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審決分類 審判 全部申し立て   A01C
管理番号 1028345
異議申立番号 異議1999-74646  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-12-02 
確定日 2000-09-02 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2595969号「歩行型農作業機における昇降制御装置」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2595969号の実用新案登録を維持する。
理由 一、本件手続の経緯
本件登録第2595969号実用新案は、平成4年5月28日に出願され、平成11年3月26日にその実用新案の設定登録がなされ、その後、井関農機株式会社(以下、「申立人」という。)より実用新案登録異議の申立てがなされ、当審において取消理由を通知したところ、その指定期間内である平成12年7月17日付けで訂正請求がなされたものである。

二、訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
実用新案権者は実用新案登録明細書を次のとおりに訂正するように求めている。
・[訂正事項a]
平成10年7月14日付け手続補正書により補正された全文訂正明細書(以下、登録明細書という)の1頁3行?10行(登録公報1欄1行?11行)の実用新案登録請求の範囲の
「【請求項1】車輪を走行車体に昇降動調節可能に装着し、走行車体に基端を上下回動自在に枢支した回動レバーには、畝の上面に当接する畝高さ検出用のセンサ体を装着し、該センサ体の上下移動に応じて車輪を昇降調節制御するための油圧切換弁の制御を実行するように構成してなる歩行型農作業機において、前記回動レバーと走行車体との間に緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したことを特徴とする歩行型農作業機における昇降制御装置。」の記載を、
「【請求項1】車輪を走行車体に昇降動調節可能に装着し、走行車体に基端を上下回動自在に枢支した回動レバーには、畝の上面に当接する畝高さ検出用のセンサ体を装着し、該センサ体の上下移動に応じて車輪を昇降調節制御するための油圧切換弁の制御を実行するように構成してなる歩行型農作業機において、前記走行車体には、手動の昇降操作レバーにより前記油圧切換弁の切換操作量を走行車体の上限下限昇降位置に対応するように切り換えるための操作リンク機構を設ける一方、該操作リンク機構と前記回動レバーと間に、緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したことを特徴とする歩行型農作業機における昇降制御装置。」と訂正する。
・[訂正事項b]
登録明細書の2頁7行?15行(登録公報3欄12行?23行)の
「【0005】【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本考案の歩行型農作業機における昇降制御装置は、車輪を走行車体に昇降動調節可能に装着し、走行車体に基端を上下回動自在に枢支した回動レバーには、畝の上面に当接する畝高さ検出用のセンサ体を装着し、センサ体の上下移動に応じて車輪を昇降調節制御するための油圧切換弁の制御を実行するように構成してなる歩行型農作業機において、前記回動レバーと走行車体との間に緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したことを特徴とするものである。」の記載を、
「【0005】【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本考案の歩行型農作業機における昇降制御装置は、車輪を走行車体に昇降動調節可能に装着し、走行車体に基端を上下回動自在に枢支した回動レバーには、畝の上面に当接する畝高さ検出用のセンサ体を装着し、センサ体の上下移動に応じて車輪を昇降調節制御するための油圧切換弁の制御を実行するように構成してなる歩行型農作業機において、前記走行車体には、手動の昇降操作レバーにより前記油圧切換弁の切換操作量を走行車体の上限下限昇降位置に対応するように切り換えるための操作リンク機構を設ける一方、該操作リンク機構と前記回動レバーと間に、緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したことを特徴とするものである。」と訂正する。
・[訂正事項c]
登録明細書の7頁23行?8頁3行(登録公報7欄16行?28行)の
「【0023】【考案の作用・効果】以上詳述したように、本考案によれば、車輪を走行車体に昇降動調節可能に装着し、走行車体に基端を上下回動自在に枢支した回動レバーには、畝の上面に当接する畝高さ検出用のセンサ体を装着し、該センサ体の上下移動に応じて車輪を昇降調節制御するための油圧切換弁の制御を実行するように構成してなる歩行型農作業機において、前記回動レバーと走行車体との間に緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したもので、通常の畝上面の凹凸状態がゆるやかな時には、ばね手段はセンサ体を畝上面に沿うように押圧するので、畝高の検出を正確に行うことができる。」の記載を、
「【0023】【考案の作用・効果】以上詳述したように、本考案によれば、車輪を走行車体に昇降動調節可能に装着し、走行車体に基端を上下回動自在に枢支した回動レバーには、畝の上面に当接する畝高さ検出用のセンサ体を装着し、該センサ体の上下移動に応じて車輪を昇降調節制御するための油圧切換弁の制御を実行するように構成してなる歩行型農作業機において、前記走行車体には、手動の昇降操作レバーにより前記油圧切換弁の切換操作量を走行車体の上限下限昇降位置に対応するように切り換えるための操作リンク機構を設ける一方、該操作リンク機構と前記回動レバーと間に、緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したもので、通常の畝上面の凹凸状態がゆるやかな時には、ばね手段はセンサ体を畝上面に沿うように押圧するので、畝高の検出を正確に行うことができる。」と訂正する。
・[訂正事項d]
登録明細書の8頁4行?10行(登録公報7欄29行?8欄2行)の
「【0024】他方、畝の上面の凹凸が激しいときのように、センサ体が過大に突き上げられても、前記ばね手段が所定量だけ縮んで、そのばね手段の一端の反力にて、油圧切換弁の切換操作するので、従来のように、センサ体の上下移動量に比例する回動レバーの回動量にて油圧切換弁の切換操作を実行するのではないから、昇降制御装置における各伝動部材等に無理な力が作用せず、昇降制御装置の破損を免れ、安全となるという効果を奏する。」の記載を、
「【0024】他方、畝の上面の凹凸が激しいときのように、センサ体が過大に突き上げられても、前記ばね手段が所定量だけ縮んで、そのばね手段の一端の反力にて、前記操作リンク機構を介して油圧切換弁の切換操作するので、従来のように、センサ体の上下移動量に単に比例する回動レバーの回動量にて油圧切換弁の切換操作を実行するのではないから、昇降制御装置における各伝動部材や手動の昇降操作レバー側等に無理な力が作用せず、昇降制御装置の破損を免れ、安全となるという効果を奏する。」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aの訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、上記訂正事項b、c及びdの訂正は、考案の詳細な説明の記載を訂正後の実用新案登録請求の範囲の記載と整合させるためのものであるから、上記訂正事項b、c及びdの訂正は明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、これらの訂正は、訂正前の明細書、又は図面に記載された事項の範囲内において訂正するものであって新規事項を追加するものでなく、かつ、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張、又は変更するものではない。

