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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服  特許、登録しない。 G02B
管理番号 1036035
審判番号 審判1999-6365  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-04-15 
確定日 2001-04-04 
事件の表示 平成 4年実用新案登録願第 24854号「ズームレンズ鏡筒の遊び除去装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年11月16日出願公開、実開平 5- 84908]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本願考案
本願は、平成4年4月17日の出願であって、その請求項1に係る考案(以下、本願考案という)は、明細書及び図面の記載からみて、本願の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、
「前後2群の可動変倍レンズ群を備え、少なくとも後群レンズ群を支持する後群枠は、回転駆動されるカム環に形成したカム溝に係合するカムフォロアを備えているズームレンズ鏡筒において、上記前後2群の可動レンズ群を支持する前群枠と後群枠の間に、両レンズ群を互いに接近する方向に付勢する引張ばね手段を設けたことを特徴とするズームレンズ鏡筒の遊び除去装置。」
にあるものと認める。
(なお、本願については、平成10年1月5日付け及び平成11年5月13日付けの手続補正がなされたが、これらは平成12年10月27日付けの補正の却下の決定により却下された。)
2.引用刊行物記載の考案
これに対して、原査定の拒絶の理由で引用された実願平1-122702号(実開平3-62308号)のマイクロフィルム(以下、引用刊行物という)には、次の事項が記載されている。
「1は図外のカメラボディに対して固定された筒状の固定鏡胴であり、・・固定鏡胴1の内周面には筒状の回転鏡胴2が摺動回転自在に内挿されており、・・回転鏡胴2の固定鏡胴1に対する相対的な前後移動は規制されている。回転鏡胴2の内周面には可動レンズL2を保持したレンズ移動枠4及び可動レンズL4を保持したレンズ移動枠5が摺動自在に内挿されている。レンズ移動枠4及び5には各々ピン6及び7が植設されており、・・ピン7は回転鏡胴2に形成されたレンズ駆動カム2b及び固定鏡胴1に光軸と平行に形成された長溝1cを貫通して先端が固定鏡胴1の外側に突出している。本実施例の特徴としてピン6とピン7の先端には引っ張りバネ8が架け渡されている。従って、レンズ移動枠4はレンズ駆動カム2aの光軸後端側のエッジ2cを有効カム面として、この有効カム面2cに向けて圧接される。同様に、レンズ移動枠5はレンズ駆動カム2bの光軸前端側のエッジ2dを有効カム面として、この有効カム面2dに向けて圧接される。更に、第2図に示す様に、長溝1bと1cは光軸と直交方向にシフトして形成されており、従って、引っ張りバネ8は光軸に対しては平行となっておらずピン6及び7に対して逆方向の旋回力を与える様になっている。その結果、ピン6は長溝1bの長溝1c側のエッジ1dを有効カム面としてこの有効カム面1dに対して圧接され、又、ピン7は長溝1cの長溝1b側のエッジ1eを有効カム面としてこの有効カム面1eに対して圧接されることになる。・・既述の通り固定鏡胴1は図外のカメラボディに対して固定されており、図外のフォーカシングリングやズーミングリングを操作することによって、或いは、フォーカシングモータやズーミングモータを回転することによって、回転鏡胴2は固定鏡胴1の内周面で固定鏡胴1に対して相対的に回転する。・・ピン6が有効カム面1dに当接した状態で回転を規制されるとともに、旋回方向のガタも抑止される。・・ピン7が有効カム面1eに当接した状態で回転を規制されるとともに、旋回方向のガタも抑止される。従って、レンズ移動枠4及び5は回転鏡胴2に形成されたレンズ駆動カム2a及び2bに各々従動して光軸方向の前後に移動することになる。この時レンズ移動枠4はスプリング8の付勢力によってレンズ駆動カム2aの有効カム面2cに圧接されて光軸方向のガタが抑止され、同様にレンズ移動枠5はスプリング8の付勢力によってレンズ駆動カム2bの有効カム面2dに圧接されて光軸方向のガタが抑止される。・・本実施例の作用はレンズ移動枠4及び5が前進する場合にも後退する場合にも当てはまることはいうまでもない。」(明細書第7頁第17行?第11頁第16行)
