• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て   F04D
審判 全部申し立て   F04D
審判 全部申し立て   F04D
管理番号 1028362
異議申立番号 異議1999-70925  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-03-12 
確定日 2000-09-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第2586496号「立軸ポンプの摺動部構造」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2586496号の実用新案登録を取り消す。
理由 【1】手続きの経緯
本件実用新案登録第2586496号の請求項1に係る考案についての出願は、平成5年3月12日に実用新案登録出願されたものであって、平成10年10月2日にその実用新案権の設定登録がなされたものであるが、その請求項1に係る実用新案登録に対して、安田芳彦より実用新案登録異議の申立てがなされ、その申立に基づいて取消理由通知がなされたものであり、そして、その指定期間内である平成11年11月15日に訂正請求がなされ、さらに、審尋がなされ、その後、訂正拒絶理由通知がなされたものである。

【2】訂正の適否についての判断
(1)独立実用新案登録要件について
ア.訂正明細書の請求項1に係る考案
訂正明細書の請求項1に係る考案は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「立軸ポンプのケーシングのうず室の底部の内側に、羽根車から吐出される揚液中の異物が沈降して溜まる異物溜まり部が形成されており、前記底部の内周に固定されたライナーリングと、立軸ポンプの主軸に取付けられて該主軸と同時に回転するとともに、前記ライナーリングに対向する羽根車の摺動部とによって構成される立軸ポンプの摺動部構造において、前記ライナーリングの水平な上端面が前記ケーシングうず室の底部の内面よりも上位に設定され、かつ、前記ライナーリングの水平な上端面の全面に対して水平方向の隙間を有して対向する水平下向きの対向面が前記ライナーリングの内周に対して上下方向の隙間を有して挿入されている前記羽根車摺動部分に設けられて、前記水平な上端面と前記水平下向きの対向面との間に半径方向の摺動部開口が形成されているとともに、前記ライナーリングの内周に挿入されている羽根車の摺動部分の水平な下端面に対して水平方向の隙間を有して対向する水平上向きの対向面が前記ケーシングうず室の底部に設けられて、前記水平な下端面と前記水平上向きの対向面との間にも半径方向の摺動部開口が形成されていることを特徴とする立軸ポンプの摺動部構造。」
イ.引用刊行物に記載された考案
訂正明細書の請求項1に係る考案に対して、当審が通知した訂正拒絶理由通知で引用した実願昭60-24339号(実開昭61-140197号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。
「第1?3図に基づき本考案の1実施例につき詳述する。1はモータケーシング、2は中間ケーシング、3はポンプケーシング、4は前記モ-タケーシング1に軸受支せる回転軸5先端に固定したクローズド羽根車で、吸込口外側にはウエアリング6をビス7により止着してある。8は前記ポンプケーシング3の吸込口内側にビス止め(図示せず)したマウスリングで、前記ウエアリング6との間に所定の間隙S及びS′を保持する如く対応させてある。 前記ウエアリング6は断面L形に形成し、水平板の吸込側に位置する面上には複数枚から成る突起羽根6aを傾斜状に一体的に設けてある。また、突起羽根6a表面とマウスリング8との間隙は、マウスリング8とポンプケーシング3との間に適宜シムを挿入することにより所望寸度S′、例えば0.2?0.5mmの間に保持せしめるべく調整可能としてある。しかして、ポンプ運転に際しては、第2図における吸込側S側と圧力側S′側との圧力差により圧力側より吸込側へ流体が洩れ戻ろうとするが、突起羽根6aの遠心作用によって間際S′内へ侵入する流体は圧力側へ追出され、該部よりの洩れ戻りは生じない。尚、前述実施例における突起羽根6aは適宜深さの溝羽根としてもよく、また、傾斜羽根とすることなく放射状あるいは曲線状としてもよい。」(第4頁第2行乃至第5頁第8行)、
