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審決分類 審判 判定 利用 属さない(申立て成立) B62D
審判 判定 同一 属さない(申立て成立) B62D
管理番号 1028438
判定請求番号 判定2000-60066  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案判定公報 
発行日 2001-04-27 
種別 判定 
判定請求日 2000-05-10 
確定日 2000-11-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第1972385号の判定請求事件について、次のとおり判定する。   
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「チルト式ステアリングコラムの支持装置」は、登録第1972385号実用新案の技術的範囲に属しない。
理由 【1】請求の趣旨
本件判定請求の趣旨は、イ号図面並びにその説明書に示す装置(以下「イ号製品」という。)は、実用新案登録第1972385号の技術的範囲に属しない、との判定を求めるものである。
【2】本件考案
本件実用新案登録第1972385号考案(以下「本件考案」という。)は、願書に添付した明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりのものであり、構成要件ごとに分説して示すと、次のとおりのものと認める。
構成要件A:エネルギ吸収装置を備えたステアリングコラムにデイスタンスブラケットを固着し、このデイスタンスブラケットをチルトクランプに対して上下動自在に支持し、前記チルトクランプのクランプ取付部を、前記ステアリングコラムに衝撃荷重が作用したときに車体側取付部より離脱自在に取付けた支持装置において、
構成要件B:前記ディスタンスブラケットの両側縁に、前記ステアリングコラムに衝撃荷重が作用したときに前記チルトクランプの端縁側と当接して、前記チルトクランプの回動を規制するストッパー部材を設けたことを特徴とするチルト式ステアリングコラムの支持装置。
【3】イ号製品
これに対し、判定請求書中の「(4)イ号製品の説明」、同請求書に添付した「イ号図面並びにその説明書」、被請求人が提出し、請求人が成立及びイ号製品を撮影したものであることを認める、乙第1号証の写真1?3からみて、イ号製品は、次のa?hの構成を備えるものと認められる。
a:エネルギ吸収装置を備えたステアリングコラム2に、間隔をおいて側板6,6を対向配置した可動ブラケットBの前記両側板6,6の上部を溶接により固着し、前記可動ブラケットBを、断面逆L字状の左右両固定支持部材A1,A1を略門形状の連結部材5にて間隔をおいて左右対称に溶接により連結固定した固定ブラケットAに対して上下動自在に軸支し、前記固定ブラケットAの固定支持部材A1,A1を、前記ステアリングコラム2に衝撃荷重が作用したときに車体側取付部Pより離脱自在に取付けたチルト式ステアリングコラムの支持装置である。
b:前記可動ブラケットBの両側板6,6の側端縁と、前記固定ブラケットAの連結部材5の両側端縁とを間隔を設けて対向配置し、前記ステアリングコラム1に衝撃荷重が作用したときに、前記可動ブラケットBの両側板6,6の端縁そのものからなる当接端縁6a,6aと前記連結部材5の両側端縁の被当接端縁5a,5aとが当接して、前記固定ブラケットAの回動を規制するようにしてなるチルト式ステアリングコラムの支持装置である。
c:前記両側板6,6の連結部材5側端縁は、前記当接端縁6a,6aの先端から下方へ直線状に延びている。
d:前記両側板6,6の上部のステアリングコラム2との溶接部は、ステアリングコラム側に向かって曲げられ、その先端がステアリングコラム2に溶接されている。
e:前記両側板6,6は、連結部材5側が、ステアリングコラム2との溶接部よりさらに上方へ延長されて、その延長部の連結部材5側端縁を含んで、前記当接端縁6a,6aとされている。
f:前記両側板6,6の前記延長部は、上方からみたとき、前記ステアリングコラム2との溶接部の溶接端から当接端縁6a,6aに向かって広がる「ハ」の字状をなしている。
g:連結部材5は、その両端が、左右両固定支持部材A1、A1との溶接部よりさらに下方へ延長された部分をもち、その延長部分の端縁が前記被当接端縁5a,5aとされている。