以上の記載事項において、「図外の・・ズーミングリングを操作することによって、或いは、・・ズーミングモータを回転することによって、回転鏡胴2は固定鏡胴1の内周面で固定鏡胴1に対して相対的に回転する。・・レンズ移動枠4及び5は回転鏡胴2に形成されたレンズ駆動カム2a及び2bに各々従動して光軸方向の前後に移動することになる。」からみて、「可動レンズL2」、「可動レンズL4」は移動することによりズーミングを行うレンズであると認められるから、引用刊行物の「可動レンズL2」、「可動レンズL4」は可動ズーミングレンズであり、そして、これら可動ズーミングレンズを備えるレンズ鏡胴はズーミングレンズ鏡胴であると認められる。また、一般に光学系中のひとまとまりの1枚あるいは複数枚のレンズをレンズ群と呼称することから、「可動レンズL2」、「可動レンズL4」も、それぞれ可動レンズ群であると認められる。すると、引用刊行物の「可動レンズL2」、「可動レンズL4」は、可動ズーミングレンズ群であると認められる。
以上のことから、引用刊行物には、
「前後2群の可動ズーミングレンズ群を備え、少なくとも後群レンズ群を支持するレンズ移動枠5は、回転駆動される回転鏡胴に形成したレンズ駆動カムに係合するピンを備えているレンズ鏡胴において、上記前後2群の可動レンズ群を支持するレンズ移動枠4とレンズ移動枠5の間に、両レンズ群を互いに接近する方向に付勢する引張ばね手段を設けたズーミングレンズ鏡胴のガタ抑止装置。」
という考案が記載されているものと認める。
3.対比・判断
引用刊行物に記載された、「可動ズーミングレンズ群」、「レンズ移動枠4」、「レンズ移動枠5」、「回転鏡胴」、「レンズ駆動カム」、「ピン」、「ズーミングレンズ鏡胴」、「ガタ抑止装置」は、それぞれ、本願考案の「可動変倍レンズ群」、「前群枠」、「後群枠」、「カム環」、「カム溝」、「カムフォロア」、「ズームレンズ鏡筒」、「遊び除去装置」に相当する。
したがって、本願考案と引用刊行物に記載された考案は同一である。
4.むすび
以上のとおり、本願考案は、引用刊行物に記載された考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号の規定に該当し、実用新案登録を受けることができない。
なお、本願について、拒絶査定の理由は、本願考案が実用新案法第3条第2項に規定する考案に該当するものであるとし、本件審決の理由は、本願考案が実用新案法第3条第1項第3号に規定する考案に該当するものであるとして、本願について拒絶すべきものとしているが、いずれの場合も、同一の引用刊行物に記載の考案を公知事実としたものであるから、仮に、改めて審判手続において、本願考案が前記公知事実をもって実用新案法第3条第1項第3号に規定する考案に該当する旨の拒絶理由を通知しても、出願人から新たな意見などの対応を期待できないから、新たな拒絶理由の通知を要さないものと認められる。(東京高裁昭和56年(行ケ)第8号事件・東京高裁昭和59年9月26日判決参照。)
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-01-15 
結審通知日 2001-01-26 
審決日 2001-02-06 
出願番号 実願平4-24854 
審決分類 U 1 8・ 05- Z (G02B)
U 1 8・ 113- Z (G02B)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 柏崎 康司川俣 洋史  
特許庁審判長 高橋 美実
特許庁審判官 伊藤 昌哉
矢沢 清純
考案の名称 ズームレンズ鏡筒の遊び除去装置  
代理人 三浦 邦夫  

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