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審決分類 審判 全部申し立て   H01Q
管理番号 1028414
異議申立番号 異議1997-72397  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1997-05-20 
確定日 2000-05-31 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2517718号「窓ガラスアンテナ」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2517718号の請求項1ないし2に係る実用新案登録を維持する。
理由 (1)手続の経緯
実用新案登録第2517718号の請求項1、2、3に係る考案についての出願は、平成2年11月6日に実用新案登録出願され、平成8年9月3日にその実用新案登録の設定登録がなされ、その後、その実用新案登録について、異議申立人旭硝子株式会社より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成9年12月22日に訂正請求がなされたものである。
(2)訂正の適否についての判断
ア.訂正明細書の請求項1、2に係る考案
訂正明細書の請求項1、2に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1、2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「(1)窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、
前記受信アンテナパターンの配設問隔を10mm以上、30mm以下とし、かつ前記複数の受信アンテナパターンの一部はその長さを異ならしめたことを特徴とする窓ガラスアンテナ。
(2)窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、
前記受信アンテナパターンの開放端側に前記端部連結パターンに対して略平行な補助パターンを設け、この補助パターンの一端側を前記端部連結パターンへ接続したことを特徴とする窓ガラスアンテナ。」
イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
実用新案登録権者が求めている訂正の内容は以下a?hのとおりである。
訂正事項a 請求項1の記載「窓ガラスに複数の受信アンテナパターンを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、前記受信アンテナパターンの配設問隔を10mm以上、30mm以下としたことを特徴とする窓ガラスアンテナ。」を、
「(1)窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、前記受信アンテナパターンの配設問隔を10mm以上、30mm以下とし、かつ前記複数の受信アンテナパターンの一部はその長さを異ならしめたことを特徴とする窓ガラスアンテナ。」と訂正するとともに、請求項2を削除する。
訂正事項b 請求項3の記載「窓ガラスに複数の受信アンテナパターンを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、前記受信アンテナパターンの開放端側に前記端部連結パターンに対して略平行な補助パターンの一端側を前記端部連結パターンへ接続したことを特徴とする窓ガラスアンテナ。」を、
「(2)窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、前記受信アンテナパターンの開放端側に前記端部連結パターンに対して略平行な補助パターンの一端側を前記端部連結パターンへ接続したことを特徴とする窓ガラスアンテナ。」と訂正する。
訂正事項c 明細書第5頁第3?11行の「平行に配置した複数の受信アンテナパターン・・・補助パターンを設けたことを特徴とする。」を、「窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、受信アンテナパターンの配設問隔を10mm以上、30mm以下とし、かつ複数の受信アンテナパターンの一部はその長さを異ならしめたことを特徴たことを特徴とする。
請求項2に係る窓ガラスアンテナは、窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、受信アンテナパターンの開放端側に端部連結パターンに対して略平行な補助パターンの一端側を端部連結パターンへ接続したことを特徴とする。」と訂正する。
訂正事項d 明細書第5頁第18?19行の「また、各受信アンテナパターンの長さを異ならしめ立てるので、」を、「また、各受信アンテナパターンの長さの一部はその長さを異ならしめたので、」と訂正する。
訂正事項e 明細書第6頁第9?10行の「窓ガラスアンテナの構造図である。」の次に、「窓ガラスアンテナ1は、窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続する。」を挿入訂正する。
