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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60K
管理番号 1036005
審判番号 審判1999-10571  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-06-24 
確定日 2001-02-28 
事件の表示 平成5年実用新案登録願第23265号「車両用ヘッドアップディスプレイ装置」拒絶査定に対する審判事件[平成6年11月22日出願公開、実開平6-81816]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本考案
本願は、平成5年5月6日の出願であって、その請求項1?2に係る考案は、平成10年12月7日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1?2に記載された次のとおりのものと認められる。
【請求項1】
車両の室内上部に設けた発光表示装置の像を、この室内下部に設けたミラーとウインドシールドとの反射によって、当該ウインドシールド上の虚像として運転者の目が位置するアイレンジから観察するようにした車両用ヘッドアップディスプレイ装置において、上記ミラーにより反射されることで上記アイレンジから観察される上記ウインドシールド上の虚像が、このウインドシールド上端よりも後方の上記発光表示装置を含む車両ボデー上部の範囲内に規制されるように、上記ミラーを設置したことを特徴とする車両用ヘッドアップディスプレイ装置。(以下、「本考案1」という。)
【請求項2】
上記ミラーの傾きを調整可能にしたことを特徴とする請求項1記載の車両用ヘッドアップディスプレイ装置。(以下、「本考案2」という。)

2.引用例1及び引用例2記載の考案
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本出願前国内で頒布された実願昭62-97634号(実開昭64-2628号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)の、
(1)「以下図面中の第1図を参照して、本考案にかかる車両用ヘッドアップディスプレイの一実施例を説明する。図中11はインストルメントパネルであって、該インストルメントパネル11のフード11aの下方に陥凹部11bが形成されて、この陥凹部11b内に各種コンビネーションメータを構成する計器ユニット12が配置され、該計器ユニット12から突出する軸13に指針14が固定されている。前記インストルメントパネル11の所定部位にはミラー15が水平面Hと特定の角度θを保って配設されている。16はダッシュアッパパネル、17はフロントウインドパネル、18はルーフパネルであり、上記フロントウインドパネル17が運転席の前方視界内にある反射部材を兼ねている。一方運転席の上方に位置する前記ルーフパネル18の車室内側18aには、発光表示源19が装着固定されている。即ちこの発光表示源19は、車速、エンジン回転数又は燃料の残量等の走行データを、文字、グラフ、図形等の表示像にて発光表示する機能を有している。更に発光表示源19には前記走行データを発光表示する以外に、図示しないスイッチの切り換え操作によって点灯するスポットランプが内蔵されていて、該スイッチを操作することによって単にスポットランプとして働かせる機能をも有している。ミラー15の水平面Hからの取付角度θは、発光表示源19から発せられる走行データが運転者の視点Eから最も見やすい角度であるように設定するのが良い。従って該ミラー15に取付角度θを適宜変更することが可能な調節機構を付設することも出来る(図示省略)。」(第6頁4行?第7頁15行)
の記載及び第1図の記載からみて、引用例1には、
「車両のルーフパネル18の車室内側18aに設けた発光表示源19の像を、インストルメントパネル11の所定部位に設けたミラー15とフロントウインドパネル17との反射によって、当該フロントウインドパネル17上の虚像として運転者の目が位置する視点Eから観察するようにした車両用ヘッドアップディスプレイにおいて、上記ミラー15の傾きを調整可能にした、車両用ヘッドアップディスプレイ。」
の考案(以下、「引用例1記載の考案」という。)が記載されていると認められる。

また、原査定の拒絶の理由に引用され、本出願前国内で頒布された特開昭59-214011号公報(以下、「引用例2」という。)には、
(2)「従来、この種装置として第1図に示すものがあった。図において、1はアルミ蒸着などによる透光性ミラー1aを有するフロントウインドウ、2は液晶表示素子から成るスピードメータなどの表示器、3は運転者等の眼が通常位置するアイレンジ、4a,4bは太陽、あるいは外灯などの外光である。5はダッシュボードである。上記表示器2はこのダッシュボード5の上面に略平行に、その表示面が配設されている。すなわち、該表示器2の表示面は上記フロントウインドウ1の透光性ミラー1a面と大体40?50°の角度を成している。(中略)ところが、かかる従来のものでは、太陽などの外光4aがある場合、フロントウインドウ1を通して表示器2の表示面に入射し、反射した光の一部が該フロントウインドウ1の透光性ミラー1a部分で反射して、第1図に点線で示す如き進路を経てアイレンジ3に達し、これが表示光と重なる為、表示は非常に見づらいという欠点があった。」(第1頁左下欄19行?第2頁左上欄5行)、
(3)「この発明は上記の如き従来のものの欠点を除去するためになされたもので、表示器の設定角度を特定し、(中略)外光の位置によって視認性が低下することを防止し、この視認性を格段に向上できるヘッドアップ表示装置を提供することを目的としている。」(第2頁左上欄13行?18行)
が記載されている。

