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審決分類 審判 一部申し立て   G11B
審判 一部申し立て   G11B
管理番号 1028415
異議申立番号 異議1997-74511  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1997-08-26 
確定日 1999-02-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2526804号「磁気記録再生装置」の請求項1、3に係る実用新案について、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 実用新案登録第2526804号の請求項1、3に係る実用新案登録を維持する。
理由 I.手続の経緯
実用新案登録第2526804号の請求項1?3に係る考案についての出願は、平成2年8月7日に出願され、平成8年11月18日に実用新案権の設定の登録がなされ、その後、異議申立人有限会社石井興産により実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年4月28日に訂正請求がなされた後、再度の取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年11月20日に手続補正書が提出され、訂正請求書の補正がなされたものである。
II.訂正の適否について
1.訂正請求に対する補正の適否について
(1)補正の内容
実用新案登録権者が求めている補正の内容は、以下のとおりである。
a.訂正明細書の請求項1において、「この選択したメッセージを上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段と、スクロール表示する表示手段とを設けた」を「この選択したメッセージをスクロール表示可能な上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段を設けた」と補正する。
b.訂正明細書の請求項2において、「この選択メッセージを上記数桁のセグメント表示器にメッセージ表示及びスクロール表示する表示手段」を「この選択メッセージをスクロール表示可能な上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段」と補正する。
c.訂正明細書の請求項3において、「機器操作時に上記記憶メッセージを選択、表示する選択及び表示手段」を「機器操作時に上記記憶メッセージを選択する選択手段と、この選択メッセージをスクロール表示可能な上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段」と補正する。(下線は、補正部分を示す。)
d.訂正明細書の請求項1?3について、上記a.?c.のとおり補正したことに伴って、訂正明細書の考案の詳細な説明の欄についても、「(ハ)問題を解決するための手段」の項(第2頁16行?第3頁2行)において、上記各請求項の補正と同じ趣旨の補正をするものである。
(2)補正の適否
上記補正事項a.?c.は、訂正明細書の請求項1?3において、「表示手段」の表現が不明りょうであったのを明りょうにするものであるから、明りょうでない記載の釈明に該当し、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
また、上記補正事項d.は、上記請求項1?3の補正に伴って、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の欄の記載との整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明に該当し、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
したがって、当該訂正請求に対する補正は、訂正請求の要旨を変更するものではないから、当該補正を認める。
2.訂正の適否について
(1)訂正の内容
実用新案登録権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。
A.願書に添附した明細書(以下、「登録明細書」という。)の請求項1において、上記補正事項a.と同じ訂正をすると共に、さらに、「各調節器の設定状態を検出する第1の検出手段」を「各調節器の現在の設定状態を検出する第1の検出手段」と、「各調節器の操作状態を検出する第2の検出手段」を「各調節器の操作によって発生する異常操作状態を検出する第2の検出手段」と、「機器の各状態に対するメッセージ」を「機器の各異常状態に対するメッセージ」と、「機器の設定及び操作状態によって上記記憶メッセージを選択する選択手段」を「前記第1および第2の検出手段の検出結果によって上記記憶メッセージを選択する選択手段」と、それぞれ訂正する。