3.独立実用新案登録要件の判断
(1)訂正明細書の考案
訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、「訂正考案」という。)は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのもである。
「【請求項1】車輪を走行車体に昇降動調節可能に装着し、走行車体に基端を上下回動自在に枢支した回動レバーには、畝の上面に当接する畝高さ検出用のセンサ体を装着し、該センサ体の上下移動に応じて車輪を昇降調節制御するための油圧切換弁の制御を実行するように構成してなる歩行型農作業機において、前記走行車体には、手動の昇降操作レバーにより前記油圧切換弁の切換操作量を走行車体の上限下限昇降位置に対応するように切り換えるための操作リンク機構を設ける一方、該操作リンク機構と前記回動レバーと間に、緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したことを特徴とする歩行型農作業機における昇降制御装置。」

(2)引用刊行物
・引用刊行物1:特開昭58-216609号公報[申立人提出の甲第1号証、及び、同甲第1号証についての平成1年12月16日付けの「手続補正書(特許法第17条の2第2号の規定による補正書)」を掲載した平成2年4月3日発行の「特許法第17条の2の規定による補正の掲載」公報(以下、これを「平成2年4月3日発行の補正掲載公報」と略称する。)]
・引用刊行物2:特開昭59-162808号公報(申立人提出の甲第2号証の1参照)
・引用刊行物3:特開昭62-151105号公報(同甲第2号証の2参照)
・引用刊行物4:特開昭59-173006号公報(同甲第2号証の3参照)

(3)引用刊行物に記載の考案
当審において通知した取消理由で引用した引用刊行物1には、次の事項が記載されている。
・「そして、後部に車輪(15)(15)を軸支している左右の駆動ケース(16)(16)を、ミッションケース(1)の左右に軸支されている走行駆動軸(17)(17)を中心として上下回動自在に枢支し、昇降シリンダ(18)のピストン(18a)に釣合杆(19)の中心部を枢着して、駆動ケース(16)(16)に固設している腕(20)(20)と釣合杆(19)の左右端部とをロッド(21)(21)にて連結し、畝(22)の植付面を摺接できるようにミッションケース(1)へ上下揺動可能に枢着しているセンサ(23)とミッションケース(1)に弁体を枢着している切替弁(24)のスプール(24a)とを互いに連結して、左右のハンドル(25)(25)の1方に設けている昇降操作レバー(26)とこのスプール(24a)とを操作ワイヤ(27)にて連結し、昇降操作レバー(26)を手で操作すればスプール(24a)が出入動作して昇降シリンダ(18)に図示外のポンプから圧力油が供給されてピストン(18a)が突出し、これによって駆動ケース(16)(16)の下部が下動回動し、或いは、昇降シリンダ(18)から圧力油が排出されて自重によって駆動ケース(16)(16)が上動回動して、苗移植機が上昇又は下降することになり、そして、この操作レバー(26)の操作と共にセンサ(23)が所定の位置まで回動することが許されるので、苗移植機の上記上昇又は下降動作が行われて操作ワイヤ(27)が弛みなく略緊張状態となったときに、スプール(24a)は中立位置に戻ることになって圧力油の供給、又は、排出が停止して苗移植機はそのときの高さに保持されることになる。」(甲第1号証の2頁右下欄2行?3頁左上欄8行)
・「この発明は、植付機構(47)による圃場への苗植付け位置(P1)と車輪(15)(15)の接地点(P2)とを側面視において前後方向の位置が略一致するように構成すると共に、センサ(23)の接地点(P3)は、該一致部位より僅かに前方に位置するように構成されているので、苗を植付ける位置の直前側方の圃場面をセンサ(23)が検出し、その検出によって苗を植付ける位置の近傍側方に位置する車輪(15)(15)の上下動により、苗植付け深さを常に一定に維持するように制御される。このとき、前記センサ(23)の検出する圃場面は苗の植付け位置の直前にあるため、該センサ(23)による検出にて制御部から制御信号が出力して駆動部が作動し、前記車輪(15)(15)が上下動して苗の植付け深さを調整する位置が、丁度、前記センサ(23)の検出面と略一致することになり、従って、的確なる苗植付け深さ制御が行われるのである。」(平成2年4月3日発行の補正掲載公報の1頁右下欄18行?2頁左上欄15行)
・「更に、本発明に於ては第1図に示す如く、前記植付爪(49)の下端部が接地して土付苗を植付ける位置(P1)と車輪(15)(15)の接地点(P2)とは側面視に於て前後方向の位置が略一致するように構成されている。そして、該前後方向の一致部位に対して僅かに前方に位置する部位に圃場面を検出する前記センサ(23)が設けられている。斯くして、苗を植付ける位置の直前側方の圃場面をセンサ(23)が検出し、その検出によって苗を植付ける位置の近傍側方に位置する車輪(15)(15)の上下動により、苗植付け深さを常に一定に維持するように制御される。このとき、前記センサ(23)の検出する圃場面は苗の植付け位置の直前にあるため、該センサ(23)による検出にて制御部から制御信号が出力して駆動部が作動し、前記車輪(15)(15)が上下動して苗の植付け深さを調整する位置が、丁度、前記センサ(23)の検出面と略一致することになり、従って、的確なる苗植付け深さ制御が行われるのである。」(平成2年4月3日発行の補正掲載公報の2頁左上欄20行?2頁右上欄19行)、
「苗押出装置より一株づつ苗(13)を取出して圃場に植付ける植付機構(47)と上下動自在に機体に装備された車輪(15)(15)と苗植付け位置近傍の圃場面を検出するセンサ(23)とを設けてなる苗移植機に於て、前記植付機構(47)による圃場への苗植付け位置(P1)と車輪(15)(15)の接地点(P2)とを側面視において前後方向の位置が略一致するように構成すると共に、前記センサ(23)の接地点(P3)は、前記苗植付け位置 (P1)と車輪(15)(15)の接地点(P2)との一致点より僅かに前方に位置するように構成されたことを特徴とする苗移植機。」(平成2年4月3日発行の補正掲載公報の2頁左下欄2行?12行)
上記記載から、引用刊行物1には「車輪(15)(15)をミッションケース(1)に昇降動調節可能に装着し、ミッションケース(1)に基端を上下回動自在に枢支されたセンサ(23)が畝の上面に当接して畝高さを検出し、該センサ(23)の上下移動に応じて車輪(15)(15)を昇降調節制御するための切換弁(24)の制御を実行するように構成してなる苗移植機における昇降制御装置」が記載されていると認める。

