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審決分類 |
審判 全部申し立て E04F |
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管理番号 | 1028416 |
異議申立番号 | 異議1999-73462 |
総通号数 | 16 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-04-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-09-07 |
確定日 | 2000-06-19 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 登録第2591641号「根太ユニット」の請求項1及び2に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 登録第2591641号の請求項1及び2に係る実用新案登録を維持する。 |
理由 |
一.手続きの経緯 本件実用新案登録第2591641号考案は、平成5年5月24日に実用新案登録出願され、平成10年12月25日にその実用新案の設定登録がなされ、その後、丸岡巧一と石田さゆりより登録異議の申立てがなされ、次いで、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年2月15日に訂正請求がなされたものである。 二.訂正の適否についての判断 1.訂正請求の趣旨及び内容 上記訂正請求の趣旨は、実用新案登録第2591641号の明細書(以下、「登録明細書」という。)を訂正請求書に添付した全文訂正明細書のとおり訂正することを求めることである。 訂正の内容は以下のとおりである。 (a)訂正事項1 実用新案登録請求の範囲の請求項1の、 「ユニット支持脚群と正方形及び/又は長方形の床パネル群とを組み合せて用いて床パネルの敷設を行う乾式二重床の施工に用いる根太ユニットにおいて、中央部に貫通孔を有する所定長さの断面矩形の根太部材と、下端部に側方に拡張された支持部を有し、上記根太部材の貫通孔に嵌合される支持ナットと、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性台座を有し、上部ネジ部が上記支持ナットに螺合される支持脚とから成る単一脚根太ユニットと、該単一脚根太ユニットの根太部材の長さよりも長く、所定の間隔をおいて少なくとも2つの平行な貫通孔を有する断面矩形の根太部材と、下端部に側方に拡張された支持部を有し、上記根太部材の貫通孔に嵌合される少なくとも2つの支持ナットと、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性台座を有し、上部ネジ部が上記支持ナットに螺合される少なくとも2本の支持脚とから成る複数脚根太ユニットとの組合せからなる根太ユニット。」との記載を、 「ユニット支持脚群と正方形及び/又は長方形の床パネル群とを組み合せて用いて床パネルの敷設を行う乾式二重床の施工に用いる根太ユニットにおいて、中央部に貫通孔を有する所定長さの断面矩形の根太部材と、下端部に側方に拡張された支持部を有し、上記根太部材の貫通孔に嵌合される支持ナットと、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性台座を有し、上部ネジ部が上記支持ナットに螺合される支持脚とから成る単一脚根太ユニットであって、隣接する床パネルの端縁部間の下にこれら床パネル間に跨るように設置される単一脚根太ユニットと、該単一脚根太ユニットの根太部材の長さよりも長く、所定の間隔をおいて少なくとも2つの平行な貫通孔を有する断面矩形の根太部材と、下端部に側方に拡張された支持部を有し、上記根太部材の貫通孔に嵌合される少なくとも2つの支持ナットと、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性台座を有し、上部ネジ部が上記支持ナットに螺合される少なくとも2本の支持脚とから成る複数脚根太ユニットとの組合せからなる根太ユニット。」と訂正する。 (b)訂正事項2 登録明細書段落【0007】(登録公報第4欄第45行)の「単一脚根太ユニット」との記載を、「単一脚根太ユニットであって、隣接する床パネルの端縁部間の下にこれら床パネル間に跨るように設置される単一脚根太ユニット」と訂正する。 2.訂正の目的の適否、及び新規事項・拡張・変更の存否 上記訂正事項1は、実用新案登録請求の範囲の請求項1において、「単一脚根太ユニット」の構成を限定したものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当し、 上記訂正事項2は、上記訂正事項1による実用新案登録請求の範囲の減縮に伴い生じる、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の記載との不整合を回避するために行う、明りょうでない記載の釈明に該当するものということができる。 そして、上記訂正により実用新案登録請求の範囲に追加された事項の、「隣接する床パネルの端縁部間の下にこれら床パネル間に跨るように設置される単一脚根太ユニット」は、登録明細書段落【0011】(登録公報第6欄第15?21行)及び第4図に記載されているから、訂正事項1及び2で訂正した事項は、願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内の訂正であり、また、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 3.