B.登録明細書の請求項2及び3において、上記補正事項b.及びc.と同じ訂正をする。
C.登録明細書の請求項1?3について、上記A.及びB.のとおり訂正したことに伴って、上記登録明細書の考案の詳細な説明の欄についても、「(ロ)従来技術・考案が解決しようとする問題点」の項(第3頁5?7行:実用新案登録第2526804号公報第3欄9?10行)、「(ハ)問題を解決するための手段」の項(第4頁5行?第5頁8行:同公報第3欄27?48行)、「(ニ)作用」の項(第5頁16?20行:同公報第4欄5?9行)、及び「(ホ)実施例」の項(第8頁2?3行、同10?11行、第9頁8?9行、及び同18?19行:同公報第4欄48?49行、同第5欄5?6行、21?22行、及び30?31行)においても訂正するものである。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の追加又は拡張・変更の有無
(i)訂正事項A.及びB.について
これらの訂正事項のうち、上記補正事項a.?c.と同じ訂正事項については、上記II.1.(2)に記載したと同じ理由により、またこれ以外の訂正事項については、設定状態又は操作状態等の「…状態」という用語の意味を明確に限定したものであるから、これらの訂正事項は実用新案登録請求の範囲の減縮、又は明りょうでない記載の釈明に該当し、新規事項の追加に該当せず、また実質上実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
(ii)訂正事項C.について
この訂正事項については、上記請求項1?3の訂正に伴って、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の欄の記載との整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
(3)独立登録要件の判断
(i)訂正明細書の請求項1?3に係る考案
補正された訂正明細書の請求項1?3に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「(1)数桁のセグメント表示器を備え、時刻表示や周波数表示などの表示機能を有した磁気記録再生装置において、磁気記録再生装置の各機器及びシステムの各調節器の現在の設定状態を検出する第1の検出手段と、各調節器の操作によって発生する異常操作状態を検出する第2の検出手段と、機器の各異常状態に対する各メッセージを設定記憶する記憶手段と、前記第1および第2の検出手段の検出結果によって上記記憶メッセージを選択する選択手段とを備え、この選択したメッセージをスクロール表示可能な上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段を設けたことを特徴とする磁気記録再生装置。
(2)現時刻を計測した時刻データと、この時刻データによって設定したメッセージを記憶したメッセージ記憶手段とを備え、上記時刻データによって上記記憶したメッセージを選択する選択手段と、この選択メッセージをスクロール表示可能な上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の磁気記録再生装置。
(3)機器操作において、操作手順メッセージを記憶したメッセージ記憶手段を備え、機器操作時に上記記憶メッセージを選択する選択手段と、この選択メッセージをスクロール表示可能な上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記録再生装置。」(下線は、訂正部分を示す。)
(ii)第3条第2項違反について
▲1▼刊行物
当審が通知した取消理由において引用した刊行物1〔実願昭63-36528号(実開平1-142300号)のマイクロフィルム〕、刊行物2(特開平1-154388号公報)、刊行物3(特開昭64-72608号公報)、刊行物4(特開平1-265286号公報)には、それぞれ次の事項が記載されている。
刊行物1(実開平1-142300マイクロフィルム)
刊行物1には、FL管表示器28を備え、周波数表示、チャンネル表示、入力ソース表示、及び左右の音場バランス位置表示等の表示機能を有する「オーディオ機器」が記載されており、さらに詳細にみれば次の事項についても記載されている。