「〔考案の効果〕 本考案は、ウエアリングをL形として水平板の吸込側に位置する面上に複数枚から成る羽根部を形成し、ケーシング側マウスリングをこれと対応させたので、運転時は羽根部の遠心作用によりウエアリング間隙内への圧力水の侵入を防止し得るため、該部洩れ戻りや摩耗及び焼付等を生ずる恐れがなく、また吸込側、即ち軸平行方向の間隙を通常より多少多くしても支障がないので、加工及び組立が至極容易となる特長をも有するものであり、ポンプ効率の低下防止と過負荷運転防止上極めて有効となるものである。」(第5頁第9?20行)。
そして、ウエアリング6には、マウスリング8の水平な上端面に対向する下向きの対向面が形成され、その下向きの対向面は、マウスリングの水平な上端面の全面に対して水平方向の隙間を有して対向する水平下向きの対向面として形成されるから、ウエアリング6には、突起羽根6a又は溝羽根が形成されているものの、ウエアリング6は、全体として、マウスリング8の水平な上端面に対向する下向きの対向面として形成されているものといえる。
したがって、これらの記載、及び、第1?3図に示された図面の記載からみて、刊行物1には、
立軸ポンプのケーシング3のうず室の底部の内側に、羽根車4から吐出される揚液中の異物が沈降して溜まる異物溜まり部が形成されており、前記底部の内周に固定されたマウスリング8と、立軸ポンプの回転軸5に取付けられて該回転軸5と同時に回転するとともに、前記マウスリング8に対向する羽根車の摺動部であるウエアリング6とによって構成される立軸ポンプの摺動部構造において、前記マウスリング8の水平な上端面が前記ケーシングうず室の底部の内面よりも上位に設定され、かつ、前記マウスリング8の水平な上端面の全面に対して水平方向の隙間を有して対向する水平下向きの対向面が前記マウスリング8の内周に対して上下方向の隙間を有して挿入されている前記羽根車4のウエアリング6に設けられて、前記水平な上端面と前記水平下向きの対向面との間に半径方向の開口が形成されている立軸ポンプの摺動部構造、
が記載されているものと認める。
ウ.対比・判断
そこで、本件訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、「本件訂正考案」という。)と刊行物1に記載された考案とを対比すると、刊行物1に記載された「マウスリング8」、「ウエアリング6」、「回転軸5」は、それぞれ、本件訂正考案の「ライナーリング」、「摺動部」、「主軸」に対応するから、両者は、
立軸ポンプのケーシングのうず室の底部の内側に、羽根車から吐出される揚液中の異物が沈降して溜まる異物溜まり部が形成されており、前記底部の内周に固定されたライナーリングと、立軸ポンプの主軸に取付けられて該主軸と同時に回転するとともに、前記ライナーリングに対向する羽根車の摺動部とによって構成される立軸ポンプの摺動部構造において、前記ライナーリングの水平な上端面が前記ケーシングうず室の底部の内面よりも上位に設定され、かつ、前記ライナーリングの水平な上端面の全面に対して水平方向の隙間を有して対向する水平下向きの対向面が前記ライナーリングの内周に対して上下方向の隙間を有して挿入されている前記羽根車摺動部分に設けられて、前記水平な上端面と前記水平下向きの対向面との間に半径方向の摺動部開口が形成されている立軸ポンプの摺動部構造、
、の点で一致するが、次の点で相違するものと認められる。
相違点;
本件訂正考案が、ライナーリングの内周に挿入されている羽根車の摺動部分の水平な下端面に対して水平方向の隙間を有して対向する水平上向きの対向面が前記ケーシングうず室の底部に設けられて、前記水平な下端面と前記水平上向きの対向面との間にも半径方向の摺動部開口が形成されているのに対して、刊行物1に記載された考案には、このような半径方向の摺動部開口が形成されていない点。
そこで、上記相違点について検討する。
立軸ポンプにおいて、ライナーリングの内周に挿入されている羽根車の摺動部分の水平な下端面に対して水平方向の隙間を有して対向する水平上向きの対向面をケーシングうず室の底部に設けて、前記水平な下端面と前記水平上向きの対向面との間に半径方向の摺動部開口を形成することは、一例として、実願昭54-87810号(実開昭56-6997号)のマイクロフィルム……等に記載されているように、本件出願前、当業者にとって周知又は慣用の手段であるから、刊行物1に記載された考案の羽根車摺動部の構造に当該周知又は慣用の手段を採用し、もって本件訂正考案のように構成することは、当業者がきわめて容易になし得る程度にすぎないというべきである。
そして、本件訂正考案の構成によってもたらされる効果も、刊行物1に記載された考案から、当業者であれば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。
したがって、本件訂正考案は、刊行物1に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
エ.むすび
