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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F04B
管理番号 1039452
審判番号 審判1999-10167  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-06-24 
確定日 2001-05-07 
事件の表示 平成 4年実用新案登録願第 76050号「可変容量ポンプの制御装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 5月27日出願公開、実開平 6- 40390]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本願考案
本願考案は、平成4年11月4日の出願であって、その請求項1に係る考案は、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願考案」という)
「吐出流量制御機構(22)を備えた可変容量ポンプ(10)と、パイロットポンプ(12)と、可変容量ポンプおよびパイロットポンプの吐出圧力のうちで高圧側圧力の吐出圧油を制御圧油として選択する高圧選択手段と、前記制御圧油を可変容量ポンプの前記吐出流量制御機構に導入する油路(20)とからなる可変容量ポンプの制御装置において、
高圧選択手段とこれに連動するバイパス切換手段とを一体的に形成するスプールを摺動自在に内蔵してなるスプール作動式シャトル弁(40)を設け、このシャトル弁(40)は、可変容量ポンプ(10)およびパイロットポンプ(12)からの吐出圧油をそれぞれ供給する油路(16と18)と連通すると共に、吐出流量制御機構(22)およびバイパス通路(52)へ前記吐出圧油をそれぞれ導出する油路(20と50)と連通するよう構成してなり、
可変容量ポンプの吐出圧力が最低制御圧力より高い領域にある状態では可変容量ポンプの吐出圧油を吐出流量制御機構へ供給するように相互の油路(16、20)を連通する通路(46)を設けると共に、可変容量ポンプの吐出圧力が最低制御圧力より低い領域にある状態ではパイロットポンプの吐出圧油を吐出流量制御機構へ供給するように相互の油路(18、20)を連通する通路(48)および可変容量ポンプの吐出圧油をバイパス通路へ供給する相互の油路(16、50)を連通する調節絞り付きバイパス通路(52)を設けることにより可変容量ポンプからアクチュエータへ供給される作動圧油の流量を可変容量ポンプの全運転領域に亘って所定の一定流量に保持することを特徴とする可変容量ポンプの制御装置。」

