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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F24J
管理番号 1032441
審判番号 審判1999-8751  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-05-20 
確定日 2000-12-27 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 40603号「太陽熱利用建築物」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 3月 3日出願公開、実開平 7- 12869]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯
本件の出願は、平成5年7月26日に出願され、平成10年2月27日に、請求項1に係る考案は実用新案登録を受けることができない旨の拒絶理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年5月25日に意見書および手続補正書が提出された。その後、平成11年3月26日に、拒絶査定がなされている。この拒絶査定の法定期間内である平成11年5月20日に審判請求がなされ、その法定期間内である平成11年6月21日に審判請求理由補充書および手続補正書が提出された。この手続補正書では、実用新案登録請求の範囲の請求項を、請求項1ないし4に補正している。
そして、原査定の拒絶の理由の対象となった、出願当初の請求項1に対応する、上記平成11年6月21日付け手続補正書の請求項は、請求項の記載内容からみて、その請求項4である。

2.本願考案
そこで、この請求項4に係る考案について検討する。この考案は平成11年6月21日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項4に記載された次のとおりのものと認める。(以下「本願考案」という)
「【請求項4】 屋根上に集熱装置を、小屋裏空間に前記集熱装置を通った外気の流れを室内側あるいは室外側に切り換える切換用スイッチを備えたコントロールボックスをそれぞれ有し、かつ床下に開閉ダンパを備えた床下換気口を、棟部に開閉ダンパを備えた棟換気口をそれぞれ開設した太陽熱利用建築物において、
前記床下換気口内の開閉ダンパと前記棟換気口内の開閉ダンパの開閉をその開閉状態が一致するように連動させるとともに、
前記床下換気口内の開閉ダンパと前記棟換気口内の開閉ダンパの開閉を、前記コントロールボックス切換用スイッチのスイッチ操作に連動して開閉されるコントロールボックス内のダンパの開閉と組み合わせて連動させるように制御するに際し、
太陽電池から得られる電気を駆動源として使用することを特徴とする太陽熱利用建築物。」

3.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された
実願平4-23307号(実開平5-803号)のCD-ROM(以下「 引用例1」という)
には、「図1に示すように、第1の実施例に係る太陽熱利用建築物2では、屋根4の上に集熱装置6が設置してある。」と記載されている(引用例1の第10ページ2,3行)。
同引用例1の第11ページ6?13行には「第1ファン32は、集熱装置6に配置された太陽電池16により駆動され、第2ファン34は、この太陽電池16による起電力が蓄電された蓄電池(図示略)により駆動される
また、本実施例では、集熱装置6が太陽光を受けないときに、所定温度以下の冷やされた外気(例えば、夜間冷気)を屋内に導入するように、第2ファン34を駆動すると共に、この外気を蓄熱装置30に案内して蓄冷すると共に屋内に放出するように切換えダンパ28を切り換える制御を行う制御手段(図示略)が設けてある。」と記載されている。
