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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する E04B
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する E04B
管理番号 1035972
審判番号 訂正2000-39114  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-06-29 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2000-09-29 
確定日 2000-12-04 
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2500969号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第2500969号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。
理由 1.経緯
実用新案登録第2500969号は、平成1年9月26日に出願され、平成8年3月28日に登録されたものであって、平成10年3月19日に無効審判の請求があり、特許庁において平成10年審判第35118号事件として審理され、平成12年5月8日付で登録第2500969号実用新案の登録を無効とする旨の審決がなされ、この審決を不服とする訴えが東京高等裁判所になされた。
一方、本件訂正審判の請求は平成12年9月29日付けでなされ、その請求の趣旨は、実用新案登録第2500969号の明細書及び図面を請求書に添付した明細書及び図面のとおり訂正することを求めるものである。

2.訂正の内容
本件訂正審判の請求により訂正しようとする内容は実用新案登録請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的として、次のように訂正するものである。
(1)訂正事項A
実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、実用新案登録請求の範囲の記載の
「予め箱型に組み立てられて一括して吊り上げられることにより所定位置に設置されるプレファブ住宅ユニットであって、このユニットのコーナ部には、壁面を形成している壁パネルの全高に渡る長さの棒状のコーナ結合材が配置されていて、該コーナ結合材に対して前記壁パネルの側縁部が全高にわたって結合されることにより、それら壁パネルどうしがコーナ結合材を介して連結されてなり、前記コーナ結合材の上端部に、このユニットを吊り上げる際に使用する吊り金物を着脱自在に設けてなることを特徴とするプレファブ住宅ユニット。」を、次の通り訂正する。
「予め複数のパネルにより箱型に組み立てられて一括して吊り上げられることにより所定位置に設置されるプレファブ住宅ユニットであって、このユニットのコーナ部には、壁面を形成している壁パネルの全高に渡る長さを有し隣り合う2側面が直交する棒状のコーナ結合材がユニット外側に面して配置されていて、該コーナ結合材に対して前記壁パネルの側縁部が全高にわたって結合されることにより、それら壁パネルどうしがコーナ結合材を介して連結されてなり、このコーナ結合材を介して連結される一方の壁パネルの端面が厚み方向に渡って前記コーナ結合材の一側面と当接し、他方の壁パネルの端面が前記コーナ結合材の他の側面と前記一方の壁パネルとの双方に当接可能なようにし、前記コーナ結合材の上端部に、このユニットを吊り上げる際に使用する吊り金物を着脱自在に設けてなることを特徴とするプレファブ住宅ユニット。」
(以下、実用新案登録請求の範囲に記載された考案を本件訂正考案という。)
(2)訂正事項B
明瞭でない記載の釈明を目的として、明細書の「課題を解決するための手段」の記載を実用新案登録請求の範囲に併せて、
「本考案は、予め複数のパネルにより箱型に組み立てられて一括して吊り上げられることにより所定位置に設置されるプレファブ住宅ユニットであって、このユニットのコーナ部には、壁面を形成している壁パネルの全高に渡る長さを有し隣り合う2側面が直交する棒状のコーナ結合材がユニット外側に面して配置されていて、該コーナ結合材に対して前記壁パネルの側縁部が全高にわたって結合されることにより、それら壁パネルどうしがコーナ結合材を介して連結されてなり、このコーナ結合材を介して連結される一方の壁パネルの端面が厚み方向に渡って前記コーナ結合材の一側面と当接し、他方の壁パネルの端面が前記コーナ結合材の他の側面と前記一方の壁パネルとの双方に当接可能なようにし、前記コーナ結合材の上端部に、このユニットを吊り上げる際に使用する吊り金物を着脱自在に設けてなることを特徴とするものである。」と訂正する。
