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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16N
管理番号 1032422
審判番号 審判1999-13983  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-08-26 
確定日 2000-11-22 
事件の表示 平成10年実用新案登録願第2266号「グリースニップル」拒絶査定に対する審判事件[平成10年10月13日出願公開、実開平10-246]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本願考案
本願は、平成1年1月17日の特許出願(特願平1-7946号)を平成10年4月9日に実用新案登録出願に変更したものであって、その請求項1に係る考案は、平成11年8月26日付手続き補正書によって補正された実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものと認められる。
「ニップル本体が、一端側にかしめ部を突設すると共に他端側に取付けねじ部を形設しかつ前記一端側に腔部を穿設してなる六角からなり、頭部鋼球を備えた頭部ニップルを中心軸線に対し傾斜させてその前端に端設すると共にその後端を前記かしめ部により固定しつつも前記腔部で回転軸封部を介し回転可能に保持してなる頭部回動体を有し、さらに、前記頭部回動体の後端に近接して前記六角の中心軸線上に弁座を設け、該弁座に対しボールを弁ばねの弾力で座定せしめてなるボール弁を設置し、かくして前記ニップル本体からのグリースの漏れを多重的に回避して給油系統の降圧を防止する逆止弁としたことを特徴とするグリースニップル。」
(以下、「本願考案」という)

2.引用刊行物及びその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布されたことが明らかな刊行物である実願昭59-55836号(実開昭60-167893号)のマイクロフィルム(以下、「第1引用例」という。)及び同実願昭58-128916号(実開昭60-36389号)のマイクロフィルム(以下、「第2引用例」という。)には、それぞれ次の事項が記載されている。

1)第1引用例の記載事項
(1)実用新案登録請求の範囲
「グリースニップル本体(5)を取付けることができ、このグリースニップル本体に連通して貫通するグリース孔(15)と、肩部(13)を有する円筒部(3)とを形成したニップル可動部(6)と、このニップル可動部(6)の前記円筒部(3)を回転可能に収容する内孔(10)と、前記円筒部(3)の前記肩部(13)に掛合して前記内孔(10)内に前記円筒部(3)を拘束するかしめ部(14)と、前記内孔(10)を被給油部(1)のグリース孔(16)に連通する孔(11)とを有し、前記被給油部(1)に取付けられるニップル固定部(2)と、前記ニップル可動部を一方向に押圧して前記肩部(13)を前記かしめ部(14)に押圧する押圧手段(7)とを具えることを特徴とする自在グリースニップル」

(2)第5頁第6行?同11行
「ニップル固定部2は、第3及び4図に示すように、被給油部1のグリース孔16のめねじにねじ込むためのねじ部8と、このねじ込みのためスパナを掛合する六角形部9を外側に有し、ニップル可動部6の円筒部3を回転自在に収容する内孔10と、この内孔の底の孔11とを形成している。」

(3)第6頁第15行?同末行
「押圧手段7によってニップル可動部の肩部13をニップル固定部のかしめ部14に押圧するので、流動状態になったグリースが、この部分から漏洩することがなく、しかも、ニップル本体5を希望する任意の位置に回転して保持することができ、任意の方向からの給油が可能である。」

この記載事項及び第2図?第5図によると、第1引用例には、「ニップル本体と、この本体を中心軸線に対して傾斜して先端部に取付けるニップル可動部と、この可動部を回転可能に保持するニップル固定部とからなるグリースニップルであって、前記ニップル固定部は、前記ニップル可動部の肩部を有する円筒部を収容する内孔と収容された前記ニップル可動部の円筒部の肩部を拘束する先端かしめ部と外側にスパナを掛合するための六角形部とを有している一端側と、被給油部への取付ねじ部を形設してある他端側とからなっており、前記ニップル可動部の円筒部が、前記先端かしめ部で拘束されると共に押圧手段で前記かしめ部へ押圧されることにより、ニップル本体を希望する任意の位置に回転して保持し、任意の方向からの給油が可能でありかつこの部分からグリースの漏洩がないようになっている(回転軸封構成を有する)自在グリースニップル」(以下、「第1引用例記載の考案」という。)が記載されているものと認められる。