訂正事項f 明細書第6頁第19?20行の「そのパターン長をそれぞれ変化させている。」を、「そのパターン長の一部はその長さを異なるよう構成する。」と訂正する。
訂正事項g 明細書第10頁第10?20行の「複数の受信アンテナパターン・・・感度を得ることができる。」を、「窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、受信アンテナパターンの配設問隔を10mm以上、30mm以下とし、かつ複数の受信アンテナパターンの一部はその長さを異ならしめたので、受信アンテナパターンの本数をむやみに増加させず、また、そのための導電材料の使用量増加を伴うことなく効果的にAM放送帯の受信感度を向上させることができるとともに、FM放送帯の全帯域に亘って感度一周波数特性を平坦にすることにより、FM放送帯の全帯域に亘って良好な受信感度を得ることができる。」と訂正する。
訂正事項h 明細書第11頁第3行「請求項3」を、「請求項2」と訂正する。
そうすると、上記訂正事項aは、明細書に記載された事項の範囲内において、請求項1に、請求項2に記載された内容を包含し、窓ガラスアンテナの構成を限定したものであり、かつ、請求項2を削除するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮に相当する。
訂正事項bは、明細書に記載された事項の範囲内において、窓ガラスアンテナの構成を限定したものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮に相当する。
訂正事項c?hは、実用新案登録請求の範囲の訂正に伴って、この訂正と整合させるためのものであり、明瞭でない記載の釈明に相当する。
また、上記訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張または変更するものでもない。
ウ.独立実用新案登録要件
訂正明細書の請求項1、2に係る考案に対して、当審が通知した取消理由で引用した、
刊行物1(「トヨタクラウン新型車解説書 品番61128」、1989年8月22日発行、6-22頁、6-31頁)には、その図面に、窓ガラスに複数の受信アンテナパターンを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、前記受信アンテナパターンの長さを異ならしめた窓ガラスアンテナが示されている。
同刊行物2(実願昭56-156221号(実開昭58-61507号公報)のマイクロフイルム)には、第16図及びその説明として、自動車後部窓用ガラス板面に第2のアンテナ6を設け、複数の受信アンテナパターンの間隔を20mmとすることが示されている。また、間隔を20mmとするのであるから、上記第2のアンテナの一端側を端部連結パターンで接続された3本の受信アンテナパターンが平行であることは明らかである。
同刊行物3(特開昭61-222302号公報)には、第1図及びその説明として、自動車のリア窓ガラス面のアンテナパターンにおいて、表面側のアンテナ素子群2a及び裏面側のアンテナ素子群2bは一対の給電点3a、3bから平衡給電を受けるとともに、垂直方向素子a、bの先端を折り曲げて水平方向の両側にのばすことが示されている。
(対比・判断)
訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、「本件請求項1に係る考案」という。)と上記刊行物1?3に記載された考案とを対比する。
上記刊行物1?3のいずれにも、本件請求項1に係る考案の、(A)窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターのみを平行に配設し、該複数のアンテナパターンの一部はその長さを異ならしめたものとする点については記載されておらず、本件請求項1に係る考案は、この点において、明細書記載の効果を奏するものである。してみれば、本件請求項1に係る考案は、上記刊行物1?3に記載されたものとはいえず、また、上記刊行物1?3に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものでもない。
訂正明細書の請求項2に係る考案(以下、「本件請求項2に係る考案」という。)と上記刊行物1?3に記載されたものを対比する。
上記刊行物1?3のいずれにも、本件請求項2に係る考案の、(B)窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを配設し、該受信アンテナパターンの開放端側に前記端部連結パターンに対して略平行な補助パターンを設ける点については記載されておらず、本件請求項2に係る考案は、この点において、明細書記載の効果を奏するものである。してみれば、本件請求項2に係る考案は、上記刊行物1?3に記載されたものといえず、また、上記刊行物1?3に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものものでない。
したがって、本件請求項1、2に係る考案は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。
エ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2?4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
