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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B62D
管理番号 1032486
審判番号 審判1998-18490  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-11-25 
確定日 2001-01-24 
事件の表示 平成 4年実用新案登録願第 48207号「電動パワーステアリング装置付衝撃吸収式ステアリングコラム装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 1月11日出願公開、実開平 6- 1115]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1. 手続きの経緯・本願考案
本願は、平成4年6月18日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成8年3月4日付け及び平成10年12月21日付け手続補正書により補正された明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「後端にステアリングホイールを固定自在としたステアリングシャフトと、このステアリングシャフトを挿通自在で、衝突時の衝撃により収縮しないステアリングコラムと、このステアリングコラムの前端部に結合されたハウジングと、このハウジングに支持され、通電に伴なって前記ステアリングシャフトに回転方向の力を付与する電動モータと、塑性変形自在な材料により造られ、前記ハウジングと車体との間に掛け渡した状態で設ける事により、前記ステアリングコラムの前端部を車体に支持するエネルギ吸収部材と、前記ステアリングシャフトの前端部で、前記ハウジングの前端から突出した部分にその片側を結合した第一の自在継手と、その一端を前記第一の自在継手の他側に結合した伝達軸と、この伝達軸の他端にその一端を結合した第二の自在継手とを備え、前記ステアリングシャフトの前端部で前記ハウジングから突出した部分と前記伝達軸との少なくとも一方を、伸縮自在且つ回転力の伝達自在な構造とした電動パワーステアリング装置付衝撃吸収式ステアリングコラム装置。」(以下、「本願考案」という。)
2. 引用例
2-1.これに対して、当審における拒絶理由に引用した「特開昭62-34855号公報」(昭和62年2月14日出願公開。以下、「引用例1」という。)には、
イ) 「本発明の電動式パワーステアリング装置の取付け構造は、ステアリングコラムに衝撃吸収機構を介してブラケットが取付けられ、このブラケットが弾性部材を介して車体側に取付けられており、車両の前後方向に衝撃が作用すると、衝撃吸収機構により衝撃力が吸収される」(第2頁左上欄第6行?同第11行)、
ロ) 「入力軸(1)と出力軸(2)はステアリングコラム(3)内に同軸状に配設され、これらの内端側がトーションバーにより互いに連結されており、軸受により回転自在に支承されている。そして、入力軸(1)に外端側にはステアリングホイールが装着される一方、出力軸(2)の外端側には中間軸を介してステアリングギアボックスが連結される。」(第2頁左上欄第20行?同頁右上欄第7行)、
ハ) 「出力軸(2)の周囲には、ステアリング系の操舵トルクに対応した補助トルクを発生する電動機(4)や、この電動機(4)の回転トルクをトルク倍力して出力軸(2)に伝達する減速機構(5)等が配設され、電動機(4)のステータ(4a)、減速機構(5)のケース(5a)がステアリングコラム(3)に順次一体的に取付けられている。」(第2頁右上欄第7行?同第14行)、
ニ) 「ステアリングコラム(2)の上部にはコラム側フランジ(6)が一体に設けられており、このコラム側フランジ(6)および減速機構(4)のケース(4a)には衝撃吸収機構(7)を介してフランジ(8)が取付けられ、このフランジ(8)がダッシュアッパから車室内に突設されたコラムハンガー(9)に弾性機構(10)を介して取り付けられている。」(第2頁右上欄第15行?第2頁左下欄第1行)(なお、上記「ステアリングコラム(2)」は、「ステアリングコラム(3)」の誤記と認められる。同様に、「減速機構(4)」は「減速機構(5)」の誤記と認められる。同様に、「ケース(4a)」は「ケース(5a)」の誤記と認められる。)、