(a)ユーザが入力ソース切換キーで選択した入力ソースのうちの1つ、例えば「PHONO」を選択すれば、マイクロコンピュータ22は、RAM42の入力ソース制御データSをS=O(PHONO)とし、このデータで入力セレクタ回路12を制御してプレーヤからのオーディオ入力信号を電子ボリューム14へ出力すると共に、前記入力ソース制御データSを参照して入力ソース表示データを作成し、この表示データに従いFL管表示器28の入力ソース表示領域32に「PHONO」と表示させること。(第7頁6?19行及び第18頁14行?第19頁3行)
(b)ユーザが、バランス位置を変えるために操作部24のバランス可変キーを押圧するとすると、キーオン信号がマイクロコンピュータ22に入力される。これによりマイクロコンピュータ22は、バランス位置表示がなされていないことを確認した後、現時点でのRAM42のバランス位置制御データBを参照してバランス位置表示データを作成し、この表示データに従いFL管表示器28の入力ソース表示領域32とチャンネル番号表示領域34に現時点のバランス位置を表示させる。その後、ユーザがバランス可変キーを所定時間の間オンにしなければ、マイクロコンピュータ22は、RAM42中の入力ソース制御データSを参照して入力ソース表示データを作成し、この表示データに従いFL管表示器28の入力ソース表示領域32に現時点の入力ソース、例えば「PHONO」を表示させる(バランス位置表示は消える)こと。(第9頁2?16行及び第17頁12行?第18頁6行)
(c)マイクロコンピュータ22のRAM42には、ラジオ受信時に関する受信モードデータ、受信周波数制御データ等の管理領域の外、入力ソース制御データS、バランス制御データB等の管理領域が設けられていること。(第6頁9?15行)
刊行物2(特開平1-154388)
刊行物2には、8桁の表示器を備え、種々の表示機能を有する「CD記録再生装置」において、ディスクサーチ操作又はトッラクサーチ操作の際に、それぞれのサーチ動作状態を矢印の上下方向又は左右方向の移動によりダイナミックに表示することが記載されている。
刊行物3(特開昭64-72608)
刊行物3には、スペクトル特性又は、イコライザ特性表示部11、及び受信周波数、受信バンド、カセットデッキの動作状態等を表示する表示部14を備えた「音響装置(ラジオ受信機、カセットデッキ、CDプレーヤ等)」が記載されており、さらに詳細にみれば次の事項についても記載されている。
(a)表示切換ボタン14を操作してキャラクタ表示モードにすると、記憶手段35に記憶されているアルファベット等のキャラクタの表示パターンが順次読み出され、電光掲示板のように表示部11に複数のキャラクタが順次表示される。(第4頁右上欄9行?同左下欄6行)
(b)記憶手段35には、名前、電話番号、地名、歌手名、曲名等を記憶させ、これらを表示部11に表示させることができる。(第4頁左下欄6?9行)
刊行物4(特開平1-265286)
刊行物4には、音声の再生に併せてそれに対応する文字をディスプレーに表示する「語学練習器」において、表示すべき文字列の文字総数が、ディスプレーの同時表示可能文字数を超えるときには、スクロール表示することが記載されている。(第2頁右下欄15行?第3頁左上欄10行)
▲2▼対比・判断
訂正明細書の請求項1?3に係る考案と上記刊行物1?4に記載されたそれぞれの考案とを対比すると、訂正明細書の請求項1?3に係る考案は、「磁気記録再生装置の各機器及びシステムの各調節器の操作によって発生する異常操作状態を検出する第2の検出手段と、機器の各異常状態に対する各メッセージを設定記憶する記憶手段と、前記各調節器の現在の設定状態を検出する第1の検出手段及び前記第2の検出手段の検出結果によって上記記憶メッセージを選択する選択手段とを備える」という構成を具備することによって、「機器の異常状態を素早く認識することができる」という明細書に記載の作用・効果を奏するものであるのに対して、上記刊行物1?4には上記の構成が記載されていないばかりでなく、示唆もされていない。
してみれば、訂正明細書の請求項1?3に係る発明は、上記刊行物1?4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは云えない。
(iii)第5条第3項又は第4項違反について
訂正明細書の請求項1において、各調節器の「設定状態」及び「操作状態」に関する記載を訂正し、同じく請求項1?3において、メッセージを表示する「表示手段」に関する記載を訂正すると共に、考案の詳細な説明の欄のこれらに関連する記載についても訂正したから、明細書の記載不備に関する点は解消したことになる。
してみれば、訂正明細書の請求項1?3に係る考案ついての実用新案登録は、実用新案法第5条第3項又は第4項の規定に違反するものであるとは云えない。
