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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効としない E04H
管理番号 1036062
審判番号 審判1999-35144  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-06-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-03-30 
確定日 2001-04-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第2150020号実用新案「竹垣形成用板状単位部材」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯・本件考案の要旨
本件登録第2150020号実用新案は、平成1年10月11日に実用新案登録出願され、平成7年10月25日に実公平7-46689号として出願公告され、平成10年8月21日に設定の登録がなされたものであり、本件登録第2150020号実用新案の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、出願公告された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「板状素材を型で天然竹を並べた模様に形成してなる竹垣形成用板状単位部材において、天然竹模様の隣接する部分間に丸底乃至は角底溝部を形成し、該丸底乃至は角底溝部は、天然竹模様の並べ方向に直交して対面する状態の側壁部分と、側壁部分を連結する底部からなる竹垣形成用板状単位部材。」

2.請求人の主張及び提示した証拠方法
請求人グローベン株式会社は、「登録第2150020号実用新案の登録を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求めている。
すなわち、本件考案は、その出願前に国内に頒布された甲第2号証乃至甲第8号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、同法第37条第1項第1号の規定によりその登録は無効とされるべきである、と主張し、以下の証拠方法を提示している。
甲第2号証
実願昭49-110933号(実開昭51-38353号)のマイ
クロフィルム
甲第3号証
意匠登録第27437号公報
甲第4号証
実公昭45-4614号公報
甲第5号証
意匠登録第385402号公報
甲第6号証
意匠登録第287165号公報
甲第7号証
意匠登録第267797号公報
甲第8号証
実願昭61-103291号(実開昭63-10121号)のマイ
クロフィルム

3.被請求人の主張
これに対して、被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めている。
すなわち、本件考案は、甲第2号証乃至甲第8号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとはいえず、無効とすることができないものである、と主張している。

4.甲2号証乃至甲8号証記載の考案
請求人の提示した甲第2号証乃至甲第8号証には、それぞれ以下の考案が記載されている。
甲第2号証には、
「本考案は,天然の竹等で原型を作り,其の天然の地肌を忠実に転写した,半割の製作型を取り,それに製品の表面層となる表皮層を,着色された樹脂にて,色別に数回スプレーし,天然竹の肌色の如く彩色を施し,その上にグラスファイバーを合成樹脂にて積層,硬化させた補強層とからなる半割形の製品を成形し,それを,二枚合せに接着し,恰も丸竹を連続組合せた如く見える,強化プラスチック製の竹垣である。」(明細書第1頁第15行?第2頁第3行)と記載されている。
甲第3号証には、第壱、貳図に、
「隣接する円弧状の竹模様2の端部同士を平板1で連結し連続した断面形状の青竹型模様亜鉛板。」が記載されていると認める。
甲第4号証には、
「本考案は壁板の改良に係るもので、基板1に中立軸aを中心として上下対称形の角波部2,2’を多数設け、該角波部2,2’の頂部を中立軸a側に向けて同形の凸状曲面3,3’としたものである。……而して本考案に於ては、角波部2,2’の頂部(山部及び谷部)を夫々中立軸a側に向けて同形の凸状曲面3,3’としたので、山部または谷部に押圧力が作用した場合、この凸状曲面3,3’の弾力によって圧力側で座屈する現象を防止し、中立軸aからはなれた位置に多くの断面を与えることによって曲げに対する有効断面係数を増大し壁(基板1)の曲げ抵抗を大ならしめるものである」(第1欄第14行?第2欄第6行)と記載されている。
甲第5号証には、正面図に、
「断面形状を連続凹凸溝模様とし、その溝底は丸底又は角底となっている建築用板材。」が記載されていると認める。
甲第6号証には、正面図に、
「断面形状を連続凹凸溝模様とし、その溝底は角底となっている建築用金属板。」が記載されていると認める。
甲第7号証には、正面図に、
「断面形状を連続凹凸溝模様とし、その溝底は角底となっている建築用金属板。」が記載されていると認める。
甲第8号証には、
「半裁または略半裁の円柱または多角柱を、横一列に並べた形状である断面(1)を持つ適当広さの成形板(2)に、同等広さの平板(3)を接合、一体構造とした多目的パネル。……成形板(2)および平板(3)がプラスチック材料にて形成され」(明細書第1頁第5?17行)及び
「本考案は、大きさ及び形状を規格化して、家屋の壁面その他に多目的に使用するパネルに関するものである。」(明細書第2頁第15?17行)と記載されている。