2.引用例
これに対して、当審における、平成12年8月22日付けで通知した拒絶の理由に引用した、本願の出願の日前である平成3年4月15日に頒布された特開平3-88979号公報(以下、引用例1という)には、次の事項が記載されている。
(1)「[発明が解決しようとする課題]従来の前記自己圧-外部パイロット圧切換方式の可変容量型ポンプでは、第3図に示すように、自己圧制御時の負荷への実吐出量Qはメインポンプの理論吐出量から前記比例電磁制御弁等のパイロット弁でのドレン量および吐出量可変要素におけるドレン量を差引いた値となっており、一方、負荷圧が低下して補助ポンプによる外部パイロット制御に切り換わるとメインポンプ吐出量からの前記ドレン量の差引きがなくなるので、比例制御電磁弁が同じ制御入力で作動しているかぎり第3図にハッチングで示したように負荷への吐出量が前記差引きドレン量に相当する分だけ設定値よりも多くなってしまい、低圧領域の特に小流量制御状態で負荷への吐出流量が正確に制御できないという問題が生じる。この発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、低圧領域で吐出量が設定値より多くなることを簡単な弁要素の付設によって前記パイロット切換に連動して阻止し、低圧領域を含めて直線的な吐出圧-流量特性をもった自己圧-外部パイロット圧切換方式の可変容量型ポンプを提供することを目的とするものである。」(第2頁右下欄第4行?第3頁左上欄第6行)
(2)「この実施例の可変容量型ポンプは、原動機(図示せず)で回転駆動される可変容量型のメインポンプ要素11と、このポンプ要素11の押退け容積をその変位によって変えてメインポンプの吐出量を変化させる吐出量可変要素(例えばアキシャルピストンポンプでは斜板ヨーク)12と、ヨークリターンばね13などの力に対抗して前記可変要素12を変位させるためにその尾端の圧力室14aの油圧力で変位制御される操作ピストン14とを含む可変容量型ポンプアッセンブリーを備えている。このポンプのパイロット圧の制御のための各要素、すなわち、比例電磁制御弁15、安全弁16、パイロットリリーフ弁21および制御アンプ装置20などは、例えばポンプハウジングの端部カバーなどに組付けられる。この他に、ポンプ吐出量に対応した量として可変要素12の変位量を電気信号として検出する変位検出器17およびポンプ吐出圧を電気信号として検出する圧力センサ18が設けられており、アンプ装置20の圧力と流量の各設定値入力端子19a、19bに各々フィードバック信号を与えている。」(第3頁左下欄第18行?同頁右下欄第18行)
(3)「セレクタ弁装置6はメインポンプ11の吐出圧と前記リリーフ弁5で制御された補助ポンプ4の吐出圧とを両端に受けて作動し、この作動によって前記切換弁要素7はメインポンプ吐出圧がリリーフ弁5の設定圧以上のときはメインポンプ11からの吐出圧油の一部をパイロットライン9へ導入し、メインポンプ吐出圧がリリーフ弁5の設定圧以下のときは補助ポンプ4からの吐出圧油をパイロットライン9へ導入する。これに連動して前記流量補正弁要素8はメインポンプ吐出圧がリリーフ弁5の設定圧以上のときは閉鎖状態となり、メインポンプ吐出圧がリリーフ弁5の設定圧以下のときはメインポンプ11からの吐出圧油の一部を或る設定された絞り開度、即ち前述自己圧パイロット制御時におけるパイロット系のドレン量の和に相当する通過流量を与える開度でタンクラインDRへ逃がす。」(第4頁右上欄第9行?同頁左下欄第5行)
(4)「[発明の効果]この発明は以上説明したように、低い負荷圧の制御領域において前記切換弁装置により補助ポンプによる外部パイロット制御に切り換わると、それに連動して流量補正弁要素が前記メインポンプ吐出量から前記差引きドレン量に相当する分の流量をタンクラインへ分流させて逃がすので、比例制御電磁弁が同じ制御入力で作動しても負荷への吐出量には前記差引きドレン量に相当する分が含まれなくなり、外部特性として低圧領域を含めて全域で直線状に設定値に従う圧力-流量特性をもった可変容量型ポンプを提供することができるものである。」(第4頁左下欄第13行?同頁右下欄第6行)

これらの記載事項によると、引用例1には、
「操作ピストン14、吐出量可変要素12を備えたメインポンプ要素11と、補助ポンプ4と、メインポンプ要素11および補助ポンプ4の吐出圧力のうちで高圧側圧力の吐出圧油を制御圧油として選択する切換弁要素7と、前記制御圧油をメインポンプ要素11の前記操作ピストン14、吐出量可変要素12に導入するパイロットライン9とからなるメインポンプ要素11の制御装置において、
切換弁要素7とこれに連動する流量補正弁要素8とを連結したセレクタ弁装置6を設け、このセレクタ弁装置6は、メインポンプ要素11および補助ポンプ4からの吐出圧油をそれぞれ供給する油路と連通すると共に、操作ピストン14、吐出量可変要素12およびバイパス通路へ前記吐出圧油をそれぞれ導出するパイロットライン9、タンクラインDRと連通するよう構成してなり、
メインポンプ要素11の吐出圧力が最低制御圧力より高い領域にある状態ではメインポンプ要素11の吐出圧油を操作ピストン14、吐出量可変要素12へ供給するように相互の油路を連通する通路を設けると共に、メインポンプ要素11の吐出圧力が最低制御圧力より低い領域にある状態では補助ポンプ4の吐出圧油を操作ピストン14、吐出量可変要素12へ供給するように相互の油路を連通する通路およびメインポンプ要素11の吐出圧油をバイパス通路へ供給する相互の油路を連通する調節絞り付きバイパス通路を設けることによりメインポンプ要素11からアクチュエータへ供給される作動圧油の流量をメインポンプ要素11の全運転領域に亘って所定の一定流量に保持するメインポンプ要素11の制御装置 」
の考案(以下、「引用例1記載の考案」という)が記載されていると認められる。