独立登録要件の判断 (1)訂正後の考案 本件訂正後の請求項1及び2に係る考案は、上記訂正請求により提出された全文訂正明細書(以下、単に「訂正明細書」という。)の実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2に記載された次のとおりのものと認められる。 「【請求項1】ユニット支持脚群と正方形及び/又は長方形の床パネル群とを組み合せて用いて床パネルの敷設を行う乾式二重床の施工に用いる根太ユニットにおいて、中央部に貫通孔を有する所定長さの断面矩形の根太部材と、下端部に側方に拡張された支持部を有し、上記根太部材の貫通孔に嵌合される支持ナットと、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性台座を有し、上部ネジ部が上記支持ナットに螺合される支持脚とから成る単一脚根太ユニットであって、隣接する床パネルの端縁部間の下にこれら床パネル間に跨るように設置される単一脚根太ユニットと、該単一脚根太ユニットの根太部材の長さよりも長く、所定の間隔をおいて少なくとも2つの平行な貫通孔を有する断面矩形の根太部材と、下端部に側方に拡張された支持部を有し、上記根太部材の貫通孔に嵌合される少なくとも2つの支持ナットと、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性台座を有し、上部ネジ部が上記支持ナットに螺合される少なくとも2本の支持脚とから成る複数脚根太ユニットとの組合せからなる根太ユニット。」(以下、「本件訂正考案1」という。) 「【請求項2】上記単一脚根太ユニット及び複数脚根太ユニットの各根太部材の一側面に両面粘着テープが貼着されている請求項1に記載の根太ユニット。」(以下、「本件訂正考案2」という。) (2)刊行物1記載の考案 当審が通知した取消理由で引用した、本件登録実用新案の出願前に頒布された刊行物1(特開平3-17348号公報。)には、公報第3頁左下欄第1行?第4頁左上欄第1行、及び第4頁右上欄第3行?左下欄第6行、並びに第1?4,12?15図の記載からみて、 「中央部に穴を有する受け板と、穴に設けられたナットと、上部にネジ部が形成されていると共に下端にゴム台座を有し、上部ネジ部が上記ナットに螺合される脚部とから成る支持ブロック群と、長方形の床パネル群とを組み合せて用いて床パネルの敷設を行う乾式二重床の施工に用いる根太ユニットにおいて、所定の間隔をおいて2つの平行な貫通穴を有する断面矩形の根太部材と、上記根太部材の貫通穴に挿入される2つのナットと、上部にネジ部が形成されていると共に下端にゴム台座を有し、上部ネジ部が上記ナットに螺合される2本の支持脚とから成る根太ユニット。」 の考案が記載されているものと認められる。 また、刊行物1には、公報第4頁右下欄第2?7行の記載からみて、 「根太部材の側面に、発泡性樹脂などの両面に両面接着性のテープを付けた緩衝材を貼ること」 の構成事項が記載されているものと認められる。 (3)対比・判断 (本件訂正考案1について) そこで、本件訂正考案1と上記刊行物1に記載の考案とを対比すると、刊行物1に記載の考案の「支持ブロック」、「貫通穴」、「ナット」及び「ゴム台座」は、その機能からみて、本件訂正考案1の「ユニット支持脚」、「貫通孔」、「支持ナット」及び「弾性台座」にそれぞれ相当するから、両者は、ユニット支持脚群と長方形の床パネル群とを組み合せて用いて床パネルの敷設を行う乾式二重床の施工に用いる根太ユニットにおいて、所定の間隔をおいて2つの平行な貫通孔を有する断面矩形の根太部材と、上記根太部材の貫通孔に嵌合される2つの支持ナットと、上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性台座を有し、上部ネジ部が上記支持ナットに螺合される2本の支持脚とから成る根太ユニットである点で一致し、以下の相違点で相違する。 〈相違点1〉 本件訂正考案1が、単一脚根太ユニットと複数脚根太ユニットとからなり、単一脚根太ユニットは、中央部に貫通孔を有する所定長さの断面矩形の根太部材と、下端部に側方に拡張された支持部を有し、上記根太部材の貫通孔に嵌合される支持ナットと、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性台座を有し、上部ネジ部が上記支持ナットに螺合される支持脚とから成るのに対し、刊行物1に記載の考案は、単一脚根太ユニットを有しておらず、複数脚根太ユニットのみからなる点。 〈相違点2〉 支持ナットについて、本件訂正考案1が、下端部に側方に拡張された支持部を有しているのに対し、刊行物1に記載の考案は、支持部を有しているか不明な点。 上記相違点について検討する。 相違点1について、刊行物1には、中央部に穴を有する受け板と、穴に設けられたナットと、上部にネジ部が形成されていると共に下端にゴム台座を有し、上部ネジ部が上記ナットに螺合される(1本の)脚部とから成る支持ブロックが記載されているとともに、本件訂正考案1の複数脚根太ユニットとほぼ同一の根太ユニットも記載されている。しかしながら、支持ブロックと根太ユニットはともに床パネルを支持するものであるとしても、その用いる目的、用途が異なるとともに、所定長さの断面矩形の根太部材と受け板とではその構成がかなり異なるから、2本の支持脚からなる複数脚根太ユニットの支持脚を1本とし、その長さを短くして、単一脚根太ユニットとすることは、当業者といえどもきわめて容易に想到しうることとはいえない。してみれば、刊行物1に記載の考案を、本件訂正考案1における相違点1に係る構成とすることは、当業者がきわめて容易に想到しうることとはいえない。 