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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G07B |
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管理番号 | 1032440 |
審判番号 | 審判1999-10126 |
総通号数 | 17 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2001-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-06-17 |
確定日 | 2000-12-27 |
事件の表示 | 平成 5年実用新案登録願第 50800号「自動販売機」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 3月17日出願公開、実開平 7- 16257]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本件考案 本件出願は、平成5年8月25日付けの実用新案登録出願であって、その請求項1に係る考案は、明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認められる。 「【請求項1】 自動販売機の本体に所定の金銭が投入されたときに、所定の販売物と所定の釣銭のように2以上の物品がその自動販売機の本体に設けられている、常時、開放されている排出口に排出させて利用者へ手渡される自動販売機において、前記全ての物品の排出動作が終了するまでに、それらの物品を前記自動販売機の本体内に保留しておく前記排出口の手前に設けられた保留機構と、前記保留機構が全ての物品を保留したときに、その保留している物品を前記排出口へ同時に放出する放出機構と、を有することを特徴とする自動販売機。」 2.引用例 これに対して、本件出願前の昭和53年4月6日に頒布された特開昭53-37500号公報(以下、「刊行物」という。)には、自動券売機に関して、図面とともに、次の記載がある。 「顧客は操作面1において検銭機構3の投入口から料金を投入し、行先選択機構2で行先と枚数とを指定する。行先選択機構2は枚数を指定する機構をも有する。行先および投入金額の信号は演算回路6に入力され、演算回路6は行先までの料金切符の枚数が複数枚指定されているときは複数枚に対応する料金と投入金額とを比較してつり銭を計算し、つり銭放出機構(図示しない。)に放出つり銭の金額を指示するとともに制御回路7に行先の信号を与える。制御回路7はこの信号にもとづいてメモリ8から行先を示す文字のドットパターンを読み出し、この読み出されたドットパターンをドットプリンタ9により切符にドットプリントさせる。切符は指定された枚数だけプリントされる。なお演算回路6は磁気記録機構10に行先を示す信号を与える。よって第3図に示すように切符25がドラム21、ベルト22で搬送されて磁気記録機構10の位置に来たとき磁気へッド10により切符に行先が磁気記録される。第3図において切符25が磁気へッド11の位置に搬送されたとき、磁気ヘッド11は磁気記録された行先を読み取り、この信号を表示制御回路12に入力する。制御回路12はこの信号を入力されるとメモリ8をアクセスして切符に磁気記録されたコードに対応する行先を示す文字のドットパターンを読み出し、これを表示器5に表示させる。なお光電装置27,28は切符の枚数を検出し、その枚数を表示器5に表示させる。またつり銭放出機構(図示しない。)は演算回路6からの指令を受けてつり銭(紙幣および硬貨を送り出し、つり銭検銭装置(図示しない。)はつり銭放出機構から送り出された紙幣および硬貨を検知してそれぞれの額を表示器5に表示させる。切符およびつり銭はーたんプール装置29にプールされる。 顧客は表示器5の表示により、行先、枚数、つり銭の金額を確認し、正しければ確認スイッチ4を閉じる。スイッチ4が閉じることによりソレノイド機構30が作動して底板29′を開き、一たんプール装置29 内の切符およびつり銭を取出口31に放出する。」(第2頁右下欄19行?第3頁右上欄18行) そして、前記記載中、切符に関する、「磁気へッド11の位置に搬送されたとき、磁気ヘッド11は磁気記録された行先を読み取り、この信号を表示制御回路12に入力する。制御回路12はこの信号を入力されるとメモリ8をアクセスして切符に磁気記録されたコードに対応する行先を示す文字のドットパターンを読み出し、これを表示器5に表示させる。なお光電装置27,28は切符の枚数を検出し、その枚数を表示器5に表示させる」との記載、及び、前記記載中、釣銭に関する、「つり銭検銭装置(図示しない。)はつり銭放出機構から送り出された紙幣および硬貨を検知してそれぞれの額を表示器5に表示させる」との記載、並びに、「切符およびつり銭はーたんプール装置29にプールされる」との記載からみて、刊行物の切符及び釣銭は、表示器への表示が終了した時点で、排出動作が終了したものと認められる。 よって、前記記載及び図面からみて、刊行物には、次のものが記載されていると認められる。 自動券売機の本体に所定の料金が投入されたときに、所定の切符と所定の釣銭のように2以上の物品がその自動券売機の本体に設けられている取出口に排出させて利用者へ手渡される自動券売機において、前記全ての物品の排出動作が終了するまでに、それらの物品を前記自動券売機の本体内に保留しておく前記取出口の手前に設けられた一たんプール機構と、前記一たんプール機構が全ての物品を保留したときに、その保留している物品を前記取出口へ同時に放出するソレノイド機構と、を有する自動券売機。 3.対比・判断 請求項1に係る考案(前者)と刊行物に記載された考案(後者)とを対比すると、その機能からみて、後者の「自動券売機」は前者の「自動販売機」に相当し、後者の「料金」は前者の「金銭」に相当し、後者の「切符」は前者の「販売物」に相当し、後者の「取出口」は前者の「排出口」に相当し、後者の「一たんプール機構」は前者の「保留機構」に相当し、後者の「ソレノイド機構」は前者の「放出機構」 に相当するから、両者は、 自動販売機の本体に所定の金銭が投入されたときに、所定の販売物と所定の釣銭のように2以上の物品がその自動販売機の本体に設けられている排出口に排出させて利用者へ手渡される自動販売機において、前記全ての物品の排出動作が終了するまでに、それらの物品を前記自動販売機の本体内に保留しておく前記排出口の手前に設けられた保留機構と、前記保留機構が全ての物品を保留したときに、その保留している物品を前記排出口へ同時に放出する放出機構と、を有する自動販売機、 で一致し、次の点で相違する。 【相違点】 前者は、本体に設けられている排出口が、常時、開放されているのに対して、後者が、明らかでない点。 そこで、相違点について検討すると、自動販売機において排出口が、常時、開放されていることは、常套手段と認められる。 したがって、後者の排出口において、この常套手段を適用し、「本体に設けられている排出口が、常時、開放されている」ようにすることは、きわめて容易に想到できることである。 4.まとめ 以上のとおりであるから、請求項1に係る考案は、刊行物に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案することができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-10-03 |
結審通知日 | 2000-10-17 |
審決日 | 2000-10-30 |
出願番号 | 実願平5-50800 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(G07B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山崎 勝司、内山 隆史 |
特許庁審判長 |
滝本 静雄 |
特許庁審判官 |
冨岡 和人 櫻井 康平 |
考案の名称 | 自動販売機 |
代理人 | 石井 光正 |