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審決分類 審判 全部申し立て   B62D
管理番号 1032512
異議申立番号 異議2000-73964  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-10-20 
確定日 2001-01-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第2604295号「ゴムクローラ」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2604295号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
実用新案登録第2604295号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)についての出願は、平成5年3月22日に実用新案登録出願され、平成12年2月25日にその実用新案登録の設定登録がなされ、その後、実用新案登録異議申立人中野収二より、実用新案登録異議の申立てがなされたものである。

2.本件考案
本件考案は、その実用新案登録請求の範囲に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】 芯金巾方向中央の係合部の両外側へ順に、それぞれ一対の角部、前後方向に張出部を有する軌道部、及び翼部を備えた芯金を、該軌道部がクローラ本体の内周面に露出するようにして周方向へ一定間隔で横置きに埋設すると共に、該翼部の外周側にスチールコードの多数を周方向に揃えて埋設したゴムクローラに於いて、各芯金は両側の軌道部のそれぞれに於ける前後方向の何れか一方の張出部の内側に該張出部よりも長く張り出す内側張出部を角部の前方箇所へ連接すると共に、該内側張出部の両外側間隔Lを内側張出部の反対側の張出部の内側間隔L’よりも狭いものとした構成となし、而して周方向前後に隣接する芯金間に於いて一方の芯金の内側張出部の外側となる張出部と他方の芯金の内側張出部の反対側の張出部が相対する配置となし、且つクローラ巾方向視に於いて該内側張出部と張出部とのそれぞれ端部が重なり合う埋設間隔としたことを特徴とするゴムクローラ。」

3.申立ての理由の概要
実用新案登録異議申立人中野収二は、本件考案は、甲第1号証(実願昭63-63934号(実開昭63-176888号)のマイクロフィルム)、甲第2号証(実願昭63-56748号(実開平1-161996号)のマイクロフィルム)、甲第3号証(実願平1-49905号(実開平2-142391号)のマイクロフィルム)、甲第4号証(実願昭58-44086号(実開昭59-149578号)のマイクロフィルム)、甲第5号証(実願平2-109474号(実開平4-67585号)のマイクロフィルム)に、それぞれ記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案することができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、本件考案の実用新案登録は、取り消されるべき旨、主張している。

3-1.甲第1号証記載の考案
甲第1号証には、以下の記載がある。
(ア)「本考案ではゴムクローラ本体に埋設する芯金5を第3図に示す如く芯金の中央角部5a、5aと左右翼端部5c、5cとの中間位置で水平方向に一定巾を有する肩段5b、5bに形成し、該芯金5を第4図に示す如く上記肩段5b、5bがゴムクローラ本体1’の上面をほヾ一致する状態に埋設する。」(上記マイクロフィルムの明細書第4頁第20行?第5頁第6行)
(イ)「第5図はゴムクローラに於ける走行状態を示すもので転輪2’の左右翼端部2’a、2’aが芯金5の肩段5b、5bと当接して走行するのである。」(上記明細書第5頁第11?14行)
また、第3?5図には、
(ウ)「芯金の中央角部5a」から巾方向両外側へ順に、「肩段5b」、「翼端部5c」を設ける旨の図示があり、
(エ)「肩段5b」の前後方向に張出部を設ける旨の図示があり、
(オ)「翼端部5c」の外周側に「スチールコード4」の多数を周方向にそろえて埋設する旨の図示がある。
これらの記載から、甲第1号証には、
「芯金5」の中央から両外側へ順に、それぞれ一対の「角部5a」、前後方向に張出部を有する「肩段5b」、及び「翼端部5c」を備えた「芯金5」を、「肩段5b」が「ゴムクローラ本体1’」の上面をほヾ一致する状態に埋設し、「翼端部5c」の外周側に「スチールコード4」の多数を周方向にそろえて埋設したゴムクローラ
が記載されていると認める。

