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審決分類 |
審判 全部申し立て G02B |
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管理番号 | 1028418 |
異議申立番号 | 異議1999-73713 |
総通号数 | 16 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-04-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-09-24 |
確定日 | 2000-06-05 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 登録第2592711号「光学装置」の請求項1ないし3に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 登録第2592711号の請求項1ないし3に係る実用新案登録を維持する。 |
理由 |
(1)手続の経緯 実用新案登録第2592711号の請求項1?3に係る考案は、平成4年6月25日に実用新案登録出願され、平成11年1月22日にその実用新案の設定登録がなされ、その後異議申立人富士写真光機株式会社により異議の申立がなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成12年3月2日に訂正請求がなされたものである。 (2)訂正の適否についての判断 (ア)訂正の内容 訂正事項a 実用新案登録請求の範囲の請求項1の末行(実用新案登録第2592711号公報第1頁第2欄第6行)における「第2の係合手段とを有する」の「と」と「を」の間に、『、前記ガイド部の周囲にほぼ平行に設けられ、前記第2係合手段を全周にわたって覆う突出部と』を挿入する。 訂正事項b 明細書の段落【0007】における「第2の係合手段とを有する」の「と」と「を」の間に、『、ガイド部の周囲にほぼ平行に設けられ第2係合手段を全周にわたって覆う突出部と』を挿入する。 (イ)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 訂正事項aに係る訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当し、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではないし、新規事項の追加にも該当しない。 訂正事項bに係る訂正は、明瞭でない記載の釈明に該当し、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではないし、新規事項の追加にも該当しない。 (ウ)独立登録要件の判断 (訂正明細書の請求項1?3に係る考案) 「【請求項1】 光学装置本体と、この光学装置本体に対して着脱可能な光学部材とを備えた光学装置であって、 前記光学装置本体が、前記光学装置本体の光学系の第1の光軸を中心軸とする円筒状の開口部と、 前記開口部の先端に設けられ、前記第1の光軸に垂直な平面である開口端面と、 前記開口部において前記開口端面側の内周面に形成され、前記開口部に挿入された前記光学部材を前記第1の光軸周りに回動操作することにより、前記光学部材と係合する第1の係合手段とを有し、 前記光学部材が、前記光学部材の光学系の第2の光軸を中心軸とし前記開口部の内周面に摺接可能な円筒状のガイド部と、 前記ガイド部の基端側に設けられた前記第2の光軸に垂直な平面であり、前記開口端面と当接する係止面と、 前記ガイド部において前記係止面より前記光学装置本体側の外周面に形成され、前記光学部材を前記第2の光軸が前記第1の光軸と一致するように前記第1の光軸周りに回動操作することにより、前記光学装置本体の前記第1の係合手段と係合する第2の係合手段と、 前記ガイド部の周囲にほぼ平行に設けられ、前記第2係合手段を全周にわたって覆う突出部とを有することを特徴とする光学装置。 【請求項2】 前記第1および第2の係合手段が、互いに螺合可能な雄ねじおよび雌ねじによって構成されることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。 