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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E06B |
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管理番号 | 1032392 |
審判番号 | 審判1999-1507 |
総通号数 | 17 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2001-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-02-01 |
確定日 | 2000-10-11 |
事件の表示 | 平成 5年実用新案登録願第 844号「シャッターの巻取り装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 8月 5日出願公開、実開平 6- 56490]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願考案 本願は、平成5年1月18日の出願であって、その請求項1に係る考案は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「スラットカーテンを、コイルスプリングの弾性力をかりて、シャッターケース内の支持軸の外周に回動自在に軸支された巻取りホイールに巻取るようにしたシャッターの巻取り装置において、上記巻取りホイールは、円盤形の本体部と該本体部中心の嵌合孔に嵌合固着されて上記支持軸に回転自在に滑合するボス部とにより形成され、上記巻取りホイールのボス部は、平板材を円筒形にカーリングすることで形成した円筒部材で構成し、上記巻取りホイールの本体部に形成した嵌合孔に嵌合固着したことを特徴とするシャッターの巻取り装置。」 2.引用刊行物及び周知例記載の考案 (1)引用刊行物1 これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された実公昭57-34314号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、「窓用シャッターの巻取り装置」に関するもので、 (イ)「本考案は軽量シャッターにおけるホイールの改良に係るものである。」(第1欄第32?33行)、 (ロ)「第1図において、1は軸で、その両側に鋼製のホイール2,2が軸に対し回転可能にとりつけられている。3はホイール2,2間に取りつけられたステー、4はバランス用コイルスプリングである。・・・8はホイール2の軸受筒、9は割ピンで、これらによりホイール2の位置を保持している。」(第2欄第3?13行) との記載があり、上記(イ)?(ロ)の記載、及び第1図の記載からみて、次の考案が記載されているものと認められる。 「軸1に対し回転可能にとりつけられているホイール2と、該ホイール2の軸受筒8と、バランス用コイルスプリング4とからなるシャッターの巻取り装置。」 (2)周知例1 又、本願の出願日前に頒布された実願昭61-193064号(実開昭63-98988号)のマイクロフィルム(以下、「周知例1」という。)には、 (イ)「まず、従来の装置を第8図乃至第11図によって説明する。従来、この種手動開閉式軽量シャッターの一般的構造では、不動の巻上シャフト3に遊嵌された巻上ホイール6,6を、巻上スプリング7,7を介して巻上シャフトに係合させ、該巻上スプリング7,7の蓄勢トルクの付勢に基づき、図示しないスラットカーテンの重量負荷に抗して容易にカーテンを巻上作動せしめる構造が採られている。」(明細書第2頁第6?15行)、 (ロ)「第8図に示すように、巻上シャフト3に外嵌されかつ巻上ホイール6,6に固着されているブッシュ8,8」(同第3頁第4?6行)、 (ハ)「手動開閉式軽量シャッターの巻取り装置は、第3図及び第4図に示すように、シャフト3、巻上ホイール6、巻上スプリング7及びブッシュ8によって構成されており、その構成及び機能は第8図乃至第11図の従来の技術と同様であるから同一符号を付し説明を省略する。」(同第6頁末行?第7頁第5行) との記載があり、上記(イ)?(ハ)の記載、及び第3,4,8図の記載からみて、次の考案が記載されているものと認められる。 「スラットカーテンを、巻上スプリング7の弾性力をかりて、巻上シャフト3の外周にに遊嵌された巻上ホイール6に巻取るようにしたシャッターの巻取り装置において、上記巻上ホイール6は、円盤形で中心に嵌合孔が形成され、上記嵌合孔に嵌合固着されて上記巻上シャフト3に回転自在に滑合するブッシュ8が設けられ、該ブッシュ8は円筒部材で構成されたシャッターの巻取り装置。」 (3)周知例2 原査定の拒絶の理由に周知例として引用された、本願の出願日前に頒布された特開昭63-303218号公報(以下、「周知例2」という。)には、公報第2頁左上欄第7?11行の記載、及び第2頁左下欄第13行?右下欄第11行の記載、並びに第1?2,12図の記載からみて、「軸受帯板1を円筒形に曲げ加工して形成された巻きブシュ軸受。」が記載されているものと認められる。 (4)周知例3 原査定の拒絶の理由に周知例として引用された、本願の出願日前に頒布された特公昭53-26596号公報(以下、「周知例3」という。)