3-2.甲第2号証記載の考案
甲第2号証には、以下の記載がある。
(カ)「前記ゴム製履帯11には無端状のゴム製帯17に、このゴム製帯17の長さ方向に所定の間隔をおいて多数個の金属製の芯金16を埋め込んで成る。そして、これら芯金16の内側部分はゴム製帯17から表出しており、この表出部に、左右の第1の転輪レール部14,14’と左右の第2の転輪レール部15,15’とが形成してある。そして、第2の転輪レール部15,15’は第1の転輪レール部14,14’より内方に位置していて、第2の転輪レール部15,15’は第1の転輪レール部14,14’の平坦面よりも山形に突起している。
左の第1の転輪レール部14はイの方向に延出した延出部14Aを有しており、右の第1の転輪レール部14’はロの方向(方向イとは逆方向)に延出した延出部14Bを有している。
また、左の第2の転輪レール部15はロの方向に延出した延出部15Aを有しており、右の第2の転輪レール部15’はイの方向に延出した延出部15Bを有している。」(上記マイクロフィルムの明細書第5頁第4行?第6頁第3行)
(キ)「このことは、ゴム製履帯11において、左右それぞれの第1,第2の転輪レール部14,14’、15,15’が互いに逆方向へ千鳥状に配置されたことになる。
したがって、隣り合う左の第1の転輪レール部14,14間のゴム踏面18の側方に左の第2の転輪レール部15の延出部15Aが位置しており、隣り合う左の第2の転輪レール部15,15間の空間19の側方に左の第1の転輪レール部14の延出部14Aが位置している。
また、隣り合う右の・・・が位置している。」(上記明細書第6頁第4?19行)
(ク)「そして、第1の転輪レール部14,14’には下転輪10の第1の転動輪面12が接し、また第2の転輪レール部15,15’には下転輪10の第2の転動輪面13が接している。
そして、第1、第2の転動輪面12,12’,13,13’と第1、第2の転輪レール部14,14’,15,15’とは転動接触箇所になる。
前記芯金16の中央部には噛合部20が形成してある。」(上記明細書第6頁第20行?第7頁第8行)
(ケ)「ゴム製履帯の左右それぞれの第1、第2の転輪レール部の左右のいずれかに下転輪の転動接触箇所が常に存在するように、連続的なレール面を形成する」(上記明細書第4頁第8?11行)
また、第1,2図には、
(コ)「芯金16」の巾方向中央の「噛合部20」の両外側へ順に、それぞれ一対の「第2の転輪レール部15,15’」と、前又は後のいずれか一方向に延出した「延出部14A,14B」を有する「第1の転輪レール部14,14’」とを備えた「芯金16」を設ける旨の図示があり、
(サ)「芯金16」の巾方向端部を「ゴム製履帯17」に埋設している旨の図示がある。
これらの記載から、甲第2号証には、
連続的なレール面を形成するように、「芯金16」の巾方向中央の「噛合部20」の両外側へ順に、それぞれ一対の「第2の転輪レール部15,15’」と、前又は後のいずれか一方向に延出した「延出部14A,14B」を有する「第1の転輪レール部14,14’」と、「芯金16」の巾方向端部において「ゴム製履帯17」に埋設される部分を備えた「芯金16」を、「第1の転輪レール部14,14’」が「ゴム製履帯17」の内周面に露出するようにして「ゴム製履帯17」の長さ方向に所定の間隔をおいて埋設した「ゴム製履帯17」
が記載されていると認める。