同引用例1の第12ページ4?6行には「床下には床下換気口50を設けると共に、屋根の棟部分には棟下換気口52を設けてある。これらの換気口には、それぞれ床下開閉ダンパ54及び棟下開閉ダンパ56を設けてある。」と記載されている。
同引用例1の第12ページ16?18行には「また、上述したような切換えダンパ26と、第1ファン32と、第2ファン34と、太陽電池16とを制御するための制御装置(図示略)を設けてある。この制御装置には、屋外の気温を検知する外気センサ(図示略)を接続してある。」と記載されている。
同引用例1の第13ページ15?20行には「季節が冬の場合には、建築物内の暖房を行うため、床下換気口50及び棟下換気口52は閉塞されると共に、換気装置58は、常時駆動されている。
そして特に冬の昼の場合には、第1方式では、第1ファン32が駆動され、第2ファン34は駆動されなくてもよい。この状態では、切換えダンパ26は、図1に示すように、排出ダクト22及び排出/吸引ダクト24を閉塞するように制御されている。」と記載されている。
同引用例1の第13ページ25?27行には「本実施例では、上記第1方式を、太陽光が照射しない建物の北側等に配置し、第2方式を、太陽光が照射する建物の南側等に配置している。」と記載されている。
同引用例1の第14ページ10?12行には「次に、夏の場合には、図5,6,7に示すように、切換えダンパ26は、排出ダクト22及び排出/吸引ダクト24を開口し、さらに、床下換気口50及び棟下換気口52も開口し、換気装置58も、常時駆動されるように制御される。」と記載されている。
同引用例1の第17ページ5?8行には「大略的には、集熱装置6の暖気の屋内取入口6aが、多数個の可撓性チューブ94によって小屋裏空間内に配設してある集熱ボックス95に連結してある。この集熱ボックス95が、可撓性チューブ98によって、暖気の流れを切り換えるコントロールボックス100に連結してある。」と記載されている。
同引用例1の第18ページ24?27行には「さらに、このコントロ-ルボックス100内には、蓄熱装置30に連結した屋内ダクト105への暖気の流れと、排出ダクト104への暖気の流れとを切り換えるダンパ(切換手段)102が設けてある。」と記載されている。
同引用例1の第19ページ1?12行には「このファン99の駆動及びダンパ102の切換は、図示しない適宜の制御手段により制御されると共に、上述した太陽電池16により駆動される。
【0051】
その他の構成は、第1の実施例と同じである。
以下、この第3の実施例に係る太陽熱利用建築物の作用を説明する。
冬の昼の場合には、図12に示すように、太陽が太陽電池16に照射されると、その起電力により、ファン99が駆動される。ダンパ102が排出ダクト104を閉鎖するように切り換えられる。このため、集熱装置6で加熱された空気は、可撓性チューブ94、集熱ボックス95、コントロールボックス100、及び屋内ダクト105を介して蓄熱装置30に送られ、第1の実施例と同様に、太陽熱直接蓄熱装置60との協働により、屋内が暖房される。」と記載されている。
同引用例1の第19ページ14?16行には「冬の夜の場合には、図13に示すように、太陽電池16に太陽光が照射されず、ファン99は駆働されないと共に、ダンパ102は排出ダクト104を閉鎖するように切り換えられる。」と記載されている。
同引用例1の第19ページ20?25行には「夏の夜には、図14に示すように、冷房効果を発揮させるため、夜間の比較的冷たい空気を取り込むように構成してある。即ち、ファン99が駆動され、ダンパ102が排出ダクト104を閉じ、その結果、夜間冷気が集熱装置6、屋内ダクト105等を介して蓄熱装置30に取り込まれる。これにより、夜間冷気の冷熱が蓄熱装置30に蓄冷され、蓄熱装置30から排出された空気は各部屋に排出される。」と記載されている。
同引用例1の第20ページ7?10行には「夏の昼には、図15に示すように、太陽電池16に太陽光が照射され、ファン99は駆動され、ダンパ102は屋内ダクト105を閉鎖するように切り換えられる。これにより、集熱装置6で加熱された空気は、ファン99により、排出ダクト24を通して屋外に排出される。」と記載されている。