同引用刊行物2には、油圧シリンダ(11)のコントロールバルブ(30)に連結されるベルクランク(29)とセンサーフロート(14)との間に、スプリング33を介在させて、該スプリング33を介してコントロールバルブ(30)にセンサーフロート(14)からの油圧シリンダ(11)の切換操作量を伝達するようにする技術、が記載されている。

同引用刊行物3には、中央部フロート26a、26bと機体1との間に介挿されたく字型リンク29、30を介してロッド31、32が押し上げられ、緩衝用のばねと筒体31a、32aとを介して油圧切替アーム19、20が回動され、弁軸を回動して油圧切替弁16、17を油圧シリンダー装置11、12のピストンを突出する側へ切替え走行車輪9、10を下動させる技術、が記載されている。

同引用刊行物4には、走行車体昇降制御用の操作レバーであるレバー41が、レリーズワイヤ42を介して押引きリンク24に連結されて、該押引きリンク24が制御弁18のスプール19を押引き操作する一方で、自動車輪昇降制御用のセンサーとしてのセンターフロート6からの変位検出量が、コイルバネ38、バネ受部材39、第2センサーロッド37、T型リンク33、ピン26、引張バネ34を介して前記押引きリンク24に伝達され、該押引きリンク24が制御弁18のスプール19を押引き操作する構成、が記載されている。

