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審決分類 審判 全部申し立て   B65D
管理番号 1028408
異議申立番号 異議2000-72283  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-05-31 
確定日 2000-12-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第2601871号「アルミニウム箔製包装体」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2601871号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2601871号は、平成5年8月30日に出願され、平成11年10月8日に設定の登録がなされ、その後、昭和アルミニウム株式会社より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成12年11月6日に実用新案登録異議意見書が提出されたものである。

2.実用新案登録異議の申立ての概要
実用新案登録異議申立人は、下記の甲第1?6号証を提出し、本件実用新案登録の請求項1に係る考案は、甲第1号証に記載された発明と同一であって、実用新案登録を受けることができないものであり、本件実用新案登録は実用新案法第3条の2の規定に違反してなされたものであるから取り消すべきものであると主張している。
甲第1号証:特願平5-166476号[平成5年6月11日出願、平成6年12月20日出願公開(特開平6-345123号公報参照)]
甲第2号証:「最新ラミネート加工便覧」1989年6月30日加工技術研究所発行
甲第3号証:「改訂四版 分析化学便覧」平成3年11月30日丸善株式会社発行
甲第4号証:「ぶんせき」1989年No.12 日本分析化学会
甲第5号証:「ぶんせき」1991年No.6 日本分析化学会
甲第6号証:「日本金属学会誌」1983年vol.47,No.1

3.本件考案
本件実用新案登録第2601871号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】アルミニウム箔層1を具備する容器本体3と、アルミニウム箔層2を具備する蓋体4とで構成され、該容器本体3と該蓋体4とが重合されている周辺部においては、該容器本体3又は該蓋体4に設けられた熱封緘層5によって熱封緘されており、熱封緘部9において、該アルミニウム箔層1と該アルミニウム箔層2との間に形成されている、熱封緘層5を含む非アルミニウム箔層6の平面方向への透湿量が1μg/20mmφ成形品・24hr・atm以下であることを特徴とするアルミニウム箔製包装体。」

4.甲号各証に記載された事項
甲第1号証の願書に最初に添付された明細書(以下、「先願明細書」という。)には、
a.アルミニウム箔の両面に熱可塑性樹脂層を有し、かつその内面層の熱可塑性樹脂層の厚さが50μmを越えない厚さであり、アルミニウム箔の厚さが20?80μmのラミネートを張出し成形法により成形したことを特徴とするハイバリヤー成形容器(【請求項1】)
b.蓋材として、容器内面層の樹脂と接着性のある熱可塑性樹脂層を10μm以下の厚さにコートしたアルミニウム箔ラミネートを(【請求項4】)
c.シールが完全な製品にあってもシール断面を通して酸素、水分など好ましくない物質の侵入によることが分かった。(【0022】)
d.密閉した容器のフランジ部を見ると、容器の樹脂層(1)と蓋材の樹脂層(6)が積層された部分がある。これらの樹脂層はアルミニウム箔とは異なりガスバリアー性は完全でなくなり、透湿性もある物質である。この部分の水分、ガス等に対するバリアー性はこれらの樹脂層の厚さとフランジ部の長さ[平均値として外周の長さ(円形であれば直径D_(1)に対する円周)と内部接着部の長さ(D_(2)に対応する円周)の合計の1/2とする。]との積(透過断面積)に比例し、シール幅(L)(透過距離)に反比例する。(【0023】)
e.口径29mm×33mm、深さ6mm、シール部(フランジ部)の長さ130mmの角形容器に、シール樹脂をコーティングした蓋材をシール幅3.75mmで密閉し、45℃、相対湿度100%で3週間保存し、透湿度を測定した。……(測定は40℃、相対湿度90%)………透湿量は実側値(カールフィッシャー法にて測定)を示す。(【実施例】【0027】【0028】)
等の記載がなされ、【0029】【表1】には、
f.内面層に変性PPとCPP(未延伸ポリプロピレン)又はOPP(二軸延伸ポリプロピレン)を用いた実施例について透湿量が0.15μg/day及び0.09μg/dayであることが示されている。
甲第2号証には、各湿度条件における包装用フィルムの透湿度及び透湿率の表が記載されており、ポリエチレンやポリプロピレン等のフィルムの各湿度条件下での透湿度が示されている(第1102頁 表2)。
甲第3乃至6号証には、水分量の測定法としてのカールフィッシャー法について記載されている。