そして、本件訂正考案1は、上記構成を有することにより、訂正明細書に記載の格別顕著な効果を奏するものである。 したがって、本件訂正考案1は、上記相違点2について検討するまでもなく、上記刊行物1に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとはいえない。 そして、他に本件訂正考案1が独立して実用新案登録を受けることができない理由を発見しない。 よって、本件訂正考案1は実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができる考案ということができる。 (本件訂正考案2について) 本件訂正考案2は、本件訂正考案1の構成要件を限定したものであるから、上記「(本件訂正考案1について)」でしたと同様の対比、判断により、本件訂正考案2は、上記刊行物1に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとはいえない。 そして、他に本件訂正考案2が独立して実用新案登録を受けることができない理由を発見しない。 よって、本件訂正考案2は実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができる考案ということができる。 4.むすび 以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2?4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 三.登録異議の申立てについての判断 1.登録異議申立ての理由の概要 (1)登録異議申立人の丸岡巧一は、 登録明細書の実用新案登録請求の範囲に記載の請求項1及び2に係る考案は、本件登録実用新案の出願前に頒布された甲第1号証(特開昭57-74466号公報)、甲第2号証(実願昭58-55348号(実開昭59-160732号)のマイクロフィルム)、甲第3号証(特開昭57-15766号公報)及び甲第4号証(特開平3-17348号公報)に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、その実用新案登録を取り消すべき旨を主張している。 (2)登録異議申立人の石田さゆりは、 登録明細書の実用新案登録請求の範囲に記載の請求項1及び2に係る考案は、本件登録実用新案の出願前に頒布された甲第1号証(特開平3-17348号公報)に基いて、若しくは甲第1号証、甲第2号証(特公昭61-60945号公報)及び甲第3号証(特開平2-176069号公報)に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、その実用新案登録を取り消すべき旨を主張している。 2.甲号証記載の考案 (1-1)申立人丸岡巧一が提出した甲第1号証 甲第1号証には、公報第2頁左上欄第7?12行、第2頁右上欄第12?16行、第3頁左上欄第7?12行、第3頁右上欄第1?15行、及び第3頁左下欄第18行?右下欄第4行の記載、並びに第1?3図の記載からみて、次の考案が記載されているものと認められる。 「支持装置A,A群と長方形のパネル状床部材Pとを組み合せて用いて床パネルの敷設を行う防振浮床の施工に用いる支持装置であって、中央部に貫通孔を有する支持部材1と、下端部に側方に拡張された鍔を有し、上記支持部材1の貫通孔に嵌合される雌ねじ部材8と、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に防振材2を有し、上部ネジ部が上記雌ねじ部材8に螺合される高さ調整具3とから成り、相隣る2枚又は4枚の床部材をその対向端縁近くで共通に支持する支持装置。」 (1-2)同甲第2号証 甲第2号証には、明細書第3頁第10?17行、及び第6頁第14行?第7頁第3行、並びに第1?5図の記載からみて、次の考案が記載されているものと認められる。 「支持装置4群と長方形のパネル5とを組み合せて用いて床パネルの敷設を行う床下地の施工に用いる支持装置であって、中央部に貫通孔を有する支承部材2と、下端部に側方に拡張された鍔を有し、上記支承部材2の貫通孔に嵌合されるナット等の雌ねじ23と、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性体で形成された支承部材3を有し、上部ネジ部が上記雌ねじ23に螺合されるボルト等の支持杆部材1とから成る支持装置。」 (1-3)同甲第3号証 甲第3号証には、公報第2頁左上欄第11行?右上欄第7行の記載、及び第1?5図の記載からみて、次の考案が記載されているものと認められる。 「置床工法の施工に用いる支持脚を備えた床下地材であって、長尺であって所定の間隔で複数の遊孔2を有する断面矩形の長尺の床下地材Aと、下端部に側方に拡張されたフランジ状鍔部4を有し、上記床下地材の貫通孔に嵌合される雌ねじ材3と、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端にゴム弾性体5を有し、上部ネジ部が上記雌ねじ材3に螺合される螺杆6’とから成る支持脚6を備えた床下地材。」 (1-4)同甲第4号証 甲第4号証(上記刊行物1)には、上記「二 訂正の適否についての判断 3.独立登録要件の判断 (2)刊行物1記載の考案」の項に記載された考案が記載されている。 (2-1)申立人石田さゆりが提出した甲第1号証 甲第1号証(上記刊行物1)には、上記「二 訂正の適否についての判断 3.独立登録要件の判断 (2)刊行物1記載の考案」の項に記載された考案が記載されている。 (2-2)同甲第2号証 甲第2号証には、公報の特許請求の範囲、第5欄第12?17行、及び第5欄第30?35行、並びに第1?3図の記載からみて、次の考案が記載されているものと認められる。 「支持装置A,A群と長方形のパネル状床部材Pとを組み合せて用いて床パネルの敷設を行う浮床の施工に用いる支持装置であって、中央部に貫通孔を有する支持部材1と、下端部に側方に拡張された鍔を有し、上記支持部材1の貫通孔に嵌合される雌ねじ孔を形成したボス部8と、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に防振材2を有し、上部ネジ部が上記ボス部8の雌ねじ孔に螺合される高さ調整具3とから成り、相隣る2枚又は4枚の床部材をその対向端縁近くで共通に支持する支持装置。」 (3-3)同甲第3号証 甲第3号証には、公報第2頁右下欄第10行?第3頁左上欄第7行、及び第1?8図の記載からみて、次の考案が記載されているものと認められる。 「支持装置1群とフロアパネル2とを組み合せて用いてフロアパネルの敷設を行うフロアパネルの施工に用いる支持装置であって、中央部に貫通孔を有するパネル受け台8と、高さ調整脚部材6と、受台基板4とからなり、相隣る2枚又は4枚のフロアパネルをそのコーナー部が集合する位置で共通に支持する支持装置。」 3.当審の判断 (1)申立人丸岡巧一の主張について (本件訂正考案1について) そこで、本件訂正考案1と申立人丸岡巧一の提出した上記甲第1?4号証に記載の各考案とを対比すると、本件訂正考案1は、「中央部に貫通孔を有する所定長さの断面矩形の根太部材と、下端部に側方に拡張された支持部を有し、上記根太部材の貫通孔に嵌合される支持ナットと、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性台座を有し、上部ネジ部が上記支持ナットに螺合される支持脚とから成る単一脚根太ユニット」を有し、単一脚根太ユニットと複数脚根太ユニットを組合わせているのに対し、上記甲第1?4号証のいずれにも、上記構成が記載されておらず、それを示唆するところもない。尚、申立人は、甲第1号証の「支持部材1」及び甲第2号証の「支承部材2」が、「根太部材」に相当するものと主張しているが、その用いる目的、用途が異なるとともに、所定長さの断面矩形の根太部材とはその構成がかなり異なるから、甲第1及び2号証の上記のものが根太部材に相当するものとは認められず、上記主張は採用できない。 そして、本件訂正考案1は、上記構成を有することにより、訂正明細書に記載の格別顕著な効果を奏するものである。 したがって、本件訂正考案1は、上記甲第1?4号証に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとはいえない。 (本件訂正考案2について) 本件訂正考案2は、本件訂正考案1の構成要件を限定したものであるから、上記「(本件訂正考案1について)」でしたと同様の対比、判断により、本件訂正考案2は、上記甲第1?4号証に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとはいえない。 (2)申立人石田さゆりの主張について (本件訂正考案1について) 次に、本件訂正考案1と申立人石田さゆりの提出した上記甲第1?3号証に記載の各考案とを対比すると、本件訂正考案1は、「中央部に貫通孔を有する所定長さの断面矩形の根太部材と、下端部に側方に拡張された支持部を有し、上記根太部材の貫通孔に嵌合される支持ナットと、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性台座を有し、上部ネジ部が上記支持ナットに螺合される支持脚とから成る単一脚根太ユニット」を有し、単一脚根太ユニットと複数脚根太ユニットを組合わせているのに対し、上記甲第1?3号証のいずれにも、上記構成が記載されておらず、それを示唆するところもない。尚、申立人は、甲第1号証の「受け板13」、甲第2号証の「支持部材1」、及び甲第3号証の「支持装置1」が、「根太部材」に相当するものと主張しているが、その用いる目的及び用途が異なるとともに、所定長さの断面矩形の根太部材とはその構成がかなり異なるから、甲第1?3号証の上記のものが根太部材に相当するものとは認められず、上記主張は採用できない。 そして、本件訂正考案1は、上記構成を有することにより、訂正明細書に記載の格別顕著な効果を奏するものである。 したがって、本件訂正考案1は、上記甲第1号証に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとはいえず、又上記甲第1?3号証に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものともいえない。 (本件訂正考案2について) 本件訂正考案2は、本件訂正考案1の構成要件を限定したものであるから、上記「(本件訂正考案1について)」でしたと同様の対比、判断により、本件訂正考案2は、上記甲第1号証に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとはいえず、又上記甲第1?3号証に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものともいえない。 四.