3-3.甲第3号証記載の考案
甲第3号証には、以下の記載がある。
(シ)「第1図に示す平面図において、ゴムクローラ本体1には長手方向に対して直角に金属で形成された多数の芯金2,2a・・・が互いに平行になるように埋設し、芯金2,2a・・・の夫々の内側には下転輪26が転動する上面の踏み面3と転動レール面4とが中心(イ)に対して対称に長手方向に沿い各々に設けられている。」(上記マイクロフィルムの明細書第5頁第20行?第6頁第6行)
(ス)「第1図は芯金2の要部の第1の実施例を示すもので、ブルドーザ等の装軌車両の走行部分に巻装されたゴムクローラにおいて、ゴムクローラ本体1内側の芯金2の中央部に左右一対の転輪外れ防止突起3,3を設け、その突起3,3の両外側の1段低い部分に一定長さの転動レール4,4を設けると共に、その転動レール4,4を該芯金2の前後方向の中心線X-Xに対して右側は前方に、左は後方に一部分ずらして突出部4aと凹欠部4bとに形成し、相隣れる転動レール5との間を突出部4aと凹欠部5bおよび突出部5aと凹欠部4bとにより係合状態に保持するようにしたものである。
前記転動レール4,5の上面は図示しない下転輪の踏み面となっている。
また前記転輪外れ防止突起3,3の間には図示しない起動輪と噛み合う凹所6が設けられ、前記転輪外れ防止突起3の上面は図示しない誘導輪と接触する踏み面3a,3aとなっている。」(上記明細書第6頁第19行?第7頁第17行)
なお、上記(ス)に記載されている「転動レール4,4を該芯金2の前後方向の中心線X-Xに対して右側は前方に、左は後方に一部分ずらして突出部4aと凹欠部4bとに形成し」という点は、第1図に記載されておらず、第4図だけに記載されているから、上記(ス)における「第1図」という記載は「第4図」の明らかな誤記であると認める。
以上から、甲第3号証には、
「芯金2」の「転輪外れ防止突起3」の両外側に「転動レール4」「転動レール5」を形成すると共に、「転動レール4」「転動レール5」のそれぞれ前後方向のいずれか一方に長く張り出す「突出部4a」「突出部5a」を連接し、隣接する「芯金2」間において、一方の「芯金2」の「突出部4a」「突出部5a」を他方の「芯金2」の「転動レール4」「転動レール5」の「凹欠部5b」「凹欠部4b」に係合せしめた「ゴムクローラ」
が記載されていると認める。

3-4.甲第4号証記載の考案
甲第4号証には、
(セ)「第1図ないし第3図に示すように、無端帯状に形成すると共に外周にラグ(1a)を備えさせたゴム製のクローラシュー(1)に、その長手方向に並べた状態で芯金の基部(2)を埋設し、左右一対のガイド部(3)、(4)を、クローラシュー(1)の内周面(1b)から突出する状態で芯金基部(2)夫々に一体連設すると共に、クローラシュー(1)の巾方向視において突出端側が巾広になった略T字状に形成し、左右の巾広突出端部(3a),(4a)夫々に、クローラ長手方向において隣り合うものがクローラシュー(1)の巾方向視でラップし、」(上記マイクロフィルムの明細書第第6頁第17行?第7頁第7行)
と記載されているから、甲第4号証には、
「芯金の基部(2)」に、前後方向の両方に「巾広突出端部(3a),(4a)」を有する「左右一対のガイド部(3)、(4)」を設け、クローラ長手方向において隣り合う「巾広突出端部(3a),(4a)」を係合せしめた「ゴム製のクローラシュー(1)」
が記載されていると認める。

3-5.甲第5号証記載の考案
甲第5号証には、
(ソ)「第1図は本考案の芯金の第1実施例の斜視図であって、1は芯金、2は脱輪防止用の突起、3は駆動輪との係合部、4は翼部、5は水平突起体であり、図に示すように芯金長さ方向中央に設けた係合部3の両側面の両脇に、水平突起体5,5・・・を芯金幅方向に突設してある。」(上記マイクロフィルムの明細書第5頁第8?13行)
(タ)「第3図A及びBは本実施例を埋設したゴムクローラ6を示すそれぞれ平面図及び断面図であり、図Aに示すごとく、隣接する芯金1、1間において対向する水平突起体5,5を幅方向視重複させてある(重複間隔d)。このため芯金間に幅方向の外力が加わった場合においても水平突起体5、5が衝突して横ずれが生じない。」(上記明細書第6頁第6行?12行)
と記載されており、また、第1?3図には、
(チ)「水平突起体5」を「脱輪防止用の突起2」の前方及び後方箇所に連接している旨の図示がある。
これらの記載及び図示からみて、甲第5号証には、
「芯金1」の一対の「脱輪防止用の突起2」の前後方向の両方に「水平突起体5」を連接し、隣接する「芯金1」間において、「水平突起体5」を幅方向に重複せしめた「ゴムクローラ6」
が記載されていると認める。

