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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04B |
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管理番号 | 1035976 |
審判番号 | 審判1999-12523 |
総通号数 | 18 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2001-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-07-29 |
確定日 | 2001-02-07 |
事件の表示 | 平成 3年実用新案登録願第 92048号「断熱防水パネル」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 6月 8日出願公開、実開平 5- 42417]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.本願は平成3年11月11日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成11年8月30日付け手続き補正書で補正された明細書並びに図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次の通りのものと認める。 「【請求項1】壁や床等を断熱するための断熱防水パネルにおいて、 この断熱防水パネルを、前記壁の柱等に固定される枠体と、この枠体の外側に固定した面材と、これらの面材及び枠体内に一体的に形成されて部屋側に所定の空間を形成する断熱材とにより構成し、 さらに、前記面材を、前記断熱材に直接接触する面基材と、この面基材の外側表面に一体化した防水膜とにより構成したことを特徴とする断熱防水パネル。」 2.これに対して、原査定の拒絶の理由に引用し、本願の出願前国内において頒布された刊行物である、実願平1-144115号(実開平3-82708号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、以下の記載があり、 (ア)「断熱壁パネルにおいては、この断熱壁パネルを柱材等に固定する際の道具の操作空間が全くないため、その取付作業が困難であるのを改善するため、壁の外装材と内壁材の間に介装する断熱壁パネルにおいて、壁内の配線あるいは配管を施す空間の確保を兼ねて内壁材の背面に遮蔽空間を形成する断熱壁パネルが既に提案されている(実願平1-67707号参照)。 すなわち、第6図に示されるように、壁10を構成する外装材11と内壁材12との間に凹部25を有する断熱壁パネル20を介装し、断熱壁パネル20の上、下突出部24,24の端面24a,24aを内壁材12の背面に接合し、内壁材12の背面に断熱壁パネル20の凹部25によって形成される遮蔽空間Rを設けたものである。」(マイクロフィルム掲載の明細書(以下、「明細書」という。)第2頁第8行?第3頁第2行)、 (イ)「第1図において、10は壁であり、柱材13,13の外側に固着された外装材11、部屋内に面する内壁材12および外装材11と内壁材12との間に介装され、柱材13,13に固着された断熱壁パネル20とによって、従来のものと同様に構成されている。」(同明細書第4頁第18行?第5頁第3行)、 (ウ)「断熱壁パネル20は、木質板材で方形に枠組みされた枠体21と、合板からなる面材22によって形成された空間内に発泡性ウレタン樹脂を流し込み、加熱発泡させることによって、第2図に示されるように形成したものであり、発泡ウレタン樹脂が断熱材23となっているものである。」(同明細書第5頁第4行?同第9行)、 (エ))「断熱材23の形状は、第2図に示されるように、中央に凹部25が形成された断面ほぼコ字状で、上、下端部にそれぞれ上部突出部24および下部突出部24を有し、各突出部24,24の各端面24a,24aが内壁材12の背面に接合することによって内壁材12との間に凹部25によって遮蔽空間Rを形成するものである。」(同明細書第5頁第20行?第6頁第6行)、 (オ)第1図、第2図、第6図、 これらの記載を含む明細書及び図面の記載からみて、引用例1には、 「壁や床等を断熱するための断熱壁パネルにおいて、 この断熱壁パネルを、前記壁の柱等に固定される枠体と、この枠体の外側に固定した面材と、これらの面材及び枠体内に一体的に形成されて部屋側に所定の空間を形成する断熱材とにより構成した断熱壁パネル。」 が開示されているものと認める。 