5.当審の判断
本件考案と甲第2号証記載の考案とを比較、検討すると、
甲第2号証記載の考案の「グラスファイバーを合成樹脂にて積層硬化したもの」及び「竹垣用半割形製品」は、本件考案の「板状素材」及び「竹垣形成用板状単位部材」に相当するから、本件考案と甲第2号証記載の考案とは、
「板状素材を型で天然竹を並べた模様に形成してなる竹垣形成用板状単位部材」である点で一致しているが、以下の点で相違している。
相違点
本件考案は、天然竹模様の隣接する部分間に丸底乃至は角底溝部を形成し、該丸底乃至は角底溝部は、天然竹模様の並べ方向に直交して対面する状態の側壁部分と、側壁部分を連結する底部からなるのに対して、甲第2号証記載の考案は、そのようになっていない点。
そこで、上記相違点について検討すると、
甲第3号証には、天然竹を並べた模様に形成した板状単位部材が記載されているものの、甲第3号証記載の考案は、その天然竹模様の隣接する部分間は、平板で連結しており、丸底乃至は角底溝部を形成したものでなく、加えて、該溝部は、天然竹模様の並べ方向に直交して対面する状態の側壁部分と、側壁部分を連結する底部からなるという上記相違点における本件考案の事項が記載されていないばかりでなく、本件考案の竹垣形成用という用途をその物品の用途としていない。
甲第4号証?甲第7号証には、それぞれ断面形状を連続凹凸溝模様とし、その溝底を丸底又は角底とした、壁板又は建築用板材又は建築用金属板が記載されていると認められるが、いずれも、上記相違点における本件考案の天然竹模様の隣接する部分間に丸底乃至は角底溝部を形成し、該丸底乃至は角底溝部は、天然竹模様の並べ方向に直交して対面する状態の側壁部分と、側壁部分を連結する底部からなる事項が記載されていないばかりか、本件考案の竹垣形成用という用途をその物品の用途としていない。
さらに、甲第8号証にも、上記相違点における本件考案の事項が記載されていないばかりか、本件考案の竹垣形成用という用途をその物品の用途として記載されていない。
すなわち、本件考案の上記相違点の事項及び用途は、甲第3号証乃至甲第8号証記載のいずれの考案も具備しておらず、そして、本件考案は、竹垣形成用板状単位部材をその考案の対象とし、上記相違点における事項を構成要件として採用することにより、「溝部により板状単位部材の厚みが増してボリューム感が増大し、商品価値を大幅に高くすることが出来るという利点がある。また、丸底乃至は角底溝部の側壁部分で板状単位部材が補強されることから板状単位部材の表面に作用する、例えば風圧等にも強くなり、従来のように風圧等に対する補強をしなくても済み、その分、竹垣等の製造コストを安価にすることができると言う利点もある。更に、……天然竹が並べられた模様の方向に作用する力をこの側壁部分が確りと受け止めのるで、こうした力に対する抗力を高くし、剛性とともに耐久性を大幅に向上させることができると言う利点もある。また、継ぎ目の部分の丸底乃至は角底溝部で天然竹模様の表面が恰も縁取りされたようになる。」という明細書の【考案の効果】に記載された、甲第2号証乃至甲第8号証記載の考案からは期待できない特有な効果を奏するものと認められる。
したがって、本件考案は、請求人が提示した甲第2号証乃至甲第8号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。

6.むすび
以上のとおりであるから、請求人が主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件登録実用新案に係る考案の実用新案登録を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、実用新案法第41条の規定により準用する特許法第169条第2項の規定でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-02-08 
結審通知日 2001-02-23 
審決日 2001-03-06 
出願番号 実願平1-119026 
審決分類 U 1 112・ 121- Y (E04H)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 山田 忠夫浅香 理渡戸 正義  
特許庁審判長 樋口 靖志
特許庁審判官 宮崎 恭
鈴木 憲子
登録日 1998-08-21 
登録番号 実用新案登録第2150020号(U2150020) 
考案の名称 竹垣形成用板状単位部材  
代理人 後藤 憲秋  
代理人 吉田 吏規夫  
代理人 杉本 巌  
代理人 杉本 勝徳  

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