h:前記可動ブラケットBの側板6の揺動停止部材10,10は、チルトレバー11の揺動をストップさせる機能をもち、衝撃荷重が作用したときに、前記可動ブラケットBの当接端縁6a,6aと前記連結部材5の被当接端縁5a,5aとが当接しても、前記揺動停止部材10,10は、固定ブラケットAの固定支持部材A1には一切当接しないように構成されている。
【4】当事者の主張
1.請求人の主張
(1)本件考案の「ステアリングコラム」,「ディスタンスブラケット」,「チルトクランプ」,「クランプ取付部」,「車体側取付部」は、イ号製品の「ステアリングコラム2」,「可動ブラケットB」,「固定ブラケットA」,「固定支持部材A1,A1の上辺部」,「車体側取付部P」にそれぞれ相当する。
したがって、本件考案の構成要件Aとイ号製品の構成要素aは一致している。
(2)イ号製品は、前記可動ブラケットBの両側縁には何ら部材を設けたものではない。その可動ブラケットBの両側縁に対向する側の前記固定ブラケットAに連結部材5という部材を設けている。該連結部材5は、固定ブラケットAを構成する左右両固定支持部材A1,A1を単に連結固定するだけでなく、その左右両固定支持部材A1,A1の内側面に位置する一部分を、前記可動ブラケットBの両側縁と係合する被当接端縁5a,5aを構成する部材としている。このような固定ブラケットAの連結部材5の被当接端縁5a,5aがストッパ部材的な役割をなし、該ストッパ部材に可動ブラケットBの両側縁そのものからなる当接端縁6a,6aとが当接する構成である。
本件考案は、「前記ディスタンスブラケットの両側縁に設けられたストッパー部材」が存在するのに対して、イ号製品において、固定ブラケットAの回動を規制するのは、前記可動ブラケットBの両側板6,6の側端縁そのものからなる当接端縁6a,6aと前記固定ブラケットAの連結部材5の側端縁の被当接端縁5a,5aとが当接する構成によるものであり、イ号製品は、前記可動ブラケットBの両側縁には何ら部材を設けたものではないから、本件考案のストッパ一部材に相当するものが存在しない。
(3)また、本件考案は、公知文献1(刊行物実開昭57-109071号の全文公開公報)の第6図の構成に、公知文献2(実開昭59-89765号全文公開公報)を適用すれば極めて容易に想到し得るものであり、本件実用新案登録は無効事由を内包しているものであるから、本件考案は、公知文献2との構成の相違点である、本件実用新案登録の願書に添付した明細書第4欄の第38行目?第40行目の「また、デイスタンスブラケット15の一端側(第1図の左側)には、両側方へ突出したストッパー部材27が一体的に形成されており、」との記載内容及び図面の第1図乃至第3図で開示されている内容、すなわち、「ストッパ一部材27を両側方へ突出して設けた」ものと解することが妥当である。
してみれは、イ号製品には、論理解釈上においても、本考案のデイスタンスブラケットに相当する可動ブラケットの両側縁には、ストッパ一部材は存在せず、本件考案の構成要件Bは存在しない。
(4)さらに、本件考案の「チルトクランプ」は公知文献2の「ブレイクアウエイブラケット4」に、本件考案の「ストッパ部材」は公知文献2の「ビス10(係合部材)」にそれぞれ相当する。
以上のような公知文献2や本件考案の「ディスタンスブラケットの両側縁に、前記ステアリングコラムに衝撃荷重が作用したときに前記チルトクランブの端縁側と当接して、前記チルトクランブの回動を規制するストッパー部材を設けた…」との減縮事項が存在するため、本件考案は、ディスタンスブラケットの両側縁に、チルトクランプの端縁側と当接するストッパー部材を設けるもので、ディスタンスブラケットの両側縁にストッパー部材を設けて、チルトクランプの端縁側はそのままとする概念である。
(5) 一方、イ号製品の「固定ブラケットA」は公知文献2の「ブレイクアウエイブラケット4」に、イ号製品の「連結部材5の被当接端縁5a,5a」が公知文献2の「ビス10(係合部材)」にそれぞれ相当するものである。このように、イ号製品の「固定ブラケットAの連結部材5の被当接端縁5a,5a」は、公知文献2の「ブレイクアウエイブラケット4に設けたビス10(係合部材)」の技術的構成と実質的に同一である。また、イ号製品の可動ブラケットBの両側縁を殆ど変えない構成である,その当接端縁6a,6aは、公知文献2からも、公知であることは明白である。
したがって、「チルトクランプ」の「ねじれ」防止をするような公知文献2の技術的課題・効果を有するというイ号製品は、本件考案の技術的範囲に含まれない。