【請求項3】 前記第1および第2の係合手段が、互いに噛合可能な爪によって構成されることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。」(以下、「本件請求項1?3に係る考案」という。) (引用刊行物) 当審が平成11年12月15日付で通知した取消理由で引用した刊行物1(特公平4-34127号公報)には、 「第2図及び第3図は暗視接眼レンズユニット及び像安定化暗視双眼鏡の接眼マウントの半断面図である。第2図に示すように暗視接眼レンズユニット10は、その円周上の複数個所、例えば3ケ所にバョネツト爪12′を有する筒体12及びこの筒体12内に螺合された内部に一群のレンズよりなる接眼レンズ系を保持した鏡筒13よりなる接眼レンズ部11と、その外周上の複数個所、例えば3ケ所にパヨネツト爪15′を有するバヨネツト筒体15、この筒体15に上下から螺合して筒体15とともにイメージインテンシフアイア管20収納筐体を構成する上部筒体16と下部環体17、上部筒体16の外周に螺合された円周上の複数個所、例えば3ケ所にバヨネット筒体15のバヨネット爪15′と係合するバヨネツトマウント爪18′を有するバヨネツト筒体18及び下部環体17と螺合された保護環19よりなるイメージインテンシフアイア管部14によって構成されている。イメージインテンシフアイア管部14の下部環体17には隣接する2ケ所にイメージインテンシフアイア管20の駆動電源に接続するための接続端子21が設けられており、この端子は保護環19に形成された穴から突出しない程度の長さをもっている。イメージインテンシフアイア管20はその入射面21(像形成面)が、像安定化暗視双眼鏡1に正しく装着されたとき対物レンズ系2の焦点面と一致するように上部筒体16と下部環体17とで光軸方向に位置調節されて収納筐体内に収納されている。又接眼レンズ部11はその接眼レンズ系の焦点位置がイメージインテンシフ了イア管20の射出面22と一致するように筐体12と鏡筒13とで光軸方向に位置調節されている。更に接眼レンズ部11のバヨネツト爪12′とイメージインテンシフアイア管部14のバヨネツト爪15′の間隔はイメージインテンシフアイア管20の入・出射面21-22間距離に等しくなるように調整されている。尚、このイメージインテンシフアイア管20は、入射面21に入射する正立像を出射面22に正立させて出射するものであることは言うまでもない。 第3図は、第1図の像安定化暗視双眼鏡1の,接眼マウント8の半断面図でありバヨネツトマウント爪24を除いては像安定化暗視双眼鏡1の本体内にある。接眼マウント8はその円周上の複数個所、例えば3ケ所に接服レンズ部11のバヨネツト爪12′及びイメージインテンシフアイア管部14のバヨネツト爪15′に共通のバヨネツトマウント爪24が設けられている。又、マウント筐体23の底部には頭部がわずかにマウント筐体23内に突出し板ばね26によって光軸万向に図中上方へ復元習性が与えられた一対の接触端子25が設けられワイヤー27を介して駆動電源に接続されている。 以上のように構成された像安定化暗視双眼鏡においては、暗視接眼レンズユニット10を接眼マウント8に通常のバヨネット結合操作によって装着すると同時にイメージインテンシフアイア管20は接触端子21及.び25の接触により本体内の駆動電源と回路接続されると同時に像安定化光学系の光学的配置が得られる。一方、この像安定化暗視双眼鏡を明視下において使用する場合は、暗視接眼レンズユニット10を接眼マウント8から取りはずし、更にバヨネツト結合された接眼レンズ部11をイメージインテンシフアイア管部14から取りはずす。この分離された接眼レンズ部11を接眼マウント8に通常のバヨネツト結合操作によって装着すると接眼レンズ系の焦点位置は暗視接眼レンズユニット10を装着した時のイメージインテンシフアイア管の入射の位置、即ち望遠鏡系の対物レンズの焦点位置に一致する。」(第2頁右欄第9行?第3頁左欄第34行)が記載されている。 同刊行物2〔実願昭63-86086号(実開平2-7619号)のマイクロフィルム〕には、 「プリズム双眼鏡本体1に於ける対物レンズ筒体2の前面側にテレコンバージョン、又はワイドコンバージヨン等のコンバージョンレンズ鏡体12を着脱可能に位置付けして成る双眼鏡。 コンバージヨンレンズ鏡体12を軸回転式によって対物レンズ群上に位置付け又は除去せしめた請求項1記載の双眼鏡。 