(3)訂正事項C
明瞭でない記載の釈明を目的として、明細書第5頁(実用新案登録公報第3頁第5欄第19行?第22行)中、「さらに、上記実施例では断面寸法が90mm×45mmのコーナ結合材を用いたが、第6図に示すようにたとえば90mm×90mm(3寸角)の正方形断面のコーナ結合材40を用いることでも良い。」との記載を削除する。
(4)訂正事項D
明瞭でない記載の釈明を目的として、第6図を削除する。

3.当審の判断
(1)本件実用新案登録は、平成1年9月26日の出願で、本件訂正審判の請求は平成12年9月29日であることから、本件訂正審判の請求は、平成10年法律第51号附則第13条の規定により改正された平成5年法律第26号附則第4条第2項で読み替える旧実用新案法第39条の要件、つまり、
(ア)旧実用新案法第39条第1項ただし書きの要件である、
願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内で、かつ、次に掲げる事項を目的とするもの。
一 実用新案登録請求の範囲の減縮、
二 誤記の訂正、
三 明りょうでない記載の釈明。
(イ)同条第2項の要件である、
実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものであってはならず、
(ウ)同条第3項の要件である、
実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるもの、
という要件を満たすことを要するので検討する。
(2)訂正事項A及びBに記載された事項は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内であり、訂正事項は実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、訂正事項C及びDは、実用新案登録請求の範囲を訂正したことによって生じる明細書の記載の不都合を整える訂正であって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められる。
さらに、訂正事項AないしDは、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものとも認められないので、旧実用新案法第39条第1項及び第2項の要件を満たすものである。
(3)次に、同法第3項のいわゆる独立要件について検討する。
(3-1)上記無効審判事件(平成10年審判第35118号)において引用した刊行物である特公昭61-46624号公報(以下、引用例1という)及び特開昭50-98115号公報(以下、引用例2という)には、各々次の記載が認められる。
(ア)引用例1の記載事項
a 特許請求の範囲の記載、
「1 最上階以外には、4隅に鋼製の柱体を有し上部の開口された∪型のカプセル構造体を用い、最上階には、上記∪型のカプセル構造体の上部に屋根部を備えた□型の最上階用カプセル構造体を用い、カプセル構造体の上下方向の接合を上記柱体の上下端部同志の接合により行ない、またカプセル構造体の横方向の接合を上記柱体同志の接合により行なう、複数個のカプセル構造体で以て1つの建築物を構築する方法において、上記カプセル構造体の横方向の接合に際しては、接合するカプセル構造体それぞれの側壁同志が重複しないように配置接合し、且つ、上記∪型カプセル構造体は、相隣る2つの側壁、及び該2つの側壁の何れにも接しない1本の柱体を有しており、且つ相隣る2つの側壁に接している1本の柱体以外の3本の柱体の柱頭を揺動可能となしてある、カプセル構造体による建築物の構築法。」
b 公報第3欄第22行から第35行の記載
「∪型のカプセル構造体Aには、種々の形態のものがあり、何れも天井を有せず床1を有しているが、その側壁2の数は、目的とする建築物の構成に応じて適宜決められている。また、何れのカプセル構造体Aも、その四隅に、それぞれの上下端部に接合部(図示せず)を設けた鋼製柱体3を有している。また、最も多く用いられるカプセル構造体Aは、第2′図に示す如く、相隣る2つの側壁2、2を有し、該2つの側壁2、2の何れにも接しない柱体3′を有している形態からなっており、2つの側壁2、2に接する柱体3以外の3本の柱体3″、3″、3′はその上端部、即ち柱頭を揺動自在となしてあり、特に上記柱体3′の柱頭の揺動範囲を大となしてある。」
c 公報第3欄第40行から第4欄第22行の記載
