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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G05D |
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管理番号 | 1032466 |
審判番号 | 不服2000-2334 |
総通号数 | 17 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2001-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-02-24 |
確定日 | 2001-01-16 |
事件の表示 | 平成 5年実用新案登録願第 67094号「液位制御装置、及び液位検出装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 7月 4日出願公開、実開平 7- 36207]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願考案 本願は、平成5年11月22日の出願であって、その請求項1及び2に係る考案は、実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2に記載された次のとおりのものであるところ、請求項1に係る考案(以下、本願考案という。)は、「貯液槽(50)への給液路(31)に設けられた給液弁(30)を、液位検出手段の動作に連動するように設けられた開閉手段によって開閉することにより、上記貯液槽(50)の液位を調整する装置であって、前記液位検出手段は、前記貯液槽(50)の液面の変位に伴って上下変位するフロート(21)と、前記貯液槽(50)の上方位置に設けられるケーシング(10)に固定されたガイドパイプ(27)と、一端を前記フロート(21)に連結され、他端を前記ガイドパイプ(27)内に挿入され、上記一端の変位に連動して上記他端が変位する連結部材(23)と、前記連結部材(23)の前記他端に設けられ、前記ガイドパイプ(27)内をその内面に案内されて移動可能な操作部材(25)と、ローラー(11a)が前記ガイドパイプ(27)の所定の下限対応位置の内面から突出するように且つ非突出位置へ変位可能なように該ローラー(11a)を回動可能に支持するレバー(11b)を備え、該ローラー(11a)が前記操作部材(25)に押されて非突出位置へ変位したときに該レバー(11b)がアクチュエータ(11c)を押すことで動作する、前記ケーシング(10)に本体を固定された下限液位検出機構(11)と、ローラー(13a)が前記ガイドパイプ(27)の所定の上限対応位置の内面から突出するように且つ非突出位置へ変位可能なように該ローラー(13a)を回動可能に支持するレバー(13b)を備え、該ローラー(13a)が前記操作部材(25)に押されて非突出位置へ変位したときに該レバー(13b)がアクチュエータ(13c)を押すことで動作する、前記ケーシング(10)に本体を固定された上限液位検出機構(13)と、を有し、前記開閉手段は、圧力流体を前記給液弁(30)の操作ポート(30a)に導く圧力流体経路(18)を前記下限液位検出機構(11)の動作に連動して導通又は遮断することにより前記給液弁(30)を開き、前記圧力流体経路(18)を前記上限液位検出機構(13)の動作に連動して遮断又は導通することにより前記給液弁(30)を閉じる、ことを特徴とする液位制御装置。」にあるものと認める。 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平2-245804号公報(以下、引用例1という)には、「液面制御に用いるフロートスイッチ」(2頁左上欄10行)が記載され、図面と共に、以下の記載がある。 「本発明の目的は、2個のセンサーのみで液供給開始、液供給停止及び異常が判別できるフロートスイッチを提供することにある。 [課題を解決するための手段]上記目的を達成するために、第1の手段は、フロートと共に上下動する検出板と、前記フロートの下限位置を規制するストッパーと、この検出板に対向して配設された2個の上限センサー及び下限センサーと、上限センサーが一定時間オフ状態であることを検出するタイマーと、上限センサーがオフで、下限センサーがオンの条件で液供給開始信号、上限センサーがオンで、下限センサーがオフの条件で液供給停止信号、上限センサー及び下限センサーが共にオフの条件で上限異常信号、前記タイマーの出力により下限異常信号を出力する判定回路を備えている。」、(2頁右上欄8行?左下欄3行)及び、 「第1図(a)に示すように、タンク1内にストックされる液は、液供給電磁弁3を開にすることにより供給管4によって供給され、液排出電磁弁5を開にすることにより排出管6によって排出される。