したがって、訂正明細書の請求項1?3に係る考案は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。
(4)むすび
以上のとおりであって、本件訂正請求は訂正の要件を満たすものであるから、当該訂正を認める。
III.実用新案登録異議の申立てについての判断
1.本件考案
平成10年11月20日付け手続補正書により補正された訂正明細書の請求項1及び3に係る考案(以下、「本件請求項1及び3に係る考案」という。)は、上記II.2.(3)(i)の請求項1及び3に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2.異議申立ての理由の概要
登録明細書の請求項1及び3に係る考案は、甲第1号証〔実願昭63-36528号(実開平1-142300号)のマイクロフィルム〕、甲第2号証(特開平1-154388号公報)、甲第3号証(特開昭64-72608号公報)、及び甲第4号証(特開平1-265286号公報)に記載されたそれぞれの考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定に違反して登録されたものである。
また、登録明細書の請求項1及び3に係る考案は、甲第5号証〔特願平1-223568号出願(特開平3-86990号)の願書に最初に添付した明細書又は図面〕に記載された発明と同一であるから、実用新案法第3条の2の規定に違反して登録されたものである。
3.第3条第2項違反についての判断
(1)甲第1?4号証に記載の考案
上記甲第1?4号証は、上記II.2.(3)(ii)▲1▼における刊行物1?4と同じものであるから、甲第1?4号証には、それぞれ刊行物1?4に記載のものと同じ考案が記載されている。
(2)対比・判断
本件請求項1及び3の係る考案は、上記II.2.(3)(ii)▲2▼において記載したと同じ理由により、上記甲第1?4号証に記載されたそれぞれの考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとは云えない。
4.第3条の2違反についての判断
(1)甲第5号証に記載された発明
甲第5号証には、8文字分の文字表示が可能な表示セグメントを有する文字表示部を備え、装置が備えている機能の説明とその機能の操作手順を前記文字表示部により表示することができる「ディスク再生装置」が記載されており、さらに詳細にみれば次に事項についても記載されている。(特に、第3頁左下欄11行?第4頁左上欄9行)
(a)説明モードキー25bとプレイキーが押されると、制御部23の機能名データ記憶部27から機能名データが読み出され文字表示部24aに機能名がスクロール表示される。
(b)次に、前記制御部23の機能名説明データ記憶部28から、先に読み出された機能名に関係する機能説明のためのデータが順次読み出され、文字表示部24aに機能説明がスクロール表示される。
(c)次に、前記制御部23の操作説明データ記憶部29から、先に読み出された機能名に関係する操作説明のためのデータが順次読み出され、文字表示部24aに操作説明がスクロール表示される。
(2)対比・判断
本件請求項1及び3に係る考案と甲第5号証に記載された発明(以下、「先願発明」という。)とを対比すると、本件請求項1及び3に係る考案は、「磁気記録再生装置の各機器及びシステムの各調節器の操作によって発生する異常操作状態を検出する第2の検出手段と、機器の各異常状態に対する各メッセージを設定記憶する記憶手段と、前記各調節器の現在の設定状態を検出する第1の検出手段及び前記第2の検出手段の検出結果によって上記記憶メッセージを選択する選択手段とを備える」という構成を具備する点において、先願発明と相違するものである。
してみれば、本件請求項1及び3に係る考案は、先願発明と同一のものであるとは云えない。
5.むすび
以上のとおりであって、本件請求項1及び3に係る考案は、甲第1?4号証に記載されたそれぞれの考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとも、また先願発明と同一のものであるとも云えないから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によって本件実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
磁気記録再生装置
(57)【実用新案登録請求の範囲】