(6)以上のとおり、イ号製品は、本件考案の構成要件Bを充足しないから、イ号製品は、実用新案登録第1972385号の技術的範囲に属しない。
2.被請求人の主張
(1)本件考案の「ストッパ一部材」に関し、本件の実用新案登録請求の範囲には、「ディスタンスブラケットの両側縁に設けられている」とだけ記載され、具体的な構造や定義などの限定事項については一切記載されていない。したがって、ストッパー部材をどのように解釈するかは、本件考案の技術的本質から導き出されるものであり、基本的には、ストッパー部材は、ディスタンスブラケットの両側縁側に設けられていて、該両側縁側と対向するチルトクランプの所定の部位が当接することによってこのチルトクランプの自由な回転を規制できる構造のものであればよいものである。要するに、ストッパー部材は、その大きさや形状、構造は勿論のこと、その形成位置の如何に拘わらず、チルトクランプの所定部位に対向するようにディスタンスブラケットの両側縁に設けられていればよいのである。
本件考案は、「部材」といっても、ディスタンスブラケットの両側縁に特別の機械的な構造片などを必ず設ける必要はなく、チルトクランプの所定部位との相対位置関係でディスタンスブラケットの両側縁をそのままストッパ一部材とすることも可能であり、イ号製品のように可動ブラケットBの両側板6,6の前方に延出した当接端縁6 a,6 aも「ストッパ一部材」の概念に含まれるものである。
また、イ号製品は、連結部材5に対向する可動ブラケットBの当接端縁6a,6a(特にその上部)は、両側板6,6の上部が溶接部に向けて内側(つまりステアリングコラム2寄り)に曲げられているのに対して相対的に外開きとなるように上方から見てハの字状に構成され、連結部材5の端縁を確実に受けるような形状となっている。しかも、溶接部よりも上方へと部分的に延長されており、両側板6,6そのものよりも一層広い範囲で連結部材5の端縁を受ける構成となっている。このように、両側板6,6の反対側の端縁と比較して、当接端縁6a,6aが全く異なる形状に構成されているのは明白であり、しかも、その形状の相違は、連結部材5の端縁との当接具合を考慮した以外には理由がなく、連結部材5との当接の上で、最適な形状に設計され、かつ加工されている。
したがって、イ号製品の両側板6,6における当接端縁6a,6aは、明らかに、本件考案の「ストッパー部材」に相当する。
また、イ号製品の被当接端縁5a,5aは、チルトクランプに相当する固定ブラケットに一体に形成されているから、本件考案の「チルトクランプの端縁」に相当する。
(2)公知文献2を根拠に本件考案の技術的範囲、特に「ストッパー部材」の技術的概念を実施例レベルまで限定解釈される所以は全くなく、その大きさや形状、構造に制限がないことは勿論のこと、「ストッパー部材」は、単にチルトクランプの所定部位に対向するようにディスタンスブラケットの両側縁に設けられていればよいと、解釈されてしかるべきである。
(3)本件実用新案登録の願書に添付した明細書に記載された「ディスタンスブラケットの両側縁にストッパ一部材を設けるたけで良いので、従来あるステアリングコラムの構造を変更する必要がない。」との効果は、クレームを「ディスタンスブラケットの両側縁に、…ストッパー部材を設ける」としたことに伴い、ストッパー部材を、ディスタンスブラケットとは別個に設けたり、ステアリングコラムなどの他の部位に設けるのではなく、単にディスタンスブラケットの両側縁に直接設けることによって、ステアリングコラムの構造の変更が不要になり、従来の構造をそのまま利用できることを明確にしたものである。
したがって、ディスタンスブラケットに対するストッパー部材の形成位置については特定されるものの、前記効果の記載内容が、本件実用新案権の権利範囲の拡狭に全く影響を与えるものではない。
(4)上記(2),(3)のとおり、本件考案の「ストッパー部材」の技術的概念が限定解釈される謂れはないことから、イ号製品が本件考案の前記各構成要件Aは勿論のこと構成要件Bの全てを具備していることは明らかである。
(5)そして、イ号製品の作用効果も、本件考案の作用効果と同一であることは明らかである。
(6)以上のとおりであるから、イ号製品は、本件考案の構成要件Aは勿論のこと、構成要件Bも備えていると共に、作用効果の点でも同一であるから、本件考案の技術的範囲に属するものである。
【5】当審の判断
1.本件考案の「ストッパー部材」を設ける位置及び「ストッパー部材」が当接する位置について
