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審決分類 |
審判 一部申し立て A61M |
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管理番号 | 1028376 |
異議申立番号 | 異議1999-75014 |
総通号数 | 16 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-04-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-12-28 |
確定日 | 2000-10-11 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第2599419号「血管導入具」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第2599419号の請求項1に係る実用新案登録を取り消す。 |
理由 |
1.手続の経緯 実用新案登録第2599419号は、平成4年12月21日に出願され、平成11年7月9日に設定登録がされ、その後、その実用新案登録について、異議申立人日本シャーウッド株式会社より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その応答期間内に実用新案登録異議意見書が提出された。 2.異議申立て理由の概要 異議申立人日本シャーウッド株式会社は、証拠として甲第1号証(実願平4-161号(実開平5-56153号)のマイクロフィルム)を提出し、請求項1に係る考案は実用新案法第3条の2(平成6年法律第116号附則第9条第2項で準用する第113条第1項第2号)の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、取り消すべきものである旨主張している。 3.請求項1に係る考案 実用新案登録第2599419号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、明細書及び図面の記載から見て、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のものと認める。 「基端部と先端部を有する血管拡張器と、内部に該血管拡張器を摺動可能に設けたシースからなる血管導入具において、該血管拡張器の基端部には複数の係止部が基端部円周上に等間隔に設けられており、該係止部は該シースの基端部に設けられた環状の部分に外側より嵌合してなることを特徴とする血管導入具。」 4.引用明細書記載の考案 当審において通知した、平成12年5月19日付け取消理由通知において引用した明細書(実願平4-161号(実開平5-56153号)のマイクロフィルム)には、以下の事項が記載されている。 (a)「ダイレータ部とシース部の着脱を迅速かつ円滑に行うことの可能なカテーテルイントロジューサを提供する」(段落番号【0010】) (b)「断面が円形状または多角形のシースハブとシースよりなるシース部と、ダイレータハブとダイレータとよりなるダイレータ部とを備えて構成されるカテーテルイントロジューサにおいて、上記ダイレータ部の端部に上記シースハブの端部に冠着するフランジを形成し、該フランジの内周部またはシースハブの外周部のいずれかに、その内周または外周に沿って溝部を形成するとともに、シースハブの外周部またはフランジの内周部のいずれかに、上記溝部に係合する凹部を設けたことを特徴とするカテーテルイントロジューサ。」(【請求項1】) (c)「またダイレータ部をシース部から離脱させる場合は、タイレータハブを少し傾けて両者の係合を外し、ダイレータハブを引っ張れば両者は簡単に離脱する。」(段落番号【0012】) (d)「なおダイレータ部33をシース部32から離脱させるには、ダイレータハブ36のフランジ37と反対の端部を軸方向と直角方向に軽くおせば、フランジの突起39とシースハブの溝部40との係合は外れる。」(段落番号【0014】) (e)「図4は他の実施例を示す斜視図で、本実施例においては、シースハブ34の外周部に多数個の点状凸部42を形成するとともに、フランジ37の内周部に上記点状凸部42と係合する溝部43を形成したものである。また図5は上記実施例における点状凸部42の代わりに部分的に欠けた環状凸部44の例を示している。いずれの場合も、フランジ37にはスリット41を形成する。」(段落番号【0015】) 5.対比・判断 本件考案と引用明細書に記載された考案を比較すると、引用明細書における「ダイレータ部」、「シース部」および「カテーテルイントロジューサ」が、それぞれ、本件考案の「基端部と先端部を有する血管拡張器」、「内部に該血管拡張器を摺動可能に設けたシース」および「血管導入具」に相当する。 また、引用明細書における「フランジ37の内周部に上記点状凸部42と係合する溝部43を形成」した点は、本件考案における「血管拡張器の基端部には係止部が基端部円周上に設けられ」た点に相当する。 さらに、引用明細書の「フランジ37」には「スリット41」が設けられており、明示はされていないものの、当業者にとって、該スリットによりフランジ37は複数の等間隔に分割されているものであることは自明であると認められる。 なお、実用新案権者は、実用新案登録異議意見書において「スリット41」について、「フランジ37を複数の等間隔に分割」するものではない旨主張しているが、むしろ、明示的に「スリット41」について「等間隔でない」あるいは「分割するものではない」と記載されていない以上、当業者が普通に解釈すれば、引用明細書の記載からは、「該スリットによりフランジ37は複数の等間隔に分割されている」と理解するのが自然であり、「該スリットによりフランジ37は複数の等間隔に分割されている」点が、引用明細書の記載から自明であると認められる。 してみると、引用明細書には「基端部と先端部を有する血管拡張器と、内部に該血管拡張器を摺動可能に設けたシースからなる血管導入具において、該血管拡張器の基端部には複数の係止部が基端部円周上に等間隔に設けられており、該係止部は該シースの基端部に設けられた環状の部分に外側より嵌合してなることを特徴とする血管導入具。」が記載されている。 6.むすび 以上のとおり、本件考案は、その出願日前の出願であって、その出願後に出願公開された上記実願平4-161号の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された考案と同一であると認められ、しかも、本件考案に係る考案者が上記考案の考案者と同一であるとも、本件出願の時において、その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、本件考案は実用新案法第3条の2の規定に違反してなされたものである。 したがって、本件考案は、平成6年法律第116号附則第9条第2項で準用する特許法第113条第1項第2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2000-08-15 |
出願番号 | 実願平4-87346 |
審決分類 |
U
1
652・
16-
Z
(A61M)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 大島 祥吾、山中 真 |
特許庁審判長 |
佐藤 洋 |
特許庁審判官 |
熊倉 強 藤本 信男 |
登録日 | 1999-07-09 |
登録番号 | 実用新案登録第2599419号(U2599419) |
権利者 |
テルモ株式会社 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目44番1号 |
考案の名称 | 血管導入具 |
代理人 | 木村 三朗 |
代理人 | 大村 昇 |
代理人 | 小林 久夫 |
代理人 | 佐々木 宗治 |