2)第2引用例の記載事項
(1)実用新案登録請求の範囲
「動力運搬車(A)の走行部(3)の縦動輪(9)に、クローラ(11)を緊張すべく設けたテンション機構(12)において、縦動輪(9)に連設したシリンダ(16)に油路体(18)を連設し、同油路体(18)にL字状の油路(19)を設け、油路(19)の一端には、アジャスター(20)を螺入すると共に、アジャスター(20)中に形成したアジャスター油路(21)を油路(19)と連通し、アジャスター油路よりグリース注入を、アジャスター油路(21)の中途部の排油路(26)よりグリース排油を行うべく構成し、しかも、アジャスター(20)のアジャスター油路(21)開口端に連通したグリースニップル(31)を覆うべく、カバー筒体(M)を、アジャスター(20)端部に嵌着自在とし、同筒体(M)は走行部(3)のフレーム側板(4′)に取外し自在に支持せしめてなる動力運搬車の縦動輪テンション機構のグリースニップル保護構造。」
(2)第5頁第17行?同末行
「アジャスター(20)は、基部(22)を油路(19)への螺入部(23)より大径の六角ボルト状に形成し」

(3)第6頁第9行?第7頁第5行
「アジャスター油路(21)中には、スプリング(27)にて閉塞付勢されたボール(28)が内蔵され、段部(29)に常時は圧接されて、アジャスター油路(21)と閉塞されており、同油路(21)の外側開口部よりのグリースの圧入によってボール(28)がスプリング付勢に抗して後退し、段部(29)とボール(28)との間にグリース圧入間隙が形成されて、油路(19)を介してシリンダ(16)中にグリースの送油がなされるべく構成している。(30)は、スプリング受体であり、アジャスター油路(21)の中途部に杆体として架設したものである。アジャスター油路(21)の基部(22)の開口部にはニップル(31)が螺合されており、グリース圧入の際使用される。」

この記載事項及び第3図によると、第2引用例には「動力運搬車の縦動輪テンション機構を構成する油圧シリンダへ、グリースニップルから圧入されたグリースを前記油圧シリンダに連接した油路体を介して注入するために、油路体の油路の開口端に螺入され、内部にアジャスター油路を形成すると共にこの油路の開口端にグリースニップルを螺合したアジャスターであって、このアジャスターは、基部を六角ボルト状に形成すると共に油路のニップル螺合部近くに段部を形成し、この段部と油路中に内蔵したボール及びスプリングとによりボール弁を構成しており、グリース注入時はグリースニップルからのグリースの圧入によってボールがスプリング付勢に抗して後退し、段部すなわち弁座とボールとの間にグリース圧入間隙が形成されてシリンダ中にグリースが送油され、通常時はボール弁により油路は閉塞される。」という事項が記載されているものと認められる。

3.対比
本願考案と第1引用例記載の考案とを対比するに、
第1引用例記載の考案における「ニップル固定部」が、本願考案における「ニップル本体」に(以下、同様に)、
「ニップル可動部」が、「ニップル回動体」に、
「ニップル本体」が、「頭部ニップル」に、
「内孔」が、「腔部」に、
「円筒部」が、「後端」に、及び
「回転軸封構成」が、「回転軸封部」に、
それぞれ相当することは明らかであるから、両者は、
ニップル本体(ニップル固定部)(()内は引用例での呼称、以下同じ)が、一端側にかしめ部を突説すると共に他端側に取付けねじ部を形設しかつ前記一端側に腔部(内孔)を穿設してなる六角からなり、頭部ニップル(ニップル本体)を中心軸線に対し傾斜させてその前端に端設すると共にその後端(円筒部)を前記かしめ部により固定しつつも前記腔部(内孔)で回転軸封部(回転軸封構成)を介し回転可能に保持してなる頭部回動体(ニップル可動部)を有しているグリースニップル
である点で一致し、次の(1)及び(2)の点で相違する。