には、公報第1欄第21?22行の記載、及び第1欄第27行?第2欄第11行の記載、並びに第1?5図の記載からみて、「板体を屈曲して筒形に形成する、軸などの外周に嵌め込んで用いる筒形のスリーブの製造方法。」が記載されているものと認められる。 (5)周知例4 原査定の拒絶の理由に周知例として引用された、本願の出願日前に頒布された特開平4-190651号公報(以下、「周知例4」という。)には、公報第3頁左上欄第12行?右上欄第9行の記載、及び第1図の記載からみて、「金属板を所定の形状に切断した後、カーリングして円筒形状に形成し、両端部を溶接等により接合する軸受ホルダの製造方法。」が記載されているものと認められる。 3.対比・判断 本願請求項1に係る考案(以下、「本願考案」という。)と引用刊行物1に記載された考案とを対比すると、引用刊行物1に記載された考案の「軸」、「ホイール」及び「軸受筒」は、それぞれ本願考案の「支持軸」、「巻取りホイールの本体部」及び「巻取りホイールのボス部」に対応するから、両者は、支持軸に対し回転可能にとりつけられている本体部及びボス部とからなる巻取りホイールと、コイルスプリングとからなるシャッターの巻取り装置である点で一致し、次の点で相違する。 相違点1 本願考案が、「スラットカーテンを、コイルスプリングの弾性力をかりて、巻取りホイールに巻取るように」し、「巻取りホイールは、円盤形の本体部と該本体部中心の嵌合孔に嵌合固着されて上記支持軸に回転自在に滑合するボス部とにより形成され、上記巻取りホイールのボス部は、円筒部材で構成し、上記巻取りホイールの本体部に形成した嵌合孔に嵌合固着した」のに対して、引用刊行物1に記載された考案は、支持軸、巻取りホイール及びコイルスプリングの構成はあるが、その具体的構成及びスラットカーテンに関する構成が不明な点。 相違点2 上記相違点1に関連し、巻取りホイールのボス部について、本願考案が、「平板材を円筒形にカーリングすることで形成した」のに対して、引用刊行物1に記載された考案は、軸受筒の具体的構成が不明な点。 相違点3 本願考案が、支持軸がシャッターケース内にあるのに対して、引用刊行物1に記載された考案は、支持軸がシャッターケース内にあるかどうか不明な点。 そこで、上記相違点について検討する。 上記相違点1について、スラットカーテンを、巻上スプリングの弾性力をかりて、支持軸(周知例1においては、「巻上シャフト3」が相当する。)の外周に回動自在に軸支された巻取りホイール(同「巻上ホイール6」と「ブッシュ8」とからなる構成が相当する。)に巻取るようにし、巻取りホイールは、円盤形の本体部(同「巻上ホイール6」が相当する。)と該本体部中心の嵌合孔に嵌合固着されて上記支持軸に回転自在に滑合するボス部(同「ブッシュ8」が相当する。)とにより形成され、上記巻取りホイールのボス部は、円筒部材で構成し、上記巻取りホイールの本体部に形成した嵌合孔に嵌合固着したシャッターの巻取り装置は、上記周知例1に記載されているように従来から周知の技術手段であるから、引用刊行物1に記載の考案に上記周知の技術手段を適用して、本願考案の上記相違点1に係る構成とすることは、当業者がきわめて容易に想到し得ることである。 上記相違点2について、機械に関する技術分野において、平板材を円筒形にカーリングすることで円筒部材を形成することは、上記周知例2?4に記載されているように従来から周知の技術手段(特に、周知例2においては、軸受に関するものであり、又周知例3においては、軸などの外周に嵌め込んで用いるものである。)であるから、上記相違点1における検討において引用刊行物1に記載の考案に適用することがきわめて容易であるとしたボス部であるところの円筒部材の形成に関して、上記周知の技術手段を適用して、本願考案の上記相違点2に係る構成とすることは、当業者がきわめて容易に想到し得ることである。又、引用刊行物1に記載された考案に上記周知の技術手段を適用することに、特に阻害する要因もない。 上記相違点3について、シャッターの巻取り装置において、支持軸や巻取りホイール等をシャーターケース内に収めることは、従来から周知の技術手段であるから、引用刊行物1に記載の考案に上記周知の技術手段を適用して、本願考案の上記相違点3に係る構成とすることは、当業者がきわめて容易に想到し得ることである。 そして、全体として、本願考案の効果は、引用刊行物1に記載された考案及び上記周知の技術手段から当業者が当然に予想し得る程度のものである。 4.むすび したがって、本願考案は、引用刊行物1に記載された考案及び上記周知の技術手段に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-07-25 |
結審通知日 | 2000-08-04 |
審決日 | 2000-08-22 |
出願番号 | 実願平5-844 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(E06B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 南澤 弘明 |
特許庁審判長 |
田中 弘満 |
特許庁審判官 |
小野 忠悦 宮崎 恭 |
考案の名称 | シャッターの巻取り装置 |
代理人 | 西村 教光 |