同じく「実願昭53-104989号(実開昭55-22535号)のマイクロフィルム」(以下、「引用例2」という)には、実用新案登録請求の範囲、及び図面の記載によれば、シャトル弁をスプール弁で構成する技術が記載されていると認められる。

同じく「実公昭57-41506号公報」(以下、「引用例3」という)には、「本考案は、2つの管路のうちの高圧側を選択して出力できる油圧制御弁に関するものである。第1図に示すような油圧ポンプ1、方向切替弁3、アクチュエータ(油圧モータなど)2を主として構成される油圧制御回路において、主油圧回路の管路4、4’から高圧優先のパイロット圧力をアクチュエータ側の管路6に取り出し、そのアクチュエータ2のブレーキ制御を行なう場合、構造の簡単な油圧制御弁(以下シャトル弁という)5により高圧優先のパイロット圧をとり出すことは公知である。このシャトル弁の構造を第2図に従って説明する。第2図に示すシャトル弁は、弁箱7内に摺動可能なスプール8をその両端に設けたスプリング9,9’により摺動部中央に保持しており、弁箱7内の油室19とスプール8の外周に形成した油溝13,14とはスプール8により遮断されている。そのため、油路10または11に作用した圧油のうち、その高圧側が優先的に油路12と連通する。」(第1頁左欄下から6行?同頁右欄第13行)、及び第1、2図の記載によれば、シャトル弁をスプール弁で構成する技術が記載されていると認められる。

同じく「特開昭62-56602号公報」(以下、「引用例4」という)には、「スプール27の中央部には、該スプール27が中立位置にあるときのみ、油圧ポンプ4の吐出圧油をアンロードする戻り油路12を開通する2個の切込み33、32が左右対称に設けられてある。また、その外方には切込み35、34を左右対称に設けているが、該切込み35、34は油圧ポンプ4からの吐出油を第1図におけるアクチュエータ13に送るために、油路5を油路15、あるいは、油路14に連通せしめると同時に、油路14あるいは油路15を油路8に連通せしめるためのものである。更に、その外方には切込み37、36を左右対称に設けている。該切込み37、36はスプール27が中立以外の左右何れかに移動した時、その移動した側のパイロット油室24、22をそれぞれドレン油路41、40に通ぜしめるためのものである。すなわち、該切込み37、36はスプール27の移動時に、パイロット油室24をドレン油路41に、あるいは、パイロット油室22をドレン油路40に、瞬時的に連通せしめるものである。」(第3頁右上欄第8行?同頁左下欄第7行)、及び第1?7図の記載によれば、引用例4には、切込み32?35によりアクチュエータ13への圧油の供給を切替える弁部と、切込み36、37によりパイロット油室22、24とドレン油路40との間を開閉する弁部とをスプールで一体として関連作動させる技術が記載されていると認められる。

また、同じく「特開昭62-24079号公報」(以下、「引用例5」という)には、「このため第9図に示すようにパイロット切換弁のスプールの側端付近にパイロット油室に通ずる縦長の切欠きを穿設し、パイロット圧が作用しない場合は戻り油路に通じないが、パイロット圧が作用してスプールが移動した場合には、パイロット油室の油の一部が該切欠きを通って戻り油路に流れる如くしている。」(第2頁第左上欄第4?10行)の記載によれば、パイロット切換弁と、切欠きによってパイロット油室と戻り油路との間を開閉する弁部とをスプールで一体として関連作動させる技術が記載されていると認められる。