(1)本願考案では、ニップル本体の、頭部回動体の後端に近接して六角の中心軸線上に弁座を設け、該弁座に対しボールを弁ばねの弾力で座定せしめてなるボール弁を設置し、かくして前記ニップル本体からのグリースの漏れを多重的に回避して給油系統の降圧を防止する逆止弁としたのに対して、
第1引用例記載の考案では、ニップル固定部に前記のような逆止弁を設置していない点。

(2)本願考案では、頭部ニップルが頭部鋼球を備えているのに対して、
第1引用例記載の考案では、頭部鋼球について言及されていない点。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
(1)の相違点について
第2引用例には、動力運搬車の縦動輪テンション機構を構成する油圧シリンダへ、グリースニップルから圧入されたグリースを前記油圧シリンダに連接した油路体を介して注入するために、油路体の油路の開口端に螺入され、内部にアジャスター油路を形成すると共にこの油路の開口端にグリースニップルを螺合したアジャスターが記載されている。
そして、このアジャスターが、基部を六角ボルト状に形成すると共に油路のニップル螺合部近くに段部を形成し、この段部と油路中に内蔵したボール及びスプリングとによりボール弁を構成したものともなっていること、及び、このボール弁が、グリース注入時はグリースニップルからのグリースの圧入によってボールがスプリング付勢に抗して後退し、段部すなわち弁座とボールとの間にグリース圧入間隙を形成してシリンダ中にグリースを送油し、通常時はボールにより油路を閉塞するようになっていることは、前記認定のとおりである。

ここで、本願考案において、ニップル本体に前記構造の逆止弁を設置したことの技術的意義は、ニップルのグリース注入路の下流部に油液の流れを遮断して給油系統の油圧降下を防止する弁を配することにあると認められるが、第2引用例記載のボール弁も同様に配されたものであることは当業者が容易に理解できることである。
してみれば、本願考案のこの相違点における構成は、第2引用例記載のアジャスターが有している構成に他ならない。

また、本願考案では、逆止弁について「ニップル本体からのグリースの漏れを多重的に回避して給油系統の降圧を防止する逆止弁」と記載されているが、圧力液体の流路に逆止弁を多段に設けることは周知の技術事項である(例えば、実開昭61-6536号公報、実開昭61-23343号公報、実開昭54-54787号公報等参照)。

したがって、第1引用例記載の考案におけるニップル固定部も、第2引用例記載のアジャスターも、共に先端部にグリースニップルを持つグリース注入装置における被給油部に取付けられる部分に相当するものであるから、第1引用例記載の考案におけるニップル固定部に第2引用例記載のアジャスターのボール弁構造を適用して多重的に構成して本願考案のようにすることは、当業者が適宜実施できることである。

(2)の相違点について
グリースガン等からグリースが圧入される注入口を持つグリースニップルにおいて、グリース注入口の内側に鋼球を設けたものは本願の出願前周知であるから、注入口に鋼球を配備することは当業者が適宜実施できることである(例えば、特開昭49-1962号公報、実開昭63-53998号公報等参照)。
各相違点については上記のとおりであり、また、本願考案はその全体構成によっても各引用例記載の技術が有する効果を合わせた以上の効果を奏するものでもない。

5.むすび
したがって、本願考案は、第1引用例に記載された考案及び第2引用例に記載された技術事項及び周知の技術事項に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
審理終結日 2000-08-17 
結審通知日 2000-08-29 
審決日 2000-09-29 
出願番号 実願平10-2266 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (F16N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山下 喜代治  
特許庁審判長 酒井 進
特許庁審判官 池田 佳弘
和田 雄二
考案の名称 グリースニップル  
代理人 増井 忠弐  
代理人 社本 一夫  
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