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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E01B
管理番号 1032421
審判番号 審判1999-9661  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-06-10 
確定日 2000-11-20 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 51099号「スラブ軌道におけるレ-ル締結構造」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 3月17日出願公開、実開平 7- 15801]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 (一)手続きの経緯・本願考案
本願は、平成5年8月25日の出願であって、本願の請求項1に係る考案は、平成11年7月9日付け手続補正書により補正された実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
「タイプレート(2)のバネ受け部(2a)とレールフランジ部(3a)間に配するレール締結用クリップ(1)が、その膨出屈曲部を境にレールフランジ部(3a)に近接する方向に湾曲状に折重ねられ、その上側板にU字型ボルト挿通溝(1b)を有し、又下側板先端部を下膨らみのカール状(1a)に形成すると共にボルト挿通円孔(1c)を有し、前記タイプレート(2)に植設したボルト(4)に前記ボルト挿通円孔(1c)及びU字型ボルト挿通溝(1b)を挿通して前記クリップ(1)のカール状(1a)をレールフランジ部(3a)に面当たりさせた状態でナット(5)により締結するようにしたスラブ軌道におけるレール締結構造。」(以下、「本願考案」という。)
(二)引用文献
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用した実願平1-18359号(実開平2-109801号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、例えば、次のような記載がある。
(1)「(1)はタイプレートで、軌道パッド(2)を介してレール(3)を支承し、レール締結用板ばね(4)を締結ボルト(5)、ナット(6)で緊締することによってレール(3)をタイプレート(1)に締着し、レール面を所定位置に調整したのち、タイプレート(1)とスラブまたはコンクリート枕木(7)との空隙部に可変パッド(8)を挿入し、」明細書第7頁。
前記(1)の記載事項と図面の記載からみて、引用例1には、タイプレート(1)のバネ受け部とレールフランジ部間に配するレール締結用板ばね(4)が、その膨出屈曲部を境にレールフランジ部に近接する方向に湾曲状に折重ねられ、その上側板及び下側板にボルト挿通部を有し、前記タイプレート(1)に植設したボルト(5)に前記ボルト挿通部を挿通して前記レール締結用板ばね(4)の下側板の先端端面をレールフランジ部に接触させた状態でナット(5)により緊締するようにしたスラブ軌道におけるレール締結構造が記載されている。
同じく、原査定の拒絶の理由に引用した実公昭51-28721号公報(以下、「引用例2」という。)には、例えば、次のような記載がある。
(2)「次に本願考案の一実施例を第2図乃至第4図により説明すると、本願に於ては在来道床の砂利2を除去し、その部分に生コンクリートを注入して固化する。続いて枕木1上には大型パット7,軌条の小返りを防止する大型鋼板8、小型パット3、軌条4を夫々順に敷設する。又該軌条4は横圧受け用の下傾斜バネと上バネとがその先端に於いて所定の間隙を有する如く構成された二重バネ9の先端下部によって押圧固定され、更にその二重バネ9はボルト10により枕木1に取付固定されている。更に図中11は楔受台であって、その側面には二重バネ固定用の尾部楔12を外側から保持し得る彎曲傾斜面aが形成され、更にその下底部には枕木1の所定の凹所に嵌入し得る丸突起bが一体的に突設されている。従って、二重バネ9はその先端で軌条4を固定すると共にその尾部は尾部楔12及び楔受台11によって枕木1に安定的に載置固定されている。」公報第1頁左欄?第1頁右欄。
前記(2)の記載事項と図面の記載からみて、引用例2には、楔受台11上の尾部楔12とレールフランジ部間に配する二重バネ9が、その尾部彎曲部を境にレールフランジ部に近接する方向に折重ねられ、その上側板と下側板にボルト挿通孔を有し、下側板の先端部に下膨らみ部を形成し、二重バネ9をボルト10で枕木1に取付固定することにより、二重バネの下側板先端の下膨らみ部がレールフランジ部と面接触することによりレールを締結しるレール締結構造が記載されている。
(三)対比
本願考案と引用例1記載の考案を対比する。
引用例1記載の考案における、「レール締結用板ばね」は、本願考案における、「レール締結用クリップ」に対応するものであるから、本願考案と引用例1に記載の考案は、次の一致点において両者の構成は一致し、次の相違点1及び2において両者の構成は相違する。
一致点:タイプレートのバネ受け部とレールフランジ部間に配するレール締結用クリップが、その膨出屈曲部を境にレールフランジ部に近接する方向に湾曲状に折重ねられ、その上側板及び下側板にボルト挿通部を有し、前記タイプレートに植設したボルトに前記ボルト挿通部を挿通して前記クリップの下側板の先端をレールフランジ部に接触させた状態でナットにより締結するようにしたスラブ軌道におけるレール締結構造
相違点1:本願考案においては、レール締結用クリップの上側板にU字型ボルト挿通溝を有し、レール締結用クリップの下側板にボルト挿通円孔を有しとしたのに対して、引用例1記載の考案においては、レール締結用クリップの上下側板のボルト挿通部の構成に関する記載のない点。
相違点2:本願考案においては、レール締結用クリップの下側板先端部を下膨らみのカール状に形成し、前記レール締結用クリップのカール状をレールフランジに面当たりさせた状態でナットにより締結するのに対して、引用例1に記載の考案においては、レール締結用クリップの下側板先端端面をレールフランジに接触させた状態でナットにより締結した点。
(四)判断
前記相違点について検討する。
先ず、相違点1について検討する。
一枚の板バネを屈曲して形成されるレール締結用クリップにおいて、レール締結用クリップの上側板にU字型ボルト挿通溝を形成し、レール締結用クリップの下側板にボルト挿通円孔を形成することは、周知の事項(例、実公昭63-26403号公報、実公平4-2165号公報等)であり、引用例1に記載の考案に、前記周知事項を適用して、前記相違点1にあげた本願考案の構成のようにすることは当業者がきわめて容易になしえる程度のものである。
次に、相違点2について検討する。
引用例2に記載の考案における、「二重バネ」及び「下側板の先端に形成される下膨らみ部」は、本願考案における、「レール締結用クリップ」及び「下側板先端部の下膨らみのカール状」にそれぞれ対応するものであるから、引用例2には、「レール締結用クリップの下側板先端部を下膨らみのカール状に形成し、前記レール締結用クリップのカール状をレールフランジに面当たりさせた状態でナットにより締結する」という前記相違点2にあげた本願考案の構成が記載されており、引用例1に記載の考案のレール締結用クリップの下側板の先端部の構成に代えて、引用例2に記載の考案の構成を適用して、前記相違点2にあげた本願考案の構成のようにすることは当業者がきわめて容易になしえる程度のものである。
(五)むすび
以上のとおりであるから、本願請求項1に係る考案は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-09-07 
結審通知日 2000-09-19 
審決日 2000-10-02 
出願番号 実願平5-51099 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (E01B)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 伊藤 陽松浦 久夫  
特許庁審判長 片寄 武彦
特許庁審判官 宮崎 恭
小野 忠悦
考案の名称 スラブ軌道におけるレ-ル締結構造  
代理人 福田 尚夫  
代理人 福田 尚夫  
代理人 福田 尚夫  

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