コンバージョンレンズ鏡体12をスライド方式にて、対物レンズ群上に位置付け又は除去せしめると共にその固定を適宜のクリックストップ機構によって行なわしめた請求項1記載の双眼鏡。 コンバージョンレンズ鏡体12を対物レンズ筒体上にてスクリュー式又はバョネツト式の手段により適宜取付け取外し可能に形成した請求項1記載の双眼鏡。」(実用新案登録請求の範囲)が記載されている。 (対比・判断) (本件請求項1に係る考案について) 本件請求項1に係る考案と刊行物1及び2に記載された考案とを対比すると、刊行物1及び2には、本件請求項1に係る考案を特定するための構成である、「ガイド部の周囲にほぼ平行に設けられ、第2係合手段を全周にわたって覆う突出部」が記載されていない。そして、当該構成により、本件請求項1に係る考案は、平成12年3月2日付登録異議意見書第2頁第18?20行に記載のように、第2の係合手段に対する塵埃等の付着や、分離時における使用者の手指の接触が防止され、係合部位の磨耗や不具合を最小限に留めることができるという作用・効果を奏するものであり、本件請求項1に係る考案は、上記刊行物1または2に記載されたものとも、上記刊行物1及び2に記載のものから当業者がきわめて容易に推考することができたものともいえない。 (本件請求項2及び3に係る考案について) 本件請求項2及び3に係る考案は、本件請求項1に係る考案の構成の一部をさらに限定したものであるから、上記本件請求項1に係る考案と同様の判断により、本件請求項2及び3に係る考案は、上記刊行物1または2に記載されたものとも、上記刊行物1及び2に記載のものから当業者がきわめて容易に推考することができたものともいえない。 (エ)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号。以下「平成11年法」という)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 (3)登録異議の申立について (ア)申立の理由の概要 申立人富士写真光機株式会社は、証拠として甲第1号証(特公平4-34127号公報)、参考資料その1(特公平4-34127号公報の第2図、及び第3図)、及び参考資料その2(実開平2-7619号公報)を提出し、本件請求項1?3に係る考案の実用新案登録は実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであるから、本件請求項1?3に係る考案の実用新案登録を取り消すべき旨主張している。 (イ-1)甲第1号証記載の考案 申立人富士写真光機株式会社が提出した甲第1号証は、当審が平成11年12月15日付で通知した取消理由で引用した刊行物1と同じものであり、上記「(2)、(ウ)独立登録要件の判断、(引用刊行物)」において示されたとおりの考案が記載されている。 (イ-2)参考資料その1 甲第1号証の第2図、及び第3図が記載されている。 (イ-3)参考資料その2記載の考案 申立人富士写真光機株式会社が提出した参考資料その2は、当審が平成11年12月15日付で通知した取消理由で引用した刊行物2の一部を記載したものであり、上記「(2)、(ウ)独立登録要件の判断、(引用刊行物)」において示されたとおりの考案が記載されている。 (ウ)対比・判断 本件請求項1?3に係る考案と申立人が提出した甲第1号証、参考資料その1、及び参考資料その2記載の考案とを対比すると、上記「(2)、(ウ)独立登録要件の判断、(対比・判断)」において示されたとおりの理由により、本件請求項1?3に係る考案は、甲第1号証、参考資料その1、または参考資料その2に記載されたものとも、甲第1号証、参考資料その1、及び参考資料その2に記載の考案から当業者がきわめて容易に推考することができたものともいえない。 (エ)むすび したがって、登録異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1?3に係る考案の実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1?3に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 光学装置 (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 光学装置本体と、この光学装置本体に対して着脱可能な光学部材とを備えた光学装置であって、 