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審決分類 |
審判 全部申し立て B32B 審判 全部申し立て B32B |
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管理番号 | 1036085 |
異議申立番号 | 異議2000-74410 |
総通号数 | 18 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-06-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-12-05 |
確定日 | 2001-04-11 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第2604739号「化粧シート」の請求項1?3に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第2604739号の請求項1?3に係る実用新案登録を維持する。 |
理由 |
1.本件実用新案登録第2604739号の考案〔平成5年3月31日出願、平成12年3月24日設定登録 (請求項の数3)〕は、実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲請求項1?3に記載されたとおりのものと認める。 2.実用新案登録異議申立人(以下、異議申立人という。)は、請求項1?3に係る考案は、甲第1号証(特開平6-198831号公報)に記載された発明と同一であり、また、甲第2号証(特開平2-128843号公報)、甲第3号証〔実願昭57-41358号(実開昭58-143233号)のマイクロフィルム〕、甲第4号証(特開昭60-214987号公報)及び甲第5号証(特開平5-16308号公報)に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、その実用新案登録は取り消されるべきである、と主張している。 3.甲第1号証には、ベース基材層と隠蔽性着色ベタ層と絵柄印刷層と透明樹脂層と表面保護層とが下から順に積層構成され、該ベース基材層がポリプロピレンフイルム、及び該表面保護層がポリプロピレン樹脂層ないしはポリエチレン樹脂層からなることを特徴とする化粧シート(特許請求の範囲請求項1)が記載され、 甲第2号証には、基材上に、隠蔽ベタ印刷層、絵柄印刷層、透明な合成樹脂層およびツヤ調整層を順に積層し、エンボスを施してなることを特徴とする化粧材(特許請求の範囲請求項1)が記載され、「基材として・・・プラスチックのフィルムも使用できる。」(第2頁左下欄第5?10行)、「隠蔽ベタ印刷層を設けるインキまたは塗料組成物としては、・・・、ポリウレタン、・・・などである。・・・。ベタ印刷には隠蔽性能に富んだ二酸化チタンなどの無機顔料を主体としたものを用い、絵柄印刷には適宜の着色剤を用いる。」(第2頁右下欄第4行?第3頁左上欄第5行)との記載がなされ、 甲第3号証には、基板上に合成樹脂シートが接着層を介して貼着され、該合成樹脂シートには印刷模様が施されており、前記印刷模様が施された合成樹脂シートの表面に透明合成樹脂組成物を塗布し硬化されてなる透明合成樹脂層を有することを特徴とする化粧板(実用新案登録請求の範囲第1項)が記載され、「実施例1 ・・・。次に印刷模様の上に下記ウレタン系塗料組成物を用いてグラビア印刷により・・・プライマー層を塗設した。 ウレタン系塗料組成物 ポリウレタン樹脂(・・・) 30重量% ポリイソシアネートプレポリマー(・・・) 3重量% 溶剤(・・・) 67重量%」(第12頁第16行?第13頁第18行)との記載がなされ、 甲第4号証には、構成成分中に重合反応性または付加反応性を有する反応基を持つ印刷基材シートに、構成成分中に少なくとも上記反応基との間に重合反応性または付加反応性を有する反応基を持つベタ印刷インキを塗布し、次いで上記ベタ印刷インキ上に、構成成分中に上記ベタ印刷インキ中の上記重合反応性または付加反応性を有する反応基との間に重合反応性または付加反応性を有する反応基を持つ絵柄印刷インキを用いて印刷することを特徴とする化粧シートの製造法(特許請求の範囲第1項)が記載され、「本発明に用いられるベタ印刷インキには隠蔽性を付与するために顔料を添加することが好ましい。顔料としては例えば白色顔料の二酸化チタンをベースとし、必要に応じ着色顔料を添加する。」(第3頁左下欄第8?11行)、「上記のベタ印刷インキはポリオール成分とイソシアネート成分の両方を含んでいるので、印刷基材シート中の反応基と反応すると共にベタ印刷インキ中の成分同志でも反応を起こし印刷基材シートとの密着性の向上と共にベタ印刷インキの層間強度をも向上させることができる。」