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審決分類 審判 全部申し立て   E04F
管理番号 1028384
異議申立番号 異議1999-73547  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-09-14 
確定日 2000-10-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第2592976号「床材」の請求項1、2に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2592976号の請求項1、2に係る実用新案登録を取り消す。
理由 第1 経緯

本件実用新案登録第2592976号は、平成5年2月17日に出願され、平成11年1月29日に実用新案の設定登録がなされ、その後、平成11年9月14日に段谷産業株式会社より、平成11年9月21日にホクシン株式会社より、平成11年9月30日に大建工業株式会社より、その請求項1及び2に係る考案に対して実用新案登録異議の申立がなされ、平成12年1月19日付の当審の取消理由通知に対してその指定期間内である平成12年4月17日付で実用新案権者より実用新案登録異議意見書とともに訂正請求書が提出され、これに対し平成12年4月27日付で当審において訂正拒絶理由通知を出したが、実用新案権者からはその指定期間内には何ら応答がなかった。

第2 平成12年4月17日付訂正請求書による訂正の適否について

1.訂正考案の認定
平成12年4月17日付訂正請求書において、実用新案登録請求の範囲の減縮、及び明りょうでない記載の釈明を目的として、実用新案登録請求の範囲については次のように訂正している。
「【請求項1】
中心部形成木質繊維への接着剤添加量を3?5重量%とし、表層形成木質繊維および裏層形成木質繊維への接着剤添加量を10?30重量%として加熱圧締することにより、厚さ方向における中心部より比重が高い硬質部が表裏に形成された木質繊維板の、少なくとも片側の硬質部が表面に露出され、側面には実加工が施されてなる床材。
【請求項2】
請求項1記載の床材の露出された硬質部の表面に化粧層が形成されてなることを特徴とする床材。」
(以下、請求項1及び同2に係る考案を訂正考案1及び同2という。)
2.平成12年4月27日付の訂正拒絶理由通知の内容
平成12年4月27日付の訂正拒絶理由通知書において通知した内容は、平成12年1月19日付の取消理由通知を援用して、下記のとおりである。