(4)対比・判断
訂正考案と上記引用刊行物1ないし引用刊行物4に記載の考案とを個々に比較検討する。
まず、引用刊行物1には、「(3)引用刊行物に記載の考案」の欄にも前記したとおり、「そして、後部に車輪(15)(15)を軸支している左右の駆動ケース(16)(16)を、ミッションケース(1)の左右に軸支されている走行駆動軸(17)(17)を中心として上下回動自在に枢支し、昇降シリンダ(18)のピストン(18a)に釣合杆(19)の中心部を枢着して、駆動ケース(16)(16)に固設している腕(20)(20)と釣合杆(19)の左右端部とをロッド(21)(21)にて連結し、畝(22)の植付面を摺接できるようにミッションケース(1)へ上下揺動可能に枢着しているセンサ(23)とミッションケース(1)に弁体を枢着している切替弁(24)のスプール(24a)とを互いに連結して、左右のハンドル(25)(25)の1方に設けている昇降操作レバー(26)とこのスプール(24a)とを操作ワイヤ(27)にて連結し、昇降操作レバー(26)を手で操作すればスプール(24a)が出入動作して昇降シリンダ(18)に図示外のポンプから圧力油が供給されてピストン(18a)が突出し、これによって駆動ケース(16)(16)の下部が下動回動し、或いは、昇降シリンダ(18)から圧力油が排出されて自重によって駆動ケース(16)(16)が上動回動して、苗移植機が上昇又は下降することになり、そして、この操作レバー(26)の操作と共にセンサ(23)が所定の位置まで回動することが許されるので、苗移植機の上記上昇又は下降動作が行われて操作ワイヤ(27)が弛みなく略緊張状態となったときに、スプール(24a)は中立位置に戻ることになって圧力油の供給、又は、排出が停止して苗移植機はそのときの高さに保持されることになる。」が記載されていて、「昇降操作レバー26」について言及されている。
しかしながら、前記昇降操作レバー26は、操作ワイヤ27によりスプール24aに連結されていて、昇降操作レバー26の操作と共にセンサ23が所定の位置まで回動することが許され、また、苗移植機の上記上昇又は下降動作が行われて操作ワイヤ27が弛みなく略緊張状態となったときに、スプール24aが中立位置に戻ることになって圧力油の供給、又は、排出が停止して苗移植機はそのときの高さに保持されることになるものである。
そうしてみると、前記昇降操作レバー26は、油圧切換弁の切換操作量を走行車体の上限下限昇降位置に対応するように切り換えるためのものであったとしても、訂正考案のような「走行車体に設けられる操作リンク機構」を有せず、かつ、「該操作リンク機構と前記回動レバーと間に、緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成した」ものでもない。
また、引用刊行物2及び引用刊行物3には、「手動の昇降操作レバー」についての明示の記載がない。
そして、引用刊行物4には、走行車体昇降制御用の操作レバーであるレバー41が記載されている。しかしながら、前記レバー41は、レリーズワイヤ42を介して押引きリンク24に連結されて、該押引きリンク24が制御弁18のスプール19を押引き操作するものであり、引用刊行物4に記載の考案のレバー41は、走行車体に設けられる操作リンク機構を有するものであるとしても、訂正考案のような「該操作リンク機構と前記回動レバーと間に、緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成した」ものではない。
そうしてみると、引用刊行物1ないし引用刊行物4に記載の考案は、いずれも、訂正考案を特定する事項である「前記走行車体には、手動の昇降操作レバーにより前記油圧切換弁の切換操作量を走行車体の上限下限昇降位置に対応するように切り換えるための操作リンク機構を設ける一方、該操作リンク機構と前記回動レバーと間に、緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したこと」の構成を備えていない。
そして、当該構成により訂正考案は、明細書記載の効果を奏するものと認められるから、訂正考案を、上記引用刊行物1ないし引用刊行物4に記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
したがって、訂正考案は実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第9条第2項の規定において準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

三、実用新案登録異議の申立てについて
1.実用新案登録異議申立理由の概要
申立人は、下記の証拠方法を提出し、請求項1に係る考案は、甲第1号証、甲第2号証の1、甲第2号証の2、甲第2号証の3に記載された考案に基づいてきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものであるから、本件実用新案登録は取り消されるべきであると主張している。

・甲第1号証:特開昭58-216609号公報(上記二、3.「(2)引用刊行物」の欄の引用刊行物1参照)
・甲第2号証の1:特開昭59-162808号公報(同引用刊行物2参照)
・甲第2号証の2:特開昭62-151105号公報(同引用刊行物3参照)
・甲第2号証の3:特開昭59-173006号公報(同引用刊行物4参照)
・参考資料1:特開平2-9307号公報
・参考資料2:特開平4-148609号公報

2.当審の判断
(1)本件考案
本件考案は、上記二、3.「(1)訂正明細書の考案」の欄に記載したとおりの次のものである。
「【請求項1】車輪を走行車体に昇降動調節可能に装着し、走行車体に基端を上下回動自在に枢支した回動レバーには、畝の上面に当接する畝高さ検出用のセンサ体を装着し、該センサ体の上下移動に応じて車輪を昇降調節制御するための油圧切換弁の制御を実行するように構成してなる歩行型農作業機において、前記走行車体には、手動の昇降操作レバーにより前記油圧切換弁の切換操作量を走行車体の上限下限昇降位置に対応するように切り換えるための操作リンク機構を設ける一方、該操作リンク機構と前記回動レバーと間に、緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したことを特徴とする歩行型農作業機における昇降制御装置。」(以下、「本件考案」という。)

(2)各甲号証に記載の考案
これに対して、甲第1号証、甲第2号証の1、甲第2号証の2、甲第2号証の3には、上記二、3.「(3)引用刊行物に記載の考案」の欄に記載した引用刊行物1ないし引用刊行物4記載の考案がそれぞれ記載されている。
また、参考資料1には感知レバー26に別体の感知ローラ27が装着されている構成が記載され、そして参考資料2には検出ロッド69に別体の検出体70が装着されている構成が記載されている。

(3)対比・判断
しかしながら、上記甲第1号証、甲第2号証の1、甲第2号証の2、甲第2号証の3、或いは、参考資料1及び参考資料2のいずれにも、本件考案の「前記走行車体には、手動の昇降操作レバーにより前記油圧切換弁の切換操作量を走行車体の上限下限昇降位置に対応するように切り換えるための操作リンク機構を設ける一方、該操作リンク機構と前記回動レバーと間に、緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したこと」の構成が記載されてなく、また示唆されてもいない。
したがって、本件考案は、上記二、3.「(4)対比・判断」の欄に記載した理由により、本件考案が甲第1号証ないし甲第4号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることができない。