(1)数桁のセグメント表示器を備え、時刻表示や周波数表示などの表示機能を有した磁気記録再生装置において、磁気記録再生装置の各機器及びシステムの各調節器の現在の設定状態を検出する第1の検出手段と、各調節器の操作によって発生する異常操作状態を検出する第2の検出手段と、機器の各異常状態に対する各メッセージを設定記憶する記憶手段と、前記第1および第2の検出手段の検出結果によって上記記憶メッセージを選択する選択手段とを備え、この選択したメッセージをスクロール表示可能な上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段を設けたことを特徴とする磁気記録再生装置。
(2)現時刻を計測した時刻データと、この時刻データによって設定したメッセージを記憶したメッセージ記憶手段とを備え、上記時刻データによって上記記憶メッセージを選択する選択手段と、この選択メッセージをスクロール表示可能な上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の磁気記録再生装置。
(3)機器操作において、操作手順メッセージを記憶したメッセージ記憶手段を備え、機器操作時に上記記憶メッセージを選択する選択手段と、この選択メッセージをスクロール表示可能な上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記録再生装置。
【考案の詳細な説明】
(イ)産業上の利用分野
この考案は磁気記録再生装置の表示に係り、特に機器の状態や操作などに好適な表示機能に関する。
(ロ)従来技術・考案が解決しようとする問題点
従来より、磁気記録再生装置は表示部に数桁のセグメント表示器を備え、カウンタ表示として時刻表示や周波数表示などを行なっている。
一般に、この表示器は4?5桁の14セグメント表示器が使用され、14セグメント表示器であればアルファベット文字及び数字、主な記号などの全てを表示することができる。
しかし、上記した従来の磁気記録再生装置の表示は、磁気記録再生装置を構成する各機器やシステムの現在の設定状態における異常操作状態を表示することをしてなかったので、例えば録音キーを押した時にテープの誤録音防止ツメが折られていて、上記録音キー機能が無効になっていてもユーザは、この無効原因を知ることができなかった。
このため、ユーザは何故録音キーが無効になったか調べる必要が生じ、この原因追及に多くの時間が掛かるという欠点があった。
また、システム構成になった音響装置では、磁気記録再生装置と通信線で結線された、例えばパワーアンプの入力セレクタがテープにある時、前記同様、録音キーを操作しても録音キー機能が無効となってしまうという欠点があった。
この考案は上記した点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは従来例の欠点を解消し、機器の設定状態や操作状態などをメッセージ表示することのできる磁気記録再生装置を提供するところにある。
(ハ)問題を解決するための手段
第1図はこの考案の構成を示す機能ブロック図であり、この考案の磁気記録再生装置は数桁のセグメント表示器を備え、時刻表示や周波数表示などの表示機能を有した磁気記録再生装置において、磁気記録再生装置の各機器及びシステムの各調節器の現在の設定状態を検出する第1の検出手段と、各調節器の操作によって発生する異常操作状態を検出する第2の検出手段と、機器の各異常状態に対する各メッセージを設定記憶する記憶手段と、前記第1および第2の検出手段の検出結果によって上記記憶メッセージを選択する選択手段とを備え、この選択したメッセージをスクロール表示可能な上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段を設けたものである。また現時刻を計測した時刻データと、この時刻データによって設定したメッセージを記憶したメッセージ記憶手段とを備え、上記時刻データによって上記記憶メッセージを選択する選択手段と、この選択メッセージをスクロール表示可能な上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段を設けたものである。
また、機器操作において、操作手順メッセージを記憶したメッセージ記憶手段を備え、機器操作時に上記記憶メッセージを選択する選択手段と、この選択メッセセージをスクロール表示可能な上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段を設けたものである。
(ニ)作用
この考案の作用を第1図の機能ブロック図を用いて説明する。