「1.(略)
2.刊行物及び記載事項
本件考案の出願前に頒布されたと認められる次の刊行物には、以下の事項が記載されていると認められる。
2-1 刊行物1:特開平4-106264号公報
「木質化粧床材およびその施工方法」に関する発明が記載されており、次の記載が認められる。
(1)1頁左下欄の特許請求の範囲
「(1)中質繊維板からなる所定厚さの基板の表裏両面に、略同厚の表面化粧単板と裏打ち単板とが貼着されてなる木質化粧床材。
(2)四周側面のうち、相隣れる2辺の側面に雌ざね部が形成され、他の2辺の側面に対応の雄ざね部が形成されると共に、上記雌ざね部を有する2辺の側面下部に外方に大きく突出した接着用下あご部が形成され、他方の雄ざね部を有する2辺の側面下部に上記下あご部に対応する切欠段部が形成されてなる請求項(1)記載の木質化粧床材。
(3)、(4)省略」
(2)3頁左上欄9?14行
「作用 基材として用いられる中質繊維板は、材質上表面が相当に硬い。このためこの表面硬さによって、化粧単板の表面の耐傷性を改善し、殊に土足用床材にあっても表面にヒールマーク等の凹損を生じにくいものとする。」
(3)5頁左下欄7行?右下欄5行
「発明の効果 この発明に係る床材は、上述のように表面の耐傷性に優れており・・・表面傷も少なくすることができ・・・しかも、この耐傷性を、基材の材質に中質繊維板を選択することによって付与したしたものである・・・また・・・その両面に略同一厚さの木質単板がそれぞれ化粧単板及び裏打単板として貼着されているので、表裏の応力分布がバランスし、結果において床材を反りや歪のないものとすることができる。」
2-2 刊行物2:特開昭62-225304号公報
「パーティクルボード又は中質繊維板を製造する方法」に関する発明が記載されており、以下の記載が認められる。
(1)第1頁左下欄20行?右下欄8行
「〔従来の技術〕従来、パーティクルボード(PB)や中質繊維板(MDF)を製造する際のプレス工程では、ローダーでマットが運ばれ全段が一杯になると直ちにプレスが加圧されてボードが成形されていた。そしてまた、表層のチップ又はファイバーの含水率は内層のものより高くなるようにフオーミングされているので、高圧で加圧されると表層部分にごく近いところで高密度層が形成される。」
(2)第1頁右下欄9?17行
「〔発明が解決しようとする問題点〕しかし、前述のような方法では、熱圧成形後の仕上げ工程におけるサンディングの際に、表面のプリキュア層と共に、そのすぐ内側にある高密度層も削り落としてしまう・・・という欠点があった。」
(3)第2頁右上欄9?13行
「従って、表面にごく近い部分の高密度層がサンディングにより削りとられる従来法のボードに比べ、本発明の方法により得られたボードは、サンディングを行った後も高密度層が残るため、サンディング後の物性の低下が防止できる。」
2-3 刊行物3:「新編木材工学」中戸莞二編著、昭和60年7月20日株式会社養賢堂発行(実用新案登録異議申立人大建工業株式会社の提出した甲第5号証)
「32.4.5 ファイバーボード」の項には、「乾式法(図32.10)では、・・解繊する。なお、耐水剤を蒸煮中に添加するが、接着剤は高圧下の解繊では解繊後に、常圧下の解繊ではリファイナ内で添加する。添加量は・・中比重ファイバーボード(MDF)ではユリアまたはユリア・メラニン樹脂を8?12%で、3層や多層ボードの場合は表層は内層より多くする。解繊したものを含水率6?14%に強制乾燥した後・・・MDFでは160°?200°Cで熱圧されてボードとなる。」(409頁7行ないし410頁2行)と記載されている。
3.訂正の適否
3-1 訂正考案1について
(1)訂正考案1と刊行物1に記載されたものとを比較すると、両者は「厚さ方向における中心部より比重の高い硬質部を表裏に形成された木質繊維板の、側面には実加工が施されてなる床材。」において一致しており、次の点で相違していると認められる。