3.対比
本願考案と引用例1記載の考案とを対比すると、引用例1記載の考案における「操作ピストン14、吐出量可変要素12」、「メインポンプ要素11」、「補助ポンプ4」、「切換弁要素7」、「パイロットライン9」、「流量補正弁要素8」、及び「パイロットライン9、タンクラインDR」は、それぞれ本願考案における「吐出流量制御機構(22)」、「可変容量ポンプ(10)」、「パイロットポンプ(12)」、「高圧選択手段」、「油路(20)」、「バイパス切換手段」、及び「油路(20と50)」に相当する。また、引用例1記載の考案における「セレクタ弁装置6」は、高圧選択手段とこれに連動するバイパス切換手段とを連結した複合弁である点で、本願考案の「スプール作動式シャトル弁(40)」と共通する。したがって、両者は、
「吐出流量制御機構を備えた可変容量ポンプと、パイロットポンプと、可変容量ポンプおよびパイロットポンプの吐出圧力のうちで高圧側圧力の吐出圧油を制御圧油として選択する高圧選択手段と、前記制御圧油を可変容量ポンプの前記吐出流量制御機構に導入する油路とからなる可変容量ポンプの制御装置において、
高圧選択手段とこれに連動するバイパス切換手段とを連結した複合弁を設け、この複合弁は、可変容量ポンプおよびパイロットポンプからの吐出圧油をそれぞれ供給する油路と連通すると共に、吐出流量制御機構およびバイパス通路へ前記吐出圧油をそれぞれ導出する油路と連通するよう構成してなり、
可変容量ポンプの吐出圧力が最低制御圧力より高い領域にある状態では可変容量ポンプの吐出圧油を吐出流量制御機構へ供給するように相互の油路を連通する通路を設けると共に、可変容量ポンプの吐出圧力が最低制御圧力より低い領域にある状態ではパイロットポンプの吐出圧油を吐出流量制御機構へ供給するように相互の油路を連通する通路および可変容量ポンプの吐出圧油をバイパス通路へ供給する相互の油路を連通する調節絞り付きバイパス通路を設けることにより可変容量ポンプからアクチュエータへ供給される作動圧油の流量を可変容量ポンプの全運転領域に亘って所定の一定流量に保持する可変容量ポンプの制御装置」である点で一致し、次の点で相違しているものと認める。

高圧選択手段とこれに連動するバイパス切換手段とを連結した複合弁として、本願考案が「一体的に形成するスプールを摺動自在に内蔵してなるスプール作動式シャトル弁」としたのに対して、引用例1記載の考案では、当該複合弁がスプール作動式シャトル弁で構成されていない点。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。

引用例1の第1図には「セレクタ弁装置」が油圧回路図(機能図)で記載されている。その機能図には、高圧選択手段とバイパス切換手段とを引用例で開示する作用を奏するように連動する適宜の弁で構成することが示されている。
そこで、更に検討するに、高圧選択手段(シャトル弁)をスプール弁で構成することは、引用例2、3に記載されているように本出願前周知の技術である。また、複数の弁機構を互いに関連して作動させる際に、スプールを一体とすることもまた、引用例4、5に示されるように本出願前周知の技術である。
それらの周知の技術に照らし斟酌すると、引用例1記載の考案における高圧選択手段とこれに連動するバイパス切換手段とを連結した複合弁を「一体的に形成するスプールを摺動自在に内蔵してなるスプール作動式シャトル弁」とすることは、当業者がきわめて容易に想到することができたものと認める。

また、本願考案の構成によってもたらされる効果も、引用例1記載のもの、及び上記周知の技術から当業者がきわめて容易に予測しうる程度のものであって、格別のものとはいえない。

なお、出願人は、平成12年11月7日付けの意見書において、「本願考案は、可変容量ポンプの流量制御に供給する油圧源を、可変容量ポンプの吐出圧油とパイロットポンプの吐出圧油との間で切り換えるタイミングと、可変容量容ポンプの吐出流量の一部を排出開始、終了するタイミングとを完全に同期化でき、流量サージを完全に除去できる」旨主張しているが、一体のスプールに複数の弁機構を形成したスプール弁においては、ハウジングやスプールの設計、加工を適切に行えば、複数の弁機構を互いに関連作動させる際に、切換タイミングを同期化できることは、その構造から明らかであるから、切換タイミングの同期化により、タイムラグに起因する流量サージの発生を防止できることは、当業者がきわめて容易に予測しうるものである。

5.むすび
したがって、本願考案は、引用例1に記載された考案、及び上記引用例2?5に示される周知の技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-02-19 
結審通知日 2001-03-02 
審決日 2001-03-14 
出願番号 実願平4-76050 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (F04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前田 幸雄  
特許庁審判長 西川 恵雄
特許庁審判官 清田 栄章
飯塚 直樹
考案の名称 可変容量ポンプの制御装置  
代理人 浜田 治雄  
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