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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F15B
管理番号 1032474
審判番号 不服2000-2725  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-03-01 
確定日 2001-01-25 
事件の表示 平成 4年実用新案登録願第 82759号「リリーフ弁」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年12月24日出願公開、実開平 5- 94504]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本願考案
本願は、平成4年11月5日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成11年3月24日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める(以下「本願考案」という。)。
「切換弁12と流体モータ11とを接続する一対の給排通路13,14の途中に設けられ、内部に給排通路13,14の一部を構成する一対の給排路34,35が形成されたケース50と、ケース50内に設けられ、いずれかの給排路34,35が所定圧となったとき、該所定圧に押されてスプリング67,68に対抗しながら開弁方向に移動することにより、前記所定圧の流体を低圧側の給排路34,35にリリーフする一対のポペット弁体54,55と、各ポペット弁体54,55内に貫通するように形成され、途中に絞り62,63を有する細孔60,61と、ケース50内に形成され、細孔60,61を通過した給排路34,35からの流体が流入する一対の流体室42,43と、ケース50内に形成され、1個のピストン74が摺動可能に収納されることで2つの室に区画されるとともに、該ピストン74より一側の室がいずれかの流体室42,43に、他側の室が残りの流体室42,43に接続された1個のシリンダ室73とを備え、いずれかの給排路34,35が前記所定圧より低い第1設定圧となったとき、該第1設定圧の流体がいずれかのポペット弁体54,55の細孔60,61を通過して流体室42,43に流入し、シリンダ室73内のピストン74を押圧移動することにより、該ポペット弁体54,55の前後に圧力差を発生させて該ポペット弁体54,55をピストン74が移動している間だけ開弁方向に移動させ、該第1設定圧の流体を低圧側の給排路34,35にリリーフさせるようにしたリリーフ弁において、前記ピストン74の移動によりシリンダ室73から押し出された流体が低圧側の給排路34,35にそれぞれ流出するのを許容する一対のチェック弁80,81を前記絞り62,63に並列に配置するとともに、前記ピストン74によりシリンダ室73の2つの室を流体的に遮断し、さらに、ピストン74が片側のストロークエンドから残り片側のストロークエンドに到達するまでの間、前記ポペット弁体54,55を開弁方向へ移動させるようにしたことを特徴とするリリーフ弁」

2.引用刊行物記載の考案
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前の昭和63年8月11日に頒布された実願昭62-14172号(実開昭63-123801号)のマイクロフィルム(以下「引用刊行物」という。)には、次の事項が記載されている。
「コントロール弁2と油圧モータ3を結ぶ2本の配管18,18´には1対のリリーフ弁4,5が設けられており、これらリリーフ弁4,5の下流は一対のチェック弁6,6´を介し配管18,18´に結ばれている。このため配管18の圧力が規定圧以上になると、リリーフ弁4が作動し、配管18中の油がチェック弁6を介し、配管18´に流れ、また逆に配管18´の圧力が規定圧以上になると、リリーフ弁5が作動し、チェック弁6´を介し、配管18´に流れる。」(第3頁19行?第4頁8行:以下「記載事項1」という。)
「リリーフ弁4,5は同一構造であり、いま4について説明する。ポペット8はバネ9によって弁座7に押しつけられており、配管18とリリーフ弁4の出口19をしゃ断している。一方ポペット8の内側にはステム10が挿入されており室20を形成し、この室20とリリーフ弁の入り口とを結ぶためのオリフィス11がポペット8に設けられている。・・・さらにステム10には通路12が設けられており、摺動可能なピストン14の一端室16につながっている。ピストン14の他端室16´には同様にリリーフ弁5からの通路がつながっている。
従ってピストン14は室16,16´の圧力つまり配管18,18´の圧力によって左右にストロークする。
いまモータ3を右回転させるためコントロール弁2を左の位置に切換えると、モータを回すため、配管18´の圧力が18の圧力より高くなるため、ピストンは右に移動し、第2図のようになる。
次にモータを停止させるため、コントロール弁2を再度中立位置に戻すとモータ3は慣性により廻ろうとするが、モータからタンクへの通路が閉じられるため配管18中の圧力は上昇し、一方18´中の圧力はポンプ1からの通路が閉じられるため、下降し、ほぼ零となる。このためこれらにつながっている室16,16´の圧力Pc、P´cの関係がPc、≧P´c になるとピストン14は左方に動き始める。一般にこのときの圧力Pc、P´cはごく小さく又、オリフィス11により絞られているため、室20の圧力Pdもごく小さい。従ってポペット8はほぼP=F/A1で開く。ここでFはばね9の設定荷重である。次にピストン14が左方への動きを完了するに他端に当たると、オリフィスを通る流れがなくなるため、室20の圧力Pdは入口圧Pと等しくなりポペット8の開口圧はP=F/(A1-A2)と 高くなる。」(第4頁9行?第6頁2行:以下「記載事項2」という。)

