• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て   E04C
管理番号 1028370
異議申立番号 異議1999-71423  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-04-14 
確定日 2000-10-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第2583095号「住宅におけるエアコン配管の収納装置」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2583095号の請求項1に係る実用新案登録を取り消す。
理由 理 由
第1 手続の経緯
実用新案登録出願 平成4年8月27日
実用新案権設定登録 平成10年8月7日
(実用新案登録第2583095号)
実用新案登録異議の申立て (異議申立人古閑典子)
平成11年4月14日
取消理由通知 平成11年8月23日
意見書及び訂正請求 平成11年11月9日
訂正拒絶理由通知 平成12年1月27日

第2 訂正請求について
1.訂正明細書に記載された考案
訂正明細書の請求項1に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された、下記のとおりのものと認める。
「【請求項1】壁パネル内にエアコン配管を通すためのサヤ管を、その壁パネル内の桟材に穴をあけることなく、配管通し方向にずらせて配置した外壁フレームの桟材と内壁フレームの桟材との内側を縫うようにして、予め一体に組込んであることを特徴とする住宅におけるエアコン配管の収納装置。」

2.引用刊行物記載の考案
本件の訂正明細書に記載された考案に対して、当審で通知した訂正拒絶理由において、下記の刊行物1及び2が引用されている。
本件出願前日本国内において頒布された刊行物
刊行物1、実公平2-13629号公報(甲第2号証参照。)
刊行物2、実願昭52-160150号(実開昭54-84813号)のマイクロフイルム(甲第1号証参照。)
刊行物1には、「外壁パネルAは、…パネル外枠材3aとパネル内枠材3bを枠組してパネル枠3を形成し、このパネル枠3の片面に…内装材を貼着する。このパーテイクルボード4の上部には、通線管引出穴6を穿孔し、ビニールホース等で構成した可撓性通線管7をパーテイクルボード4の裏面側に沿わせて、その上端7aを引出穴6からパネル表面側へ引き出す。パネル枠3の他面には外装材1を貼着し、」(第2頁左欄第1行?第10行)、「外壁パネルAを所定位置に建て込んだ後、電線(図示省略)を上端7aから可撓性通線管7内へ挿入するようにして、電線を外壁パネルA内へ簡単に通すことができ、屋内配線作業を容易に行なえる。」(第2頁左欄第24行?第28行)が記載されている。
又、刊行物2には、「本考案による壁パネルは、二本の側柱の両側面間に表側及び裏側において化粧板を張設し、二本の側柱間に側柱より巾の狭い補強桟をかけわたし、化粧板間において配線ケーブルを補強桟の上下にかけて挿通内配し、補強桟の上面または下面のうち配線ケーブルの反引き抜き側のものを反配線ケーブル側から配線ケーブル側にかけて配線ケーブルの引き抜き側に傾斜せしめて成ることを特徴とするものであるので、電気コードを接続して引き抜く配線ケーブルの接続部が引き抜き時に補強桟に引掛るということがないのである。」(第4頁第1行?第12行)が記載されている。

3.本件訂正明細書の請求項1に係る考案について、
本件訂正明細書の請求項1に係る考案と刊行物1記載の考案を対比すると、両者は、「壁パネル内に配管を通すためのサヤ管を、その壁パネル内の桟材に穴をあけることなく、予め一体に組込んであることを特徴とする住宅における配管の収納装置。」である点で一致しており、次の各点で相違している。
相違点1、サヤ管が、本件請求項1に係る考案では「エアコン配管を通す」ためのサヤ管であるのに対し、刊行物1に記載された考案では「電線を通す」ためのサヤ管である点。
相違点2、サヤ管を、本件請求項1に係る考案では「配管通し方向にずらせて配置した外壁フレームの桟材と内壁フレームの桟材との内側を縫うようにして」組込んである点。