相違点1:訂正考案1の床材の木質繊維板は、中心部形成木質繊維への接着剤添加量を3?5重量%とし、表層形成木質繊維および裏層形成木質繊維への接着剤添加量を10?30重量%として加熱圧締されているのに対し、刊行物1に記載されたものは、そのようにはなっていない点。
相違点2:訂正考案1の床材の木質繊維板は、少なくとも片側の硬質部が表面に露出されているのに対し、刊行物1記載の考案の木質繊維板は、硬質部の露出について記載されていない点。
(2)しかしながら、相違点1については、中質繊維板(MDF)において、接着剤の添加量を8?12%とし、3層や多層ボードの場合に表層の添加量を内層より多くすること、及び加熱圧締することが例えば上記刊行物3にも記載されているように本件考案の出願前に周知の事項であって、訂正考案1において中心部形成木質繊維への接着剤添加量を特に「3?5重量%」とすることの技術的意義が明細書に記載されていないことから、刊行物1に記載された中質繊維板を訂正考案1の上記相違点1に係る構成とすることは、当業者がきわめて容易に想到できたことにすぎない。
次に、上記相違点2については、取消理由通知書の「4.本件考案1について」の(4)に記載した理由と同じ理由で、当業者がきわめて容易に想到できたことにすぎない。
(3)したがって、訂正考案1は刊行物1ないし同3に記載されたものから当業者がきわめて容易に考案できたものといえ、実用新案法第3条第2項に該当する。
3-2 訂正考案2について
訂正考案2についても、取消理由通知書の「5.本件考案2について」の項に記載したと同じ理由(本件考案2は、本件考案1の床材を「床材の露出された硬質部の表面に化粧層が形成されてなる」と限定したものである。そして、明細書において、化粧層を形成した技術的意義について、「木質繊維板を基板とする床材の表面に、意匠性の向上、耐摩耗性の向上の目的で化粧層2を形成することができる。」(段落番号【0019】)、「表面に化粧層を形成した場合は、表面側の非透水性が向上するが、裏面側の硬質層も露出させることにより、硬質部の比重が高く非透水性に優れるという特性により、表面側および裏面側のどちらにおいても湿度の変化に影響されることなく一定の含水率を保持するよう調整することができ、湿度の変化に伴う反りを防止することができる。」(段落番号【0034】)と記載されている。 しかしながら、刊行物1に記載された床材にも木質繊維板の表面に化粧単板や裏打単板が貼着されており、該化粧単板等を用いることにより、意匠性が向上することは明らかであり、また、化粧単板等の貼着により「反りや歪みのないものとすることができる」ものであることから、木質繊維板の湿度の変化に伴う反りを防止するという本件考案2の作用・効果と共通するものである。 そして、本件考案2のように特に「露出された硬質部の表面に化粧層が形成され」た構成としたことによって、刊行物1に記載されたものに比べ格別の作用効果を奏するとも認められない。)で、刊行物1ないし同3に記載されたものから当業者がきわめて容易に考案できたものといえ、実用新案法第3条第2項に該当する。
3-3 まとめ
以上のように、訂正考案1及び同2は、いずれも実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものであるので、平成6年法律第116号付則第9条第2項の規定により準用され、さらに特許法第120条の4第3項により準用される平成6年改正前の特許法第126条第3項(いわゆる独立要件)の規定に適合しないものであって、他の規定について検討するまでもなく、本件訂正請求は適法な請求とは認められない。」
3.そして、上記の訂正拒絶理由通知の理由は適正なものであるから、本件訂正請求は適法な請求とは認められない。