前記光学装置本体が、前記光学装置本体の光学系の第1の光軸を中心軸とする円筒状の開口部と、 前記開口部の先端に設けられ、前記第1の光軸に垂直な平面である開口端面と、 前記開口部において前記開口端面側の内周面に形成され、前記開口部に挿入された前記光学部材を前記第1の光軸周りに回動操作することにより、前記光学部材と係合する第1の係合手段とを有し、 前記光学部材が、前記光学部材の光学系の第2の光軸を中心軸とし前記開口部の内周面に摺接可能な円筒状のガイド部と、 前記ガイド部の基端側に設けられた前記第2の光軸に垂直な平面であり、前記開口端面と当接する係止面と、 前記ガイド部において前記係止面より前記光学装置本体側の外周面に形成され、前記光学部材を前記第2の光軸が前記第1の光軸と一致するように前記第1の光軸周りに回動操作することにより、前記光学装置本体の前記第1の係合手段と係合する第2の係合手段と、 前記ガイド部の周囲にほぼ平行に設けられ、前記第2係合手段を全周にわたって覆う突出部とを有することを特徴とする光学装置。 【請求項2】 前記第1および第2の係合手段が、互いに螺合可能な雄ねじおよび雌ねじによって構成されることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。 【請求項3】 前記第1および第2の係合手段が、互いに噛合可能な爪によって構成されることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、望遠鏡・顕微鏡等の各種光学装置に関し、詳しくは光学装置の本体に、アイピース等の光学部材を取付けるための構造に関する。 【0002】 【従来の技術】 一般に望遠鏡のアイピースは、望遠鏡本体にねじ込まれた接眼アダプタを介して、光軸が望遠鏡本体の光軸に一致するように望遠鏡本体に取り付けられる。従来、接眼アダプタヘのアイピースの取付けは、接眼アダプタの開口部にアイピースのガイド部を光軸に沿って挿入し、このガイド部を、光軸と直角な方向から当接させた固定ネジによって固定して行われている。また、アイピースに雄ねじ部を形成するとともに、接眼アダプタの開口部に雄ねじ部を螺合可能な雌ねじ部を形成し、これら雄ねじ部および雌ねじ部を螺合させることによってアイピースを接眼アダプタに支持させるものもある。 【0003】 【考案が解決しようとする課題】 上述した前者のアイピース取付け構造では、固定ネジを光軸と直角な方向からアイピースのガイド部に当接させるため、接眼アダプタに対するアイピースの位置が、光軸と直角な方向にずれるおそれがあり、ひいてはアイピースの光軸と望遠鏡本体の光軸との間にずれを生ずるおそれがある。この光軸のずれは、アイピースの放射方向の遊びが大きく、固定ネジの締め付け力が大きいほど顕著となる。そこで、アイピースの遊びを小さくすることも考えられるが、アイピースの遊びを小さくすると、アイピースの開口部への挿脱(特に挿入)が困難なものとなる。また別の観点から、固定ネジによる締め付けでは、締め付け力が弱くなるおそれがあり、アイピースの固定が不確実となって、使用中の脱落を生じたり、位置ずれによる光学性能の低下、また視野内での対象物のずれを招くおそれがある。 【0004】 また、アイピースを望遠鏡本体の接眼アダプタに取り付けるには、接眼アダプタの開口部にアイピースのガイド部を挿入する動作と、挿入したアイピースを所定の位置に保持したまま、挿入方向と直角な方向からガイド部に固定ネジを当接させる動作を行なう必要がある。このため、アイピースの着脱が容易でなく、片手で操作することなど極めて困難である。 【0005】 後者のアイピース取付け構造では、アイピースを接眼アダプタに取り付ける際、アイピースの雄ねじ部を接眼アダプタの雌ねじ部に確実に螺合させるために、アイピースを接眼アダプタに対して所定の姿勢、すなわちアイピースの光軸が望遠鏡本体の光軸に一致する姿勢とする必要がある。つまりアイピースの姿勢がわずかでも光軸方向に対して傾いていると、雄ねじ部および雌ねじ部がずれた状態で螺合してしまい、各ねじ部を破損するおそれがある。しかし、アイピースを所定の姿勢に保持するには、かなりの時間と手間を要し、アイピースの着脱を困難なものとする。 