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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04H
管理番号 1032383
審判番号 審判1999-295  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-12-28 
確定日 2000-09-20 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 36499号「エントランスゲート」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 2月14日出願公開、実開平 7- 10259]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 (一)手続きの経緯・本願考案
本願は、平成5年7月2日の出願であって、本願の請求項1に係る考案は、平成11年1月25日付け手続補正書により補正された実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「住宅の正面における側部に設けられた玄関に対して、前方に直線状に延びるアプローチが設けられるとともに、このアプローチの側方における敷地境界の塀との間に車庫が設けられており、相互に並んだアプローチの入口と車庫の入口とにわたって配置されるエントランスゲートであって、該アプローチの入口と車庫の入口との間に、鉛直状態で配置された丸柱と、該丸柱とはアプローチの入口を挟んでアプローチの入口に沿って配置されており、住宅の正面における外壁と同様の外観を有する平板状の門柱と、この門柱の上端部と、前記丸柱の上端部と、前記車庫の側方の塀の上端部とを水平状態で連結する断面長方形状のビームと、を有することを特徴とするエントランスゲート。」(以下、「本願考案」という。)
(二)引用文献
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平1-247688号公報(以下、「引用例」という。)には、例えば、次のような記載がある。
1.「以下本発明を実施例により詳述する。門塀パネル1はあらかじめ工場で形成されるものであり、この門塀パネル1を形成する際に門塀パネル1に照明装置、インターホン、ポスト等の門回り部品2を組み込んである。門塀パネル1は例えば金属製の枠体3の表面、裏面及び周側面にそれぞれ無機質パネル4が取着してある。そしてこの無機質パネル4に開口部を設けて門回り部品2を門塀パネル1の内部の中空部5内にはめ込んで取り付けてある。」公報第2頁左上欄。
2.「ここで第1図に示すように門回り部品2を組み込んだ門塀6のみを用いてもよいが、第3図乃至第7図に示すように門塀6aとして門塀パネル1のみで構成されて門回り部分2を組み込んでいないものを別途工場で作成しておき、門塀6と門塀6aとを組み合わせて現場で建て込んでもよい。また屋根ユニット7をあらかじめ工場で形成し、これを上記門塀6または門塀6と門塀6aとを組みあわせて現場で組み立ててもよい。この場合屋根ユニット7の大きさ形状等の異なるものを複数種用意しておくと例えば第4図乃至第7図のような種々のバリエーションのものにすることができる。また第7図に示すようにガレージ用屋根ユニット8を用意しておくと、これを組み合わせることでガレージの屋根部分も形成することができる。」公報第2頁左上欄?第2頁右上欄。
3.「ところで、門塀6または門塀6aとしては平板状、あるいは水平断面L状等種々形状のものとすることができる。」公報第2頁右上欄?第2頁左下欄。
前記1?3の記載事項と図面の記載からみて、引用例には、直線状に延びる人用の入口と、その側方にガレージ入口が設けられており、前記人用の入口と前記ガレージ入口との間に平板状の門塀パネルをその平板の厚み方向が正面と成るように鉛直状態で配置し、前記門塀パネルとは人の入口を挟んで断面L状の門塀パネルをその板面が正面となるように鉛直状態で配置し、人用の入口とガレージ入口との間に配置された前記門塀パネルとはガレージ入口を挟んで平板状の門塀パネルをその平板の厚み方向が正面と成るように鉛直状態で配置し、前記2つの平板状の門塀パネルと断面L状の門塀パネルの上端部を水平状態で連結する屋根ユニットとを有する門塀が記載されている。
(三)対比
本願考案と引用例に記載の考案を対比する。
引用例に記載の考案における、「人用の入口」、「ガレージ」及び「門塀」は、本願考案における、「アプローチ」、「車庫」及び「エントランスゲート」にそれぞれ相当するものであり、引用例に記載の考案における、「人用の入口とガレージ入口との間に配置された門塀パネル」と、本願考案における、「丸柱」は、中間門柱といえるものであり、引用例に記載の考案における、「断面L状の門塀パネル」は、正面から見た場合は平板状であり、本願考案における、「平板状の門柱」に相当するものであり、引用例に記載の考案における、「ガレージ側の平板状の門塀パネル」と、本願考案における、「敷地境界の塀」は、その機能において車庫側方の塀といえるものであり、引用例に記載の考案における、「屋根ユニット」と、本願考案における、「断面長方形状のビーム」は、車庫側方の塀、中間門柱、アプローチ側の平板状の門柱の上端部を水平状態で連結する部材といえるものであるから、本願考案と引用例に記載された考案は、次の一致点において両者の構成は一致し、次の相違点において両者の構成は相違する。