4.対比及び判断
以上の認定に基づいて、本件考案(以下、「前者」という。)と甲第1号証記載の考案(以下、「後者」という。)とを対比すると、後者の「角部5a」「翼端部5c」「スチールコード」「ゴムクローラ本体1’」「ゴムクローラ」が、前者の「角部」「翼部」「スチールコード」「クローラ本体」「ゴムクローラ」に相当することは明らかである。また、後者の「肩段5b」は、「ゴムクローラ本体1’」の上面をほヾ一致する状態に埋設されている、すなわち、「ゴムクローラ本体1’」の内周面に露出しているということができ、また上記(イ)にあるように、「転輪2’」の軌道となっているから、前者の「軌道部」に相当する。また、ゴムクローラにおいて、一対の角部の間の芯金部分を係合部とすることや、クローラに芯金を一定間隔で横置きに埋設することは、当業者にとって自明な事項である。
以上から、両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違する。
<一致点>芯金巾方向中央の係合部の両外側へ順に、それぞれ一対の角部、前後方向に張出部を有する軌道部、及び翼部を備えた芯金を、該軌道部がクローラ本体の内周面に露出するようにして周方向へ一定間隔で横置きに埋設すると共に、該翼部の外周側にスチールコードの多数を周方向に揃えて埋設したゴムクローラ
<相違点>前者は、各芯金は両側の軌道部のそれぞれに於ける前後方向の何れか一方の張出部の内側に該張出部よりも長く張り出す内側張出部を角部の前方箇所へ連接すると共に、該内側張出部の両外側間隔Lを内側張出部の反対側の張出部の内側間隔L’よりも狭いものとした構成となし、而して周方向前後に隣接する芯金間に於いて一方の芯金の内側張出部の外側となる張出部と他方の芯金の内側張出部の反対側の張出部が相対する配置となし、且つクローラ巾方向視に於いて該内側張出部と張出部とのそれぞれ端部が重なり合う埋設間隔としたものであるのに対して、後者は、そのようなものでない点。
そこで、上記相違点について検討するため、甲第3号証を参照すると、甲第3号証には、上記3-3.で認定したように、「転動レール4」「転動レール5」のそれぞれ前後方向のいずれか一方に長く張り出す「突出部4a」「突出部5a」を連接し、隣接する「芯金2」間において、一方の「芯金2」の「突出部4a」「突出部5a」を他方の「芯金2」の「転動レール4」「転動レール5」の「凹欠部5b」「凹欠部4b」に係合させる考案が開示されている。しかし、「突出部4a」「突出部5a」は、「転動レール4」「転動レール5」そのものを前又は後方向に突出させたものであって、本件考案のように、「転動レール4」「転動レール5」の内側に「転動レール4」「転動レール5」よりも長く張り出したものではない。また、甲第3号証に開示された考案では、「突出部4a」「突出部5a」に対応する「凹欠部5b」「凹欠部4b」を「転動レール4」「転動レール5」に設ける必要がある。
そもそも、本件考案のような、角部の両外側に軌道部を有する芯金においては、隣接する芯金の軌道部間の間隔をできるだけ短くするように、軌道部の前後方向に張出部を設けることが知られている。本件考案は、「前後方向の何れか一方の張出部の内側に該張出部よりも長く張り出す内側張出部」を設け、「一方の芯金の内側張出部の外側となる張出部と他方の芯金の内側張出部の反対側の張出部が相対する配置」とすることにより、張出部に対して、芯金の軌道部間の間隔をできるだけ短くするという、張出部が本来有する機能に加えて、芯金の横ずれを防止するという機能をも付加したものである。しかも、本件考案では、「該内側張出部の両外側間隔Lを内側張出部の反対側の張出部の内側間隔L’よりも狭いものとした」ことにより、張出部それ自体には、内側張出部と係合するための凹部等を設けなくても、「一方の芯金の内側張出部の外側となる張出部と他方の芯金の内側張出部の反対側の張出部が相対する配置」とすることができるものであるから、上記相違点は、甲第3号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案できたものではない。
次に、甲第4号証を参照すると、甲第4号証には、上記3-4.で認定したように、「芯金の基部(2)」に、前後方向に「巾広突出端部(3a),(4a)」を有する「左右一対のガイド部(3)、(4)」を設け、クローラ長手方向において隣り合う「巾広突出端部(3a),(4a)」を係合させる考案が開示されている。しかし、「巾広突出端部(3a),(4a)」は、「左右一対のガイド部(3)、(4)」そのものを前後方向に突出させたものであって、本件考案のように、「左右一対のガイド部(3)、(4)」の内側に、「左右一対のガイド部(3)、(4)」よりも長く張り出したものではない。また、甲第4号証に開示された考案では、「巾広突出端部(3a),(4a)」を「左右一対のガイド部(3)、(4)」の前後方向の両方に設ける必要がある。
本件考案は、「前後方向の何れか一方の張出部の内側に該張出部よりも長く張り出す内側張出部」を設け、「一方の芯金の内側張出部の外側となる張出部と他方の芯金の内側張出部の反対側の張出部が相対する配置」とすることにより、張出部に対して、芯金の軌道部間の間隔をできるだけ短くするという、張出部が本来有する機能に加えて、芯金の横ずれを防止するという機能をも付加したものである。しかも、本件考案では、「該内側張出部の両外側間隔Lを内側張出部の反対側の張出部の内側間隔L’よりも狭いものとした」ことにより、張出部それ自体には、内側張出部と係合するための凹部等を設けなくても、「一方の芯金の内側張出部の外側となる張出部と他方の芯金の内側張出部の反対側の張出部が相対する配置」とすることができるものであるから、上記相違点は、甲第4号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案できたものではない。
次に、甲第5号証を参照すると、甲第5号証には、上記3-5.で認定したように、「芯金1」の一対の「脱輪防止用の突起2」の前後方向の両方に「水平突起体5」を連接し、隣接する「芯金1」間において、「水平突起体5」を幅方向に重複させる考案が開示されている。しかし、甲第5号証のものは、「脱輪防止用の突起2」の両外側に軌道部を有していないから、「水平突起体5」は、軌道部の内側に、軌道部よりも長く張り出したものではない。また、甲第5号証に開示された考案では、「水平突起体5」を前後方向の両方に設ける必要がある。
本件考案は、「前後方向の何れか一方の張出部の内側に該張出部よりも長く張り出す内側張出部」を設け、「一方の芯金の内側張出部の外側となる張出部と他方の芯金の内側張出部の反対側の張出部が相対する配置」とすることにより、張出部に対して、芯金の軌道部間の間隔をできるだけ短くするという、張出部が本来有する機能に加えて、芯金の横ずれを防止するという機能をも付加したものである。しかも、本件考案では、「該内側張出部の両外側間隔Lを内側張出部の反対側の張出部の内側間隔L’よりも狭いものとした」ことにより、張出部それ自体には、内側張出部と係合するための凹部等を設けなくても、「一方の芯金の内側張出部の外側となる張出部と他方の芯金の内側張出部の反対側の張出部が相対する配置」とすることができるものであるから、上記相違点は、甲第5号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案できたものではない。
また、甲第2号証には、芯金の横ずれ防止に関する技術が開示されていないから、上記相違点は、甲第2号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案できたものではない。

