 半月キー |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 特許明細書の実用新案登録請求の範囲の記載 「【実用新案登録請求の範囲】【請求項1】 エンジンと、エンジンの回転運動を往復運動に変換する変換機構と、前記変換機構に連結される操作杆と、前記操作杆の先端部に取り付けられるフック部とからなり、前記操作杆は変換機構に連結されフック部を往復運動させる駆動軸とこの駆動軸を収納する収納管とからなり、前記フック部は係止杆を平行に設けたコ字状枠体に取付軸を固着してなることを特徴とする携帯用自動果実落し機。 【請求項2】 前記駆動軸と収納管は分割してなる連結軸と連結管を連結して組み立てることを特徴とする請求項1記載の携帯用自動果実落し機。 【請求項3】 前記フック部は摺動軸を介して駆動軸に連結することを特徴とする請求項1または請求項2記載の携帯用自動果実落し機。 【請求項4】 前記フック部に弾性体を被覆したことを特徴とする請求項1または請求項3記載の携帯用自動果実落し機。 【請求項5】 前記摺動軸には切欠を設け、収納管に取り付けた固定ネジの先端部に固定した半月キーを前記切欠内に挿入させて摺動軸の往復幅とともに回転を規制することを特徴とする請求項2または請求項3記載の携帯用自動果実落し機。 【請求項6】 前記収納管の先端部には、フレ止め用キャップを取り付けることを特徴とする請求項1?請求項5のいずれか1項に記載の携帯用自動果実落し機。」を、 「【実用新案登録請求の範囲】【請求項1】エンジンと、エンジンの回転運動を往復運動に変換する変換機構と、前記変換機構に連結される操作杆と、前記操作杆の先端部に取り付けられるフック部とからなり、前記操作杆は変換機構に連結されフック部を往復運動させる駆動軸とこの駆動軸を収納する収納管とからなり、前記駆動軸と収納管は分割してなる連結軸と連結管を連結して組み立てられており、前記フック部は係止杆を平行に設けたコ字状枠体に取付軸を固着してなるとともに、摺動軸を介して駆動軸に連結してなり、前記摺動軸には切欠を設け、収納管に取り付けた固定ネジの先端部に固定した半月キーを前記切欠内に挿入させて摺動軸の往復幅とともに回転を規制することを特徴とする携帯用自動果実落し機。 【請求項2】収納管の先端部には、フレ止め用キャップを取り付けることを特徴とする請求項1に記載の携帯用自動果実落し機。」と訂正する。 |
異議決定日 | 2000-08-31 |
出願番号 | 実願平5-65925 |
審決分類 |
U
1
652・
121-
YA
(A01D)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 西田 秀彦 |
特許庁審判長 |
木原 裕 |
特許庁審判官 |
新井 重雄 鈴木 寛治 |
登録日 | 1998-12-11 |
登録番号 | 実用新案登録第2590850号(U2590850) |
権利者 |
三浦 正彦 埼玉県和光市新倉1-30-21 |
考案の名称 | 携帯用自動果実落し機 |
代理人 | 関根 光生 |
代理人 | 関根 光生 |