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審決分類 |
審判 判定 同一 属する(申立て成立) C02F |
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管理番号 | 1028433 |
判定請求番号 | 判定2000-60099 |
総通号数 | 16 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案判定公報 |
発行日 | 2001-04-27 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2000-06-29 |
確定日 | 2000-11-08 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2590513号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | (イ)号図面及びその説明書に示す「スカム除去装置」は、登録第2590513号実用新案の技術的範囲に属する。 |
理由 |
1.請求の趣旨 本件判定請求の趣旨は、イ号物件(添付図面1乃至6に示される「スカム除去装置」)が登録実用新案第2590513号の実用新案登録請求の範囲の欄に記載された考案(以下、「本件考案」という)の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。 2.本件考案 本件考案は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の第1項に記載された事項によって特定されるとおりのものであるところ、この考案を構成要件に分説すると次のとおりである。 「(イ)処理池の水面よりも低くなる誘引口を備え同池内に両端支持状態で固定して設置されるトラフと、 (ロ)前記トラフと同様の長尺状部材で同トラフの前側において上部が水面を境に浮き沈みするように上下運動可能とされている中空状の堰と、 (ハ)同堰とトラフとの間に上下変形自在に可撓性のものとして設けられた誘引ガイドとを備えるスカム除去装置であって、 (ニ)前記堰の両端には、堰の長手方向に直交状をなして可動側板が固着されて、中空状堰の両側面を閉止する板として設けられているとともに、 (ホ)同可動側板は、前記トラフ側に固定して設けられた固定側板との間に設けられる可撓性の側面シールゴムの連結板ともなっていることを特徴とする、 (ヘ)スカム除去装置。」 3.イ号物件 (1)イ号図面 判定請求書に添付されたイ号図面(図1乃至図6)は、請求人の説明によれば、次のとおりのものである。 「イ号図面の図1は被請求人が実施を予定する矩形沈澱池を対象にしてスカム除去装置を装備する構想を沈澱池の上からみたものとして示すもので図2の平面図に相当し、図2は図1におけるII-II線に沿う縦断側面図、図3はスカム除去装置の1基分を図1のIII方向からみて示す矢視図、図4はスカム除去装置の側部の構造を図3のIV方向からみたものとして示す矢視図、図5はスカム除去装置の側部の構造を図3のV方向からみたものとして示す平面図、図6はスカム除去装置の側部の構造を図5のフランジ結合間を通るVI-VI線に沿って示す側断面矢視図をそれぞれ示している。」 (2)イ号図面に示された事項 また、イ号図面に示された事項についても、請求人の説明によれば、次のとおりのものである。 「図1のS-8は、その左隣のS-7に続く右端の矩形沈澱池で、同図外の左方から順にS-1、S-2・・・の順で沈澱池が配列されている。図2はS-8に相当する沈澱池の内部構造を示している。一般の矩形沈澱池は、側壁のみで隣同士を仕切られその直交する方向に対向する端壁を有する単純な矩形状をしたものであるが、このイ号の矩形沈澱池では一部を仕切壁で仕切った特殊な沈澱池構造になっている。その詳細を説明する。 沈澱池S-8の端部側壁1は図1の右端の壁で、図示しない左方のS-1にも同様の端部側壁が形成されている。これら両端部側壁間には、図2に断面で示すような直交状の池内仕切壁2が水面3よりも下方に上端があるようにして一体形成されている。図2における池内仕切壁2を境に左側が汚水の流れくる上流側になっている。前記沈澱池S-1?8を複数に仕切るものとして図1及び図2に示す池間仕切壁4・・・が図1の左右方向に一定の間隔を置いて縦壁状に形成されているとともに、図1にそのうちの1つを示すように池間仕切板5が水面3を縦切りにするようにして設けられている。6は上壁で、開□7を開けておくように一体に形成されている。