(3)実用新案登録異議の申立てについての判断
ア.実用新案登録異議申立ての概要
異議申立人は、甲第1号証(上記刊行物1と同一)、甲第2号証(上記刊行物2と同一)、甲第3号証(実願昭60-80032号(実開昭61-197709号公報)のマイクロフイルム)を提出し、明細書の請求の範囲に記載された、請求項1?3に係る考案は、実用新案法第3条第1項第3号の規定により、または、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることのできないものであるから、実用新案登録を取り消すべきと主張している。
イ.判 断
上記請求項1に係る考案は、訂正により本件請求項1に係る考案となり、請求項2に係る考案は削除され、請求項3に係る考案が、本件請求項2に係る考案となった。
そして、本件請求項1、2に係る考案は、上記(2)ウ.(対比・判断)で述べたように、当審が取消理由通知で示した刊行物に記載された考案からきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
また、異議申立人は上記甲第3号証を提出しており、この甲第3号証には、第11図を参照すると、屈曲部5a、アンテナ線条7を平行に配設して、屈曲部5a、アンテナ線条7の一端部をアンテナ線条5で接続すること、屈曲部5aの長さとアンテナ線条7の長さとが異なること、および、屈曲部5a、アンテナ線条7の開放端側に屈曲部6aがあり、屈曲部6aはアンテナ線条6を介してアンテナ線条5に接続されていることが記載されていると述べているが、該アンテナにおいて、インピーダンスを調整するために付加されている補助アンテナは線状7である。
そこで、検討するに、上記甲第3号証には、上記(2)ウ.(対比・判断)で示した本件請求項1、2に係る考案の(A)、(B)の点について記載されておらず、その示唆もない。してみれば、本件請求項1、2に係る考案は、上記甲第3号証に記載されたものとはいえず、また、上記刊行物1、2および甲第3号証に記載されたものを組み合わせて、当業者かきわめて容易に考案をすることができたものとも認められない。
また、他に本件請求項1?2に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
窓ガラスアンテナ
(57)【実用新案登録請求の範囲】
(1)窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、
前記受信アンテナパターンの配設間隔を10mm以上、30mm以下とし、かつ前記複数の受信アンテナパターンの一部はその長さを異ならしめたことを特徴とする窓ガラスアンテナ。
(2)窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、
前記受信アンテナパターンの開放端側に前記端部連結がパターンに対して略平行な補助パターンを設け、この補助パターンの一端側を前記端部連結パターンへ接続したことを特徴とする窓ガラスアンテナ。
【考案の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
この考案は車両等の窓ガラスに導体を被着して受信アンテナを形成した窓ガラスアンテナの改良に関する。
(従来の技術)
第4図は実開平1-146614号公報に開示されている公知の自動車用窓ガラスアンテナの構造図である。
この自動車用窓ガラスアンテナ101は、窓ガラス102の端部から所定の距離内周側にループ状の受信アンテナパターン103a,103b,103cを複数本設けるとともに、各ループの一端部を連結し、この連結部104を受信電力の取出し部としている。
また、各受信アンテナパターン103a,103b,103cの他端側と連結部104との間には隙間105を形成し、受信アンテナパターン103b,103cはその適宜位置に隙間106,107を形成して、複数の受信アンテナパターン103a,103b,103cの実効長を夫々異ならしめている。
しかし、第4図に示した自動車用窓ガラスアンテナ101は、窓ガラス102の限られた面積内にループ状の受信アンテナパターン103a,103b,103cを配設した構造であるから、アンテナの実効長を長くすることは困難で、超短波帯のFM放送(例えば70?110MHZ)を受信するには高感度であるが、中波帯のAM放送(例えば500KHz?1.6MHZ)を受信するには、その感度が不十分である。
そこで、本出願は特願平2-187769号 (平成2年7月16日出願)で、AM放送電波の受信感度を向上させるため、第5図に示す窓ガラスアンテナを提案している。
この窓ガラスアンテナ111は、窓ガラス102に複数の受信アンテナパターン112を平行に配設し、各受信パターン112の一端を端部連結パターン113で接続して、端部連結パターン113の一端部114から受信電力を取り出すようにしたものである。
(考案が解決しようとする課題)
第5図に示した窓ガラスアンテナ111は受信アンテナパターン112を平行に配設し、アンテナのパターン面積を拡大することでAM帯の感度向上を図ろうとするものであるから、受信アンテナパターン112の本数が多くなり、ガラス102へ被着する導電柱材料の使用量が多くなる。