ホ) 「更に衝撃吸収機構(7)について詳述すると、減速機構(5)のケース(5a)が、第1図に示すように円筒状の樹脂リング(11)を介して抱持部材(12)により所定の締付け力で抱持されており、この抱持部材(12)にフランジ(8)の他端側が取付けられている。したがって、この、ケース(5a)は、車両の前後方向に所定値以上の衝撃力が作用した場合には、抱持部材(12)に対して摺動することができる。」(第2頁左下欄第11行?同第19行)、
ヘ) 「ベンディングプレート(18)の屈曲によりステアリング系(ステアリング装置)が車体側に対し、図中B方向に移動することになり、衝撃時の荷重を吸収することができ、尚、本実施例では、ベンディングプレート(18)を用いて衝撃吸収機構を構成したが、圧延鋼材等により形成されたカーリングプレートにより構成してもよい。」(第3頁左上欄第18行?同頁右上欄第5行)
等の記載があり、これらの記載及び図面等を参照すると、上記引用例1には次の考案が記載されているものと認める。
“入力軸(1)の外端側にステアリングホイールが装着されるとともに互いにトーションバーにより連結された入力軸(1)及び出力軸(2)と、
この入力軸(1)及び出力軸(2)を内部に同軸状に配設するステアリングコラム(3)と、
ステアリング系の操舵トルクに対応した補助トルクを発生する電動機(4)と、
ステアリングコラム(3)に一体的に取付けられた前記電動機(4)のステータ(4a)、減速機構(5)のケース(5a)と、
前記減速機構(5)のケース(5a)及びステアリングコラム(3)を、弾性機構(10)を介してコラムハンガー(9)に取付けたフランジ8にそれぞれ支持する衝撃吸収機構(7)、(7)とを備え、
前記減速機構(5)のケース(5a)を支持する衝撃吸収機構(7)は、減速機構(5)のケース(5a)を円筒状の樹脂リング(11)を介して所定の締付力で抱持する抱持部材(12)よりなり、車両の前後方向に所定値以上の衝撃力が作用した場合に、前記ケース(5a)が抱持部材(12)に対して摺動することができるものであり、
前記ステアリングコラム(3)を支持する衝撃吸収機構(7)は、屈曲により衝撃持の荷重を吸収するベンディングプレート(18)またはカーリングプレートにより構成されるものである、
電動式パワーステアリング装置。”
2-2.また、当審における拒絶理由に引用した「実願昭52-135350号(実開昭54-62240号)のマイクロフィルム」(昭和54年5月1日出願公開。以下、「引用例2」という。)には、
イ) 「本案は自動車の衝撃吸収ハンドル装置に関する。」(第1頁第14行?同頁第15行)、
ロ) 「1はハンドル、2はハンドルに一体のハンドル軸、3はハンドル軸を回転自由に挿通支承するハンドルコラムで、車体Bに対して前側支持部4と後側支持部5の二点で保持させてある。ハンドル1による軸2の回転は軸2の先端部に連結した自在継手7・ジョイントシャフト8・自在継手9から成る回転伝達継手機構を介して操向歯車筺10の歯車軸10'に伝達される。」(第2頁第10行?同頁第17行)、
ハ) 「ハンドルコラム3の前側支持部4は…(中略)…そして一たびハンドル1に或る一定値以上の衝撃力Fが作用するとその力によりハンドルコラム3の大径部31が上記嵌合摩擦力に抗して輪状金具41から抜け外れ、ハンドル1・ハンドル軸2・ハンドルコラム3の全体が前移動する力関係になっている。」(第2頁第18行?第3頁第8行)、
ニ) 「又後側の支持部5はハンドルコラム3の下面をU形金具51で受け、その金具を車体Bにボルト52・52で取付け支持させたものである。そのU形金具51の上には緩衝部材として塑性変形性の金属ストラップ片6がその両端を左右のU形金具取付支持ボルト52・52に係止させて配設してある。」(第3頁第9行?同頁第15行)、
ホ) 「衝突によりハンドル1に過大衝撃力Fが作用すると前述したようにハンドルコラム3の大径部31が輪状金具41から抜けて外れハンドル1・ハンドル軸2・ハンドルコラム3の全体が前移動する(第4図)。この前移動過程に於てハンドルコラム3の爪32が緩衝部材6に当ってこれを第3図鎖線示のように塑性変形させるのでこれにより衝撃エネルギが吸収され運転者のショックが和らげられる。」(第4頁第3行?第4頁第12行)、
ヘ) 「ハンドル軸2の先端部と操向歯車筺10の歯車軸10'を結ぶ自在継手7・ジョイントシャフト8・自在継手9から成る回転伝達継手機構のジョイントシャフト8はハンドル軸2に押されて歯車軸10'側の自在継手9を中心に前方へ逃げ回動するものであるが、この場合本案に於ては自在継手7(又は/及び自在継手9)とジョイントシャフト8を軸線方向に相互摺動自由に例えばスプライン嵌め合い8'により結合させた構造にするもの」(第4頁第13行?第5頁第3行)、
