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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B62D
管理番号 1032415
審判番号 審判1998-15698  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-10-01 
確定日 2000-11-22 
事件の表示 平成4年実用新案登録願第14714号[考案の名称「自動車用ハンドル」、平成5年10月12日出願公開(実開平5-75053号)]拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.(手続の経緯と本願考案)
本願は、平成4年3月18日の出願であって、その出願に係る考案は、平成10年5月29日付で補正された明細書における、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される、次のとおりのものと認める。
【請求項1】「リム芯金を覆って形成されたリムと、該リムの外周面を覆うハンドルカバーと、該ハンドルカバーの両端部をハンドルの内側で固持してなる縫製手段とを有する自動車用ハンドルにおいて、
前記縫製手段の施される部位近傍の前記リムの表面は、少なくとも前記縫製手段により前記ハンドルカバーが厚くなる分だけ平面状に欠けてなることを特徴とする自動車用ハンドル。」(以下、「本願考案」という)

2.(引用例の記載事項)
これに対し、原査定の拒絶理由で引用された、本願出願前に頒布された刊行物である実願平2-36758号(実開平3-126760号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という)には、「皮巻きステアリングホイール」に関して、第1?5図と共に、次のイ?ハのように記載されている。
イ 「【考案が解決しようとする課題】
第3図に示すように縫合部5は一般にリング部laの内径部分に設けられるために、縫合部5では皮が余り気味となり、これに縫い糸6のテンションが加わって皮が引き寄せられる。従って、これらによるしわ寄せを皮の持つ伸縮性では吸収できなくなって皮が盛り上がり、手触りが悪くなりやすいものであった。・・・
この考案はこのような問題点に着目し、盛り上がり部がなく、手触りのよい皮巻きステアリングホイールを得ることを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この考案では、皮の縫合部の盛り上がり量に見合う凹部を樹脂製被覆材の表面に形成し、この凹部に縫合部が位置するように皮を被着している。」(引用例に係る明細書第2頁第9行?第3頁第7行)
ロ 「【実施例】
・・・
図において、11はウレタン等からなる被覆材3の表面に形成されている凹部であり、被覆材3の成形等に同時に形成される。この凹部11は皮4の縫合部5の盛り上がり量に見合う大きさとされ、通常はその断面形状はほぼ円弧状であり、本来の被覆材3の表面の位置からの深さAを皮4の厚さの1/2乃至2倍程度の範囲に選定し、またその幅Bはほぼ針穴7の間隔に選定される。
皮4はこの凹部11に縫合部5が一致するようにリング都laに被着されるのであり、縫合部5は第1図のように全体が凹部11に沈んだ状態となる。このため、・・・実質的には盛り上がりがなく平滑で手触りのよい状態に仕上げることが可能となるのである。」(同第3頁第14行?第4頁第15行)
ハ 「4.図面の簡単な説明
・・・
1…ステアリングホイール、1a…リング部、2…芯金、3…樹脂製被覆材、4…皮、4a…端縁、5…縫合部、6…縫い糸、・・・11…凹部。」(同第5頁第3?12行)

3.(考案の対比)
本願考案と、引用例の第1?5図及び上記イ?ハに記載されたところを対比すると、引用例記載の「芯金」は、本願考案における「リム芯金」に相当し、以下同様に「リング部」は「リム」に、「皮」は「ハンドルカバー」に、「縫合部」は「縫製手段」に、「ステアリングホイール」は「自動車用ハンドル」に、「縫合部5の盛り上がり量に見合う大きさ」は「縫製手段により前記ハンドルカバーが厚くなる分」に、それぞれ相当している。そして、引用例における「縫合部5は一般にリング部laの内径部分に設けられる」という記載は「皮の両端部がハンドルの内側で固持される」ことを意味するし、また、引用例記載の「凹部」は、「リング部」の表面が欠けてなるものとみることができる。
したがって、本願考案と引用例記載の考案との一致点と相違点とは、次のとおりである。
[一致点] 「リム芯金を覆って形成されたリムと、該リムの外周面を覆うハンドルカバーと、該ハンドルカバーの両端部をハンドルの内側で固持してなる縫製手段とを有する自動車用ハンドルにおいて、
前記縫製手段の施される部位近傍の前記リムの表面は、少なくとも前記縫製手段により前記ハンドルカバーが厚くなる分だけ欠けてなる自動車用ハンドル」である点。
[相違点] ハンドルカバーが厚くなる分だけのリム表面の欠けの形状に関して、本願考案では「平面状」とされるのに対し、引用例では、「通常はその断面形状はほぼ円弧状」とされている点。

4.(当審の判断) -相違点の検討-
上記の相違点について検討すると、引用例の上記イ及びロの記載によれば、リム表面の「欠け」に対応する上記凹部を設ける目的は、ステアリングホイールの表面を「盛り上がりがなく平滑で手触りのよい状態に仕上げる」点にあることが明らかである。そうすると、引用例では、凹部の形状について、確かに「通常はその断面形状はほぼ円弧状」と記載されているが、当該記載中で「通常は」とされていることや、上記の凹部を設ける目的からみて、「円弧状」という記載は一例として示されたものとみるべきで、むしろ、引用例では、凹部の形状として、円弧状のものに限らず、「縫合部5の盛り上がり量に見合う大きさ」のものであれば他の形状でもよいことを示唆したものとみるのが相当である。
一方、円筒形状の表面に設ける凹部や切り欠きの形状として、平面状のものがあることは、常識的な事項というべきであって、しかも、当該平面状の切り欠きが「縫合部5の盛り上がり量に見合う大きさ」のものとはなりえないと考えるべき特段の事情もみあたらないから、引用例記載の上記凹部の形状として、平面状のものを選択して、本願考案のようにすることは当業者が極めて容易に想到しうる設計事項といえる。
なお、請求人は、原審における平成10年5月29日付の意見書や、平成10年10月22日付の審判請求理由補充書において、引用例記載のように、リム表面に「成形型」によって円弧状の凹部を形成する場合、成形型の複雑化を招き、原価高騰の原因となるが、本件考案のように、平面状の切り欠きであればかかる成形時の問題が生じる恐れがない旨を主張しているので、この点について検討する。
本願考案(実用新案登録請求の範囲)においては、平面状の「欠け」の形成手法は明示されていないし、しかも、考案の詳細な説明中の、【0005】及び【0009】の記載によれば、当該欠けは「削られてなる」とされていて、必ずしも成形型によって形成されるものとはいえない以上、請求人の上記主張には、考案の構成に関して裏付けとなる根拠がないことになる。また、引用例においては、凹部について、上記ロのとおり「被覆材3の成形等に同時に形成される」と記載されていて、凹部が成形型により形成されることが示唆されているが、かかる凹部の形成手法をとるとしても、複雑な成形型を必要とするほどの円弧形状を選択することは、技術常識に反するというべきであり、この点からも、請求人の上記主張は採用しがたい。

5.むすび
以上のとおり、本願考案は、引用例記載の考案に基づいて、当業者が極めて容易に考案をすることができたものと認められるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-09-07 
結審通知日 2000-09-19 
審決日 2000-10-02 
出願番号 実願平4-14714 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (B62D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西本 浩司大山 健  
特許庁審判長 神崎 潔
特許庁審判官 大島 祥吾
鈴木 久雄
考案の名称 自動車用ハンドル  
復代理人 橋場 満枝  
復代理人 赤澤 日出夫  
復代理人 石戸 久子  
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