第3 実用新案登録異議申立てについて

1.本件考案の認定
上記「第2」に記載したように平成12年4月17日付訂正請求書は適法なものではないので、実用新案登録時の実用新案登録請求の範囲の請求項1及び同2に記載された考案(以下、請求項1及び同2に記載された考案を本件考案1及び同2という。)について検討する。
本件考案1及び同2は次のとおりである。
「【請求項1】
厚さ方向における中心部より比重が高い硬質部を表裏に形成された木質繊維板の、少なくとも片側の硬質部が表面に露出され、側面には実加工が施されてなる床材。
【請求項2】
請求項1記載の床材の露出された硬質部の表面に化粧層が形成されてなることを特徴とする床材。」
2.本件考案1及び2に対する取消理由通知の内容
本件考案1及び2については、平成12年1月19日付の取消理由通知書において、実用新案法第3条第2項に該当し実用新案登録を受けることができない旨通知しており、その理由は上記訂正拒絶理由通知書において引用した刊行物1及び2を引用して、下記のとおりである。

「(1ないし3は省略)
4.本件考案1について
(1)本件考案1は、従来の合板や単板積層体(LVI)などを基板とした床材では、表面硬度が低く、また、側面に実を形成する場合、切削により表面の繊維がばらばらに切断され滑らかな雄実表裏面および雌実内面を得ることができず、実の切削精度をあげることができないという問題認識の上、請求項1に記載した構成としたものである。
そして、そのことにより、本件考案1は、明細書の段落番号【0031】乃至【0034】に記載したように、資源の有効利用となり自然破壊の防止に役立つとともに、少なくとも表面側の硬質部を露出することにより、耐干割れ性能や表面硬度が大となり、床材として用いた場合の表面から加えられる局所的な衝撃によっても容易に凹むことがなく、また、側面に実加工を施す場合、基材の木質繊維に繊維方向が存在しないため、実の表裏面及び内面が滑らかに形成され実の切削精度が上がるという効果を奏するものと認められる。
(2)一方、刊行物1(注:特開平4-106264号公報)には上記3-1に記載したように、中質繊維板から成る基材の一側面には雄ざね部がそして他の側面には雌ざね部が設けられた床材が記載されており、刊行物1の中質繊維板は、本考案1の木質繊維板に相当することは明らかである。
そして、中質繊維板(M.D.F.)は、表面は密度(又は比重)が大きくて硬く、中心部は相対的に密度又は比重が小さくて硬くないこと、及び、当該硬い部分は表面の少し内側の部分であって、最も外側の表面は硬くない部分(プリキュア層)となっていることは、繊維板の業界において周知の技術的事項である(必要なら上記刊行物1(上記3-1(2)参照)、上記刊行物2(上記3-2(1)参照)、実願平2-10860号(実開平3-101626号)のマイクロフィルムの明細書第2頁、改訂3版「木材工業ハンドブック」丸善株式会社・平成3年2月28日第3刷発行・631?637頁・特に図9.38を参照されたい。)。
(3)そこで、本件考案1と刊行物1に記載された考案とを比較すると、両者は
「厚さ方向における中心部より比重の高い硬質部を表裏に形成された木質繊維板の、側面には実加工が施されてなる床材。」において一致しており、次の点でのみ相違していると認められる。
相違点1:本件考案1の床材の木質繊維板は、少なくとも片側の硬質部が表面に露出されているのに対し、刊行物1記載の考案の木質繊維板は、硬質部の露出について記載されていない点。
(4)しかしながら、刊行物2(注:特開昭62-225304号公報)には、中質繊維板を製造する方法に関する発明が記載されているものの、従来の製造方法においては、仕上げ工程におけるサンディングの際に、表面のプリキュア層と共に、そのすぐ内側にある高密度層も削り落としてしまうという問題があったことに鑑み、特許請求の範囲記載の製造方法とし、製造されたボードや中質繊維板について、「表面にごく近い部分の高密度層がサンディングにより削りとられる従来法のボードに比べ、本発明の方法により得られたボードは、サンディングを行った後も高密度層が残るため、サンディング後の物性の低下が防止できる。」(上記3-2(2)参照)と記載されており、このことは、サンディングによっても表面に高密度層が残ること、つまり本件考案1にいう「硬質部」を露出させることが記載されている。そして、表面に硬質部が露出されれば表面硬度が大となることは明らかである。
一方、本件考案1において、硬質部を表面に露出させた技術的意義は、表面硬度や耐干割れ性能を大とすることにあり(段落番号【0010】)、刊行物1に記載された中質繊維板の床材は、中質繊維板の表面硬さによりヒールマーク等の凹損を生じにくくするものであることから、刊行物1記載の中質繊維板の表面の硬さをより硬いものとすべく、刊行物1記載の中質繊維板に、刊行物2に記載されたようにサンディングによって表面(プリキュア層)を削り落としその内側にある硬質部を露出させるようにする技術思想を適用することは、当業者がきわめて容易に想到できたことにすぎない。
したがって、本件考案1は刊行物1及び同2に記載された考案から当業者がきわめて容易に考案できたものといえ、本件考案1は実用新案法第3条第2項に該当し実用新案登録を受けることができない。
5.本件考案2について
本件考案2は、本件考案1の床材を「床材の露出された硬質部の表面に化粧層が形成されてなる」と限定したものである。そして、明細書において、化粧層を形成した技術的意義について、「木質繊維板を基板とする床材の表面に、意匠性の向上、耐摩耗性の向上の目的で化粧層2を形成することができる。」(段落番号【0019】)、「表面に化粧層を形成した場合は、表面側の非透水性が向上するが、裏面側の硬質層も露出させることにより、硬質部の比重が高く非透水性に優れるという特性により、表面側および裏面側のどちらにおいても湿度の変化に影響されることなく一定の含水率を保持するよう調整することができ、湿度の変化に伴う反りを防止することができる。」(段落番号【0034】)と記載されている。
しかしながら、刊行物1に記載された床材にも木質繊維板の表面に化粧単板や裏打単板が貼着されており、該化粧単板等を用いることにより、意匠性が向上することは明らかであり、また、化粧単板等の貼着により「反りや歪みのないものとすることができる」ものであることから、木質繊維板の湿度の変化に伴う反りを防止するという本件考案2の作用・効果と共通するものである。
そして、本件考案2のように特に「露出された硬質部の表面に化粧層が形成され」た構成としたことによって、刊行物1に記載されたものに比べ格別の作用効果を奏するとも認められない。
したがって、本件考案2は、上記刊行物1及び2に記載されたものから当業者がきわめて容易に考案できたものであって、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。」
3.そして、上記の取消理由通知の理由は適正なものと認められる。
4.まとめ
以上のように、本件考案1及び同2は実用新案法第3条第2項に該当し、本件考案1及び同2についての実用新案登録は、いずれも拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものであるから、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-08-25 
出願番号 実願平5-13880 
審決分類 U 1 651・ 121- ZB (E04F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 井上 博之  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 藤枝 洋
宮崎 恭
登録日 1999-01-29 
登録番号 実用新案登録第2592976号(U2592976) 
権利者 株式会社ノダ
東京都台東区浅草橋5丁目13番6号
考案の名称 床材  
代理人 ▲桑▼原 史生  
代理人 濱田 俊明  
代理人 小山 廣毅  
代理人 前田 弘  
代理人 竹内 宏  
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