(第4頁右下欄第5?10行)との記載がなされ、 甲第5号証には、表面に凹状部を有する化粧材の製造方法の発明(特許請求の範囲参照)が記載され、「本発明の表面に凹状部を有する化粧材の製造方法は、化粧材用基材の表面上に第1の柄模様層を形成する工程と、前記第1の柄模様層の表面に着色剤を含有する樹脂液を塗工し、これを固化して着色コート層を形成する工程と、撥液性物質を含む印刷インキによる第2の柄模様層を形成する工程と、前記第2の柄模様層の表面に対して、樹脂液を塗工、固化してトップコート層を形成する工程とを順次含んでなること、を特徴としている。」(第2欄第1?9行)、「着色コート層形成用の着色剤を含有する樹脂液の形成には、液状での塗工が可能で、塗工後の冷却、溶媒の揮散,架橋等によって、透明もしくは半透明の皮膜が形成され得るコーティング剤、例えば、・・・が用いられる。後工程の撥液性物質を含む印刷インキやトップコート層との密着性を考慮すると、樹脂液として、・・・、アクリルポリオールとポリイソシアネートを含む架橋性樹脂(ただし、OH価とNCO価では、OH価の高い方が良い)等が望ましい。」(第2欄第40行?第3欄第15行)との記載がなされていることが認められる。 4.請求項1?3に係る考案と甲第1号証記載の発明とを対比すると、両者は、化粧シートであって、前者の「第1のプラスチックフィルム」、「着色不透明ベタインキ層」、「印刷模様層」、「第2のプラスチックフィルム」は、後者の「ベース基材層」、「隠蔽性着色ベタ層」、「絵柄印刷層」、「表面保護層」に対応させ得るものの、前者は、前記4層が順次積層されてなるのに対して、後者は、前記「絵柄印刷層」と「表面保護層」との間にさらに「透明樹脂層」が積層されてなるものである点で、相違するものと認められる。 したがって、請求項1?3に係る考案は甲第1号証に記載された発明と同一であるとすることはできない。 次に、請求項1に係る考案と甲第2?5証に記載のものとを対比すると、後者には、前者の構成要件である「印刷模様層の背景色としての2液型ポリウレタン系樹脂を主体とした着色不透明ベタインキ層」の記載、又はこれを示唆する記載はなされていないものと認められる。 異議申立人は、請求項1に係る考案の前記構成事項について、甲第2号証記載の隠蔽ベタインキ層として甲第3?5号証記載の2液型ポリウレタン系樹脂を主体とする塗料、インキ又は樹脂液を適用することにより当業者がきわめて容易に得られるとの主張をしている。 しかし、甲第3、5号証記載の塗料又は樹脂液は、印刷模様層の上にプライマー層として塗設されるものであるから、前記適用を示唆するものではないし、甲第4号証記載のインキは、構成成分中に重合反応性または付加反応性を有する反応基を持つ基材シートに塗布されるものであるから、これを甲第2号証記載のプラスチックフィルム上の隠蔽ベタインキ層として適用することは、当業者においてきわめて容易に想到し得るとはいい難いものであるので、異議申立人の前記主張は採用することができない。 したがって、請求項1に係る考案は、甲第2?5号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとすることはできない。 請求項2、3に係る考案は、請求項1に係る考案を構成する事項を限定してなるものであるから、請求項1に係る考案についての判断で示したと同様の理由により、甲第2?5号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとすることはできない。 5.以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?3に係る実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に請求項1?3に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2001-03-23 |
出願番号 | 実願平5-15788 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
Y
(B32B)
U 1 651・ 161- Y (B32B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 野村 康秀、平井 裕彰 |
特許庁審判長 |
小林 正巳 |
特許庁審判官 |
喜納 稔 仁木 由美子 |
登録日 | 2000-03-24 |
登録番号 | 実用新案登録第2604739号(U2604739) |
権利者 |
凸版印刷株式会社 東京都台東区台東1丁目5番1号 |
考案の名称 | 化粧シート |
代理人 | 土井 育郎 |