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審決分類 審判 全部申し立て   E02D
管理番号 1028350
異議申立番号 異議1997-74365  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1997-09-12 
確定日 2000-10-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第2528525号「植生土のう用袋」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2528525号の請求項1及び2に係る実用新案登録を取り消す。
理由 理由
(1)手続の経緯
本件実用新案登録第2528525号の請求項1及び2に係る考案についての出願は、平成3年2月11日に出願され、平成8年12月2日に設定登録され、その後、実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年8月28日に訂正請求がなされ、これに対して、平成12年4月25日付けで訂正拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、実用新案登録権者からは何らの応答がなかった。

(2)訂正の適否
上記のように実用新案登録権者からは何らの応答がないから、上記訂正拒絶理由は妥当なものと認められるので、上記訂正は、特許法の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項で準用され、同附則第10条第1項の規定により、なお従前の例によるとされる特許法第120条の4第3項の規定でさらに準用する同第126条第3項の規定に違反しているので、当該訂正は認められない。

(3)実用新案登録異議申立てについての判断
(本件考案)
本件実用新案登録第2528525号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案1」という。)及び請求項2に係る考案(以下、「本件考案2」という。)は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】開口(10)を有する土のう用袋本体(14)の内部に四角形状の枠体(24)を挿入させ、枠体(24)の空間部分に対応する土のう用袋本体(14)の内側面に種子(16)を付着させてなる植生土のう用袋。
【請求項2】開口(10)を有する土のう用袋本体(14)の内部に四角形状の枠体(24)を挿入させ、枠体(24)の空間部分に対応する土のう用袋本体(14)の内側面に種子(16)を付着させ、土のう用袋本体(14)に植生促進基材(20)を充填させた小袋(22)を装着させてなる植生土のう用袋。」

(刊行物記載の考案)
実願昭56-106735号(実開昭58-16215号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物1」という。)には、
実用新案登録請求の範囲、明細書第2頁第11行乃至第3頁第1行及び第1乃至4図の記載からみて、
「開口を有する成形土のう用袋の内部に長方形枠組を挿入させ、土のう用袋の内面の一部もしくは全部に種子等を付着させた植生付土のう用袋」が記載されているものと認められる。
特公昭47-42302号公報(以下、「刊行物2」という。)には、
特許請求の範囲の記載からみて、
「土嚢袋の内部に四角形状の枠体を土嚢袋長手方向内側面に密接してなる土嚢袋」が記載されているものと認められる。
実願昭63-34121号(実開平1-137334号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物3」という。)には、
明細書第6頁第1乃至10行、同第7頁第4乃至6行、同頁第12乃至14行、同第8頁第19乃至第9頁第10行及び第1乃至8図の記載からみて、
「植生土のう袋の表面ネットの内側に種子帯を装着させ、植生土のう袋に植生材料(土壌に合った土壌改良材又は肥料)が充填された植生体が装着された植生土のう袋」が記載されているものと認められる。

(本件考案1と刊行物1記載の考案との対比判断)
本件考案1(前者)と刊行物1記載の考案(後者)とを対比すると、
土のう用袋の内部に、前者が四角形状の枠体を挿入したのに対して、後者は長方形枠組を挿入した点が相違し、その余の点で一致している。
上記刊行物2には、土のう用袋の内部に、四角形状の枠体を挿入した点が記載されていることから、前記相違点は、当業者がきわめて容易に想到できたものと認める。
しかも、前記相違点の前者の構成の効果が、後者及び刊行物2に記載された考案の各効果の総和以上の格別な効果であるとも認められない。

(本件考案2と刊行物1記載の考案との対比判断)
次に、本件考案2(前者)と刊行物1記載の考案(後者)とを対比すると、
(1)土のう用袋の内部に、前者が四角形状の枠体を挿入したのに対して、後者は長方形枠組を挿入した点、(2)前者が土のう用袋本体に植生促進基材を充填させた小袋を装着させたのに対して、後者はかかる点が記載されていない点、で相違し、その余の点で一致している。
前記相違点(1)の判断については、上述のとおりである。
前記相違点(2)は、上記刊行物3に、植生土のう袋に植生材料(前者の「植生促進基材」に相当)が充填された植生体が装着された植生土のう袋が記載されていることから、当業者がきわめて容易に想到できたものと認める。
しかも、前記相違点の前者の構成の効果が、後者、刊行物2及び刊行物3に記載された考案の各効果の総和以上の格別な効果であるとも認められない。

(むすび)
以上のとおり、本件請求項1及び2に係る考案は、上記刊行物1、2及び3に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものと認められるから、本件請求項1及び2に係る実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものであり、したがって、当該実用新案登録は拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第1項及び第2項の規定により、上記のとおり決定する。
異議決定日 2000-08-24 
出願番号 実願平3-11704 
審決分類 U 1 651・ 121- ZB (E02D)
最終処分 取消    
前審関与審査官 鈴木 憲子  
特許庁審判長 佐藤 荘助
特許庁審判官 岡 千代子
鈴野 幹夫
登録日 1996-12-02 
登録番号 実用新案登録第2528525号(U2528525) 
権利者 天龍工業株式会社
岐阜県各務原市蘇原興亜町4丁目1番地
考案の名称 植生土のう用袋  
代理人 村山 信義  

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