【0006】 本考案は、光学部材を光学装置本体に対して所定の位置関係で確実に支持させることができ、しかもその着脱をきわめて容易かつ円滑に行うことができる光学装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】 本考案に係る光学装置は、光学装置本体とこの光学装置本体に対して着脱可能な光学部材とを備えた光学装置であって、光学装置本体が光学装置本体の光学系の第1の光軸を中心軸とする円筒状の開口部と、開口部の先端に設けられ第1の光軸に垂直な平面である開口端面と、開口部において開口端面側の内周面に形成され開口部に挿入された光学部材を第1の光軸周りに回動操作することにより光学部材と係合する第1の係合手段とを有し、光学部材が光学部材の光学系の第2の光軸を中心軸とし開口部の内周面に摺接可能な円筒状のガイド部と、ガイド部の基端側に設けられた第2の光軸に垂直な平面であり開口端面と当接する係止面と、ガイド部において係止面より光学装置本体側の外周面に形成され光学部材を第2の光軸が第1の光軸と一致するように第1の光軸周りに回動操作することにより光学装置本体の第1の係合手段と係合する第2の係合手段と、ガイド部の周囲にほぼ平行に設けられ第2係合手段を全周にわたって覆う突出部とを有することを特徴としている。 【0008】 【実施例】 以下図示実施例により、本考案を説明する。図1?図3は、本考案の一実施例である望遠鏡のアイピース取付け構造を示す。これらの図において、アイピース10は、光軸が望遠鏡本体(図示しない)の光軸に一致するよう、接眼アダプタ20を介して望遠鏡本体に取り付けられる。 【0009】 アイピース10においては、円筒状のガイド部11が、接眼レンズ12を支持した支持枠13の対物側に突設される。ガイド部11は、接眼アダプタ20の開口部21に挿脱可能であり、アイピース10を接眼アダプタ20に対して所定の姿勢に案内する。ガイド部11の基端部外周面には、雄ねじ部14が形成される。雄ねじ部14は、ガイド部11が基端部まで開口部21に挿入された際、接眼アダプタ20の雌ねじ部22に螺合可能となる。支持枠13の対物側端部におけるガイド部11の周囲には、突出部15が、ガイド部11とほぼ平行に、雄ねじ部14を覆うように突設される。突出部15は、雄ねじ部14が接眼アダプタ20の雌ねじ部22に螺合された際、第1係止面16を所定の位置で接眼アダプタ20の係止面23に係止され、アイピース10のそれ以上のねじ込みを阻止する。このとき突出部15は、各ねじ部を外観上見えないようにする。 【0010】 接眼アダプタ20は、端部外周面に形成された雄ねじ(図示しない)を、望遠鏡本体の端部内周面に形成された雌ねじ(図示しない)に螺合させることによって、望遠鏡本体に所定の姿勢で取り付けられる。接眼アダプタ20には、望遠鏡本体の光軸方向に貫通して開口部21が設けられる。開口部21の接眼側の端部内周面には、雌ねじ部22が形成される。開口部21は、アイピース10のガイド部11を挿脱可能であり、ガイド部11を挿入されて雄ねじ部14を雌ねじ部22に螺合されたアイピース10の光軸が、望遠鏡本体の光軸に一致するように形成される。開口部21における雌ねじ部22の外周には、係止面23が形成される。係止面23は、アイピース10の第1係止面16を所定の位置で係止する。尚、各焦点距離のアイピース10で、同一焦点位置で観察可能となる様に、各アイピース10の光学系の焦点位置に応じた位置に第1係止面16、第2係止面17は設けられている。 【0011】 本実施例の作用を説明する。アイピース10を望遠鏡本体の接眼アダプタ20に取り付ける際、作業者は、アイピース10のガイド部11を、基端部付近まで接眼アダプタ20の開口部21に挿入する。つぎに、アイビース10を所定の方向に回転させ、アイピース10の雄ねじ部14を接眼アダプタ20の雌ねじ部22に螺合させる。そして、アイピース10の第1係止面16が接眼アダプタ20の係止面23に係止されるまで、アイピース10を接眼アダプタ20にねじ込む。このような片手でも可能な簡単な操作で、作業者は、アイピース10を、光軸が望遠鏡本体の光軸に一致するように接眼アダプタ20に取り付けることができる。 【0012】 アイピース10の接眼アダプタ20からの取り外しは、上述した操作と同様の操作で、逆の過程を経て行われる。 【0013】 以上のように上記実施例によれば、アイピース10を望遠鏡本体に対して所定の姿勢で確実に支持させることができ、しかもその着脱を片手できわめて容易かつ円滑に行うことができる。 【0014】 図5は、本考案の他の実施例である望遠鏡の接眼アダプタ20およびアイピース10を示す図である。 