最後に、異議申立人は、甲第2号証の考案に、甲第3?5号証により周知とされる捩じれ防止手段を適用し、甲第2号証の「第2の転輪レール15」から延びる「延出部15A」を甲第5号証の「水平突起体5」のように下方に位置だけをずらせば、本件考案の構成を想到できる旨、主張している(上記異議申立書第8頁第23行?第9頁第19行)から、この主張について検討するため、甲第2号証を参照すると、上記(キ)にあるように、甲第2号証の「延出部15A」は、「隣り合う左の第1の転輪レール部14,14間のゴム踏面18の側方に左の第2の転輪レール部15の延出部15Aが位置」するものであって、仮に「延出部15A」の位置を下方にずらせたとしても、本件考案のように「クローラ巾方向視に於いて該内側張出部と張出部とのそれぞれ端部が重なり合う埋設間隔」とはならないから、異議申立人の上記主張については、採用することはできない。

以上から、本件考案は、甲第1?5号証記載の考案から、当業者がきわめて容易に考案することができたものとはいえない。

5.むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る考案を取り消すことができない。
また、他に本件請求項1に係る考案を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2001-01-10 
出願番号 実願平5-22443 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (B62D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 岡田 孝博  
特許庁審判長 藤井 俊明
特許庁審判官 大島 祥吾
刈間 宏信
登録日 2000-02-25 
登録番号 実用新案登録第2604295号(U2604295) 
権利者 福山ゴム工業株式会社
広島県福山市松浜町3丁目1番63号
考案の名称 ゴムクローラ  
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