「而して、本発明を実施する場合には、目的とする建築物Cの設計に従って予め所定のカプセル構造体A、Bを所定数形成し、且つ第1図に示す如く、所定の基礎Dを形成して置く。その後、先ず、第2図に示す如く、所定の∪型カプセル構造体Aを上記基礎D上の所定位置に配置し、各カプセル構造体A同志をそれらの柱体3、3′、3″を介して接合する。カプセル構造体Aの配置に際しては、周辺部には、主として第2′図に示す如き形態のカプセル構造体Aを用い、その他の部分には適宜な数の壁体2を有するカプセル構造体Aを用いることにより、横方向に隣接するカプセル構造体A、Aの接合面において2重壁構造となることを回避できる。また、カプセル構造体A、A同志の横方向の接合は、それらの柱体3、3同志を、適当な接合金物(図示せず)で接合するか、又は溶接等により行なえば良い。このようにして1階部分の構築を終了後、第3図に示す如く、2階部分を、上記の∪型カプセル構造体A上に所定の□型カプセル構造体Bを載置接合する。この載置接合に際しては、□型カプセル構造体Bの柱体3の下端部が、∪型カプセル構造体Aの柱体3の上端部上に位置するように、所定の□型カプセル構造体Bを所定の∪型カプセル構造体A上に載置し、それぞれの柱体3の接合部をボルト締め等により接合固定する。」
d 第2′図の記載
同図には、2つの側壁2が接するように配置されており、側壁2の端部において側壁と同じ高さの鋼製柱体3′、3″が設けられ、カプセル構造体Aの4つの隅部に設けられた鋼製柱体3、3′、3″の上端部にワイヤが連結され、このワイヤは、フレームを介してクレーンの先端に設けられたフックに掛けられ、カプセル構造体Aが吊り上げられる状態が図示されている。
(イ)引用例2の記載事項
a 公報第1頁左下欄第9行から右下欄第15行の記載
「本発明は、住むための家屋を構成するユニットに係るもので、該ユニットの構造を改良して持ち運びならびに積み上げなどの作業を容易かつ簡単正確に出来うる様にする目的から開発されたものである。まず、実施例を添付図面にもとづき説明すると、Aはあらかじめ工場などで量産されてなる短尺な箱状のユニット、1は該ユニットの四隅所を構成する柱体、2は、該柱体の頂壁に設けられる螺孔、3は柱体1の底壁に設けられる孔である。・・・上記の構成からなる本発明は、まず第1図に示される如く、螺孔2群にそれぞれアイボルトCを螺着固定し、該アイボルト群にワイヤーロープDを連結し、クレーンのフックEを該ワイヤーロープに引っ掛けて、長ユニットBを上下又は水平方向に移動、運搬できることになる。つぎに運搬して設置場所に設けられた長ユニットB′(あるいは図示しなかったがユニットAでも良いことは勿論である。)の螺孔2群のそれぞれからアイボルトCを取り外し、それぞれに円錐台形のダボFを螺着固定し、運搬されて来る長ユニットB(あるいは図示省略したがユニットAでも良い。)の孔3内に挿嵌せしめれば、ユニットA、B群の配設ならびに積み上げを簡単かつ容易に行うことができる。」
b 図面第2図、第3図の記載
同図面には、柱体1の上端部に螺孔2が設けられていることが記載されている。
c 図面第1図の記載
同図には、ユニットBの四隅に設けられた柱体の各々の上端にアイボルトCが設けられ、ワイヤーロープDが連結され、クレーンのフックEに引っ掛かった状態が記載されている。
(3-2)そこで、本件訂正考案と、引用例1及び2に記載されたものとを対比すると、各引用例には、本件訂正考案の構成要件の一部である棒状のコーナ結合材を、「このコーナ結合材を介して連結される一方の壁パネルの端面が厚み方向に渡って前記コーナ結合材の一側面と当接し、他方の壁パネルの端面が前記コーナ結合材の他の側面と前記一方の壁パネルとの双方に当接可能なようにし」た点については何ら記載がなく、またそのような構成を示唆する記載もない。
したがって、本件訂正考案は引用例1及び2に記載されたものから当業者がきわめて容易に考案できたものとすることはできず、実用新案法第3条第2項に該当しないものである。
(3-3)また、本件訂正考案については、他に拒絶する理由も見当たらないことから、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。

4.まとめ
したがって、本件訂正考案は、旧実用新案法第39条の要件を満たすものである。
よって、結論のとおり審決する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
プレファブ住宅ユニット
(57)【実用新案登録請求の範囲】
予め複数のパネルにより箱型に組み立てられて一括して吊り上げられることにより所定位置に設置されるプレファブ住宅ユニットであって、