一方、受信アンテナパターン112の配設ピッチを短くしてもAM放送帯の感度が大幅には向上しないことが実験の結果判明した。
さらに、各受信アンテナパターン112のパターン長がすべて同一のためFM放送帯内の特定の周波数の感度が上昇し、FM放送帯内での感度差が大きくなるという問題ある。
この考案はこのような課題を解決するためなされたもので、その目的はFM放送帯、AM放送帯の双方に亘って受信性能の良好な窓ガラスアンテナを提供することにある。
(課題を解決するための手段)
前記課題を解決するため請求項1に係る窓ガラスアンテナは、窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、受信アンテナパターンの配設間隔を10mm以上、30mm以下とし、かつ前記複数の受信アンテナパターンの一部はその長さを異ならしめたことを特徴たことを特徴とする。
請求項2に係る窓ガラスアンテナは、窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、受信アンテナパターンの開放端側に端部連結パターンに対して略平行な補助パターンの一端側を端部連結パターンへ接続したことを特徴とする。
(作用)
複数の受信アンテナパターンの間隔30mm以下に狭めても、AM放送帯のアンテナ感度はそれほど向上しない(実験の結果)。また、アンテナパターンの間隔をさらに狭めて、例えば10mm以下にすると、ガラスの透視性が損なわれる。
また、各受信アンテナパターンの長さの一部はその長さを異ならしめたので、FM放送帯内の特定周波数の感度が上昇することなく、FM放送帯の全帯域に亘って感度差の小さい窓ガラスアンテナを提供することができる。
さらに、補助パターンを設けることにより94?102MHZ帯に受信感度低下を救済することができる。
(実験例)
以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて説明する。
第1図はこの考案に係る窓ガラスアンテナの構造図である。
窓ガラスアンテナ1は、窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続する。
窓ガラスアンテナ1は、窓ガラス2に受信アンテナパターンA1?A37と、端部連結パターンBと、補助パターンC,および、受信電力取出し部Dを配設してなる。各パターンA?Cおよび受信電力取出し部Dは導電ペースト材の印刷焼付け等によって形成している。
受信アンテナパターンA1?A37はそれぞれ平行に配設するとともに、そのパターン長の一部はその長さを異なるよう構成する。
各受信アンテナパターンA1A37パターン長を表1に示す。

このアンテナパターン長は、FM放送帯の全帯域が感度よく受信できるよう設定したものである。
各受信アンテナパターンA1?A37は約20mmのピッチPで配設している。
各受信アンテナパターンA1?A37の一方の端部は端部連結パターンBへ接続し、この端部連結パターンBの一端側に受信電力取出し部Dを設けている。
受信アンテナパターンAの開放端側に端部連結パターンBに対して平行な補助パターンCを設け、その一端側を補助パターン接続部CAを介して受信電力取出し部Dへ接続している。
なお、この実施例では端部連結パターンBのパターン長を766mm、補助パターンCのパターン長を725mm、補助パターンCの接続部CAのパターン長を375mmとしている。
第2図は受信アンテナパターンの配設ピッチとAM放送帯の受信感度の関係の測定結果を示すグラフである。
横軸は配設ピッチPを、縦軸はAM放送帯の受信感度を示す。
なお、測定は60dBμV/mの電界中で周波数1MHZについて行なった。
この結果、配設ピッチPを80mmから30mmへ狭めていくとAM放送帯の受信感度は上昇するが、30mm以上に狭めても感度は上昇しないことが判明した。
第3図はFM放送帯の感度一周波数特性の測定結果を示すグラフである。
第3図において横軸はFM放送帯の周波数を、縦軸はFM放送帯の感度を、実線はこの考案に係る窓ガラスアンテナ1、点線は補助パターンCを設けない時、二点鎖線は従来の窓ガラスアンテナの受信感度特性を示す。
なお、従来の窓ガラスアンテナとしては第5図に示した受信アンテナパターン長がすべて等しいものを用い、具体的にはそのパターン長を375mm一定とし、パターン本線は37本、配設ピッチPは20mmのものを用いた。
測定は垂直偏波で60dBμV/mの電界中で行なった。
その結果、各受信アンテナパターンA1?A37の長さを変化させることで広い周波数帯域に亘って受信利得が上昇し、さらに、補助パターンCを設けることによりFM放送帯の中域部分での感度低下を救済して感度偏差の少ない良好なFM受信用アンテナが得られることを確認した。
(考案の効果)
以上説明したように請求項1に係る窓ガラスアンテナは、窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、受信アンテナパターンの配設間隔を10mm以上、30mm以下とし、かつ複数の受信アンテナパターンの一部はその長さを異ならしめたので、受信アンテナパターンの本数をむやみに増加させず、また、そのための導電材料の使用量増加を伴うことなく効果的にAM放送帯の受信感度を向上させることができるとともに、FM放送帯の全帯域に亘って感度-周波数特性を平坦にすることにより、FM放送帯の全帯域に亘って良好な受信感度を得ることができる。