上記の記載事項1によれば、配管18の圧力が規定圧以上になると、配管18中の油が低圧側の配管にリリーフされ、上記の記載事項2によれば、モータを停止させる段階では、ピストン14は第2図の状態から室16,16´の他端に当たるまでの間、即ち片側のストロークエンドから残り片側のストロークエンドに到達するまでの間、前記ポペット8を開弁方向へ移動させ、更に第1図を参酌すれば、オリフィス11はポペット8内に貫通するように形成された細孔に設けられているから、上記各記載事項、及び図面の記載から、引用刊行物には「コントロール弁2と油圧モータ11とを接続する一対の配管18,18´の途中に設けられ、いずれかの配管18,18´が所定圧となったとき、該所定圧に押されてバネ9に対抗しながら開弁方向に移動することにより、前記所定圧の流体を低圧側の配管18,18´にリリーフする一対のポペット8と、各ポペット8内に貫通するように形成され、途中にオリフィス11を有する細孔と、細孔を通過した配管18,18´からの流体が流入する一対の室20と、1個のピストン14が摺動可能に収納されることで2つの室に区画されるとともに、該ピストン14より一側の室がいずれかの室20に、他側の室が残りの室20に接続された1個のシリンダ室とを備え、いずれかの配管18,18´が前記所定圧より低い第1設定圧となったとき、該第1設定圧の流体がいずれかのポペット8の細孔を通過して室20に流入し、シリンダ室内のピストン14を押圧移動することにより、該ポペット8の前後に圧力差を発生させて該ポペット8をピストン14が移動している間だけ開弁方向に移動させ、該第1設定圧の流体を低圧側の配管18,18´にリリーフさせるようにしたリリーフ弁において、前記ピストン14によりシリンダ室の2つの室を流体的に遮断し、さらに、ピストン14が片側のストロークエンドから残り片側のストロークエンドに到達するまでの間、前記ポペット8を開弁方向へ移動させるようにしたリリーフ弁」の考案(以下「引用刊行物記載の考案」という)が記載されていると認める。

3.対比
本願考案と引用刊行物記載の考案を対比すると、引用刊行物記載の考案の「コントロール弁2」、「配管18,18´」、「バネ9」、「 ポペット8」、「オリフィス11」、「室20」は、それぞれ本願考案の「切換弁12」、「給排通路13,14」、「スプリング67,68」、「ポペット弁体54,55」、「絞り62,63」、「流体室42,43」に相当し、油圧モータは流体モータの一種であることから、引用刊行物記載の考案の「油圧モータ3」は本願考案の「流体モータ11」に相当し、さらに、本願考案の給排路34,35は、給排通路13,14の一部であるから、本願考案は引用刊行物記載の考案と、「切換弁と流体モータとを接続する一対の給排通路の途中に設けられ、給排通路の一部を構成する一対の給排路の、いずれかの給排路が所定圧となったとき、該所定圧に押されてスプリングに対抗しながら開弁方向に移動することにより、前記所定圧の流体を低圧側の給排路にリリーフする一対のポペット弁体と、各ポペット弁体内に貫通するように形成され、途中に絞りを有する細孔と細孔を通過した給排路からの流体が流入する一対の流体室と、1個のピストンが摺動可能に収納されることで2つの室に区画されるとともに、該ピストンより一側の室がいずれかの流体室に、他側の室が残りの流体室に接続された1個のシリンダ室とを備え、いずれかの給排路が前記所定圧より低い第1設定圧となったとき、該第1設定圧の流体がいずれかのポペット弁体の細孔を通過して流体室に流入し、シリンダ室内のピストンを押圧移動することにより、該ポペット弁体の前後に圧力差を発生させて該ポペット弁体をピストンが移動している間だけ開弁方向に移動させ、該第1設定圧の流体を低圧側の給排路にリリーフさせるようにしたリリーフ弁において、前記ピストンによりシリンダ室の2つの室を流体的に遮断し、さらに、ピストンが片側のストロークエンドから残り片側のストロークエンドに到達するまでの間、前記ポペット弁体を開弁方向へ移動させるようにしたリリーフ弁」で一致し、以下の相違点で相違している。
《相違点》
(1)本願考案の、給排通路の一部である給排路、ポペット弁体、細孔、流体室、シリンダ室は、一個のケース内に設けられているのに対し、引用刊行物記載の考案の、コントロール弁と油圧モータとを接続する配管、ポペット、細孔、細孔を通過した配管からの流体が流入する室、シリンダ室は、一個のケース内に設けられているのかどうか不明である点。
(2)本願考案では、ピストンの移動によりシリンダ室から押し出された流体が低圧側の給排路に流出するのを許容する一対のチェック弁80,81を、絞りに並列に配置しているのに対し、引用刊行物記載の考案ではこのようなチェック弁が用いられていない点。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
・相違点(1)について
弁を構成する部材を、1つのケース内に設けることは、原査定の1回目の拒絶の理由に引用された実願昭59-107359号(実開昭61-22901号)のマイクロフィルムにおけるケーシング10にもみられるように、従来周知の技術であるから、本願考案において、チェック弁を構成する各部材を、1つのケース内に設けた点は、当業者がきわめて容易に行うことができたものと言うべきである。
・相違点(2)について
流体圧回路において、一方向の流れを絞り、反対方向の流れを円滑に行わせるために、絞りに並列にチェック弁を配置することは、原査定の拒絶の理由に引用された実願昭50-156340号(実開昭52-70293号)のマイクロフィルムにおけるチェック弁16,17、及び実願昭63-57145号(実開平1-166101号)のマイクロフィルムにおけるチェック弁30bにみられるように、従来周知の技術であり、これらのチェック弁で流れを円滑に行わせることにより、流体室内の圧力上昇を防止しうることは当業者において自明であるから、本願考案において、流体室内の圧力上昇を防止するために、チェック弁を絞りに並列に設けた点は、当業者がきわめて容易に行うことができたものと言うべきである。
そして、上記引用刊行物に上記従来周知の技術を付加することにより、当業者の予測を越える効果を生じるものでもない。
したがって、本願考案は、上記引用刊行物に上記従来周知の技術を付加することにより、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

5.むすび
したがって、本願考案は、引用刊行物に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に発明をすることができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
審理終結日 2000-11-21 
結審通知日 2000-11-28 
審決日 2000-12-12 
出願番号 実願平4-82759 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (F15B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田々井 正吾戸田 耕太郎佐藤 健人  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 ぬで島 慎二
大島 祥吾
考案の名称 リリーフ弁  
代理人 多田 敏雄  
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