3.対比・判断
(1)本考案2について
(1-1)対比
本考案2と上記引用例1記載の考案とを対比すると、後者の「ルーフパネル18の車室内側18a」、「発光表示源19」、「インストルメントパネル11の所定部位」、「ミラー15」、「フロントウインドパネル17」、「視点E」、「車両用ヘッドアップディスプレイ」はそれぞれ、それらの配置位置、機能からみて、前者の「室内上部」、「発光表示装置」、「室内下部」、「ミラー」、「ウインドシールド」、「アイレンジ」、「車両用ヘッドアップディスプレイ装置」に相当する。
してみれば、両者は、
「車両の室内上部に設けた発光表示装置の像を、この室内下部に設けたミラーとウインドシールドとの反射によって、当該ウインドシールド上の虚像として運転者の目が位置するアイレンジから観察するようにした車両用ヘッドアップディスプレイ装置において、上記ミラーの傾きを調整可能にした、車両用ヘッドアップディスプレイ装置。」で一致し、以下の点で相違する。
【相違点】前者では、ミラーにより反射されることでアイレンジから観察されるウインドシールド上の虚像が、このウインドシールド上端よりも後方の発光表示装置を含む車両ボデー上部の範囲内に規制されるように設けるのに対して、後者では、ウインドシールド上の虚像が車両ボデー上部の範囲内に規制されるように設けることについては不明である点。

(1-2)当審の判断
上記相違点につき検討する。
引用例2には、表示器が車両の室内下部に配置される車両用ヘッドアップディスプレイ装置は、太陽などの外光が、フロントウインドウを通して表示器の表示面に入射し、反射した外光の一部が該フロントウインドウで反射して、アイレンジに達し、これが表示光と重なる為、表示は非常に見づらいとの問題があること、及び、その問題を解決するために、表示器の設定角度を特定することが記載されている(上記摘記事項(2)、(3)参照)。
上記引用例2記載の考案において、「表示器」は、外光を反射する機能を有しているから、外光に関して、引用例1記載の考案の「ミラー」というべきものであり、また、「フロントウインドウ」(「ウインドシールド」に相当)、「表示器」及び「アイレンジ」の相対位置は、引用例1記載の考案の「ウインドシールド」、「ミラー」及び「アイレンジ」のそれと一致している。そして、引用例2記載の考案は、車両用ヘッドアップディスプレイ装置という、引用例1記載の考案と同一の技術分野に属するものである。
してみれば、ミラーの傾きが調整可能な車両用ヘッドアップディスプレイ装置に係る引用例1記載の考案に、それと、ウインドシールド、ミラー及びアイレンジの相対位置、並びに、車両用ヘッドアップディスプレイ装置という技術分野を同じくする引用例2記載の考案を組み合わせて、太陽などの外光が、ウインドシールドを通してミラーに入射し、反射した外光がウインドシールドで反射して、アイレンジに達しないように、ミラーの設定角度を調整することは、当業者がきわめて容易に想到し得るものと認められる。
そして、本願明細書の段落【0010】の「本考案は、このようにウインドシールドの上方から光が入射しても、発光表示装置からの表示が見難くならないようにした」との記載、段落【0014】?【0015】の「アイレンジIの最下部の位置からみたときにミラーMの最前部Sで反射して最も前方となるミラーMの前端Sで反射した視線X’が、この前端SとウインドシールドWの上端部Pとを結んだ線Xよりも前方にある場合、すなわち、角θが反時計回りに正の値を有している場合には図1(a)に点線で示したようにRaの範囲が視野となるので、上方からの光が入射すると上記のように発光表示装置Dの表示が見え難くなってしまう。そこで、本考案では上記の視線X’が上記の線Xよりも後方の車体上部になるように、換言すれば角θが上記線Sに一致するかあるいは上記線Sよりも時計方向である負の値になるようにミラーMの設置位置および角度γを定める」との記載、及び、【図1】の記載をみると、「ミラーにより反射されることでアイレンジから観察されるウインドシールド上の虚像が、このウインドシールド上端よりも後方の発光表示装置を含む車両ボデー上部の範囲内に規制される」ように設けることは、「外光が、ウインドシールドを通してミラーに入射し、反射した外光がウインドシールドで反射して、アイレンジに達しない」ミラーの設定角度を、ウインドシールド上の虚像と車両ボデー上部との位置関係で表現したに過ぎないと認められる。
したがって、引用例1記載の考案において、外光が、ウインドシールドを通してミラーに入射し、反射した外光がウインドシールドで反射して、アイレンジに達しないように、ミラーの設定角度を調整するに際して、その調整量を、ウインドシールド上の虚像と車両ボデー上部との位置関係で表現し、「ミラーにより反射されることでアイレンジから観察されるウインドシールド上の虚像が、このウインドシールド上端よりも後方の発光表示装置を含む車両ボデー上部の範囲内に規制される」ように設けることは、引用例2記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易になし得るものである。
さらに、本考案2の作用効果は、引用例1記載の考案及び引用例2記載の技術から当業者が予測可能な範囲内のものであって、格別なものではない。

(2)本考案1について
本考案1は、本考案2の上位概念に相当する考案であるので、本考案1は、新たに検討するまでもなく、上記(1)「本考案2について」と同様の理由で、引用例1及び引用例2記載の考案に基づき当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

4.むすび
したがって、本考案1及び本考案2は、いずれも、引用例1及び引用例2に記載された考案に基づき当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論の通り審決する。
審理終結日 2000-12-13 
結審通知日 2000-12-22 
審決日 2001-01-09 
出願番号 実願平5-23265 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (B60K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松岡 美和  
特許庁審判長 西川 恵雄
特許庁審判官 栗田 雅弘
清田 栄章
考案の名称 車両用ヘッドアップディスプレイ装置  
代理人 松村 貞男  
代理人 瀧野 秀雄  
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