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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02K
管理番号 1032404
審判番号 審判1999-5872  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-04-15 
確定日 2000-11-09 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 19278号「ステッピングモータの歯構造」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年11月 8日出願公開、実開平 6- 80376]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯、本願考案の要旨
本願は、平成5年4月15日の出願であって、その考案の要旨は、補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲請求項1に記載された、次の通りのものと認められる。
「基本ステップ角度が0.9度に構成され.複数のステータ小歯を有する複数のステータ歯(1)と、前記各ステータ小歯(la)に対向する複数のロータ小歯(3a)を有するロータ(3)とからなり前記0.9度の中間領域で前記ロータ(3)の位置決めをするマイクロステッピングを行うためのステッピングモータの歯構造において、前記ロータ小歯(3a)の第1幅(tl)は、前記ステータ(la)の第2幅(t2)の約85?95%であることを特徴とするステッピングモータの歯構造。」

2.引用刊行物
これに対して、当審の拒絶理由通知で引用した「見城尚志、新村佳久著「ステッピング・モータの基礎と応用」総合電子出版社 1979.2.10 20頁、52頁?54頁、90頁?93頁」(以下「引用刊行物1」と言う)には、91頁?92頁「3.3.1歯部構造」の図3.16に関して(1)ステータにおいて歯幅とスロット幅がほぼ同じ。(3)ロータの幅tと歯ピッチλの比t/λは0.38?0.45である。としている。
引用刊行物1の「ステータの歯幅」「ロータの幅t」が各々本願の「ステータ(la)の第2幅(t2)」「ロータ小歯(3a)の第1幅(tl)」に相当する。ステッピング・モータではステータの歯ピッチとロータの歯ピッチは一致し共に(λ)である。引用刊行物1では(1)に記載されるように、ステータの歯幅とスロット幅がほぼ同じである。歯ピッチ(λ)は歯幅とロット幅の合計であるから、ステータの歯幅(本願の「ステータ(la)の第2幅(t2)」)=ステータのスロット幅=歯ピッチ(λ)の半分、即ち、(t2)=(λ)/2、である。従って、引用刊行物1の「ロータの幅t」と「ステータの歯幅」の比、即ち「ロータ小歯(3a)の第1幅(tl)」と「ステータ(la)の第2幅(t2)」の比(t1)/(t2)は、t=tl,λ=2×(t2)から、t/λの2倍の0.76?0.9となる。
結局引用刊行物1には以下のことが記載されていることとなる。
「複数のステータ小歯を有する複数のステータ歯と、前記各ステータ小歯に対向する複数のロータ小歯を有するロータとからなるステッピングモータの歯構造において、前記ロータ小歯の第1幅(tl)は、前記ステータの第2幅(t2)の約76?90%であることを特徴とするステッピングモータの歯構造。」

3.対比・判断
本願実用新案登録請求の範囲記載のもの(以下「前者」と言う)と引用刊行物1記載のもの(以下「後者」と言う)を比較すると以下の2点で相違しその余に実質的な差異は認められない。
相違点1.前者は「基本ステップ角度が0.9度に構成され」「前記0.9度の中間領域で前記ロータ(3)の位置決めをするマイクロステッピングを行う」ためのであるのに対して、後者は基本ステップ角度及びマイクロステッピングには言及されていない点。
相違点2.前者ではロータ小歯の第1幅(tl)はステータの第2幅(t2)の約85?95%であるとしているのに対して、後者は約76?90%であるとしている点。

各相違点を検討する。
相違点1に関して、前記の拒絶理由で提示した、特公平2-6301号公報、或いは特開平1-252154号公報に示されるように、ステッピング・モータにおいてステップ角を0.9度とすることは周知である。また、同じく提示した特開平3-124298号公報、或いは引用刊行物1の52頁?54頁に示されるようにステッピングモータにおけるマイクロステッピング駆動も周知であり、これら記載からマイクロステッピング駆動はモータのステップ角或いは歯の比率に影響されることなく実行可能であることも明かである。
審判請求人も平成12年7月31日付け意見書で述べているように、「ステッピングモータの設計者であれば熟知している」引用刊行物1のロータ小歯の第1幅(tl)とステータの第2幅(t2)の関係でもってって、周知の構成であるステップ角0.9度のステッピング・モータを作成し、該ステッピング・モータを周知のマイクロステッピング駆動する構成とすることは当業者にとって極めて容易なことと認められる。
相違点2に関して、本件明細書には「約85?95%」としたことの具体的根拠、及びその効果は何ら示されておらず、引用刊行物1の記載の「約76?90%」を「約85?95%」としたこに格別のものは見いだせない。

4.結び
以上のとおり、本願の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された考案は、引用刊行物に記載されたものに基づいて当業者が極めて容易に考案することができたものと認められるから、本願は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-08-24 
結審通知日 2000-09-05 
審決日 2000-09-19 
出願番号 実願平5-19278 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (H02K)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 米山 毅  
特許庁審判長 祖父江 栄一
特許庁審判官 槙原 進
川端 修
考案の名称 ステッピングモータの歯構造  
代理人 黒岩 徹夫  
代理人 曾我 道照  
代理人 鈴木 憲七  
代理人 古川 秀利  
代理人 長谷 正久  
代理人 小林 慶男  
代理人 池谷 豊  

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