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審決分類 審判    A47G
管理番号 1039457
審判番号 新実用審判1997-40026  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-07-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 1997-09-12 
確定日 2001-05-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第3038708号「衣服用ハンガーの掛止バー」の実用新案登録無効審判事件についてされた平成12年5月23日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成12(行ケ)年第240号、平成12年12月25日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3038708号の請求項2乃至請求項4に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.本件実用新案登録及び本件審判事件(実用新案登録第3038708号(以下「本件実用新案登録」という。)無効審判)に係る手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
1)本件実用新案登録の出願日:平成8年12月13日
2)実用新案権の設定の登録:平成9年4月9日
3)実用新案登録無効審判の請求:平成9年9月12日(請求項1?5)
4)口頭による審尋:平成10年2月18日
5)口頭審理:平成10年4月21日
6)審決(1):平成10年5月20日付け(送達:平成10年7月6日)〔結論:請求は成り立たない〕
7)東京高等裁判所平成10年(行ケ)第232号本件審決(1)取消請求事件判決:平成11年9月30日判決言渡〔主文:審決を取り消す、(註)請求項1は進歩性なし、請求項2?5については言及なし〕
8)審決(2):平成12年5月23日付け(送達:平成10年6月14日)〔結論:請求項1及び請求項5についての登録は無効、請求項2乃至請求項4についての請求は成り立たない〕
9)東京高等裁判所平成12年(行ケ)第240号本件審決(2)取消請求事件判決:平成12年12月25日判決言渡

2.本件実用新案登録に係る考案は、請求項2乃至請求項4に記載された以下のとおりのものである。なお、請求項1及び請求項5に係る登録はすでに無効が確定している。
「請求項2
前記補助バーは前記掛止バーに付勢的に当接する当接部の上面に、有底溝状の模様を形設してあることを特徴とする請求項1記載の衣服用ハンガーの掛止バー。
請求項3
前記補助バーは前記掛止バーに付勢的に当接する当接部の上面に、貫通孔による模様を形設してあることを特徴とする請求項1記載の衣服用ハンガーの掛止バー。
請求項4
前記補助バーは前記掛止バーに付勢的に当接する当接部の上面に、有底溝状の模様と貫通孔による模様を混用的に形設してあることを特徴とする請求項1記載の衣服用ハンガーの掛止バー。」

3.これに対し、請求人は、各請求項に係る考案は、甲第1乃至4号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により登録を受けることができないものであって、同法第37条第1項第2号の規定により無効とすべきものである、と主張し、以下の証拠方法を提出した。
甲第1号証:実願昭48-60880号(実開昭50-9134号)のマイクロフィルム
甲第2号証:藤井光雄「プラスチックの実際知識」東洋経済新報社(昭和46年1月20日発行)第157頁
甲第3号証:登録第820239号意匠公報
甲第4号証:登録第674029号意匠公報
甲第6号証:シンコハンガー株式会社の登記簿謄本
甲第7号証:シンコハンガー株式会社の業務用総合カタログ
ほかに、
参考資料1:本件考案に係るハンガーと、比較技術に係るハンガーとの製造工程を示す図
参考資料2:本件考案の構成と甲第1号証の構成との比較を示す図
参考資料3:曽根芳一の証明書
参考資料4:シンコハンガー株式会社で製造されたハンガーの写真
参考物品1:シンコハンガー株式会社で製造されたハンガー
を提出した。
一方、被請求人は、請求人の主張は理由がないものである旨答弁した。
なお、本件実用新案登録に係る無効審判事件の平成12年5月23日付け審決に対する出訴事件(東京高等裁判所平成12年(行ケ)第240号審決取消請求事件)の判決書によれば、被請求人(被告)は、同出訴事件において、弁論準備手続期日及び口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しなかった。

