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審決分類 審判 全部申し立て   B60R
管理番号 1036072
異議申立番号 異議2000-74113  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-11-08 
確定日 2001-03-12 
異議申立件数
事件の表示 登録第2604310号「助手席用エアバッグ装置」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2604310号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 【1】手続の経緯・本件考案
本件実用新案登録第2604310号は、平成4年9月2日に出願され、平成12年2月25日に設定登録されたものであり、その後申立人杉崎筆雄から登録異議の申立てがなされたものであって、その請求項1に係る考案は、願書に添付した明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 助手席のインストルメントパネルに配設され、衝突センサからの検出信号でバッグを展開させ、助手席の乗員を保護する助手席用エアバッグ装置において、前記エアバッグ装置は、バッグの展開時にこれを放出する上方への開放部を有するケースを備え、該ケース内には、折畳まれて収納されたエアバッグ、インフレータ等を収納、設置し、上記開放部は蓋板で覆われ、且つ、該エアバッグ装置は、インストルメントパネルに上向きに形成された開口部内に収納、設置され、該蓋板はインストルメントパネルの上記開口部を塞ぐように配設され、前記エアバッグ装置内には、前記蓋板下方に配置されたエアバッグ上を覆い、一端部をエアバッグケースの開放部に固定した保護布を配置し、前記エアバッグの膨張、展開時に、前記インストルメントパネルの開口部のうち、乗員側に臨む縁からインストルメントパネルの乗員側の面を覆うように、前記保護布を介在させるようにした、ことを特徴とする助手席用エアバッグ装置。」
【2】申立ての理由の概要
本件請求項1に係る考案は、本件実用新案登録の出願前に頒布された刊行物である特開平2-158444号公報(甲第1号証、以下「甲第1号証」という。)に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定により拒絶されるべき出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。
【3】甲第1号証に記載された事項
甲第1号証には、
(あ)「エアバッグ袋体が折り畳み状態で収納された収納部のエアバッグ袋体膨出開口周縁とインストルメントパネルに形成され車室内に連通されたエアバッグ袋体膨出時案内開口の周縁との間に隙間が形成され、この隙間がインストルメントパネルの内側面に沿った空間と連通されたエアバッグ袋体収納部構造に適用され、一端が前記収納部の膨出開口周縁に係止されエアバック袋体の膨張圧で前記隙間を塞ぐカバーを備えることを特徴としたエアバック袋体収納部構造。」(第1頁下左欄第5?14行)
(い)「 しかしながら、このようにエアバッグケースとインストルメントパネルの間に空間を設けた場合には、エアバッグ袋体が折り畳み状態で収納された収納部のエアバッグ袋体膨出開口周縁と、インストルメントパネルに形成され車室内に連通されたエアバッグ袋体膨出時案内開口の周縁と、の間に隙間ができる。このため、エアバッグ袋体展開時に、エアバッグ袋体の一部が前記隙間に入り込まないような工夫が必要になる。」(第2頁上左欄第6?14行)
(う)「本発明は上記事実を考慮し、エアバッグケースとインストルメントパネルとの間に空間が設けられた構成のエアバッグ袋体収納部構造であっても、エアバッグ袋体収納部のエアバッグ袋体膨出開口周縁と、インストルメントパネルに形成されたエアバッグ袋体膨出時案内開口の周縁と、の間の隙間にエアバッグ袋体が入り込むことを防止できるエアバッグ袋体収納部構造を提供することが目的である。」(第2頁上左欄第16行?同頁上右欄第4行)
(え)「上記構成の本発明では、エアバッグケースの収容部に収納されたエアバッグ袋体が展開を開始すると、収納部のエアバッグ袋体膨出開口周縁に一端が係止されたカバーがエアバッグ袋体の膨張圧を受けて、エアバッグケースのエアバッグ袋体膨出開口周縁とインストルメントパネルのエアバック袋体膨出時案内開口の周縁との間の隙間を塞ぐ。このため、エアバッグ袋体は、前記隙間に入り込まず、車室内での膨張形状が所望のものとなる。」(第2頁上右欄第17行?同頁下左欄第5行)