よって、AM放送帯とFM放送帯を兼用する窓ガラスアンテナを提供することができる。
さらに、請求項2に係る窓ガラスアンテナは、FM放送帯の中域部分での感度低下を補正する補助パターンを設けたので、FM放送帯の全域に亘って受信感度偏差の少ない良好な特性を有する窓ガラスアンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの考案に係る窓ガラスアンテナの構造図、第2図は受信アンテナパターンの配設ピッチとAM放送帯の受信感度の関係の測定結果を示すグラフ、第3図はFM放送帯の感度-周波数特性の測定結果を示すグラフ、第4図は公知の窓ガラスアンテナの構造図、第5図は他の従来例に係る窓ガラスアンテナの構造図である。
1……窓ガラスアンテナ、2……窓ガラス、A1?A37……受信アンテナパターン、B……端部連結パターン、C……補助パターン、CA……補助パターン接続部、D……受信電力取出し部、P……受信アンテナパターンの配設ピッチ。
訂正の要旨 訂正の要旨
訂正事項a 請求項1の記載「窓ガラス・・・特徴とする窓ガラスアンテナ。」を、
「(1)窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、前記受信アンテナパターンの配設問隔を10mm以上、30mm以下とし、かつ前記複数の受信アンテナパターンの一部はその長さを異ならしめたことを特徴とする窓ガラスアンテナ。」と訂正するとともに、請求項2を削除する。
訂正事項b 請求項3の記載「窓ガラス・・・特徴とする窓ガラスアンテナ。」を、
「(2)窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、前記受信アンテナパターンの開放端側に前記端部連結パターンに対して略平行な補助パターンの一端側を前記端部連結パターンへ接続したことを特徴とする窓ガラスアンテナ。」と訂正する。
訂正事項c 明細書第5頁第3?11行(公報2頁左欄40?42行)「平行に・・・特徴とする。」を、
「窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、受信アンテナパターンの配設問隔を10mm以上、30mm以下とし、かつ複数の受信アンテナパターンの一部はその長さを異ならしめたことを特徴たことを特徴とする。請求項2に係る窓ガラスアンテナは、窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、受信アンテナパターンの開放端側に端部連結パターンに対して略平行な補助パターンの一端側を端部連結パターンへ接続したことを特徴とする。」と訂正する。
訂正事項d 明細書第5頁第18?19行(公報2頁右側5?6行)「また、各受信アンテナ・・・立てるので、」を、「また、各受信アンテナパターンの長さの一部はその長さを異ならしめたので、」と訂正する。
訂正事項e 明細書第6頁第9?10行(公報2頁右側14?15行)「窓ガラスアンテナの構造図である。」の次に、「窓ガラスアンテナ1は、窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続する。」を挿入訂正する。
訂正事項f 明細書第6頁第19?20行(公報2頁右側22?23行)「そのパターン長をそれぞれ変化させている。」を、「そのパターン長の一部はその長さを異なるよう構成する。」と訂正する。
訂正事項g 明細書第10頁第10?20行(公報3頁右側6?11行)「複数の受信アンテナパターン・・・感度を得ることができる。」を、「窓ガラスの全面に亘って直線形状の複数の受信アンテナパターンのみを平行に配設し、各受信アンテナパターンの一端側を端部連結パターンで接続した窓ガラスアンテナにおいて、受信アンテナパターンの配設問隔を10回以上、30mm以下とし、かつ複数の受信アンテナパターンの一部はその長さを異ならしめたので、受信アンテナパターンの本数をむやみに増加させず、また、そのための導電材料の使用量増加を伴うことなく効果的にAM放送帯の受信感度を向上させることができるとともに、FM放送帯の全帯域に亘って感度一周波数特性を平坦にすることにより、FM放送帯の全帯域に亘って良好な受信感度を得ることができる。」と訂正する。
訂正事項h 明細書第11頁第3行(公報3頁右側18行)「請求項3」を、「請求項2」と訂正する。
異議決定日 2000-05-08 
出願番号 実願平2-116603 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (H01Q)
最終処分 維持    
前審関与審査官 村山 隆西川 正俊  
特許庁審判長 佐藤 秀一
特許庁審判官 二宮 千久
武井 袈裟彦
登録日 1996-09-03 
登録番号 実用登録第2517718号(U2517718) 
権利者 日本板硝子株式会社
大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11号
考案の名称 窓ガラスアンテナ  
代理人 下田 容一郎  
代理人 下田 容一郎  

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