【0015】 この図において、接眼アダプタ20の雌ねじ部22近傍には、開口部21に開口するネジ穴40が、光軸と直角な方向に貫通して設けられており、このネジ穴40には、固定ネジ41が螺合されている。固定ネジ41は、所定の方向に回転されることにより締め込まれ、開口部21に挿入されたガイド部11に、光軸と直角な方向から当接される。この固定ネジ41により、ガイド部11の基端部に雄ねじ部14を持たない従来のアイピースであっても、接眼アダプタ20に取り付けて固定することができ、従来のものとの互換性を確保できる。またアイピース10は、従来の接眼アダプタにも取り付け可能であり、この場合、第2係止面17(図3)が接眼アダプタの係止面に当接して係止される。 【0016】 なお上記各実施例では、雄ねじ部14をアイピース10のガイド部11の基端部外周面に形成するとともに、雌ねじ部22を、接眼アダプタ20の開口部21の接眼側端部内周面に形成したが、雄ねじ部14を、接眼側端部外周面に形成するとともに、雌ねじ部22を、アイピース10の突出部15の内周面に形成してもよい。また、各ねじ部同士の螺合によって、アイピース10を接眼アダプタ20に支持させるように構成したが、バヨネット形式によって、すなわち各ねじ部に代えて複数の爪を設け、これら爪同士を噛合させることによって、アイピース10を接眼アダプタ20に支持させるように構成してもよい。 【0017】 さらに上記各実施例では、望遠鏡の接眼アダプタ20にアイピース10を取り付ける場合について説明したが、同様の接続構造を天頂プリズム、地上プリズム、パローレンズ等の接続部に用いても同様の効果が得られる。また望遠鏡本体に主鏡枠を取り付ける場合、または顕微鏡本体に接眼部または対物レンズを取り付ける場合等についても適用可能であり、その場合も上記実施例と同様に良好な効果を奏する。 【0018】 また上記実施例では、接眼アダプタ20を介して望遠鏡本体にアイピース10を取り付けるタイプの望遠鏡に適用したが、接眼アダプタが望遠鏡本体に一体に形成されたタイプの望遠鏡についても同様に適用可能である。 【0019】 【考案の効果】 以上のように本考案によれば、光学部材を光学装置本体に対して所定の位置関係で確実に支持させることができ、しかもその着脱をきわめて容易かつ円滑に行うことができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本考案の一実施例に係る光学装置の接眼アダプタからアイピースを取り外した状態を示す図である。 【図2】 図1の光学装置の接眼アダプタにアイピースを取り付けた状態を示す図である。 【図3】 図1の光学装置のアイピースのガイド部の基端部を示す部分断面図である。 【図4】 図1の光学装置の接眼アダプタおよびアイピースを示す斜視図である。 【図5】 本考案の他の実施例に係る光学装置の接眼アダプタからアイピースを取り外した状態を示す図である。 【符号の説明】 10 アイピース(光学部材) 11 ガイド部 14 雄ねじ部 20 接眼アダプタ(光学装置本体) 21 開口部 22 雌ねじ部 |
訂正の要旨 |
訂正事項a 実用新案登録請求の範囲の請求項1の末行(実用新案登録第2592711号公報第1頁第2欄第6行)における「第2の係合手段とを有する」の「と」と「を」の間に、『、前記ガイド部の周囲にほぼ平行に設けられ、前記第2係合手段を全周にわたって覆う突出部と』を挿入する。 訂正事項b 明細書の段落【0007】におけるr第2の係合手段とを有する」の「と」と「を」の間に、『、ガイド部の周囲にほぼ平行に設けられ第2係合手段を全周にわたって覆う突出部と』を挿入する。 |
異議決定日 | 2000-05-15 |
出願番号 | 実願平4-50557 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
YA
(G02B)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 平井 聡子 |
特許庁審判長 |
高橋 美実 |
特許庁審判官 |
綿貫 章 柏崎 正男 |
登録日 | 1999-01-22 |
登録番号 | 実用登録第2592711号(U2592711) |
権利者 |
旭光学工業株式会社 東京都板橋区前野町2丁目36番9号 |
考案の名称 | 光学装置 |
代理人 | 松浦 孝 |
代理人 | 川野 宏 |
代理人 | 松浦 孝 |