3.むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠方法によっては、本件考案についての実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件考案についての実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件考案についての実用新案登録は拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
歩行型農作業機における昇降制御装置
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 車輪を走行車体に昇降動調節可能に装着し、走行車体に基端を上下回動自在に枢支した回動レバーには、畝の上面に当接する畝高さ検出用のセンサ体を装着し、該センサ体の上下移動に応じて車輪を昇降調節制御するための油圧切換弁の制御を実行するように構成してなる歩行型農作業機において、前記走行車体には、手動の昇降操作レバーにより前記油圧切換弁の切換操作量を走行車体の上限下限昇降位置に対応するように切り換えるための操作リンク機構を設ける一方、該操作リンク機構と前記回動レバーと間に、緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したことを特徴とする歩行型農作業機における昇降制御装置。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、畝に跨いで走行しながら苗を移植する等のための歩行型農作業機における昇降制御装置の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術と考案が解決しようとする課題】
この種の歩行型農作業機において、圃場の走行面と畝の高さとの上下変動に拘らず、畝上面への苗植付け深さを略一定に調節することが必要である。そのため、従来から走行車体に対して昇降動する畝高さセンサ体を設けるようにしている。 そして、特開昭57-99114号公報等に開示されているように、畝高さセンサ体を上下回動可能な回動レバーに装着し、該回動レバーと走行車体との間に畝上面に向かって押圧付勢するためのバネを設ける一方、前記回動レバーの基端側を油圧切換弁の操作部に連結し、畝高さセンサ体の上下移動量に比例して回動する回動レバーの回動量を油圧切換弁の操作部に伝達することで、油圧切換弁を昇降切換するように構成している。
【0003】
通常油圧切換弁は、その中立位置に対して所定の不感帯を介して昇降の切換位置を有することは周知である。しかしながら、畝高さの変動が大きい場合に、例えば、畝上面の凹凸が激しいとき、前記ばねにの押圧力により、畝高さセンサ体ひいては前記回動レバーがジャンピングしないようにしているけれども、当該回動レバーの回動変動量も大きくなり、油圧切換弁の操作部に無理な力が作用し易くなり、破損するおそれがあるという問題があった。
【0004】
本考案は、この問題を解決することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本考案の歩行型農作業機における昇降制御装置は、車輪を走行車体に昇降動調節可能に装着し、走行車体に基端を上下回動自在に枢支した回動レバーには、畝の上面に当接する畝高さ検出用のセンサ体を装着し、該センサ体の上下移動に応じて車輪を昇降調節制御するための油圧切換弁の制御を実行するように構成してなる歩行型農作業機において、前記走行車体には、手動の昇降操作レバーにより前記油圧切換弁の切換操作量を走行車体の上限下限昇降位置に対応するように切り換えるための操作リンク機構を設ける一方、該操作リンク機構と前記回動レバーと間に、緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したことを特徴とするものである。
【0006】
【実施例】
次に本考案を具体化した苗移植機の実施例について説明する。図1は苗移植機の側面図、図2は平面図、図3は背面図である。移植機の走行車体1の前部にエンジン2と油圧制御用の切換弁ユニット3とを搭載し、走行車体1の前後略中途部にミッションケース4を固定する。走行車体1の左右両側に配置する前車輪5,5と後車輪6,6は後述する昇降機構7を介して走行車体1に装着されている。
【0007】
走行車体1の上部側には、後方に突出された平面視コ字型のハンドル8との間にロータリポット9を配置し、該ロータリポット9の下方には、畝Aの上面との間を植付リンク10を介して略楕円軌跡を描いて昇降する移植開孔器11を設け、植付け伝動ケース12にて植付リンク10を昇降させ、ロータリポット9を水平回転させ、且つ移植開孔器11を開閉させるように構成する。鎮圧輪13は苗ポットNを移植した後の畝Aを整形するためのものである。
【0008】
なお、移植開孔器11はロータリポット9の後端のポット位置から落下供給された苗ポットNを受ける筒体と、畝Aの上面に突き刺さるとき移植孔を開成すると共にその直後のタイミングで進行方向前後に開いて苗ポットNを移植孔に落下させる分割バケットとにより構成されている。
次に昇降機構7について説明する。この昇降機構7は左右両側の車輪5,6が一斉に昇降動して、走行車体1が畝Aに対して下降または上昇する機構と、左右の車輪のうち片方の車輪が上昇するとき他方の車輪が下降することにより走行車体1が進行方向の左または右に傾く、いわゆるローリングする機構とを備える。
【0009】
前記ミッションケース4から左右両側に突出する駆動軸14の両端に伝動機構を内蔵したスイングケース15a,15bを回動可能に装着し、この各スイングケース15a,15bの先端に後車輪6を設けて回転駆動する。各スイングケース15a,15bから前に延びる連結杆16の前端に前車輪5を装着する一方、連結杆16を、走行車体1のパイプ状の前部フレーム17に上下回動可能に枢着した前支持パイプ18に連結して枠状構造に補強する。
【0010】