むすび 以上のとおりであるから、登録異議申立人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件訂正後の請求項1及び2に係る考案(本件訂正考案1及び2)の実用新案登録を取り消すことはできず、また、他に上記本件訂正考案1及び2の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 根太ユニット (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 ユニット支持脚群と正方形及び/又は長方形の床パネル群とを組み合せて用いて床パネルの敷設を行う乾式二重床の施工に用いる根太ユニットにおいて、中央部に貫通孔を有する所定長さの断面矩形の根太部材と、下端部に側方に拡張された支持部を有し、上記根太部材の貫通孔に嵌合される支持ナットと、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性台座を有し、上部ネジ部が上記支持ナットに螺合される支持脚とから成る単一脚根太ユニットであって、隣接する床パネルの端縁部間の下にこれら床パネル間に跨るように設置される単一脚根太ユニットと、該単一脚根太ユニットの根太部材の長さよりも長く、所定の間隔をおいて少なくとも2つの平行な貫通孔を有する断面矩形の根太部材と、下端部に側方に拡張された支持部を有し、上記根太部材の貫通孔に嵌合される少なくとも2つの支持ナットと、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性台座を有し、上部ネジ部が上記支持ナットに螺合される少なくとも2本の支持脚とから成る複数脚根太ユニットとの組合せからなる根太ユニット。 【請求項2】 上記単一脚根太ユニット及び複数脚根太ユニットの各根太部材の一側面に両面粘着テープが貼着されている請求項1に記載の根太ユニット。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、根太ユニットに関し、特に集合住宅等において正方形及び1又は長方形の床パネルとユニット支持脚を用いて既存の基礎床面との間に空間を形成して構築される乾式二重床の施工に用いる根太ユニットに関する。 【0002】 【従来の技術】 二重床は、木質系、金属系、コンクリート系、珪酸カルシウム系などの材質で成形された複数枚の床パネル(床板材)を、支持脚によって基礎床上一定の高さに支持するようにして構築されており、既存床面と二重床との間の空間は、給排水管、ガス管などの各種配管を通すための空間、電気用、通信用の配線を通すための空間、冷暖房用の空間、床下に空調用ダクトを設置するための空間、床下に保温材、防音材を敷設するための空間などとして利用されたり、防音効果又は保温効果を高めるための空調用ダクトなどとして利用されている。 【0003】 本出願人は、棒状脚部と該棒状脚部の上端部に上下調節可能に装着された受け板とからなるユニット支持脚群と定尺長方形の床パネル群とを組み合わせて用いる乾式二重床の施工方法を開発し、既に特許出願している(特開平3-17348号公報)。この方法は、基礎床の床面上にユニット支持脚を所定ピッチで配置し、所定の間隙を介して配置した床パネルをその縁部及び長手方向中心線上の所定の位置で上記ユニット支持脚により支持するものであり、この方法によれば、床パネルの敷設を比較的簡単にかつ効率的に行うことができる。 また、上記公報には、横長根太材の少なくとも2箇所に上下調節可能な支持脚を有する根太ユニットを用いた根太施工法も開示されている。このような根太ユニットを用いた場合、取付け作業が簡単で、しかも高さ調節もできるという利点がある。 【0004】 上記特開平3-17348号公報に記載の乾式置床工法においては、その平面配置形態を部分的に示す図7のように、まず、部屋の壁又は間仕切り101の所定の高さに沿って根太ユニット102を設け、その上に床パネル104の一辺を支持する。根太ユニット102上に載置されない床パネル104の他の縁部は、約450mmのピッチでコンクリートスラブ(下床)上に配置した上下調節可能なユニット支持脚105に片持たせの状態で載せて取り付ける。ユニット支持脚105と床パネル104の取付けは、ユニット支持脚105の受け板106上面に接着した粘着シート等を介して行う。隣り合う床パネル104も同様に、既に設置したユニット支持脚105上へ床パネルのレベル調節が可能な所定の間隔を開けて載せ、同様に他のユニット支持脚を配置して取り付ける。このような作業を床パネル毎に繰り返し、部屋の隅など定尺の床パネルが入らない箇所では、定尺板を加工し、寸法を合わせて、適宜にユニット支持脚105を配置して床パネル104を全体に敷き詰める。その後、必要に応じて全ての床パネルを覆うように捨て張り合板(図示せず)を敷き詰めて床下地としている。 【0005】 【考案が解決しようとする課題】 上記乾式置床工法においては、一定の長さの細長い根太ユニット102を用いるものであるが、充分な支持強度をもって床パネル104を支持すべく、各根太ユニット102の端面をつき合わせて配置した場合、施工する部屋の大きさが同一ではないため、部屋の隅角部において根太ユニットの長さが余ったり、足りなかったりする場合が通常である。そのため、部屋の隅角部に配置する根太ユニットは寸法を合わせて切断加工する必要があり、作業性に劣るという問題があった。また、単位長さ当りの根太ユニットの支持脚の本数も多くなり、根太ユニット1本に占める支持脚部分のコストが大きいためコスト高になるという問題があった。 このような問題から、従来一般に、各根太ユニット102は図7に示すように間隔をあけて部屋の壁又は間仕切り101に沿って配置されるが、この場合、各床パネル104の接続部に根太ユニット102の支持脚部103が配置されない箇所Bを生ずる。このように各床パネル104の接続部に根太ユニット102の支持脚部103が配置されない箇所Bでは支持強度が弱くなり、歩行時や子供が飛び跳ねたりする場合など、荷重が掛かったときに床面が撓み、軋み音を生じたり、また重量のある家具類を置いたときに床が沈むといった問題があった。 