5.対比・判断
本件考案と先願明細書に記載された発明とを対比すると、先願明細書に記載されたハイバリヤー成形容器及び蓋材はいずれもアルミニウム箔層を具備しており(記載a及びb)、先願明細書に記載された「密閉した容器のフランジ部」は、本件考案の「容器本体3と蓋体4とが重合されている周辺部」に相当し、容器内面層の熱可塑性樹脂と蓋材の熱可塑性樹脂あるいはシール樹脂とにより熱シール(熱封緘)されて密閉状態となるものであることは明らかであり、該フランジ部において容器内面層熱可塑性樹脂と蓋材のシール樹脂とは熱シール層すなわち熱封緘層を形成するものということができるので、先願明細書には、本件考案の構成のうち、「アルミニウム箔層を具備する容器本体と、アルミニウム箔層を具備する蓋体とで構成され、該容器本体と該蓋体とが重合されている周辺部においては、該容器本体又は蓋体に設けられた熱封緘層によって熱封緘されているアルミニウム箔製包装体」(以下、「構成A」という。)が記載されているということができる。
そこで、本件考案のその他の構成である、「熱封緘部9において、該アルミニウム箔層1と該アルミニウム箔層2との間に形成されている、熱封緘層5を含む非アルミニウム箔層6の平面方向への透湿量が1μg/20mmφ成形品・24hr・atm以下である」点(以下、「構成B」という。)が、先願明細書に記載されていたか否かを検討する。
先願明細書には、上記摘示の記載e及びfによれば、上記構成Aを具備する容器でシール部の長さが130mmの時、透湿量が0.15μg/dayあるいは0.09μg/dayのものが記載されており、これを本件考案との対比のためにシール部の長さを20mmφ成形品のシール長さにして透湿量を算出するとすると、0.15(または0.09)・20・3.14/130でおおよそ0.07(または0.04)ということになり、この場合の透湿量は密閉した容器のフランジ部のアルミニウム箔以外の樹脂層の透湿性に基づくものであり(記載d)、シール部容器の内外方向すなわち平面方向の透湿量であり、特に断りがないので1atm下での測定値とすれば、先願明細書には、「シール部において、アルミニウム箔層と該アルミニウム層との間に形成されている、シール樹脂を含む非アルミニウム箔層の平面方向への透湿量が1μg/20mmφ成形品・24hr・atm以下である」ものが記載されているということができる。
しかしながら、本件考案の「透湿量」と先願明細書に記載された「透湿量」についてみると、本件考案においては、明細書の【0009】に、「本考案でいう透湿量(H_(r))は、理論値でなく、以下の測定方法で測定及び算出されたものである。」と記載され、以下【0009】【0010】に透湿量の測定方法が具体的に記載され、【0011】には、「本考案においては、前記で定義した透湿量(H_(r))が1μg/20mmφ成形品・24hr・atm以下であり」と記載されており、これらの記載によれば、本件考案における透湿量は、明細書の【0009】及び【0010】に記載された事項により特定されるものと認めるのが妥当であるところ、先願明細書において、透湿量の測定方法については、上記eに摘示した記載のみであり、該記載を精査しても、上記本件明細書の記載により特定される本件考案の透湿量について記載しているものとすることはできない。
そうすると、本件考案の「透湿量」は、先願明細書に記載された「透湿量」とはその意味するところが異なるものであり、先願明細書に、透湿量が、「1μg/20mmφ成形品・24hr・atm以下」のものが記載されていたとしても、本件考案が明細書の記載により特定するところの「透湿量」が「1μg/20mmφ成形品・24hr・atm以下」のものが記載されていたということはできず、上記構成Bは、先願明細書に記載されていなかった事項ということになる。
この点について異議申立人は、先願明細書に記載された「カールフィッシャー法」による水分量の測定技術は、当業者において周知の技術であるとして甲第3乃至6号証を提示し、データの信憑性を主張しているが、「カールフィッシャー法」が周知であり、これを容器の透湿量の測定に応用することが当業者にとって格別の困難性のないことであったとしても、そのことによって、先願明細書に記載された透湿量が、本件明細書の【0009】及び【0010】に記載されたような測定及び算出方法に基づく透湿量となることを裏付けるものではない。
また、異議申立人は、甲第2号証の記載に基づけば、本件明細書に記載されている実施例における接着剤層8、熱封緘層5、合成樹脂フィルム層7として用いられる樹脂に相当する水蒸気透過度を有する樹脂が先願明細書に記載されているから本件考案と先願明細書に記載された発明とが同一である旨主張しているが、上記のように、本件考案の構成Bは、特定の測定方法によって実測された透湿量を限定しているものであり、水蒸気透過性を同じくする樹脂が使用されていることによっても、該構成Bが記載されているということはできないので、異議申立人のこの主張も採用できない。
したがって、本件考案は、先願明細書に記載された発明と同一であるということはできないので、実用新案法第3条の2の規定により実用新案登録を受けることができないものということはできない。

6.むすび
以上のとおりであるから、異議申立人の主張する理由及び証拠によっては本件実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、上記のとおり決定する。
異議決定日 2000-12-05 
出願番号 実願平5-51982 
審決分類 U 1 651・ 161- Y (B65D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 溝渕 良一  
特許庁審判長 佐藤 雪枝
特許庁審判官 杉原 進
鈴木 美知子
登録日 1999-10-08 
登録番号 実用新案登録第2601871号(U2601871) 
権利者 日本製箔株式会社
大阪府大阪市淀川区西中島4丁目1番1号
考案の名称 アルミニウム箔製包装体  
代理人 菊地 精一  
代理人 奥村 茂樹  
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