4.相違点の検討
そこで、これらの相違点を検討すると、
相違点1については、電線を通すためのサヤ管を、エアコン配管を通すためのサヤ管に適用することは、当業者がきわめて容易に実施できたことである。
次ぎに、相違点2について、刊行物2に記載された考案では、第3図の例では、左側の化粧板2に補強桟3が、第4図の例では、右側の化粧板2に補強桟3が、配置されており、これらからみて、片側だけでなく、左右両側に補強桟をずらせて配置し、相違点2におけるような構成とするようなことは、当業者がきわめて容易に実施できたことである。
そして、全体として、本件訂正明細書の請求項1に係る考案の効果も、先の訂正拒絶理由通知で指摘したとおり、刊行物1及び2に記載された考案から当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって、格別のものとは認められない。
以上のとおりであるので、本件訂正明細書の請求項1に係る考案は、旧実用新案法第3条第2項の規定により、登録出願の際独立して登録をうけることができるものではないから、本件訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年12月14日法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項で、さらに準用する同法第126条第4項の規定に適合しない。
よって、本件訂正請求は、認められない。

第3 実用新案登録異議申立てについて
1.本件考案
本件実用新案登録第2583095号の請求項1に係る考案は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された、下記のとおりのものと認める。
「壁パネル内にエアコン配管を通すためのサヤ管を、その壁パネル内の桟材に穴をあけることなくその桟材を縫うようにして、予め一体に組込んであることを特徴とする住宅におけるエアコン配管の収納装置」

2.実用新案登録異議申立ての理由の概要
登録異議申立人は、
証拠方法として、本件出願前日本国内において頒布された刊行物である
甲第1号証、実願昭52-160150号(実開昭54-84813号)のマイクロフイルム(上記、「第2 2.」、刊行物2参照。)
甲第2号証、実公平2-13629号公報(上記、「第2 2.」、刊行物1参照。)
を提出し、
本件請求項1に係る考案は、甲第1及び2号証に記載された考案に基いて当業者が容易に発明をすることができた考案であるから、旧実用新案法第3条第2項に規定する考案に該当するため、実用新案登録を受けることのできない考案であるという理由で、本件請求項1に係る考案の実用新案登録を取り消すべき旨主張している。

3.甲第1及び2号証記載の考案
これら甲第1及び2号証には、上記「第2 2.」で検討した考案が記載されている。

4.本件実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案について、
本件実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案と、甲第2号証に記載された考案を対比すると、
両者は、「壁パネル内に配管を通すためのサヤ管を、その壁パネル内の桟材に穴をあけることなく、予め一体に組込んであることを特徴とする住宅における配管の収納装置」である点で一致しており、、次の各点で相違している。
相違点1、サヤ管が、本件請求項1に係る考案では「エアコン配管を通す」ためのサヤ管であるのに対し、甲第2号証に記載された考案では「電線を通す」ためのサヤ管である点。
相違点2、サヤ管を、本件請求項1に係る考案では「その桟材を縫うようにして」予め一体に組込んであるのに対し、甲第2号証に記載された考案では「桟材と並んで」予め一体に組込んである点。

5.相違点の検討
そこで、これらの相違点を検討すると、
相違点1については、電線を通すためのサヤ管を、エアコン配管を通すためのサヤ管に適用することは、当業者がきわめて容易に実施できたことである。
次ぎに、相違点2について、甲第1号証に記載された考案では、補強桟に電気コードが補強桟を縫うようにして配線されるものであり、従って、相違点2も、当業者がきわめて容易に実施できたことである。
そして、全体として、本件請求項1に係る考案の効果も、甲第1及び2号証に記載された考案から当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって、格別のものとは認められない。
従って、本件請求項1に係る考案は、本件登録出願前に、当業者が甲第1及び2号証に記載された考案に基いてきわめて容易に考案をすることができた考案である。

第4 むすび
以上のとおりであるので、本件請求項1に係る実用新案登録は、旧実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものである。
従って、本件考案についての実用新案登録は拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号附則第9条第7項)の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める、平成7年政令第205号第3条第1及び2項の規定により、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-08-07 
出願番号 実願平4-65812 
審決分類 U 1 651・ 121- ZB (E04C)
最終処分 取消    
前審関与審査官 辻野 安人  
特許庁審判長 幸長 保次郎
特許庁審判官 藤枝 洋
斎藤 利久
登録日 1998-08-07 
登録番号 実用新案登録第2583095号(U2583095) 
権利者 積水ハウス株式会社
大阪府大阪市北区大淀中1丁目1番88号
考案の名称 住宅におけるエアコン配管の収納装置  
代理人 樽本 久幸  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