8は左右1対をなす基部フレームで、スカム除去装置の支持のため、各池間仕切壁4・・・の両側面にその一端が固定される一方前記池内仕切壁2上にその他端が載置固定されている。各基部フレーム8上には、図2に示す支柱9・・・がそれぞれ1対ずつ立設され、これらの上端を介して歩廊10が横架固定れている。図2の11は補助フレームで、池内仕切壁2側に固定されて歩廊10の下側を介して本スカム除去装置の方向に突き出している。12は架台で、各池に対応して1対ずつ歩廊10からスカム除去装置の方向に向けて水平に突出している。 トラフ20は、前記基部フレーム8上に高さ調整具21を介してその各端部が受担固定されている。但し、図1に示す端部にくるトラフ20の他端(図1の右端部)については、端部側壁1に挿通固定された排出トラフ22に受担されている。 図1に示す端部のトラフ20に関してここで説明すると、同トラフ20は、図2、図3、図4に示すように、底壁20a、前壁20b、後壁20cをJ形角樋状に折り曲げた長尺部材でなり、後壁20cの上端にリブ20dを、前壁20bの上端には前上がり状の傾斜リップ20eを備えたものになっている。図3における24は左フランジでトラフ20の正面からみて左側に設けられ、25は右フランジで、トラフ20の正面からみて右側に設けられている。そして、26は終端フランジで、排出トラフ22の端部に設けられて、沈澱池S-8用のトラフ20の右フランジ25に止着具27・・・を介して締付固定されている。図3における沈澱池S-7に設置されるトラフ20の右フランジ25は、沈澱池S-8に設置されるトラフ20の左フランジ24に止着具27を介して連結固定されている。前記傾斜リップ20eは図4に示すように、水面3よりも低くその上方が誘引口29になっている。 図4における28は固定側板で、右フランジ25の前端から直角内方に向けて伸びており、同固定側板28は、その下端が傾斜リップ20e上に溶接固定されている。他方の固定側板28も図3に示すように前記と同様に構成されている。図4の30は誘引ガイドで、帯長状のゴム板でなり、同ガイド30は、基部が傾斜リップ20eの底面に止着具31・・・による締付けで前上がり状をなしている。この誘引ガイド30は、仮想線で示すように押し下げ力で湾曲状に押し下げられるのであり、その長手方向両端には、側面シールゴム32が立直状に固着されている。このゴム32は、上からみてU字形をなすもので、上端32aが水平で下端32bが傾斜状をなしているとともに、その底板32cを介して側面シールゴム32の長手方向両端上面に一体固着されている。側面シールゴム32の一側辺開口側の端部は、止着具27・・・を介して固定側板28の前面に固着されている。 33は長尺状の堰で、金属板を曲げて形成され、誘引ガイド30に平行状の基部33aと同基部33aから上向き状をなして延びる前上壁33bとを有するとともに、前上壁33bから下向きに延びる前端壁33cを備える。33dは底壁で、前端壁33cから戻る方向に曲がって形成されている。33eは底面開口である。 この堰33は、その基部33aが誘引ガイド30の前端部上に載りかかって止着具27・・・により固着されている。そして、同堰33は、その両端に可動側板35を備えている。可動側板35は、上からみてL形をなす金属板でなるとともに、外側方からみると、図6に示すように、略三角形に形成されている。この可動側板35の前側辺35aは、堰33の端面に溶接により固着される一方、後側辺35bは、図4に示すように、堰33の基部33a上に溶接により固着されている。この後側辺35bの内方の端部と前記側面シールゴム32の内方の端部とが止着具27・・・により締め付け固定されている。これにより、可動側板35は、中空状をした堰33を側面において閉止するとともに側方からの水の浸入を阻止する。それとともに、固定側板28に一方が固定された側面シールゴム32の他方に連結されている。 堰33は、図4に仮想線で示すように押し下げられるが、これは、図3に示すように、トラフ20の後壁20c上に1対設けられた軸受ブラケット37、37間に回転自在に横架された角軸状の回転軸38と、この回転軸38回りに嵌め込まれた角筒状の基部筒39を介して斜め後方に延びた作動アーム41、および回転軸38から前方へ延びた運動アーム40を備えるアーム機構でなされる。作動アーム41は、図2の架台12上に立設された図3に示す支持台42上に電動シリンダである駆動源43の先端に連結されることで連動する。連動アーム40と堰33側のブラケット44間には、連結ロッド45を設けて運動自在にしてある。これら機構により、駆動源43が引き動作することで作動アーム41は持ち上がり、連動アーム40は下がり動作することで連結ロッド45を介して堰33が押し下げられるようになっている。 