一致点:直線状に延びるアプローチが設けられるとともに、このアプローチの側方に車庫が設けられており、相互に並んだアプローチの入口と車庫の入口とにわたって配置されるエントランスゲートであって、該アプローチの入口と車庫の入口との間に鉛直状態で配置される中間門柱と、該中間門柱とはアプローチの入口を挟んでアプローチの入口に沿って配置されたアプローチ側の平板状の門柱と、該中間門柱とは車庫を挟んで車庫に沿って配置された車庫側方の塀と、アプローチ側の平板状の門柱の上端部と、中間門柱の上端部と、前記車庫側方の塀の上端部とを水平状態で連結する部材とを有するエントランスゲート。
相違点1:本願考案においては、住宅の正面における側部に設けられた玄関に対して、アプローチが直線上に延びているのに対して、引用例に記載の考案においては、住宅に関する記載がなく、アプローチと玄関の関係が不明である点。
相違点2:本願考案においては、車庫側方の塀として敷地境界の塀を用いるのに対して、引用例に記載の考案においては、車庫側方の塀として、ガレージ側の平板状の門塀パネルを用いる点。
相違点3:本願考案においては、車庫入口とアプローチ入口との間に配置される中間門柱を丸柱とするのに対して、引用例に記載の考案においては、車庫入口とアプローチ入口との間に配置される中間門柱を平板状の門柱とし、その厚み方向を正面として用いる点。
相違点4:本願考案においては、アプローチ側の平板状の門柱を住宅の正面における外壁と同様の外観とするのに対して、引用例に記載の考案においては、住宅に関する記載がなく、アプローチ側の平板状の門柱の外観の構成が不明である点。
相違点5:本願考案においては、各門柱の上端部を水平状態で連結する部材を断面長方形状のビームとしたのに対して、引用例に記載の考案においては、各門柱の上端部を水平状態で連結する部材を屋根ユニットとした点。
(四)判断
前記相違点について検討する。
相違点1について検討する。
住宅の正面における側部に玄関を設けることは周知の事項であり、門から住宅の玄関までを直線上のアプローチとすることも周知の事項であるから、引用例に記載の考案に、前記周知事項を適用して、前記相違点1にあげた本願考案の構成のようにすることは当業者がきわめて容易になしえる程度のものである。
相違点2について検討する。
車庫を敷地境界の塀と建物の側壁との間に配置することは周知の事項であり、その際、エントランスゲートの門柱として塀を活用するようなことは、当業者がきわめて容易に思いつく程度のものであるから、引用例に記載の考案に、前記周知事項を適用して、前記相違点2にあげた本願考案の構成のようにすることは当業者がきわめて容易になしえる程度のものである。
相違点3について検討する。
門柱を丸柱とすることは周知の事項であり、引用例に記載の考案に、前記周知事項を適用して、前記相違点3にあげた本願考案の構成のようにすることは当業者がきわめて容易になしえる程度のものである。
相違点4について検討する。
建物の外壁と門柱との外観を同様なものとすることは周知の事項であり、引用例に記載の考案に、前記周知事項を適用して、相違点4にあげた本願考案の構成のようにすることは当業者がきわめて容易になしえる程度のものである。
相違点5について検討する。
本願考案において、各門柱の上端部を水平状態で連結する部材を断面長方形状のビームとする技術的意義は、明細書【0014】段落中の「1本のビームによってアプローチ入口と車庫入口の上方を覆っているために、全体の調和がとれており、」というものであり、引用例に記載の考案においても、1本の屋根ユニットによってアプローチ入口と車庫入口の上方を覆っているものであるから本願考案と同様の作用効果を奏するものであり、引用例に記載の考案における屋根ユニットを断面長方形状のビームとし前記相違点5にあげた本願考案の構成のようにすることは当業者がきわめて容易になしえる程度のものである。
(五)むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る考案は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-07-06 
結審通知日 2000-07-18 
審決日 2000-07-31 
出願番号 実願平5-36499 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (E04H)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 山田 忠夫小林 俊久  
特許庁審判長 片寄 武彦
特許庁審判官 鈴木 憲子
宮崎 恭
考案の名称 エントランスゲート  
代理人 倉内 義朗  

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