また、同じく原査定の拒絶の理由に引用し、本願の出願前国内において頒布された刊行物である実願平56-126995号(実開昭58-31318号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には、以下の記載があり、 (カ)「この建材用パネルは、下地面材1の表面に断熱材2を被覆して形成したパネル基材3と、・・・パネル基材3の一側端部に接合固定した断面L字状の第1側縁部材4と、・・・前記パネル基材3の他側端部に接合固定され隣接配置される建材用パネルの前記第1側縁部材4に係合する断面逆L字状の第2側縁部材5と、前記第1側縁部材4の側縁から前記第2側縁部材5の側縁にかけて前記パネル基材3の表面に張設したパネル表装材6と、・・・一側部が前記パネル表装材6の一側端より張り出すようにパネル表装材6を被覆し一部張り出し面域8aで隣接する建材用パネルとの側端接合部表面を被覆する防水シート8とで構成したもの」(マイクロフィルム掲載の明細書(以下、「明細書」という。)第2頁第10行?第3頁第7行)、 (キ)「前記例ではこの建材用パネルを屋根パネルとして利用する施工の場合について説明したが、このような適用例に限らず壁パネルなどに適用した場合にも、同様に防水性、断熱性に優れた壁施工が可能であり、工数の削減をはかることができる。」(同明細書第5頁第12行?同第17行) (ク)第2図、第3図、第4図、 これらの記載を含む明細書及び図面の記載からみて、引用例2には、 「下地面材の表面に断熱材を被覆して形成したパネル基材と、パネル基材の一側端部に接合固定した第1側縁部材と、パネル基材の他側端部に接合固定した第2側縁部材と、第1側縁部材の側縁から第2側縁部材の側縁にかけてパネル基材の表面に張設したパネル表装材と、パネル表装材を被覆する防水シートとで構成した建材用パネル」 が開示されているものと認める。 3.本願の請求項1に係る考案と前記引用例1に記載された考案とを対比すると、両者は次の点で一致する。 「壁や床等を断熱するための断熱パネルにおいて、 この断熱パネルを、前記壁の柱等に固定される枠体と、この枠体の外側に固定した面材と、これらの面材及び枠体内に一体的に形成されて部屋側に所定の空間を形成する断熱材とにより構成した断熱パネル。」 そして、両者は、次の点で相違する。 本願の請求項1に係る考案においては、「さらに、面材を、前記断熱材に直接接触する面基材と、この面基材の外側表面に一体化した防水膜とにより構成した」のに対し、引用例1記載の考案はこのような構成を有しない点。 4.そこで、この相違点について検討するため、本願考案と引用例2記載の考案とを比較すると、上記の通り、引用例2には、 「下地面材の表面に断熱材を被覆して形成したパネル基材と、パネル基材の一側端部に接合固定した第1側縁部材と、パネル基材の他側端部に接合固定した第2側縁部材と、第1側縁部材の側縁から第2側縁部材の側縁にかけてパネル基材の表面に張設したパネル表装材と、パネル表装材を被覆する防水シートとで構成した建材用パネル」 が開示されている。 そして、引用例2記載の考案は、上記2.(キ)に記載されているように「壁パネル」としても用いられる「建材用パネル」であることから、「建築用の壁パネル」である点で、引用例1記載の考案と共通の技術分野に属する考案であり、さらに、引用例2記載の考案は、防水シートを表装材に被覆したことにより、表装材、下地面材、断熱材及び側縁部材が防水され、パネルの吸湿による湾曲を防止できるという、請求項1記載の考案と共通の作用を有すると認められることから、 引用例1記載の考案に引用例2記載の考案を適用して、上記相違点における請求項1に係る考案の構成とすることは、当業者がきわめて容易になし得た程度のことであると言わざるを得ない。 5.そして、請求項1に係る考案の効果は、引用例1及び2に記載されたものから、当業者であれば当然に予測することができる程度のものであって、格別、顕著なものとは言えない。 6.したがって、請求項1に係る考案は、当業者が本願出願前に国内で頒布された刊行物である前記引用例1及び2に基づいてきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができない。 |
審理終結日 | 2000-11-08 |
結審通知日 | 2000-11-21 |
審決日 | 2000-12-11 |
出願番号 | 実願平3-92048 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(E04B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山田 忠夫、辻野 安人 |
特許庁審判長 |
佐田 洋一郎 |
特許庁審判官 |
鈴木 公子 杉浦 淳 |
考案の名称 | 断熱防水パネル |
代理人 | 廣江 武典 |