• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1032372
審判番号 審判1999-19058  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-12-01 
確定日 2000-09-14 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 6629号「ラベル用シート」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 8月23日出願公開、実開平 6- 60866]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1. 本件は、平成5年1月30日の出願であって(実願平5-6629号)、その実用新案登録を受けようとする考案は、平成10年12月25日付けで提出した手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載に徴し、その実用新案登録請求の範囲【請求項1】に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】ラベルを表裏両面に備え、ラベルそれぞれが剥離可能に対向配置されているラベル用シートであって、
前記ラベルそれぞれには、該ラベルを複数のラベル片に区画する区画部が設けられ、該区画部は、ミシン目および/または切り込みにより形成され、異種の区画部が表裏で位置ズレした状態で相対していることを特徴とするラベル用シート。」
2. これに対して、原査定の拒絶の理由として引用された「実願平3-41439号(実開平4-126272号)のCD-ROM」(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が、図面とともに記載されている。
イ) 「本考案のラベルにおいては図1および図2に示すように剥離紙1の表面にはラベル3が貼りつけられ、剥離紙1の裏面にもラベル4が貼りつけられている。
【0009】
従つて、一枚の剥離紙1に対に表面と裏面の両方にラベル3,4が貼りつけられているので、剥離紙1を有効に活用することができるので、ラベル3,4は安価になり、ラベル3,4の二枚に対し剥離紙1は一枚ですむので、ラベル3,4を収納、保管する場合は、収納効率を向上させることができる。
【0010】
図3および図4は剥離紙1からラベル3,4をはがしやすくするためにハーフカツトを施すが、このハーフカツトについて説明する。
なお、図3および図4において符号1から5は図1および図2のものと同一のものを示す。
6は上カツタ、7は上カツタ6の保持具、8は下カツタ、9は下カツタ8の保持具、10,11はハーフカツトによる切れ目で、10はラベル3の切れ目、11はラベル5の切れ目である。
【0011】
図3に示すように上カツタ6と下カッタ8の刃先は互に左右にずれている。
つまり、上カツタ6と下カツタ8が互に対向しているとラベル3、剥離紙1およびラベル4を全て切断してしまう恐れがあるからである。
従つて、ラベル4に切れ目11を入れる場合は、下カツタ8と上カツタ6の保持具7によつてラベル3、剥離紙1およびラベル4を挟みつけるが、下カツタ8はラベル4のみに切れ目11を入れるが、剥離紙1およびラベル3には切れ目を入れることはない。
また、ラベル3に切れ目10を入れる場合は、上カツタ6と下カツタ8の保持具9によつてラベル3のみに切れ目10を入れる。
この様に上カツタ6と下カツタ8を左右に多少ずらせることによつて、図3および図4に示すように片方のラベル3あるいはラベル4のみに切れ目10あるいは切れ目11を入れることができる。」(明細書段落番号【0008】?同【0011】)
ロ) 「本考案によれば剥離紙を有効に活用できるので、ラベルはそれだけ安価になり、収納効率を向上させることができる。」(明細書段落番号【0013】)
3. 対比・判断
1) 上記引用例に記載の「ラベル3,4」は、それぞれ表面のラベル、裏面のラベルとして備えられ、該ラベル3,4とで粘着剤を介して剥離紙1に対向して配置されており、斯かるシート状物(【図1】図示のシート状をした全体像)は、本件出願の【請求項1】に係る考案(以下「本願考案」という。)の「ラベル用シート」を 、実現するものといって妨げない。
右各ラベルは、引用例の【図2?5】に図示されるように、複数の「ラベル片」に区画される「区画部」{切れ目(10,11)によって、区画された各部分が本願考案の「区画部」に相当}が設けられており、その区画部は、切り込みによって形成されていることは明らかである(引用例の考案において、カッタにより「切れ目」を入れることは、本願考案の「切り込み」によることと同等である。)。
さらに、引用例に記載の区画部3,4は、上下において、位置ズレした状態で相対していることも明らかである{「上カツタ6と下カッタ8の刃先は互に左右にずれている。」(前掲明細書段落番号【0011】)、「上カツタ6と下カツタ8を左右に多少ずらせることによつて、」(同明細書同段落番号最後段)の各記載並びに【図3】の図示の態様 参照}。
以上のとおりであるから、引用例には、本願考案との対比において、その技術的事項を抽出すると、以下のとおりの内容が、開示されている。
「ラベルを表裏両面に備え、ラベルそれぞれが剥離可能に対向配置されているラベル用シートであって、
前記ラベルそれぞれには、該ラベルを複数のラベル片に区画する区画部が設けられ、該区画部は、切り込みにより形成され、区画部が表裏で位置ズレした状態で相対しているラベル用シート。」
2) 本願考案と引用例に記載の考案を比較すると、
(1)本願考案は、表裏の区画部を異種の区画部としているのに対して、引用例に記載の考案においては、このような明確な構成を採っているかは定かには捉えられない点、
において相違している。
その余の構成部分については、前記において検討したとおり、両者間に、格別の相違は、存しない。
4. そこで、この相違点につき、審案する。
確かに、引用例には異種の区画部については、何ら言及がない。
しかしながら、本願考案が、引用例に記載された表裏で位置ズレした区画部を異種とした点は、斯界における当業者の予期可能な設計変更の域を出ないものと言ってしかるべきである。
その理由とするところは、
(1) 位置ズレした状態で相対せしめたことによる効用は、本願考案に劣らず、引用例に記載の考案においても同様に発揮されるものであること、
(2) 他方、本願考案に謳う「異種」は、斯く特定したことに伴う格別の効用は明細書の記載上全く窺知されないこと、
(3) 各区画部を表裏で位置ズレして供する対向区画部を異種とすることは、使用各般のニーズに応じ当業者が、随時定めるべき設計変更事項に過ぎないといってしかるべきこと、
が、それぞれ考えられるからである。
5. 判断
上記のとおりであるから、本願考案は、この出願前日本国内において頒布された刊行物である引用例に記載された考案に基づいて当業者が、きわめて容易に推考することができたものと認められる。
それ故、実用新案法第3条第2項の規定により、本願考案につき、実用新案登録を受けることができない。
6. 結語
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-06-22 
結審通知日 2000-07-04 
審決日 2000-07-24 
出願番号 実願平5-6629 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (G09F)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 松澤 福三郎塩澤 克利  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 熊倉 強
藤原 稲治郎
考案の名称 ラベル用シート  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