【0006】 従って、本考案の目的は、前記したような問題を解決し、各床パネルの接続部に根太ユニットの支持脚が確実に配置され、充分な支持強度で各床パネルの端縁部を支持できると共に、単位長さ当りの支持脚の本数を削減でき、従って施工費を低減できる根太ユニットを提供することにある。 本考案の他の目的は、取付け作業が簡単に行え、しかも床面レベルの高さ調節が簡単で、一旦根太材を壁または間仕切りに固定した後も高さ調節を行うことができる根太ユニットを提供することにある。 本考案のさらに他の目的は、人が床上を歩いて荷重が掛かっても軋み音を生ずるなどの問題がなく、床衝撃音の壁を介しての伝達を遮断することも可能になり、集合住宅等における音の問題を大幅に解消できる根太ユニットを提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】 前記目的を達成するために、本考案によれば、ユニット支持脚群と正方形及び/又は長方形の床パネル群とを組み合せて用いて床パネルの敷設を行う乾式二重床の施工に用いる根太ユニットにおいて、中央部に貫通孔を有する所定長さの断面矩形の根太部材と、下端部に側方に拡張された支持部を有し、上記根太部材の貫通孔に嵌合される支持ナットと、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性台座を有し、上部ネジ部が上記支持ナットに螺合される支持脚とから成る単一脚根太ユニットであって、隣接する床パネルの端縁部間の下にこれら床パネル間に跨るように設置される単一脚根太ユニットと、該単一脚根太ユニットの根太部材の長さよりも長く、所定の間隔をおいて少なくとも2つの平行な貫通孔を有する断面矩形の根太部材と、下端部に側方に拡張された支持部を有し、上記根太部材の貫通孔に嵌合される少なくとも2つの支持ナットと、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性台座を有し、上部ネジ部が上記支持ナットに螺合される少なくとも2本の支持脚とから成る複数脚根太ユニットとの組合せからなる根太ユニットが提供される。好適な態様においては、上記単一脚根太ユニット及び複数脚根太ユニットの各根太部材の一側面に両面粘着テープが貼着されて用いられる。 【0008】 【考案の作用】 本考案の根太ユニットは、上記のように短い単一脚根太ユニットと長い複数脚根太ユニットとの組合せから成るものであるため、これらを組み合わせて用いることによって各床パネルの接続部の箇所に単一脚根太ユニットの支持脚を確実に配置することができ、充分な支持強度で各床パネルの端縁部を支持でき、従って、歩行時等における荷重付加の際の床パネル端縁部の撓みや沈み、軋み音発生を大巾に低減できると共に、単位長さ当りの支持脚の本数を削減でき、施工費を低減できる。 また、各根太ユニットの支持脚は根太部材の貫通孔に嵌合された支持ナットに螺合されており、該支持脚を回転させることによって根太部材の高さを調整することができ、また、各根太ユニットの根太部材の一側面に両面粘着テープを貼着することにより、各根太ユニットを壁又は間仕切りに簡単に固定することができる。しかも、このように根太部材を壁又は間仕切りに固定した後もその高さの微調整が可能となり、さらに、根太部材と壁又は間仕切りとの間に緩衝材として機能する両面粘着テープが介在することによって、床パネルの撓みや軋み音を更に減少させることもでき、また、床衝撃音や振動の壁からの伝播を遮断することもできる。 【0009】 【実施例】 以下、添付図面に示す実施例を説明しつつ、本考案について更に具体的に説明する。 図1は、本考案の根太ユニット3,4を用いて根太施工を行い、その後さらにユニット支持脚16を用いて各床パネル15の敷設を行った状態を示し、図4のA-A矢視方向から見た図に対応している。 根太ユニットは、図2に示す単一脚根太ユニット3と、図3に示す複数脚根太ユニット4との組合せからなる。 【0010】 図2に示す単一脚根太ユニット3は、中央部に貫通孔6を有する所定長さの断面矩形の根太部材5と、下端部に側方に拡張された支持部8を有する支持ナット7と、支持脚9とから構成される。支持脚9は、下端部がゴム等の弾性台座11に回動自在に植設され、かつ上端面にマイナス溝12(プラス溝や多角形凹陥部でもよい)が設けられた支持ボルト10から成っている。単一脚根太ユニット3は、根太部材5の貫通孔6に嵌合・固定された支持ナット7に上記支持脚9の支持ボルト10を螺合することによって組み立てられ、支持ボルト10上端面のマイナス溝12にドライバー等の回転用工具の先端を嵌め込んで支持ボルト10を回転させることにより、根太部材5の高さを調整することができる。なお、図示の実施例では弾性台座11から突出している部分の支持ボルト10のほぼ全長に亘ってネジ部が形成されているが、所定の床面レベルに応じて支持ボルト10の上半部のみにネジ部を形成するような構成としてもよい。 図3は複数脚根太ユニットの一例を示し、本実施例の複数脚根太ユニット4は2本の支持脚9を有する。すなわち、上記単一脚根太ユニット3の根太部材5よりも長い根太部材5aの両端部近傍に形成された2個の平行な貫通孔6a,6bに嵌合された支持ナット7にそれぞれ支持脚9の支持ボルト10が螺合されている点を除けば、他の細部の構成は前記単一脚根太ユニット3と同様である。なお、床パネルの長さに応じて根太部材5aの長さを変え、それに応じて3本あるいはそれ以上の支持脚を備えるような構成とすることもできる。 