ト) 「図示例に於てはハンドル軸2と自在継手7も相互摺動するようにスプライン嵌め構造2'にしてある。」(第6頁第2行?同頁第4行)
等の記載があり、上記記載及び図面等を参照すると、上記引用例2には次の考案が記載されているものと認める。
“ハンドル1に一体のハンドル軸2と、
ハンドル軸2を回転自由に挿通支承するとともに、車体に対して前側支持部4と後側支持部5の二点で保持され、衝突時にハンドル1・ハンドル軸2・ハンドルコラム3の全体が前移動するハンドルコラム3と、
ハンドル軸2の先端部と操向歯車筺10の歯車軸10'を結ぶ自在継手7・ジョイントシャフト8・自在継手9から成る回転伝達継手機構とを備え、
前記前側支持部4は、一定値以上の衝撃力Fが作用するとその力によりハンドルコラム3の大径部31が嵌合摩擦力に抗して輪状金具41から抜け外れる構成であり、
前記後側支持部5は、緩衝部材として塑性変形性の金属ストラップ片6が配設された構成であり、
前記自在継手7(又は/及び自在継手9)とジョイントシャフト8との間、又は/及び、ハンドル軸2と自在継手7との間を、軸線方向に相互摺動自由に例えばスプライン嵌め合い8’により結合させた構造とした、
自動車の衝撃吸収ハンドル装置。”
3. 対比・判断
3-1.本願考案と、引用例1に記載された考案とを対比すると、両者は、ともに電動パワーステアリング装置付衝撃吸収式ステアリングコラム装置に関するものであって、引用例1に記載された考案の“入力軸(1)の外端側”、“入力軸(1)及び出力軸(2)”、“電動機(4)のステータ(4a)及び減速機構(5)のケース(5a)”、“ステアリングコラム3”、“電動機(4)”は、それぞれ、本願考案の「後端」、「ステアリングシャフト」、「ハウジング」、「ステアリングコラム」、「電動モータ」に相当し、引用例1に記載された考案の“減速機構(5)のケース(5a)を支持する衝撃吸収機構(7)”は、減速機構(5)のケース(5a)を円筒状の樹脂リング(11)を介して所定の締付力で抱持する抱持部材(12)よりなるものであり、車両の前後方向に所定値以上の衝撃力が作用した場合に、摩擦力に抗してケース(5a)が抱持部材(12)に対して摺動するから、エネルギーを吸収するものであり、本願考案の「エネルギ吸収部材」に相当するので、
両者は、
後端にステアリングホイールを固定自在としたステアリングシャフトと、このステアリングシャフトを挿通自在のステアリングコラムと、このステアリングコラムの前端部に結合されたハウジングと、このハウジングに支持され、通電に伴なって前記ステアリングシャフトに回転方向の力を付与する電動モータと、前記ハウジングと車体との間に設ける事により、前記ステアリングコラムの前端部を車体に支持するエネルギ吸収部材と、を有する電動パワーステアリング装置付衝撃吸収式ステアリングコラム装置
で一致し、以下の相違点1,2で相違する。
<相違点1>
本願考案は、「前記ステアリングシャフトの前端部で、前記ハウジングの前端から突出した部分にその片側を結合した第一の自在継手と、その一端を前記第一の自在継手の他側に結合した伝達軸と、この伝達軸の他端にその一端を結合した第二の自在継手とを備え、前記ステアリングシャフトの前端部で前記ハウジングから突出した部分と前記伝達軸との少なくとも一方を、伸縮自在且つ回転力の伝達自在な構造とした」のに対して、
上記引用例1に記載されたものは、ステアリングシャフトの前端部に相当する出力軸(2)の前端部が、ハウジングに相当する減速機構のケース(5a)から突出していることが、第1図から明らかではあるものの、「前記ステアリングシャフトの前端部で、前記ハウジングの前端から突出した部分にその片側を結合した第一の自在継手と、その一端を前記第一の自在継手の他側に結合した伝達軸と、この伝達軸の他端にその一端を結合した第二の自在継手とを備え、前記ステアリングシャフトの前端部で前記ハウジングから突出した部分と前記伝達軸との少なくとも一方を、伸縮自在且つ回転力の伝達自在な構造」とするものであるのか否か、不明である点。
<相違点2>
本願考案は、ステアリングコラムを「衝突時の衝撃により収縮しない」ものとし、エネルギ吸収部材を、「塑性変形自在な材料により造られ、前記ハウジングと車体との間に掛け渡した状態で設ける事により、前記ステアリングコラムの前端部を車体に支持する」ものとしたのに対して、
