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審決分類 審判 全部申し立て   B62D
審判 全部申し立て   B62D
管理番号 1036083
異議申立番号 異議2001-70155  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-01-12 
確定日 2001-04-23 
異議申立件数
事件の表示 登録第2605458号「車両用ルーフエアベーン構造」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2605458号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1 手続の経緯
本件実用新案登録2605458号は、平成4年2月3日に実用新案登録出願され、平成12年5月19日にその設定登録がなされたところ、平成13年1月12日に異議申立人日野自動車株式会社より実用新案登録異議の申立がなされたものである。

2 異議申立の理由概要
異議申立人は、甲第1号証として、「カースタイリング別冊/おもしろ自動車空力学」第97?108頁を提出して、概略下記1,2の理由により、本件実用新案登録を取り消すべき旨主張している。
理由1
甲第1号証の第104頁右下枠には、ヴェンティレーターの長さが車幅方向長さの29.5%であるものが示されているから、本件実用新案登録に係る考案は、甲第1号証に記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
理由2
本件明細書の実用新案登録請求の範囲には、「・・略30%の長さ・・」と記載されているが、「略30%」の範囲が不明確であるため、記載される考案が不明確であるから、本件明細書の記載は、実用新案法第5条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

3 当審の判断
本件明細書の記載を見ると、実用新案登録請求の範囲の請求項1には、以下のとおり記載されている。
【請求項1】後方に箱型の荷物室が配置されている車両用キャブのルーフ前端部中央に、走行風を上記荷物室上方へ導く構成とされているエアベーンが荷物室の車幅方向長さの略30%の長さで突設されていることを特徴とする車両用ルーフエアベーン構造。
更に、考案の詳細な説明の欄中の段落番号【0009】には、「・・すなわち長さLは、バン1の幅Wの略30%とする。その理由は、たとえば、バン1の幅Wを2200mmにすれば、エアベーン5の長さLはWの略30%である600mmが最適の長さであることが実験によって確認されているからである(図4参照)。・・」と記載され、段落番号【0010】には、「・・図4は、バンの幅Wが2200mmにおけるエアベーン5の長さLとCd値との関係を示す実験結果で、LがWの略30%である600mmの場合のCd値が0.58となり、最も低い値になっている。・・」と記載されており、「略30%」が、600/2200(≒27.27%)を30%と概略できる程度の範囲で「略30%」と記載することは明らかであるから、異議申立人が主張する、理由2にいう明細書の記載に係る不備は、認められない。
したがって、異議申立人が主張する、本件明細書の記載が実用新案法第5条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨の主張は採用できず、本件請求項1に係る考案は、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された、上記の通りのものと認める。
これに対して、甲第1号証の第104頁右下枠に記載の図は、正確な寸法関係を何等示すものではない斜視図であり、ヴェンティレーターの長さが車幅方向長さの全体ではないことが把握できたとしても、異議申立人の主張する29.5%なる関係が記載されているとは認められず、正確な寸法関係を何等示すものではない図示に基づいて計測を行うことに特段の意味はないため、主張する「29.5%」の比率及び他の如何なる特定の比率をも、甲第1号証の記載から把握できるものではない。
したがって、甲第1号証に、後方に箱型の荷物室が配置されている車両用キャブのルーフ前端部中央に、走行風を上記荷物室上方へ導く構成とされているエアベーンが荷物室の車幅方向長さの一部分で突設されている車両用ルーフエアベーン構造が記載されているとしても、本件考案の構成の一部である「エアベーンが荷物室の車幅方向長さの略30%の長さで突設されている」ことを記載するものではなく、それを示唆する何等の記載も認められない。
しかも、本件請求項1に係る考案は、「エアベーンが荷物室の車幅方向長さの略30%の長さで突設されている」という構成を有することにより、明細書中に記載の、「バンの幅Wが2200mmにおけるエアベーン5の長さLと・・LがWの略30%である600mmの場合のCd値が0.58となり、最も低い値になっている」という事項により、「荷物室に走行抵抗を殆ど与えないルール前端の両端部には設けないことにより、エアベーン自体が軽量・コンパクトに構成されて、エアベーン自体の走行抵抗を最小限にして、より車両の走行抵抗を低減することができるので、燃費の向上が図れる」という特有の効果を奏するものであり、同構成を設計上の事項とすることはできない。
また、「エアベーンが荷物室の車幅方向長さの略30%の長さで突設されている」ことが、周知または慣用される技術であるとする客観的証拠は何等ない。
したがって、「エアベーンが荷物室の車幅方向長さの略30%の長さで突設されている」との構成を有する本件請求項1に係る考案を、同構成を開示または示唆しない甲第1号証に記載の考案とすることができないばかりではなく、甲第1号証に記載の考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。

4 むすび
以上説示のとおり、異議申立人が提出した証拠及び主張する理由によっては、本件請求項1に係る実用新案登録を取り消すことはできない。
また、同実用新案登録を取り消すべき他の理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2001-04-03 
出願番号 実願平4-10901 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (B62D)
U 1 651・ 534- Y (B62D)
最終処分 維持    
前審関与審査官 山内 康明  
特許庁審判長 粟津 憲一
特許庁審判官 井口 嘉和
ぬで島 慎二
登録日 2000-05-19 
登録番号 実用新案登録第2605458号(U2605458) 
権利者 三菱自動車工業株式会社
東京都港区芝五丁目33番8号
考案の名称 車両用ルーフエアベーン構造  
代理人 木村 正巳  
復代理人 朝倉 勝三  
代理人 須田 正義  

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