このユニットのコーナ部には、壁面を形成している壁パネルの全高に渡る長さを有し隣り合う2側面が直交する棒状のコーナ結合材がユニット外側に面して配置されていて、該コーナ結合材に対して前記壁パネルの側縁部が全高にわたって結合されることにより、それら壁パネルどうしがコーナ結合材を介して連結されてなり、このコーナ結合材を介して連結される一方の壁パネルの端面が厚み方向に渡って前記コーナ結合材の一側面と当接し、他方の壁パネルの端面が前記コーナ結合材の他の側面と前記一方の壁パネルとの双方に当接可能なようにし、前記コーナ結合材の上端部に、このユニットを吊り上げる際に使用する吊り金物を着脱自在に設けてなることを特徴とするプレファブ住宅ユニット。
【考案の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本考案は、予め箱型に組み立てられて一括して吊り上げられることにより所定位置に設置されるプレファブ住宅ユニットに関するものである。
[従来の技術]
所定の規格に基づいて予め工場製作されたパネルを用いて構築されるプレファブ住宅にあっては、各パネルを個別に組み立てていくことで構築されることが従来一般的であるが、施工をより簡略化して工期の短縮を図るため、それら各パネルを予め箱状のユニットに組み立て、そのユニットをクレーンにより一括して吊り上げて所定位置に設置するユニット工法も採用されている。そのようなユニット工法による場合、ユニットを大形とするほど施工が簡略化され、また、クレーンの稼動時間も短くて済み、より効率的である。
[考案が解決しようとする課題]
ところで、上記のようなユニット工法を採用する場合、従来一般には、ユニットを構成している壁パネルの上框に吊り金物を取り付け、その吊り金物を用いてユニット全体を吊り上げるようにしている。このため、ユニットを大形なものとする場合には標準規格のパネルをそのまま用いることはできず、ユニット用として特殊なパネルを別途製作する必要が生じる。
すなわち、従来においては上記のようにパネルの上框に取り付けた吊り金物によりユニットを吊り上げるようにしていることから、壁パネルの上框にはユニットの重量が直接的に加わるものである。そして、ユニットが比較的小形で軽量である場合には上框はそのような荷重に十分に耐え得るが、ユニットが大形化してその重量がたとえば2Ton以上にも及ぶような場合には上框が曲げ変形してしまう恐れがある。したがって、そのような大形のユニットを構成するための壁パネルには、上框の曲げ変形を防止するための補強金具を予め組み込んでおく等の対策が必要となり、標準規格のパネルを用いることができないのである。
本考案は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、標準規格の壁パネルをそのまま用いて十分に大形とした場合であっても支障なく吊り上げることが可能なプレファブ住宅ユニットを提供することにある。
[課題を解決するための手段]
本考案は、予め複数のパネルにより箱型に組み立てられて一括して吊り上げられることにより所定位置に設置されるプレファブ住宅ユニットであって、このユニットのコーナ部には、壁面を形成している壁パネルの全高に渡る長さを有し隣り合う2側面が直交する棒状のコーナ結合材がユニット外側に面して配置されていて、該コーナ結合材に対して前記壁パネルの側縁部が全高にわたって結合されることにより、それら壁パネルどうしがコーナ結合材を介して連結されてなり、このコーナ結合材を介して連結される一方の壁パネルの端面が厚み方向に渡って前記コーナ結合材の一側面と当接し、他方の壁パネルの端面が前記コーナ結合材の他の側面と前記一方の壁パネルとの双方に当接可能なようにし、前記コーナ結合材の上端部に、このユニットを吊り上げる際に使用する吊り金物を着脱自在に設けてなることを特徴とするものである。
[作用]
本考案のユニットは、コーナ部に位置するコーナ結合材の上端部に吊り金物を取り付け、その吊り金物を用いてユニットを吊り上げることにより、ユニットを吊り上げた際の荷重はコーナ結合材の長手方向にのみ加わり、壁面を構成している壁パネルには荷重が直接的に加わることがない。したがって、壁パネルに対する補強は不要であり、標準規格のものを用いて支障がない。
[実施例]
以下、本考案の一実施例を第1図ないし第3図を参照して説明する。
第1図は本実施例のユニットUをクレーンにより吊り上げた状態を示す図、第2図はそのユニットUの平面図である。