また、上記拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された、
特開平2-217734号公報(以下「引用例2」という)には、
「操作器37は、これに収納される表示手段の一部の構造を示す第9図と回路図を示す第10図に見られるように、ケーシング38内にON-OFF-ON動作を行う3接点型の電源用波型スイッチSWと、上記したシャッタ17の開閉用駆動モータ26と同期して駆動し、」と記載されている(引用例2第5ページ右下欄7?12行)。
同引用例2第7ページ右上欄14?18行には「操作器37は、各換気口に対して単一のものを用意し、これによってすべての換気口を連動させるようにしたり、床下換気口と小屋換気口に分け、あるいは各換気口について独立して制御するようにしてもよい。」と記載されている。
同引用例2第7ページ右下欄3?7行には「このシャッタの回動を室内に配設した操作手段によってシャッタの回動制御手段を介して制御するようにしているので、開閉弁の閉止及び開閉動作の許容を戸外に出ることなく室内で、且つ操作性良く集中制御できる。」と記載されている。

4.対比
本願考案と上記引用例1に記載された考案とを対比すると、
引用例1に記載された考案における、「集熱装置6」、「コントロールボックス100」、「ダンパ102」、「床下換気口50」、「棟下換気口52」、「床下開閉ダンパ54」及び「棟下開閉ダンパ56」は、本願考案における、「集熱装置」、「コントロールボックス」、「コントロールボックス内のダンパ」、「床下換気口」、「棟換気口」、「床下換気口内の開閉ダンパ」及び「棟換気口内の開閉ダンパ」にそれぞれ相当する。
上記の請求項4には“前記床下換気口内の開閉ダンパと前記棟換気口内の開閉ダンパの開閉をその開閉状態が一致するように”と記載されているが、引用例1にも第13ページ15,16行には「(季節が冬の場合には、)床下換気口50及び棟下換気口52は閉塞される」と、第14ページ11,12行には「(夏の場合には、)床下換気口50及び棟下換気口52も開口し、」と、それぞれ同様な内容が記載されている。
また、上記の請求項4には“前記床下換気口内の開閉ダンパと前記棟換気口内の開閉ダンパの開閉を、コントロールボックス内のダンパの開閉と組み合わせて制御するに際し、太陽電池から得られる電気を駆動源として使用する”という旨が記載されているが、引用例1にも「次に、夏の場合には、図5,6,7に示すように、切換えダンパ26は、排出ダクト22及び排出/吸引ダクト24を開口し、さらに、床下換気口50及び棟下換気口52も開口し、換気装置58も、常時駆動されるように制御される。」(第14ページ10?12行)と、同引用例第19ページ1?3行には「このファン99の駆動及びダンパ102の切換は、図示しない適宜の制御手段により制御されると共に、上述した太陽電池16により駆動される。」と同様な内容が記載されている。
したがって、両考案の一致点・相違点は以下のとおりである。
《一致点》
「屋根上に集熱装置を、小屋裏空間に前記集熱装置を通った外気の流れを室内側あるいは室外側に切り換えるコントロールボックスをそれぞれ有し、かつ床下に開閉ダンパを備えた床下換気口を、棟部に開閉ダンパを備えた棟換気口をそれぞれ開設した太陽熱利用建築物において、
前記床下換気口内の開閉ダンパと前記棟換気口内の開閉ダンパの開閉をその開閉状態が一致するようにするとともに、
前記床下換気口内の開閉ダンパと前記棟換気口内の開閉ダンパの開閉を、コントロールボックス内のダンパの開閉と組み合わせて制御するに際し、
太陽電池から得られる電気を駆動源として使用することを特徴とする太陽熱利用建築物。」

《相違点》
本願考案では、
「・コントロールボックスが切換用スイッチを備え、
・床下換気口内の開閉ダンパと棟換気口内の開閉ダンパの開閉を連動させ るとともに、
・この“床下換気口内の開閉ダンパと棟換気口内の開閉ダンパの開閉”を “上記切換用スイッチのスイッチ操作に連動して開閉されるコントロー ルボックス内のダンパの開閉”と連動させる」
のに対し、引用例1に記載された考案では、このような切換用スイッチや連動がない点。

5.当審の判断
以下、上記相違点について検討する。
まず、この相違点中の
「・コントロールボックスが切換用スイッチを備え、」
に関しては、引用例1第19ページ1?12行,14?16行,20?25行,第20ページ7?10行(上記「3.引用例」欄における引用箇所参照。)に、コントロールボックス100内のダンパ102が切り換えられることが開示されている。そして、ダンパ(シャッタ)を操作するためにスイッチ(電源用波型スイッチSW)を用いることは、引用例2第5ページ右下欄7?12行に開示されている(上記「3.引用例」欄における引用箇所参照。)。そこで、本願考案において「コントロールボックスが切換用スイッチを備え、」とすることは、これらの開示からきわめて容易に想到できたと認められる。
次に、上記相違点中の
「床下換気口内の開閉ダンパと棟換気口内の開閉ダンパの開閉を連動させるとともに、この“床下換気口内の開閉ダンパと棟換気口内の開閉ダンパの開閉”を、“上記切換用スイッチのスイッチ操作に連動して開閉されるコントロールボックス内のダンパの開閉”と組み合わせて連動させる」
に関して検討する。上記「3.引用例」欄における引用箇所で示した、引用例2第5ページ右下欄7?12行には「操作器37は、これに収納される表示手段の一部の構造を示す第9図と回路図を示す第10図に見られるように、ケーシング38内にON-OFF-ON動作を行う3接点型の電源用波型スイッチSWと、上記したシャッタ17の開閉用駆動モータ26と同期して駆動し、」と記載されている。さらに、引用例2第7ページ右上欄14?18行には「操作器37は、各換気口に対して単一のものを用意し、これによってすべての換気口を連動させるようにしたり、床下換気口と小屋換気口に分け、あるいは各換気口について独立して制御するようにしてもよい。」と記載されている。このように、スイッチ操作(電源用波型スイッチSWの操作)に同期させ、複数の換気口を(すなわち、複数のシャッタを)連動することが引用例2に開示されており、本願考案において、複数のダンパを上記のように連動させることは、この開示よりきわめて容易に想到できたと認める。

そして、本願考案の効果は、上記引用例1,2記載の事項から、当業者が容易に予測できる程度のものであって、格別のものとはいえない。
したがって、引用例1に記載された考案に引用例2に記載された考案を組み合わせ、本願考案に到達することは、容易である。

6.むすび
以上のとおりであるから、本願考案は、引用例1,2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-10-03 
結審通知日 2000-10-17 
審決日 2000-10-31 
出願番号 実願平5-40603 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (F24J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 敏史  
特許庁審判長 滝本 静雄
特許庁審判官 冨岡 和人
会田 博行
考案の名称 太陽熱利用建築物  
代理人 鈴木 俊一郎  
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