例えば、4?5桁の14セグメント表示器を備え、通常使用時は時刻表示や周波数表示などの表示機能を有した磁気記録再生装置において、磁気記録再生装置内のマイクロコンピュータ(以下、単にマイコンという)は、各機器及びシステムアップした磁気記録再生装置を含んだ音響装置の各調節器の現在の設定状態を検出し(第1の検出手段1)、ユーザが機器の操作をした時、マイコンは各調節器の操作によって発生する異常操作状態を検出する(第2の検出手段2)。一方、機器の各設定状態や操作状態に対する各メッセージを予め設定し、このメッセージを内部メモリに記憶する(記憶手段3)。
上記機器の設定及び操作状態によって上記記憶メッセージを選択し(メッセージ選択手段4)、この選択したメッセージを上記4?5数桁の14セグメント表示器で表示する(メッセージ表示手段5)。
上記表示手段で表示できない長いメッセージ表示をするため、4?5桁の表示器にスクロール表示する(表示手段6)。
この様に、機器の設定及び操作状態をメッセージ表示することにより、ユーザは戸惑うこと無く機器の設定及び操作を正確に、しかも簡単に実行することができる。
また、現時刻を計測した時刻データ7と、この時刻データによって設定したメッセージ9を前記同様、選択表示4,5,6することができる。
また、機器操作において、操作手順データ8によるメッセージ9を前記同様、選択表示4,5,6することができる。
この様に、機器操作の他にユーザが便利になる事項をメッセージ記憶し、いろいろなデータからデータに合わせたメッセージを4?5桁の14セグメント表示器でスクロール表示を伴って表示することができ、使用上の便宜を図ると共に誤動作の防止にもなる。
(ホ)実施例
この考案に係る磁気記録再生装置の実施例を第1図乃至第3図に基づいて説明する。
第1図は機能ブロック図、第2図は他の実施例の機能ブロック図、第3図はハードウエアのブロック図である。
図において、10はマイクロコンピュータ(以下、単にマイコンという)より制御される磁気記録再生装置の録音再生回路、11はマイコンより制御される録音再生メカニズム、12は各回路を制御するマイコン、13はマイコン12に入力指示するための操作キー部、14はマイコン12で制御される磁気記録再生装置の例えば、数桁のセグメント表示器を用いた表示部である。
磁気記録再生装置の録音再生回路10及び録音再生メカニズム11の現在の設定状態をマイコン12で検出し(第1の検出手段1)、例えばユーザが操作キー部13の録音キーを操作して磁気記録再生装置を録音モードに設定し、録音再生メカニズム11に録音テープを装着して録音する場合、この操作状態をマイコン12が検出する(第2の検出手段2)。
今、録音再生メカニズム11に装着した録音テープが録音防止ツメ折れテープであり、録音キー操作で録音状態に設定されない時、この場合第1の検出手段1の検出結果における第2の検出手段2の検出結果から異常操作状態であることが検出されることとなり、予め各操作状態に対するメッセージを記憶したマイコン12内のメモリ(図示せず)から、例えば「Error PLEASE CHANGE TAPE」の記憶メッセージを呼び出し(メッセージ選択手段4)、数桁のセグメント表示器で構成した表示部14で表示する(メッセージ表示手段5)。
但し、例えば表示部14が5桁の14セグメント表示器である場合、上記メッセージを表示することができないため、マイコン12はスクロール表示動作を行なって上記メッセージをスクロール表示することができる。
即ち、録音キーを操作したユーザは磁気記録再生装置が録音モードにならない原因が録音テープに原因していることを知ることができ、デープ交換をしなければいけないことを認識する。
また、例えばパワーアンプの入力セレクタが「TAPE」ポジションに設定されている時、録音キーを操作してユーザが録音しようとすると、第1の検出手段1は現在の設定状態として「TAPE」であることを検出し、第2の検出手段2は、操作状態として「録音」を検出するので、第1の検出手段1の検出結果における第2の検出手段2の検出結果から異常操作状態であることが検出されることになり、前記同様、例えば「Error CHANGE INPUT」の記憶メッセージを呼出し表示、又はスクロール表示し、ユーザはパワーアンプの入力セレクタが設定ミスであることを知ることができる。また、磁気記録再生装置がCDプレーヤなどとシステムアップされていて、CDプレーヤとの連携動作を行なう場合、例えば連携動作用の録音スタートキー(CCRS-Key)を操作して、CDプレーヤからの音響信号を録音する場合、一定時間経過してもCDプレーヤからの応答が無い時、第1の検出手段1が「連係動作用の録音操作」を検出し、第2の検出手段が「一定時間経過してもCDプレーヤの応答が無い」ことを検出するので第1の検出手段1の検出結果における第2の検出手段2の検出結果から異常操作状態であることが検出されることになり、例えば「Error CD PLAYER FAULT」の記憶メッセージを読み出し表示することにより、前記同様、ユーザは磁気記録再生装置とCDプレーヤとの接続が正しく成されていないか、又はCDプレーヤに電源が入ってい無いかなどの過失を知ることができる。