上記引用例1に記載されたものは、ステアリングコラムが「衝突時の衝撃により収縮しない」と明示されたものでなく、エネルギ吸収部材が、「塑性変形自在な材料により造られ、前記ハウジングと車体との間に掛け渡した状態で設ける事により、前記ステアリングコラムの前端部を車体に支持する」ものでない点。
3-2.上記相違点について検討する。
3-2-1.相違点1について
“自動車の衝撃吸収ハンドル装置”という、本願考案および上記引用例1に記載されたものと同一の技術分野に属する考案を開示する上記引用例2に、ハンドル軸2と操向歯車筺10の歯車軸10’を、“自在継手7(又は/及び自在継手9)とジョイントシャフト8との間、及び/又は、ハンドル軸2と自在継手7との間を、軸線方向に相互摺動自由に例えばスプライン嵌め合いにより結合させた回転伝達継手機構”を介して、結合するものが記載されており、上記引用例2に記載されたものの“ハンドル軸2”、“自在継手7”、“自在継手9”、“スプライン嵌め合い”が、それぞれ本願考案の「ステアリングシャフト」、「第一の自在継手」、「第二の自在継手」、「伸縮自在且つ回転力の伝達自在な構造」に相当し、しかも、引用例1及び引用例2に記載されたものは、衝突時の衝撃をステアリングコラムの移動とエネルギ吸収部材により吸収するという、共通の課題及び作用を有するものである。
したがって、「前記ステアリングシャフトの前端部で、前記ハウジングの前端から突出した部分にその片側を結合した第一の自在継手と、その一端を前記第一の自在継手の他側に結合した伝達軸と、この伝達軸の他端にその一端を結合した第二の自在継手とを備え、前記ステアリングシャフトの前端部で前記ハウジングから突出した部分と前記伝達軸との少なくとも一方を、伸縮自在且つ回転力の伝達自在な構造とした」点は、上記引用例2に記載されたものに基づいて当業者がきわめて容易に想到し得たものとするのが相当である。
3-2-2.相違点2について
衝撃吸収式ステアリングコラム装置において、ステアリングコラムを衝突時の衝撃により収縮する機構を備えないものとし、エネルギ吸収部材を、塑性変形自在な材料により造られ、ステアリングコラム前端部と車体との間に掛け渡した状態で設ける事により、前記ステアリングコラムの前端部を車体に支持することは、本願出願前周知の事項にすぎず[例えば、実願昭61-54188号(実開昭62-165173号)のマイクロフィルム(第9図、第10図)、実願昭63-69054号(実開平1-175967号)のマイクロフィルム、実願昭60-90790号(実開昭61-205866号)のマイクロフィルム(第6図)参照。]、また、上記引用例1に記載のものは、ステアリングコラム(3)に衝突時の衝撃により収縮する機能を備えなければ衝突時のエネルギを吸収することができないものでもないから、上記引用例1に記載のものにおいて、これら周知の事項を採用して、ステアリングコラムを衝突時の衝撃により収縮しないものとし、ハウジングと車体との間に設ける事により、ステアリングコラムの前端部を車体に支持するエネルギ吸収部材を、塑性変形自在な材料により造られ、ハウジングと車体との間に掛け渡した状態で設ける事により、前記ステアリングコラムの前端部を車体に支持する構成とすることは、当業者がきわめて容易に想到し得ることである。
3-3.そして、本願考案の作用効果は、前記引用例1、2に記載されたもの、及び上記周知の事項から予測し得る程度のものであり、格別のものとは認められない。
4.むすび
以上のとおりであるから、本願考案は、本願の出願前日本国内において頒布された刊行物である上記引用例1及び2に記載されたもの、及び、本願出願前に周知の事項に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-11-10 
結審通知日 2000-11-21 
審決日 2000-12-04 
出願番号 実願平4-48207 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (B62D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西本 浩司大山 健  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 鈴木 久雄
鈴木 法明
考案の名称 電動パワーステアリング装置付衝撃吸収式ステアリングコラム装置  
代理人 小山 欽造  
代理人 小山 武男  
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