その間、堰33が下がると、図4に示すように、可動側板35を介して側面シールゴム32が前向きに引っ張られて弾性変形しながらも外方からの水の浸入を阻止する。」 そして、図1乃至図6のこれら内容を総合すると、イ号図面には、「スカム除去装置」に係り、次の(i)乃至(iv)の事項が示されていると認められる。 (i)トラフ20は、処理池内にその各端部が受担固定されて設置され、水面3より低い位置となる誘引口29を備えている。 (ii)誘引ガイド30は、帯長状のゴム板であり、トラフ20の傾斜リップ20eに止着具31で連結されている。 (iii)堰33は、トラフ20と同様の長尺状部材でかつ中空形状であり、その両端に可動側板35を備えている。 また、この堰33は作動アーム41等のアーム機構と連動して処理池の水面下に押し下げられる。 (iv)可動側板35は、中空形状の堰33をその側面において閉止するとともに側方からの水の浸入を阻止する働きをする。 また、この可動側板35は、固定側板28に一方が固定されている側面シールゴム32と連結されている。 (3)イ号物件の構成 イ号図面から摘示される上記(2)に示す(i)乃至(iv)の事項からみて、イ号図面に示される「イ号物件」は、本件の実用新案登録請求の範囲の記載に即して分説すると、次のとおりの構成を具備するものと認められる。 (a)処理池より低い位置となる誘引口29を備え池内で各端部が受担されて設置されているトラフ20と、 (b)トラフ20と同様の長尺状部材であってトラフ20の前側に設けられ、水面を上下運動可能な中空状の堰33と、 (c)堰33とトラフの間に設けられた帯長状のゴム板の誘引ガイド30とを備えるスカム除去装置であって、 (d)前記堰33の両端には、堰の長手方向に直交状に可動側板35が固着され、この可動側板35は、中空状堰33の両側面を閉止するとともに側方からの水の浸入を阻止する働きをするものであり、 (e)この可動側板35は、固定側板28に一方が固定されている側面シールゴム32とその他方で連結されている、 (f)スカム除去装置。 4.対比・判断 イ号物件の各構成要件が本件考案の各構成要件を充足するか否かについて検討すると、先ず、両者は、「スカム除去装置」に係る点で共通しているから、イ号物件の(f)は本件考案の構成要件(ヘ)を充足する。 また、イ号物件の構成要件(a)については、「各端部が受担」は本件考案の「両端支持状態」に相当するから、イ号物件の構成要件(a)も本件考案の構成要件(イ)を充足する。イ号物件の構成要件(b)については、その文言からも明らかなとおり、本件考案の構成要件(ロ)を充足する。イ号物件の構成要件(c)については、「ゴム板」は「可撓性」であり、またイ号物件の誘引ガイドも堰33の浮き沈みに伴って上下変形するものであるから、イ号物件の構成要件(c)も本件考案の構成要件(ハ)を充足する。イ号物件の構成要件(d)については、その文言からも明らかなとおり、本件考案の構成要件(ニ)を充足する。 さらに、イ号物件の構成要件(e)について検討すると、本件考案の構成要件の「可撓性の側面シールゴムの連結板ともなっていること」について、その意味するところが必ずしも明確ではないから、本件明細書の記載を参酌すると、これに関連する記載として、「しかも、同可動側板31の後端は側面シールゴム12の連結のために使用される。すなわち、一枚の板で堰13の閉止のためならびに側面シールゴム12の連結のために兼用的に用いられているのである。」(本件登録公報第6欄第13行乃至第17行)と記載されている。 そして、この記載に徴すれば、本件考案の「可撓性の側面シールゴムの連結板ともなっていること」は、可動側板が側面シールゴムと連結されていることを意味するものであり、この意味からすれば、イ号物件の「可動側板35」もその他方が側面シールゴム32と連結されているから、イ号物件の構成要件(e)も本件考案の構成要件(ホ)を充足すると云うのが相当である。 以上のとおり、イ号物件は、本件考案の構成要件のすべてを充足する。 5.むすび したがって、イ号物件は、本件登録実用新案に係る考案の技術的範囲に属するとするのが相当である。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2000-10-19 |
出願番号 | 実願平9-9465 |
審決分類 |
U
1
2・
1-
YA
(C02F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 斉藤 信人、川上 美秀、繁田 えい子 |
特許庁審判長 |
沼沢 幸雄 |
特許庁審判官 |
野田 直人 山田 充 |
登録日 | 1998-12-11 |
登録番号 | 実用新案登録第2590513号(U2590513) |
考案の名称 | スカム除去装置 |