(お)「第3図に示される如く、インストルメントパネル16は、上部インストルメントパネル22と乗員側インストルメントパネル24とで構成されており、上部インストルメントパネル22の乗員側端部には、運転室内12に連通されたエアバッグ袋体膨出時案内開口25が形成されており、ドア26が運転室内12側へ開放可能に係止されている。」(第2頁下左欄第13?20行)
(か)「エアバッグケース46の開口66周縁には、上カバー56,下カバー58,左カバー60、右カバー62、が開放可能に係止されている。」(第3頁下左欄第3?5行)
(き)「第5図に示されるごとく、各カバー56,58,60、62の端部56A、58A、60A、62Aは、エアバッグケース46とエアバッグ袋体54の縁部54Aに埋設されたバッグリテーナ88とで狭持されている。」(第3頁下左欄第9?13行)
(く)「各カバー56、58、60、62は各々弾性変形可能な樹脂板材で構成されており、エアバッグ袋体54が収納状態にある場合には、第2図に示される如く、各カバー56、58、60、62の各先端部56B、58B、60B、62Bはエアバッグケース46の開口部66側へ直角に折り曲がった状態となっている。一方、各カバー56、58、60、62のエアバックケース46への係止部からの突出長さは開口66と案内開口25の隙間を塞ぐ長さになっている。従って、第1図に示される如く、エアバッグ袋体54が展開した場合には、エアバッグ袋体54の膨張圧によって、各先端部56B、58B、60B、62Bが車両上下左右方向(矢印D、E、F、G方向)へ展開し、開口66の周縁と案内開口25の周縁の隙間を塞ぐようになっている。」(第3頁下左欄第18行?同頁下右欄第13行)
(け)「車両10が所定値以上の減速状態になると加速度センサが作動し、インフレータ64からガスが発生する。このガス圧によりエアバッグ袋体54が膨張を開始する。この場合、エアバッグ袋体54の膨張圧によって、各カバー56、58、60、62が第3図矢印A方向へ押圧され、各先端部56B、58B、60B、62Bが第1図矢印D、E、F、G方向へそれぞれ展開して、開放状態(第1図の状態)となる。 このため、上カバー56の先端部56Bはドア26の上部インストルメントパネル22側端部に達し、開口66の周縁と案内開口25の周縁の隙間69を塞ぎ、エアバッグ袋体54が隙間69に入り込むことを防止する。同様に下カバー58、左カバー60、右カバー62は、開口66の周縁と案内開口25の周縁の各々の隙間を塞ぎ、エアバッグ袋体54がこれらの隙間に入り込むことを防止する。」(第4頁上左欄第5行?同頁上右欄第2行)
(こ)「 また、エアバッグ袋体展開時、各カバー56,58、60、62がエアバッグケース46の車両後縁端部を被覆するため、エアバッグ袋体54が、エアバッグケース46の車両後縁端部に引掛かったりすることなく良好にエアバッグ袋体54の展開が行われる。」(第4頁上右欄第11?16行)
等の記載があり、これらの記載及び図面等を参照すると、甲第1号証には、
“助手席のインストルメントパネル16に配設され、加速度センサからの検出信号でエアバッグ袋体54を展開させ、助手席の乗員を保護する助手席用エアバッグ装置18において、前記エアバッグ装置18は、エアバッグ袋体54の展開時にこれを放出する車両前方から乗員方向への横方向の開口66を有するエアバッグケース46を備え、該エアバッグケース46内には、折畳まれて収納されたエアバッグ袋体54、インフレータ64等を収納、設置し、上記開口66はドア26で覆われ、且つ、該エアバッグ装置18は、インストルメントパネル16に車両前方から乗員方向への横向きに形成された案内開口25部内に収納、設置され、該ドア26はインストルメントパネル16の上記案内開口25を塞ぐように配設され、前記エアバッグ装置18には、前記ドア26内方に配置されたエアバッグ袋体54上を覆い、一端部をエアバッグケース46の開口66周縁に固定し、弾性変形可能な樹脂板材で構成した上カバー56、下カバー58、左カバー60、右カバー62を配置し、前記エアバッグ袋体54の膨張、展開時に、開口66の周縁と案内開口25の周縁の各々の隙間を塞ぎ、エアバッグ袋体54がこれらの隙間に入り込むことを防止するように、前記上カバー56、下カバー58、左カバー60、右カバー62を介在させるようにした、助手席用エアバッグ装置.”