走行車体1の前部下面には、昇降用油圧シリンダ19の後端を固定して設け、該昇降用油圧シリンダ19から前方向に延びるピストンロッド20に昇降パイプ21の左右中途部を連結し、走行車体の前部に前方に開放した案内溝22に沿って前後動するように構成し、昇降パイプ21に対して回動可能に嵌挿したローリング軸23の左右両端部にはブラケット24,25を互いに上下逆向きに固着し、各ブラケット24,25に昇降リンク機構26a,26bを介して前記各スイングケース15a,15bに連結する。これにより、昇降用油圧シリンダ19におけるピストンロッド20が前方向に突出すると、昇降パイプ21を介してローリング軸23を前移動させるから、左右両側昇降リンク機構26a,26bを一斉に引き、これを介して左右両側のスイングケース15a,15bの自由端側が下向き回動し、左右両車輪5,5,6,6は一斉に下降動して走行車体1が畝Aから上向きに離れるように上昇する。反対にピストンロッド20を後退させると、左右両車輪5,5,6,6は一斉に上昇回動して走行車体1が畝Aの上面に近づくように下降動する。
【0011】
この昇降の構成により、畝Aに対する苗ポットNの移植深さを調節することができるし、高さが違う種々の畝Aに対して苗を移植することもできる。
また、ローリングの機構は次のようになっている。即ち、前記昇降パイプ21と一体的に前後動する支持台27に、基端を回動可能に装着したローリング用油圧シリンダ28のピストンロッド29を前記ローリング軸23の一側寄り部位に取付くブラケット30に連結し、ピストンロッド29を突出させると、ローリング軸23は図4において反時計回りに回動し、これにより、左側の車輪5,6に対するブラケット24を上向き回動させ、左側の昇降リンク機構26aを後向きに押し、これを介してスイングケース15aはその自由端側が上向き回動して、左側の車輪5,6が走行車体17対して上昇する。このとき、反対に右側の車輪5,6に対するブラケット25を下向き回動させ、右側の昇降リンク機構26bを前方に引き、これを介してスイングケース15bはその自由端側が下向き回動して、右側の車輪5,6が走行車体17対して下降するというように、走行車体1はその左側が下向きとなるようにローリングする。
【0012】
畝Aの長手方向が山の斜面に沿って形成されている箇所に沿って、走行車体1を走行させる場合、前記ローリングの機構にて、山側寄りの車輪の走行車体に対する高さを低く、谷側寄りの車輪の走行車体に対する高さを高くして走行車体の左右が略水平となるように姿勢制御し、畝Aの上面に苗ポットNを略垂直に移植できるようにする。
【0013】
図1及び図5は、前記昇降機構7にて苗ポットNの移植深さを略一定状態に調節するに際して、走行車体1の下面と畝A上面との高さ寸法を検出して、昇降制御するための昇降制御装置33を示す。該昇降制御装置33は、走行車体1に基端を上下回動自在に枢支した回動レバー34と、該回動レバー34の自由端に回転自在に取付くローラ状のセンサ体35と、回動レバー34の長手中途部と走行車体1との間に介挿する緩衝用のばね手段36と、該ばね手段36を介して前記切換弁ユニット3における昇降用の油圧シリンダ19に対する油圧の切換えロッド37を回動させるための操作リンク機構38とを主な構成要素とする。
【0014】
操作リンク機構38は、先端を前記切換えロッド37に回動可能に連結した前後長手の連結ロッド39と、該連結ロッド39の後端に取付き、走行車体1の適宜箇所に突設した支軸41回りに回動可能に枢着されたベルクランクレバー40と、該ベルクランクレバー40をハンドル8の側方等に配置した昇降操作レバー42に連結する上下長手の連結杆43とからなり、昇降操作レバー42を図5の前方向(矢印B方向)に回動すると、走行車体1は最大限下げ位置となり、図5の後方(矢印C方向)に回動すると、走行車体1は最大限の上げ位置となる。
【0015】
また、前記回動レバー34に回動自在に枢支された連結ブラケット44に上下長手の昇降杆45の下端を回動のみ可能に取付けして立設し、前記ベルクランクレバー40の側面に回動可能に枢支された丸軸状の上支持体46の通し孔47に、昇降杆45の上部を上下摺動自在に嵌挿する。また、前記ベルクランクレバー40には、支軸41に遊嵌して上支持体46を下向き方向に付勢する捩じりコイルばね60を設ける。
【0016】
そして、前記昇降杆45には、側面視コ字型の規制体48の上端片48aを摺動可能に被嵌し、上端片48aを前記上支持体46の上側に配置する一方、下端片48bのめねじ部及び調節用ナット49を昇降杆45に形成したねじ部に螺合させる。そして、前記昇降杆45に遊嵌するコイルバネ50を前記規制体48の下端片48bと上支持体46の下面との間に介挿する。
【0017】
そして、前記昇降杆45を回動して、図5に示す箇所のLの寸法を短くなるように調節すれば、苗植付け深さを深くし、前記Lの寸法を長くなるように調節すると、苗植付け深さを浅くするように予め微調節することができる。
また、前記昇降杆45の下端を連結ブラケット44に固着立設する一方、昇降杆45が挿通する規制体48の下端片48bに対して調節用ナット49を回転可能に当接させ、調節用ナット49を昇降杆45のねじ部に対して回動調節することにより前記Lの寸法を長短調節するように構成しても良い。
【0018】
このような構成によれば、前述のように予め苗植付け深さを調節し、畝Aの左右両側を車輪5,6で跨いだ状態で走行車体1を畝Aに沿って進行させつつ、ロータリポット9の箇所に苗ポットNを供給しておけば、ロータリポット9を水平回転させ、所定の時間間隔でロータリポット9の一箇所(進行方向後端)のポット部の下蓋が開き、上昇した位置の移植開孔器11で苗ポットNを受け、植付けリンク10を下降させ、移植開孔器11を開いて畝Aの上面に苗ポットNを移植する。
【0019】
前記走行車体1が前進するとき、前記捩じりコイルばね60にて押圧されつつ前記センサ体35が畝Aの上面を転がり前進する。そして、緩やかに畝Aの高さ(H1)が高くなると、回動レバー34を介してセンサ体35が上昇し、昇降杆45は突き上げられ、それにつれてコイルバネ50を圧縮する。このときのコイルバネ50の反力にてベルクランクレバー40を回動させ、その動きを連結ロッド39を介して切換えロッド37を回動させるように伝達し、切換弁ユニット3の油圧の送り方向の切換えにて左右両側の前後車輪5,6が一斉に下降し、走行車体1と畝A上面との上下間隔が所定の高さ寸法になれば、切換弁を中立に戻しその高さ位置を保持するように制御する。反対に、畝高さH1が低くなれば、左右両側の前後車輪5,6が一斉に上昇して走行車体1を畝Aに近づけ、所定高さに保持できるように制御するのである。