以上のとおりであるから、訂正明細書の請求項1に係る考案は、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができない。
したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用される特許法第120条の4第3項の規定によりさらに準用される同法第126条第4項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。
(2)新規事項について
ア.訂正事項
実用新案権者は、実用新案登録第2586496号の明細書及び図面を訂正請求書に添付した訂正明細書及び図面のとおりの訂正を求め、訂正請求をした。
その訂正後の図面の第1?3図における摺動部を示す符号「1B」及びその引出線の訂正については、訂正前の図面において1Bの引出線で示していた箇所を「1Ba」に変更すると共に、訂正前の図面では示していなかった箇所に新たな引出線を加筆しその新たな箇所を1Bに変更する訂正をしている。
イ.結論
ところが、訂正後の1Bで示す部分までもが摺動部であることは、訂正前の明細書又は図面に記載されていない。即ち、当該訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した範囲内での訂正ではない。
したがって、本件訂正請求は、願書に添付した明細書又は図面に記載した範囲内でしたものではないから、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用される特許法第120条の4第3項によりさらに準用される同法第126条第2項の規定に適合していないので、この点からも当該訂正は認められない。

【3】実用新案登録異議の申立てについての判断
ア.本件実用新案登録の請求項1係る考案
前記【2】で述べたように、訂正請求の訂正が認められないので、本件の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載される次のとおりのものと認める。
「立軸ポンプのケーシングのうず室の底部の内側に、羽根車から吐出される揚液中の異物が沈降して溜まる異物溜まり部が形成されており、前記底部の内周に固定されたライナーリングと、立軸ポンプの主軸に取付けられて該主軸と同時に回転するとともに、前記ライナーリングに対向する羽根車の摺動部とによって構成される立軸ポンプの摺動部構造において、前記ライナーリングの上端面が前記ケーシング底部の内側よりも上位に設定され、かつ、前記ライナーリングの上端面の全面が前記羽根車摺動部に設けた下向きの対向面によって覆われると共に、前記上端面と前記下向きの対向面との間に半径方向の摺動部開口が形成されていることを特徴とする立軸ポンプの摺動部構造。」
イ.取消理由に引用した考案
当審が通知した取消理由で引用した実願昭60-24339号(実開昭61-140197号)のマイクロフィルム(上記「刊行物1」と同じ)には、すでに上記【2】(1)イ.で示したような技術的事項が記載されているものと認められる。
ウ.対比・判断
そこで、本件考案と上記刊行物1に記載された考案とを対比すると、刊行物1に記載された「マウスリング8」、「ウエアリング6」、「回転軸5」は、それぞれ、本件考案の「ライナーリング」、「摺動部」、「主軸」に相当するから、刊行物1には、本件考案の全ての構成が記載されており、両者になんらの相違点も存在しない。
したがって、本件考案は、刊行物1に記載された考案である。

【4】むすび
以上のとおりであるから、本件の請求項1に係る考案は、実用新案法第3条第1項の規定により実用新案登録を受けることができない。
したがって、本件の請求項1に係る実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
異議決定日 2000-07-25 
出願番号 実願平5-10777 
審決分類 U 1 651・ 841- ZB (F04D)
U 1 651・ 113- ZB (F04D)
U 1 651・ 856- ZB (F04D)
最終処分 取消  
前審関与審査官 長崎 洋一  
特許庁審判長 西野 健二
特許庁審判官 飯塚 直樹
清田 栄章
登録日 1998-10-02 
登録番号 実用新案登録第2586496号(U2586496) 
権利者 株式会社クボタ
大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目2番47号
考案の名称 立軸ポンプの摺動部構造  
代理人 鈴江 孝一  
代理人 鈴江 正二  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