更に、CDプレーヤにCDディスクが装着されていない時、連携用録音スタートキーを操作しても前記同様、CDプレーヤからの応答がないため、例えば「Error PLEASE INSERT DISC」のメッセージがスクロール表示され、ユーザはCDディスクが装着されていないことを知ることができる。
この様に、磁気記録再生装置又はシステム装置の操作において、機器の設定や取り扱い上の異常状態が直に表示され、ユーザが正確に対処することができる。
(実施例2)
前記操作上の異常状態のみでなく、マイコン12による時刻データ7から、この時刻データ7に合わせたメッセージをメモリに予め記憶しておけば、この記憶メッセージを表示することができる。例えば、朝一番にパワーオンした時、「GOOD MORNING」などのメッセージを磁気記録再生装置の表示部14でスクロール表示することができる。
また、実際の装置の使用時、機器の異常状態だけでなく、多様化したシステム機器の取扱上複雑になった操作手順を、今ユーザが操作した後の操作データ8に合わせたメッセージを表示することにより、ユーザは簡単に順序良く操作することができる。
その他、磁気記録再生装置の取り扱い上、必要事項を想定し、この必要事項に合致したメッセージを予めマイコン12のメモリに記憶しておけば、機器使用時の設定又は操作などのデータから必要事項のメッセージを選択呼出して、スクロール表示などで磁気記録再生装置の表示部14に表示することができる。
(へ)考案の効果
この考案に係る磁気記録再生装置は前述のように、全ての必要事項をメッセージでスクロール表示することができるので、複雑な取り扱い上の機器の設定、操作などを容易に、しかも正確に操作することができ、機器の異常状態も素早く認識することができるという効果がある。
また、機器の設定や操作上の事項だけでなく、ユーザに対する他の情報などもメッセージ表示することができるという効果もある。
しかも、構造が簡単であって、また、安価に構成することができるため実施も容易であるなどの優れた特長を有している。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第3図はこの考案に係る磁気記録再生装置の実施例を示し、第1図は機能ブロック図、第2図は他の実施例の機能ブロック図、第3図はハードウエアのブロック図である。
主な符号の説明
10:磁気記録再生装置の録音再生回路、11:磁気記録再生装置の録音再生メカニズム、12:マイクロコンピュータ(マイコン)、13:マイコンの操作キー部、14:磁気記録再生装置の表示部。
訂正の要旨 訂正の要旨
1.請求項1において、明りようでない記載の釈明を目的として、「各調節器の設定状態を検出する第1の検出手段」とあったものを「各調節器の現在の設定状態を検出する第1の検出手段」と訂正し、「各調節器の操作状態を検出する第2の検出手段」とあったものを「各調節器の操作によって発生する異常操作状態を検出する第2の検出手段」と訂正し、「機器の各状態に対するメッセージ」とあったものを「機器の各異常状態に対するメッセージ」と訂正し、「機器の設定及び操作状態によって上記記憶メッセージを選択する選択手段」を「前記第1及び第2の検出手段の検出結果によって上記記憶メッセージを選択する選択手段」と訂正する。
2、請求項1において、「上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段と、スクロール表示する表示する表示手段とを設けた」とあったものを、明りようでない記載の釈明を目的として、「スクロール表示可能な上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段を設けた」と訂正し、請求項2において、「この選択メッセージを上記数桁のセグメント表示器にメッセージにメッセージ表示及びスクロール表示する表示手段」とあったものを、明りようでない記載の釈明を目的として、「この選択メッセージをスクロール表示可能な上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段」と訂正し、請求項3において「機器操作時に上記記憶メッセージを選択、表示する選択及び表示手段を設けた」とあったものを、明りようでない記載の釈明を目的として、「機器操作時に上記記憶メッセージを選択する選択手段と、この選択メッセージをスクロール表示可能な上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段を設けた」と訂正する。