【0020】
畝Aの上面の凹凸が激しい場合には、走行車体1の前進中に、センサ体35が激しく突き上げられるが、本考案のばね手段36によれば、センサ体35の激しい突き上げに応じて昇降杆45が上支持体46の通し孔47から上向きに出るように移動するが、バネ50が弾性歪みにて長さが縮まるから、ベルクランクレバー40を大きく回動させることがなく、切換弁ユニット3に無理な力を与えるようなことが無くなる。
【0021】
従って、センサ体35が過大に突き上げられても、昇降制御装置33における各伝動部材や切換弁ユニット3に無理な力が作用せず、昇降制御装置33の破損を免れ、安全となる。なお、図1及び図8に示すように、走行車体1の左右両側には前記苗ポットNを多数個載置しておくための標準苗台51,51を左右両側の支持アーム52,52に取付け、さらに予備苗台53を着脱自在に装着するため、前記支持アーム52に予備苗台アーム54を着脱自在に装着し、且つこの予備苗台アーム54に予備苗台支持杆55を左右回動可能、且つ着脱自在に装着する。また、支持アーム52はシャーシに連結する支持パイプ56に支持されており、予備苗台アーム54はシャーシ側から沿設された補強パイプ57に連結されている。符号61はロータリポット9の前方に上向きに突設した変速レバーで、該変速レバー61一本の回動操作で、走行速度変速と、苗ポットNの植付け株間隔変更設定とを実行することができる。即ち、図2の平面視「巾」の文字状の案内溝のうち、左右中央前側(走行車体の前側寄り)に倒すと、後進位置、左右中央の中程位置は中立位置、左右中央の後側は1速、最後位置は2速位置、右側は株間隔が狭い範囲の設定、左側は株間隔が広い範囲の設定となる。
【0022】
本考案におけるセンサ体35はローラ状であっても良いし、橇状であっても良い。また、本考案は苗移植機ばかりでなく、管理機にも適用できる。
【0023】
【考案の作用・効果】
以上詳述したように、本考案によれば、車輪を走行車体に昇降動調節可能に装着し、走行車体に基端を上下回動自在に枢支した回動レバーには、畝の上面に当接する畝高さ検出用のセンサ体を装着し、該センサ体の上下移動に応じて車輪を昇降調節制御するための油圧切換弁の制御を実行するように構成してなる歩行型農作業機において、前記走行車体には、手動の昇降操作レバーにより前記油圧切換弁の切換操作量を走行車体の上限下限昇降位置に対応するように切り換えるための操作リンク機構を設ける一方、該操作リンク機構と前記回動レバーと間に、緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したもので、通常の畝上面の凹凸状態がゆるやかな時には、ばね手段はセンサ体を畝上面に沿うように押圧するので、畝高の検出を正確に行うことができる。
【0024】
他方、畝の上面の凹凸が激しいときのように、センサ体が過大に突き上げられても、前記ばね手段が所定量だけ縮んで、そのばね手段の一端の反力にて、前記操作リンク機構を介して油圧切換弁の切換操作するので、従来のように、センサ体の上下移動量に単に比例する回動レバーの回動量にて油圧切換弁の切換操作を実行するのではないから、昇降制御装置における各伝動部材や手動の昇降操作レバー側等に無理な力が作用せず、昇降制御装置の破損を免れ、安全となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
移植機の側面図である。
【図2】
移植機の平面図である。
【図3】
移植機の背面図である。
【図4】
昇降機構の機構説明図である。
【図5】
昇降制御装置の側面図である。
【図6】
ばね手段の要部側面図である。
【図7】
図6のVII-VII矢視図である。
【図8】
予備苗台の斜視図である。
【符号の説明】
1 走行車体
3 切換弁ユニット
5,5 前車輪
6,6 後車輪
7 昇降機構
15a,15b スイングケース
19 昇降用油圧シリンダ
26a,26b 昇降リンク機構
33 昇降制御装置
34 回動レバー
35 センサ体
36 ばね手段
39 連結ロッド
40 ベルクランクレバー
42 昇降操作レバー
43 連結杆
44 連結ブラケット
45 昇降杆
46 上支持体
47 通し孔
48 規制体
49 調節用ナット
50 コイルバネ
訂正の要旨 訂正の要旨
・[訂正事項a]
登録明細書の1頁3行?10行(登録公報1欄1行?11行)の実用新案登録請求の範囲の
「【請求項1】車輪を走行車体に昇降動調節可能に装着し、走行車体に基端を上下回動自在に枢支した回動レバーには、畝の上面に当接する畝高さ検出用のセンサ体を装着し、該センサ体の上下移動に応じて車輪を昇降調節制御するための油圧切換弁の制御を実行するように構成してなる歩行型農作業機において、前記回動レバーと走行車体との間に緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したことを特徴とする歩行型農作業機における昇降制御装置。」
の記載を、
実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項1】車輪を走行車体に昇降動調節可能に装着し、走行車体に基端を上下回動自在に枢支した回動レバーには、畝の上面に当接する畝高さ検出用のセンサ体を装着し、該センサ体の上下移動に応じて車輪を昇降調節制御するための油圧切換弁の制御を実行するように構成してなる歩行型農作業機において、前記走行車体には、手動の昇降操作レバーにより前記油圧切換弁の切換操作量を走行車体の上限下限昇降位置に対応するように切り換えるための操作リンク機構を設ける一方、該操作リンク機構と前記回動レバーと間に、緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したことを特徴とする歩行型農作業機における昇降制御装置。」