タンク1内には液2の液面に従って上下動するフロート7が配設されており、このフロート7には該フロート7と共に上下動する検出板8が設けられている。また前記検出板8に対向して上限センサー9と下限センサー10とが配設されている。またフロート7の下限位置はストッパー11によって規制されるようになっている。」(3頁左上欄11行?右上欄1行) 同じく、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭61-40617号公報(以下、引用例2という)には、「給液装置」(発明の名称)が記載され、図面と共に、以下の記載がある。 「かかる公知の技術を第4図について説明する。第4図において貯油タンク21内の油はポンプ22により給液配管L1に設けたオーバーフロー防止弁すなわち開閉弁23を介してローリのタンク24に給油されるようになっている。タンク24の中には液面の上昇によって圧力が上昇するセンサいわゆるプローブと称せられる逆コップ状のレベルセンサ25が設けられている。・・・このレベルセンサ25の信号圧力はラインL2、作動確認用手動切換弁26およびラインL3を通って圧力検知手段であるインターフェース弁Vの第1可撓膜室5に伝えられる。・・・適宜の圧力空気源27からの圧縮空気は切換弁28を経てラインL6からインターフェース弁Vに送られる。また分岐ラインL7は液量制御回路29を介して作動確認用切換弁26に接続されている。インターフェース弁VはラインL8を介して開閉弁23の弁開係止ロック31の解除用のクラッチシリンダ30に接続されている。・・・クラッチシリンダ30はラインL8からエアー圧力を受けてピストンを突出させ、弁23の弁開係止ロック31を外し、弁23を閉じるようになっている。」(1頁右下欄7行?2頁左上欄1行) 3.対比 本願考案と引用例1記載のものとを対比すると、引用例1の「タンク1」、「供給管4」、「液供給電磁弁3」、「フロート7」、「検出板8」は本願考案の「貯液層」、「給液路」、「給液弁」、「フロート」、「操作部材」にそれぞれ相当し、引用例1の検出板8とフロート7とは連結部材によって連結されていることは明らかであり、引用例1の上限センサー及び下限センサーは、上限液位検出機構、下限液位検出機構であるから、本願考案と引用例1とは、貯液槽への給液路に設けられた給液弁を、液位検出手段の動作に連動するように設けられた開閉手段によって開閉することにより、上記貯液槽の液位を調整する装置であって、前記液位検出手段は、前記貯液槽の液面の変位に伴って上下変位するフロートと、一端を前記フロートに連結された、上記一端の変位に連動して他端が変位する連結部材と、前記連結部材の他端に設けられた操作部材と、下限液位検出機構と、上限液位検出機構とを有しする液位制御装置である点で一致し、以下の点(イ)?(ニ)で相違が認められる。 (イ)本願考案は、貯液槽の上方位置に設けられるケーシングに固定されたガイドパイプを有し、一端を前記フロートに連結され、上記一端の変位に連動して上記他端が変位する連結部材の他端が前記ガイドパイプ内に挿入されているのに対し、引用例1にはこの構成については、明示されていない点。 (ロ)連結部材の他端に設けられた操作部材が、本願考案では、前記ガイドパイプ内をその内面に案内されて移動可能となっているのに対し、引用例1にはこの構成については明示されていない点、 (ハ)本願考案は、ローラーがガイドパイプの所定の下限対応位置の内面から突出するように且つ非突出位置へ変位可能なように該ローラーを回動可能に支持するレバーを備え、該ローラーが前記操作部材に押されて非突出位置へ変位したときに該レバーがアクチュエータを押すことで動作する、前記ケーシングに本体を固定された下限液位検出機構と、ローラーが前記ガイドパイプの所定の上限対応位置の内面から突出するように且つ非突出位置へ変位可能なように該ローラーを回動可能に支持するレバーを備え、該ローラーが前記操作部材に押されて非突出位置へ変位したときに該レバーがアクチュエータを押すことで動作する、前記ケーシングに本体を固定された上限液位検出機構とを有しているのに対し、引用例1には、この構成については明示されていない点。 (ニ)開閉手段が、本願考案では、圧力流体を前記給液弁の操作ポートに導く圧力流体経路を前記下限液位検出機構の動作に連動して導通又は遮断することにより前記給液弁を開き、前記圧力流体経路を前記上限液位検出機構の動作に連動して遮断又は導通することにより前記給液弁を閉じるのに対し、引用例1では電磁弁を用いている点。 4.当審の判断 上記相違点(イ)?(ニ)について検討する。 (イ)について 液位検出手段のフロートに連結された上下動する連結部材を、貯液層の上方位置に設けられるケーシングに固定されたガイドパイプ内に配置することは、周知である。(必要であれば、実願昭58-148855号(実開昭60-56435号)のマイクロフィルム参照。) したがって、貯液槽の上方位置に設けられるケーシングに固定されたガイドパイプを有し、一端を前記フロートに連結され、上記一端の変位に連動して上記他端が変位する連結部材の他端が前記ガイドパイプ内に挿入するようにすることは、当業者がきわめて容易に想到し得たことと認められる。 (ロ)について 上下動する部材の連結部材の他端に設けられた、他の部材を操作する操作部材をガイドパイプ内に配置することは、周知である。(必要であれば、実願昭59-31526号(実開昭60-144427号)のマイクロフィルム参照。) したがって、連結部材の他端に設けられた操作部材を、ガイドパイプ内をその内面に案内されて移動可能とするようにすることは、当業者がきわめて容易に想到し得たことと認められる。 (ハ)について 操作部材によって操作される検出機構において、ローラーが変位可能なように該ローラーを回動可能に支持するレバーを備え、該ローラーが押されて変位したときに該レバーがアクチュエータを押すことで動作する検出機構は周知である。(必要であれば、実願平2-59713号(実開平4-18706号)のマイクロフィルム参照。) さらに、ローラーがガイドパイプの所定の下限対応位置の内面から突出するように且つ非突出位置へ変位可能なように該ローラーを回動可能に支持するレバーを備えた検出機構も周知である。(必要であれば、実願昭59-31526号(実開昭60-144427号)のマイクロフィルム参照。) したがって、引用例1の下限液位検出機構、上限液位検出機構に代えて、ローラーがガイドパイプの所定の下限対応位置の内面から突出するように且つ非突出位置へ変位可能なように該ローラーを回動可能に支持するレバーを備え、該ローラーが前記操作部材に押されて非突出位置へ変位したときに該レバーがアクチュエータを押すことで動作する、前記ケーシングに本体を固定された下限液位検出機構と、ローラーが前記ガイドパイプの所定の上限対応位置の内面から突出するように且つ非突出位置へ変位可能なように該ローラーを回動可能に支持するレバーを備え、該ローラーが前記操作部材に押されて非突出位置へ変位したときに該レバーがアクチュエータを押すことで動作する、前記ケーシングに本体を固定された上限液位検出機構とを備えるようにすることは、当業者がきわめて容易に想到し得たことと認められる。 (ニ)について 本願考案において、液位制御装置の開閉手段として圧力流体を用いた理由は、「検出以後の全ての動作を、該検出に連動される上記圧力流体経路(18)の導通または遮断で実現しており、電気的な構成は一切使用していない。したがって、引火性の液体を貯留する貯液層の場合でも、電気に対する特別な配慮なく本装置を設置できる」(本願明細書段落【0025】)ようにするためと認められるが、引火性物質を用いる機器を駆動する装置等に、圧力流体を用いた開閉装置を用いることは、周知である。(必要であれば、実願平2-59713号(実開平4-18706号)のマイクロフィルム参照。) しかも、給液弁の操作ポートに導く圧力流体経路を液位検出機構の動作に連動して導通又は遮断することにより給液弁を開閉することは、引用例2に開示されており、下限液位検出機構の動作に連動して給液弁を開き、上限液位検出機構の動作に連動して給液弁を閉じることは、液位制御装置においては、普通に採用されることであるから、引用例1において、圧力流体を前記給液弁の操作ポートに導く圧力流体経路を前記下限液位検出機構の動作に連動して導通又は遮断することにより前記給液弁を開き、前記圧力流体経路を前記上限液位検出機構の動作に連動して遮断又は導通することにより前記給液弁を閉じるようにすることは、当業者がきわめて容易に想到し得たことと認められる。 そして、本願考案が奏する作用効果は、引用例1、2及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願考案は、引用例1、2及び周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。 5.むすび 以上のとおり、本願実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案は、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。 したがって、本願は、実用新案登録請求の範囲の請求項2について論及するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-10-27 |
結審通知日 | 2000-11-07 |
審決日 | 2000-11-20 |
出願番号 | 実願平5-67094 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(G05D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 仲村 靖 |
特許庁審判長 |
祖父江 栄一 |
特許庁審判官 |
岩本 正義 川端 修 |
考案の名称 | 液位制御装置、及び液位検出装置 |
代理人 | 丸山 明夫 |