3.明細書の第3頁第5行乃至第7行の「システムの設定状態や操作状態を表示することができなかったので、」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「システムの現在の設定状態における異常操作状態を表示することをしてなかったので、」と訂正する。
4、明細書の第4頁第5行乃至第5頁第8行の「第1図はこの?設けたものである。」を、明りようでない記載の釈明を目的として、次のとおり訂正する。
「第1図はこの考案の構成を示す機能ブロック図であり、この考案の磁気記録再生装置は数桁のセグメント表示器を備え、時刻表示や周波数表示などの表示機能を有した磁気記録再生装置において、磁気記録再生装置の各機器及びシステムの各調節器の現在の設定状態を検出する第1の検出手段と、各調節器の操作によって発生する異常操作状態を検出する第2の検出手段と、機器の各異常状態に対する各メッセージを設定記憶する記憶手段と、前記第1および第2の検出手段の検出結果によって上記記憶メッセージを選択する選択手段とを備え、この選択したメッセージをスクロール表示可能な上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段を設けたものである。また現時刻を計測した時刻データと、この時刻データによって設定したメッセージを記憶したメッセージ記憶手段とを備え、上記時刻データによって上記記憶メッセージを選択する選択手段と、この選択メッセージをスクロール表示可能な上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段を設けたものである。
また、機器操作において、操作手順メッセージを記憶したメッセージ記憶手段を備え、機器操作時に上記記憶メッセージを選択する手段と、この選択メッセージをスクロール表示可能な上記数桁のセグメント表示器で表示する表示手段を設けたものである。」
5、明細書の第5頁第18行乃至第20行の「各調節器の設定状態を検出し(第1の検出手段1)、ユーザが機器の操作をした時、マイコンは各調節器の操作状態を検出する」を、明りようでない記載の釈明を目的として、次のとおり訂正する。
「各調節器の現在の設定状態を検出し(第1の検出手段1)、ユーザが機器の操作をした時、マイコンは各調節器の操作によって発生する異常操作状態を検出する」
6、明細書の第8頁第3行の「メカニズム11の設定状態」を、明りようでない記載の釈明を目的と「メカニズム11の現在の設定状態」と訂正する。
7、明細書の第8頁第11行の「設定されない時、」を、明りようでない記載の釈明を目的として、次のとおり訂正する。
「設定されない時、この場合第1の検出手段1の検出結果における第2の検出手段2の検出結果から異常操作状態であることが検出されることとなり、」
8、明細書の第9頁第9行の「録音しようとすると、」を、明りようでない記載の釈明を目的として、次のとおり訂正する。
「録音しようとすると、第1の検出手段1は現在の設定状態として「TAPE」であることを検出し、第2の検出手段2は、操作状態として「録音」を検出するので、第1の検出手段1の検出結果における第2の検出手段2の検出結果から異常操作状態であることが検出されることとなり、
9、明細書の第9頁第19行の「応答が無い時、」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、次のとおり訂正する。
「応答が無い時、第1の検出手段1が「連係動作用の録音操作」を検出し、第2の検出手段が「一定時間経過してもCDプレーヤの応答が無い」ことを検出するので第1の検出手段1の検出結果における第2の検出手段2の検出結果から異常操作状態であることが検出されることになり、」
異議決定日 1999-01-28 
出願番号 実願平2-83110 
審決分類 U 1 652・ 121- YA (G11B)
U 1 652・ 161- YA (G11B)
最終処分 維持    
前審関与審査官 相馬 多美子  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 阿部 利英
犬飼 宏
登録日 1996-11-18 
登録番号 実用登録第2526804号(U2526804) 
権利者 株式会社ケンウッド
東京都渋谷区道玄坂1丁目14番6号
考案の名称 磁気記録再生装置  

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