が記載されているものと認める。
【4】対比・判断
1.本件考案と上記甲第1号証に記載されたものとを対比すると、後者の“加速度センサ”、“エアバッグ袋体54”、“開口66”、“エアバッグケース46”、“ドア26”、“案内開口25”が、それぞれ、それらの機能に照らして、本件考案の「衝突センサ」、「バッグ」、「開放部」、「ケース」、「蓋板」、「開口部」に対応し、両者は、
助手席のインストルメントパネルに配設され、衝突センサからの検出信号でバッグを展開させ、助手席の乗員を保護する助手席用エアバッグ装置において、前記エアバッグ装置は、バッグの展開時にこれを放出する開放部を有するケースを備え、該ケース内には、折畳まれて収納されたエアバッグ、インフレータ等を収納、設置し、上記開放部は蓋板で覆われ、且つ、該エアバッグ装置は、インストルメントパネルに形成された開口部内に収納、設置され、該蓋板はインストルメントパネルの上記開口部を塞ぐように配設され、前記エアバッグ装置には、前記蓋板よりケース内方に配置されたエアバッグを覆い、一端部をエアバッグケースの開放部に固定した覆い部材を配置し、前記エアバッグの膨張、展開時に、前記インストルメントパネルの開口部のうち、乗員側に臨む縁を覆うように、前記覆い部材を介在させるようにした、助手席用エアバッグ装置.
で一致し、次のA?Cの相違点で相違する。
〈相違点A〉
ケースの開放部が、本件考案は「上方への」開放部であるのに対して、甲第1号証に記載されたものは、車両前方から乗員方向への横方向開放部である点.
〈相違点B〉
インストルメントパネルに形成された開口部が、本件考案は「上向きに」形成されたものであるのに対して、甲第1号証に記載されたものは、車両前方から乗員方向への横向きに形成されたものである点.
〈相違点C〉
前記覆い部材が、本件考案では、「蓋板下方に」配置されて「エアバッグ上を覆」う「保護布」であって、エアバッグの膨張、展開時に、インストルメントパネルの開口部のうち、「乗員側に臨む縁からインストルメントパネルの乗員側の面」を覆うように、介在されるものであるのに対して、甲第1号証に記載されたものでは、蓋板の内方に配置されてエアバッグ前方を覆う弾性変形可能な樹脂板材であって、前記エアバッグの膨張、展開時に、開口66の周縁と案内開口25の周縁の各々の隙間を塞ぎ、エアバッグ袋体54がこれらの隙間に入り込むことを防止し、その際に、インストルメントパネルの開口部のうち、乗員側に臨む縁を覆うものの、当該縁からインストルメントパネルの乗員側の面を覆うことを意図するものではない点.
2.そこで、上記各相違点について検討する。
2-1.相違点A及びBについて
助手席のインストルメントパネルに配設される助手席用エアバッグ装置において、エアバッグ装置のケースの開放部及びインストルメントパネルの開口部を、上方向きに形成することは、本件実用新案登録の出願前に周知の事項と認められる(実開平2-115746号公報等参照)から、上記相違点A,Bにおける本件請求項1に係る考案の構成は、当業者がきわめて容易に想到し得るものである。
2-2.相違点Cについて
上記甲第1号証に記載されたものにおいては、インストルメントパネルの開口部のうち、乗員側に臨む縁を覆う下カバー58は、開口66の周縁と案内開口25の周縁の隙間を塞ぎ、エアバッグ袋体54がこの隙間に入り込むことを防止できるように、弾性変形可能な樹脂板材で構成されており、この下カバー58が、仮に本件考案の「保護布」のように「布」製で構成された場合には、該カバー58はエアバッグ袋体54に沿って前記隙間に入り込むことになり、所期の機能を果たせないものであるから、当業者は、甲第1号証に記載の考案をみても、前記カバー58に代えて「保護布」を用いることを着想し得るものではなく、また、甲第1号証のカバーは、インストルメントパネルの開口部のうち、乗員側に臨む縁を覆うものであって、縁からインストルメントパネルの乗員側の面を覆うものではないから、本件考案が期待するインストルメントパネルの表面を保護する効果を予測させるものとも認めることはできない。
3.したがって、本件考案は、上記甲第1号証に記載されたものに基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
【5】むすび
以上のとおりであるから、登録異議申立人が主張する理由及び提出した証拠によっては、本件実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2001-02-20 
出願番号 実願平4-67615 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (B60R)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藤井 昇  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 ぬで島 慎二
刈間 宏信
登録日 2000-02-25 
登録番号 実用新案登録第2604310号(U2604310) 
権利者 本田技研工業株式会社
東京都港区南青山二丁目1番1号
考案の名称 助手席用エアバッグ装置  
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