このユニットUは、3枚の床パネル1が連結されてなる床面Aの三方に、4枚の壁パネル2が連結されてなる壁面Bと、それぞれ3枚の壁パネル3が連結されてなる壁面C,Cとが、全体として箱型をなすように組み立てられたものである。このユニットUの各コーナ部、すなわち壁面Bと壁面C,Cとの連結部にはコーナ結合材4,4が配され、これらコーナ結合材4,4によって壁面Bと壁面C,Cとはその全高にわたって強固に連結固定されている。また、壁面C,Cの他の端面にも同様のコーナ結合材4,4が連結固定されている。符号5は壁面C,Cが倒れ込むことを防止するための仮設の補強材である。
このユニットUにおける床パネル1や壁パネル2,3およびコーナ結合材4は、従来広く採用されている910mm(3尺)を1モジュールとする標準規格寸法のものがそのまま使用されている。すなわち、壁パネル2,3について具体的に説明すると、それら壁パネル2,3の厚み寸法はいずれも90mmとされ、それらの幅寸法は、壁面Bにおける各壁パネル2および壁面Cにおける中間の壁パネル3aにあってはいずれも910mmとされ、壁面Cの両側に位置する壁パネル3b,3bにあっては865mmとされている。また、コーナ結合材4の幅寸法は壁パネル2,3の厚み寸法に等しく90mm、厚み寸法はその半分の45mmとされている。これによって、このユニットUは910mmを1モジュールとする規格に基づく6畳の広さを有するものとなっている。
そして、上記の各コーナ結合材4の上端部には、このユニットUを吊り上げる際に使用するアイボルト(吊り金物)10が着脱可能に設けられるようになっている。
すなわち、第3図に示すように、コーナ結合材4の上端部には、その厚み方向に貫通する円形断面の貫通孔11が形成されているとともに、上端面からその貫通孔11に至る貫通孔12が形成されている。そして、上記貫通孔11内に、側面に螺子孔13aが形成されている円柱状の金具13を装着し、貫通孔12内にアイボルト10を挿入してその下端部を上記金具13の螺子孔13aに螺子込むことによってアイボルト10がコーナ結合材4に取り付けられるようになっている。
上記構成のユニットUは、第1図に示されるように、各コーナ結合材4の上端部に取り付けたアイボルト10にロープ15をつないでクレーンにより吊り上げることによって所定位置に設置されるものである。そして、上記のように、アイボルト10をコーナ結合材4に取り付けたことによって、ユニットUを吊り上げた際の荷重はコーナ結合材4の長手方向に加わることになり、したがって、壁パネルの上框に吊り金物を取り付ける従来の場合のように壁パネルに対して荷重が直接的に加わることがない。それ故、このユニットUが大形で大重量であっても壁パネル2,3に対しては格別の補強対策を施す必要はなく、それら壁パネル2,3として標準規格のものを用いて何等支障がない。
なお、上記のユニットUを吊り上げて所定位置に設置した後は、アイボルト10および金具13をコーナ結合材4から取り外し、それらを他のユニットUに取り付けて繰り返し使用すれば良いが、金具13はそのまま埋め殺してしまっても良い。
また、コーナ結合材4に対するアイボルト10の取り付け構造は上記実施例に限定されることはなく、たとえば第4図や第5図に示すものが考えられる。第4図に示すものは、第3図に示される円形断面の貫通孔11に変えて角形断面の貫通孔20を設け、そこに、ナット21が溶接されている鋼板等のプレート22を装着してそのナット21にアイボルト10を螺子込むようにしたものである。また、第5図に示すものは、コーナ結合材4に切欠30を設け、そこに、高ナット31を溶接したプレート32を螺子止めして固定し、その高ナット31にアイボルト10を螺子込むようにしたものである。いずれの場合も、第3図に示したものと同様に、ユニットUを吊り上げた際にその重量がコーナ結合材4の長手方向に加わるのみで、壁パネル2,3に対しては直接的に荷重が加わることがなく、また、アイボルト10を容易に取り外すことができる。
[考案の効果]
以上で詳細に説明したように、本考案は、壁面を形成している壁パネルの側縁部どうしを、その全高にわたる長さの棒状のコーナ結合材を介して全高にわたって連結するとともに、前記コーナ結合材の上端部に、このユニットを吊り上げる際に使用する吊り金物を着脱自在に設けて、上記の吊り金物を用いてユニットを吊り上げるようにしたものであるから、ユニットを吊り上げた際の荷重はコーナ結合材の長手方向に加わり、壁面を構成している壁パネルには荷重が直接的に加わることがない。このため、従来のこの種のユニットにおいては必要であった壁パネルに対する補強が不要であって、標準規格の壁パネルをそのまま使用できることは勿論、ユニットを十分に大形化して大幅な施工の簡略化、工期短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第3図は本考案の一実施例を示すもので、第1図は本実施例のユニットを吊り上げた状態の斜視図、第2図はユニットの平面図、第3図はコーナ結合材に対する吊り金物の取り付け構造を示す斜視図である。第4図および第5図はそれぞれコーナ結合材に対する吊り金物の取り付け構造の他の例を示す斜視図である。