と訂正する。
・[訂正事項b]
登録明細書の2頁7行?15行(登録公報3欄12行?23行)の
「【0005】【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本考案の歩行型農作業機における昇降制御装置は、車輪を走行車体に昇降動調節可能に装着し、走行車体に基端を上下回動自在に枢支した回動レバーには、畝の上面に当接する畝高さ検出用のセンサ体を装着し、センサ体の上下移動に応じて車輪を昇降調節制御するための油圧切換弁の制御を実行するように構成してなる歩行型農作業機において、前記回動レバーと走行車体との間に緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したことを特徴とするものである。」
の記載を、
明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【0005】【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本考案の歩行型農作業機における昇降制御装置は、車輪を走行車体に昇降動調節可能に装着し、走行車体に基端を上下回動自在に枢支した回動レバーには、畝の上面に当接する畝高さ検出用のセンサ体を装着し、センサ体の上下移動に応じて車輪を昇降調節制御するための油圧切換弁の制御を実行するように構成してなる歩行型農作業機において、前記走行車体には、手動の昇降操作レバーにより前記油圧切換弁の切換操作量を走行車体の上限下限昇降位置に対応するように切り換えるための操作リンク機構を設ける一方、該操作リンク機構と前記回動レバーと間に、緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したことを特徴とするものである。」
と訂正する。
・[訂正事項c]
登録明細書の7頁23行?8頁3行(登録公報7欄16行?28行)の
「【0023】【考案の作用・効果】以上詳述したように、本考案によれば、車輪を走行車体に昇降動調節可能に装着し、走行車体に基端を上下回動自在に枢支した回動レバーには、畝の上面に当接する畝高さ検出用のセンサ体を装着し、該センサ体の上下移動に応じて車輪を昇降調節制御するための油圧切換弁の制御を実行するように構成してなる歩行型農作業機において、前記回動レバーと走行車体との間に緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したもので、通常の畝上面の凹凸状態がゆるやかな時には、ばね手段はセンサ体を畝上面に沿うように押圧するので、畝高の検出を正確に行うことができる。」
の記載を、
明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【0023】【考案の作用・効果】以上詳述したように、本考案によれば、車輪を走行車体に昇降動調節可能に装着し、走行車体に基端を上下回動自在に枢支した回動レバーには、畝の上面に当接する畝高さ検出用のセンサ体を装着し、該センサ体の上下移動に応じて車輪を昇降調節制御するための油圧切換弁の制御を実行するように構成してなる歩行型農作業機において、前記走行車体には、手動の昇降操作レバーにより前記油圧切換弁の切換操作量を走行車体の上限下限昇降位置に対応するように切り換えるための操作リンク機構を設ける一方、該操作リンク機構と前記回動レバーと間に、緩衝用のばね手段を介挿し、該ばね手段を介して前記油圧切換弁の切換操作量を伝達するように構成したもので、通常の畝上面の凹凸状態がゆるやかな時には、ばね手段はセンサ体を畝上面に沿うように押圧するので、畝高の検出を正確に行うことができる。」
と訂正する。
・[訂正事項d]
登録明細書の8頁4行?10行(登録公報7欄29行?8欄2行)の
「【0024】他方、畝の上面の凹凸が激しいときのように、センサ体が過大に突き上げられても、前記ばね手段が所定量だけ縮んで、そのばね手段の一端の反力にて、油圧切換弁の切換操作するので、従来のように、センサ体の上下移動量に比例する回動レバーの回動量にて油圧切換弁の切換操作を実行するのではないから、昇降制御装置における各伝動部材等に無理な力が作用せず、昇降制御装置の破損を免れ、安全となるという効果を奏する。」
の記載を、
明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【0024】他方、畝の上面の凹凸が激しいときのように、センサ体が過大に突き上げられても、前記ばね手段が所定量だけ縮んで、そのばね手段の一端の反力にて、前記操作リンク機構を介して油圧切換弁の切換操作するので、従来のように、センサ体の上下移動量に単に比例する回動レバーの回動量にて油圧切換弁の切換操作を実行するのではないから、昇降制御装置における各伝動部材や手動の昇降操作レバー側等に無理な力が作用せず、昇降制御装置の破損を免れ、安全となるという効果を奏する。」
と訂正する。
異議決定日 2000-08-14 
出願番号 実願平4-35973 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (A01C)
最終処分 維持    
前審関与審査官 山田 昭次小林 英司  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 佐藤 昭喜
新井 重雄
登録日 1999-03-26 
登録番号 実用新案登録第2595969号(U2595969) 
権利者 ヤンマー農機株式会社
大阪府大阪市北区茶屋町1番32号 石川島芝浦機械株式会社
東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目32番7号
考案の名称 歩行型農作業機における昇降制御装置  
代理人 東野 正  
代理人 東野 正  
代理人 石井 暁夫  
代理人 石井 暁夫  
代理人 東野 正  
代理人 西 博幸  
代理人 石井 暁夫  
代理人 石井 暁夫  
代理人 西 博幸  
代理人 西 博幸  

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