【0011】 根太の施工に際しては、まず、図4及び図5に示すように、所定の床面レベルに対応するように予め調整された単一脚根太ユニット3及び複数脚根太ユニット4の一側部に、緩衝材の両面に粘着剤層が形成された両面粘着テープ13を貼着し、これを各床パネル15間の接続部(間隙部)に単一脚根太ユニット3が配置されるように交互に壁又は間仕切り2に沿って配置し、上記両面粘着テープ13によって各単一脚根太ユニット3及び複数脚根太ユニット4を壁又は間仕切り2に固定する。 このように部屋の壁又は間仕切り2に沿って所定の高さで設けた各根太ユニット3,4上に床パネル15の一辺を載置する。各根太ユニット3,4上に載置されない床パネル15の他の縁部は、コンクリートスラブ等の基礎床1の床面上に所定のピッチで配置したユニット支持脚16に片持たせの状態で載せて取り付ける。ユニット支持脚16と床パネル15の取付は、ユニット支持脚16の受け板24上面に接着した粘着シート25等を介して行う。このように床パネル15を載置・支持した状態で、必要に応じて各根太ユニット3,4の支持ボルト10上端面のマイナス溝12にドライバー等の回転用工具の先端を嵌め込んで支持ボルト10を回転させ、床面レベルの高さの微調整を行う。なお、各根太ユニット3,4を壁又は間仕切り2に固定している両面粘着テープ13の基材の緩衝材は弾力性(クッション性)を有するため、各根太ユニット3,4を壁又は間仕切り2に固定した状態でもある程度の高さ調整を行うことができる。このようにして高さ調整を行った後、釘14(ビスや接着剤などでもよい)によって床パネル15の端縁を各根太ユニット3,4の根太部材5,5aに固定する。 【0012】 以上のようにして根太施工を終えた後、ユニット支持脚16を用いて各床パネル15の敷設を行う。 好適なユニット支持脚16の例を図6に示す。このユニット支持脚16は、図6に示すように、ゴム等の弾性材料からなる防振台座18の中央部に形成された非貫通孔(図示せず)に下端部が回動自在に挿入され、そのフランジ部21を支持部として立設された支持ボルト19からなる棒状脚部17と、外周下端部に突設された環状の支持部23を有するレベル調整用ナット22と、中央部に挿入孔26を有し、かつ上面に粘着シート25が貼着された受け板24とから構成される。レベル調整用ナット22は、受け板24に穿設された挿入孔26に嵌合して取り付けられ、あるいはさらに支持部23上面にリング状の粘着シート(図示せず)を貼着し、これを受け板24の挿入孔26周囲下面に接着して取り付ける。このようにして受け板24の挿入孔26に嵌合・固定されたレベル調整用ナット22に棒状脚部17の支持ボルト19がねじ込まれ、防振、防音機能に優れたユニット支持脚16が組み立てられる。なお、支持ボルト19の上端面にはマイナス溝20(プラス溝や多角形凹陥部でもよい)が設けられており、該溝20にドライバー等の回転用工具の先端を嵌め込んで支持ボルト19を回転させることにより、レベル調整用ナット22及びそれが嵌合された受け板24が上下動し、受け板24により支持されている床パネルの床面レベルを調整することができる。使用に際しては、粘着シート25上面の剥離紙(図示せず)を剥して用いる。 【0013】 図4及び図5に示すように、一方の端縁が各根太ユニット3,4上面に固定された床パネル15の他方の端縁は所定のピッチで配置されたユニット支持脚16に片持たせの状態で載置され、ユニット支持脚16の受け板24上面の粘着シート25により固定されるが、ユニット支持脚16の受け板24の挿入孔26は床パネル15の縁部から露出した状態とし、この挿入孔26を通してドライバー等により支持ボルト19を回し、床パネル15のレベル(受け板24の上面位)を調節する。隣合う床パネルも同様に、既に設置したユニット支持脚16上へ床パネル15のレベル調整ができる所定の間隙を開けて載せ、同様に他のユニット支持脚を配置して取り付ける。このような作業を床パネルごと繰り返し、部屋の隅など定尺の床パネルが入らない狭い箇所では、根太ユニット3,4を取付後、定尺板を加工し、寸法を合わせて、適宜にユニット支持脚16を配置して床パネル15を敷き詰める。その後必要に応じて、捨て張り合板を張るか、あるいは各床パネル間の間隙にそれと合致するようなサイズの細長い埋込部材を嵌め込むか又は薄いシート状の隙間カバー材によって各床パネル間の間隙をカバーした後、絨毯、CFシート、畳等の床仕上材を敷設する。 【0014】 以上、本考案の好適な実施例について説明したが、本考案は上記実施例に限定されるものではなく、各種の設計変更が可能である。例えば、長い床パネルを使用する場合には複数脚根太ユニット4の根太部材5aの長さを長くして支持脚9を3本あるいはそれ以上の本数としたり、あるいは単一脚根太ユニットの間に2個の複数脚根太ユニットを配置することも可能である。また、一旦全ての床パネルを敷設した後でも、各床パネル間の接続部に配置されている単一脚根太ユニット3の貫通孔6及びユニット支持脚16の受け板24の挿入孔26は露出した状態であるため、床面レベルの最終的な微調整を行うことができる。さらに、各床パネル15は、図4に示すような格子状だけでなく、千鳥状に配置することもできる。 【0015】 【考案の効果】 以上の説明から明らかなように、本考案によれば以下のような効果、利点が得られる。 (1)本考案の根太ユニットは、前記のように短い単一脚根太ユニットと長い複数脚根太ユニットとの組合せから成るものであるため、これらを組み合わせて用いることによって各床パネルの接続部の箇所に単一脚根太ユニットの支持脚を確実に配置することができ、充分な支持強度で各床パネルの端縁部を支持でき、従って、歩行時等における荷重付加の際の床パネル端縁部の撓みや沈み、軋み音発生を大巾に低減できると共に、単位長さ当りの支持脚の本数を削減でき、施工費を低減できる。 (2)各根太ユニットの支持脚は根太部材の貫通孔に嵌合された支持ナットに螺合されており、該支持脚を回転させることによって根太部材の高さを調整することができるため、一旦根太ユニットを壁又は間仕切りに固定した後もその高さを微調整することができる。 (3)各根太ユニットの根太部材の一側面に両面粘着テープを貼着することにより、各根太ユニットを壁又は間仕切りに簡単に固定することができる。 従って、本考案の根太ユニットを用いることにより、根太施工が簡単になり、施工現場における作業性を大幅に改善することができ、工期の短縮と施工費の低減を図ることができる。 (4)さらに、各根太ユニットは緩衝性、クッション性を有する両面粘着テープによって壁又は間仕切りに固定されるものであるため、人の歩行時等の荷重付加の際の床軋み音が低減され、また、床衝撃音、振動の壁からの伝播を遮断、緩衝することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本考案の根太ユニットを用いて床パネルを敷設施工した例を示す破断斜視図である。 【図2】 本考案の単一一脚根太ユニットの部分破断斜視図である。 【図3】 本考案の複数脚根太ユニットの部分破断斜視図である。 【図4】 本考案の単一脚根太ユニット及び複数脚根太ユニットと床パネルの配置例を示す平面図である。 【図5】 本考案の根太ユニット及び床パネルの取付け状態を示す縦断面図である。 【図6】 ユニット支持脚の分解斜視図である。 【図7】 従来の根太ユニットと床パネルの配置状態を示す平面図である。 【符号の説明】 1 基礎床、 2 壁又は間仕切り、 3 単一脚根太ユニット、 4 複数脚根太ユニット、 5,5a 根太部材、 6,6a,6b 貫通孔、 7 支持ナット、 8 支持部、 9 支持脚、 10 支持ボルト、 11 弾性台座、 12 マイナス溝、 13 両面粘着テープ、 14 釘、 15 床パネル、 16 ユニット支持脚、 17 棒状脚部、 24 受け板、 25 粘着シート |
訂正の要旨 |
(訂正の要旨) 1.訂正事項1 実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、実用新案登録請求の範囲の請求項1の 「ユニット支持脚群と正方形及び/又は長方形の床パネル群とを組み合せて用いて床パネルの敷設を行う乾式二重床の施工に用いる根太ユニットにおいて、中央部に貫通孔を有する所定長さの断面矩形の根太部材と、下端部に側方に拡張された支持部を有し、上記根太部材の貫通孔に嵌合される支持ナットと、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性台座を有し、上部ネジ部が上記支持ナットに螺合される支持脚とから成る単一脚根太ユニットと、該単一脚根太ユニットの根太部材の長さよりも長く、所定の間隔をおいて少なくとも2つの平行な貫通孔を有する断面矩形の根太部材と、下端部に側方に拡張された支持部を有し、上記根太部材の貫通孔に嵌合される少なくとも2つの支持ナットと、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性台座を有し、上部ネジ部が上記支持ナットに螺合される少なくとも2本の支持脚とから成る複数脚根太ユニットとの組合せからなる根太ユニット。」との記載を、 「ユニット支持脚群と正方形及び/又は長方形の床パネル群とを組み合せて用いて床パネルの敷設を行う乾式二重床の施工に用いる根太ユニットにおいて、中央部に貫通孔を有する所定長さの断面矩形の根太部材と、下端部に側方に拡張された支持部を有し、上記根太部材の貫通孔に嵌合される支持ナットと、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性台座を有し、上部ネジ部が上記支持ナットに螺合される支持脚とから成る単一脚根太ユニットであって、隣接する床パネルの端縁部間の下にこれら床パネル間に跨るように設置される単一脚根太ユニットと、該単一脚根太ユニットの根太部材の長さよりも長く、所定の間隔をおいて少なくとも2つの平行な貫通孔を有する断面矩形の根太部材と、下端部に側方に拡張された支持部を有し、上記根太部材の貫通孔に嵌合される少なくとも2っの支持ナットと、少なくとも上部にネジ部が形成されていると共に下端に弾性台座を有し、上部ネジ部が上記支持ナットに螺合される少なくとも2本の支持脚とから成る複数脚根太ユニットとの組合せからなる根太ユニット。」と訂正する。 2.訂正事項2 上記訂正事項1による実用新案登録請求の範囲の減縮に伴い生じる、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の記載との不整合を回避するために行う、明りょうでない記載の釈明を目的として、登録明細書段落【0007】の「単一脚根太ユニット」との記載を、「単一脚根太ユニットであって、隣接する床パネルの端縁部間の下にこれら床パネル間に跨るように設置される単一脚根太ユニット」と訂正する。 |
異議決定日 | 2000-05-29 |
出願番号 | 実願平5-31826 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
YA
(E04F)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 井上 博之 |
特許庁審判長 |
樋口 靖志 |
特許庁審判官 |
小野 忠悦 宮崎 恭 |
登録日 | 1998-12-25 |
登録番号 | 実用登録第2591641号(U2591641) |
権利者 |
有限会社泰成電機工業 長野県駒ケ根市赤穂11678-78 |
考案の名称 | 根太ユニット |
代理人 | ▲吉▼田 繁喜 |
代理人 | ▲吉▼田 繁喜 |