U……ユニット、A……床面、B,C……壁面、1……床パネル、2,3……壁パネル、4……コーナ結合材、5……補強材、10……アイボルト(吊り金物)、ll,12……貫通孔、13……金具、13a……螺子孔、15……ロープ、20……貫通孔、21……ナット、22……プレート、30……切欠、31……高ナット、32……プレート。
【図面】





訂正の要旨 訂正の要旨
1.訂正事項A
実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、実用新案登録請求の範囲の記載の
「予め箱型に組み立てられて一括して吊り上げられることにより所定位置に設置されるプレファブ住宅ユニットであって、このユニットのコーナ部には、壁面を形成している壁パネルの全高に渡る長さの棒状のコーナ結合材が配置されていて、該コーナ結合材に対して前記壁パネルの側縁部が全高にわたって結合されることにより、それら壁パネルどうしがコーナ結合材を介して連結されてなり、前記コーナ結合材の上端部に、このユニットを吊り上げる際に使用する吊り金物を着脱自在に設けてなることを特徴とするプレファブ住宅ユニット。」を、次の通り訂正する。
「予め複数のパネルにより箱型に組み立てられて一括して吊り上げられることにより所定位置に設置されるプレファブ住宅ユニットであって、このユニットのコーナ部には、壁面を形成している壁パネルの全高に渡る長さを有し隣り合う2側面が直交する棒状のコーナ結合材がユニット外側に面して配置されていて、該コーナ結合材に対して前記壁パネルの側縁部が全高にわたって結合されることにより、それら壁パネルどうしがコーナ結合材を介して連結されてなり、このコーナ結合材を介して連結される一方の壁パネルの端面が厚み方向に渡って前記コーナ結合材の一側面と当接し、他方の壁パネルの端面が前記コーナ結合材の他の側面と前記一方の壁パネルとの双方に当接可能なようにし、前記コーナ結合材の上端部に、このユニットを吊り上げる際に使用する吊り金物を着脱自在に設けてなることを特徴とするプレファブ住宅ユニット。」
2.訂正事項B
明瞭でない記載の釈明を目的として、明細書の「課題を解決するための手段」の記載を実用新案登録請求の範囲に併せて、
「本考案は、予め複数のパネルにより箱型に組み立てられて一括して吊り上げられることにより所定位置に設置されるプレファブ住宅ユニットであって、このユニットのコーナ部には、壁面を形成している壁パネルの全高に渡る長さを有し隣り合う2側面が直交する棒状のコーナ結合材がユニット外側に面して配置されていて、該コーナ結合材に対して前記壁パネルの側縁部が全高にわたって結合されることにより、それら壁パネルどうしがコーナ結合材を介して連結されてなり、このコーナ結合材を介して連結される一方の壁パネルの端面が厚み方向に渡って前記コーナ結合材の一側面と当接し、他方の壁パネルの端面が前記コーナ結合材の他の側面と前記一方の壁パネルとの双方に当接可能なようにし、前記コーナ結合材の上端部に、このユニットを吊り上げる際に使用する吊り金物を着脱自在に設けてなることを特徴とするものである。」と訂正する。
3.訂正事項C
明瞭でない記載の釈明を目的として、明細書第5頁(実用新案登録公報第3頁第5欄第19行?第22行)中、「さらに、上記実施例では断面寸法が90mm×45mmのコーナ結合材を用いたが、第6図に示すようにたとえば90mm×90mm(3寸角)の正方形断面のコーナ結合材40を用いることでも良い。」との記載を削除する。
4.訂正事項D
明瞭でない記載の釈明を目的として、第6図を削除する。
審決日 2000-11-14 
出願番号 実願平1-112278 
審決分類 U 1 41・ 851- Y (E04B)
U 1 41・ 853- Y (E04B)
最終処分 成立    
前審関与審査官 佐藤 昭喜▲高▼橋 祐介  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 鈴木 憲子
宮崎 恭
登録日 1996-03-28 
登録番号 実用新案登録第2500969号(U2500969) 
考案の名称 プレファブ住宅ユニット  
代理人 木下 実三  
代理人 中山 寛二  
代理人 中山 寛二  
代理人 木下 実三  
代理人 石崎 剛  
代理人 石崎 剛  

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