被請求人は、本件の考案は、「部材といっても、ディスタンスブラケットの両側縁に特別の機械的な構造片などを必ず設ける必要はなく、チルトクランプの所定部位との相対位置関係でディスタンスブラケットの両側縁をそのままストッパ一部材とすることも可能であり、」と主張するが、本件願書に添付した明細書の実用新案登録請求の範囲に、「ストッパー部材」を設ける位置について、「デイスタンスブラケットの両側縁に」と記載され、また、「ストッパー部材」が当接する位置について、「チルトクランプの端縁側と当接して」と記載されている。
2.対比・判断
(1)争いのない点
本件考案の「ステアリングコラム」、「デイスタンスブラケット」,「チルトクランプ」、「クランプ取付部」、「車体側取付部」は、それぞれイ号製品の「ステアリングコラム2」、「可動ブラケットB」、「固定ブラケットA」、「固定支持部材A1の上辺部」,「車体側取付部P」に相当し、イ号製品の構成要素aが、本件考案の構成要件Aを充足する点については、当事者間に争いはない。
(2)争点(構成要件Bの充足性)について
イ号製品は、本件考案の「チルトクランプ」に相当する固定ブラケットAとして、固定ブラケット支持部材A1,A1を連結する連結部材5の両端を、固定ブラケット支持部材A1,A1との溶接部より更に延長して、可動ブラケットBの側板6,6の当接端縁6a,6aに対向配置させて被当接端縁5a,5aとする構成を採用している。そして、この溶接部より更に延長した連結部材5の両端は、可動ブラケットBに対して何らクランプとして機能するものではなく、可動ブラケットBの当接端縁6a,6aに対するストッパーとして機能するものであるから、「ストッパー部材」として特に設けられた部分である。また、可動ブラケットBに対してクランプとして機能する固定ブラケットAの部分は、固定ブラケット支持部材A1,A1であって、その固定ブラケット支持部材A1,A1の端縁は、可動ブラケットBの側板6,6の外側にあって、可動ブラケットBの当接端縁6a,6aに対向配置されたものではないから、当該当接端縁6a,6aと当接するものではない。
イ号製品は、可動ブラケットBの側板6,6がステアリングコラムとの溶接部より上方に延長されて、その延長部分に当接端縁6a,6aが形成されているから、可動ブラケットBは、ストッパ部材を設けたものである。そして、イ号製品は、可動ブラケットBの側板6,6とステアリングコラムとの溶接部が、ステアリングコラム側に向かって曲げられた前記側板6,6の先端に位置する結果として、当接端縁6a,6aが形成される前記延長部分が、上方からみたとき、前記溶接部の溶接端から当接端縁6a,6aに向かって広がる「ハ」の字状に見えるものの、可動ブラケットBの当接端縁6a,6aは、固定ブラケットAの内側にあって、前記被当接端縁5a,5a以外に当接する部分は存在せず、固定ブラケットAの端縁に当接するものではない。
したがって、イ号製品は、本件考案のディスタンスブラケットに相当する可動ブラケットBにストッパー部材を設けたものと認められるものの、当該ストッパ部材である当接端縁6a,6aは固定ブラケットAの端縁側と当接するものではないから、本件考案の「前記ディスタンスブラケットの両側縁に、前記ステアリングコラムに衝撃荷重が作用したときに前記チルトクランプの端縁側と当接して、前記チルトクランプの回動を規制するストッパー部材を設けた」点を充足しない。
よって、イ号製品は、本件考案の構成要件Bを充足しない。
【6】むすび
以上とおりであるから、イ号製品は、本件考案の技術的範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2000-10-30 
出願番号 実願昭60-153636 
審決分類 U 1 2・ 2- ZA (B62D)
U 1 2・ 1- ZA (B62D)
最終処分 成立  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 大島 祥吾
粟津 憲一
登録日 1993-06-25 
登録番号 実用新案登録第1972385号(U1972385) 
考案の名称 チルト式ステアリングコラムの支持装置  
代理人 小林 博通  
代理人 志賀 富士弥  
代理人 富岡 潔  
代理人 橋本 剛  
代理人 岩堀 邦男  
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