4.本件審判事件について、平成12年5月23日付け(同年6月16日送達)で、「実用新案登録第3038708号の請求項1及び請求項5に記載された考案についての登録を無効とする。審判費用は、請求人が5分の3、被請求人が5分の2を負担すべきものとする。」との審決がされたが、請求人より審決取消訴訟が提起され(東京高等裁判所平成12年(行ケ)第240号)、平成12年12月25日に、「審決中、請求項2、請求項3及び請求項4に係る各考案に関する部分を取り消す」旨の判決言渡があった。
しかして、上記判決の概要は以下のとおりである。
「第4 当裁判所の判断
1 原告の主張1(特許庁における手続の経緯)、同2(本件考案の要旨)及び同3(本件審決の理由)の各事実は、被告において争うことを明らかにしないから、自白したものとみなされる。
2 原告主張の審決取消事由について
(1)本件考案中、請求項1に係る考案については、前訴判決が、引用例1記載の考案から当業者がきわめて容易になし得るものにすぎないと判断したものであるところ、本件係争請求項に係る各考案は、請求項1に係る考案に従属する考案であって、請求項1の要件に、請求項2は「補助バーの上面に有底溝状の模様を形設する」との要件を、請求項3は「補助バーの上面に貫通孔による模様を形設する」との要件を、請求項4は「補助バーの上面に有底溝状の模様と貫通孔による模様を混用的に形設する」との要件を、それぞれ付加した考案である。
(2)そこで、上記付加された要件について検討するに、まず、引用例1(甲第3号証)記載のハンガーと引用例2(甲第4号証)及び引用例3(甲第5号証)記載の各ハンガーの各構成を対比すると、両者はいずれも基本構成を同じくし、前者の「押圧杵(8)」に相当する部材(補助バー)を後二者も備えていることが認められる。そして、引用例2(甲第4号証)には、「本物品は参考図に示す如く、両端に垂立する掛爪部をハンガー本体の適宜嵌孔などで嵌着し、衣服の掛止用に使用するものであり、広く嵌孔を有する本体に交換等も含め着脱自在に使用し得るもので、従って本物品は単一物品として単独取引の対象とされているものである。背面図は正面図と、左側面図は右側面図と同一にあらわれる。」と記載されているとともに、その平面図及びA-A断面図には、補助バーの上面に有底溝状の模様が付されている衣服ハンガーの掛止桟が図示されていることが認められ、また、引用例3(甲第5号証)の平面図及びA-A断面図には、補助バーの上面に貫通孔状の模様を形設したハンガーの係止桟が図示されていることが認められる。
以上の認定事実からすると、引用例1記載の考案における押圧杵(8)の上面に有底溝状又は貫通孔状の模様を形成することにより、請求項2及び3記載の各考案の構成を得ることは、当業者がきわめて容易にすることができるものというべきであり、また、これらの模様を混用して請求項4記載の考案の構成を得ることにも何らの困難性はないというべきである。
(3)なお、本件考案からもたらされる効果は、「特に、補助バーの当接部の上面に薄肉化及ビ軽量化を可能とする模様を付すことにより、ハンガーのデザイン性を高めると共に、補助バーの可撓性を高め、補助バーの撓み操作即ち手指操作が容易で、また、当接部の長さを長くすることができ、スラックス等衣類の安定保持性が向上する」(甲第2号証、本件実用新案公報8頁12行目?16行目)点にあるものと認められるところ、本件審決は、このような効果は引用例に記載されていないとして(審決謄本6頁7行目?8行目、7頁1行目?2行目)、本件係争請求項に係る各考案の進歩性を肯定する論拠としている。しかし、上記の効果は、補助バーの上面に有底溝状又は貫通孔状の模様を形成するとの構成自体から当然に想定し得る程度のものであって、引用例1記載の考案と引用例2、3記載のものの組合せを困難とするような格別な効果ということはできないから、引用例1ないし3にそのような効果の記載がないことは、上記の認定判断を左右するものとはいえない。・・・」

5.本件請求項2乃至請求項4に係る考案は、上記判決に示された理由により、前掲甲第1号証乃至甲第4号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易になし得たものであるというほかない。

6.したがって、本件請求項2乃至請求項4に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第37条第1項第2号の規定により無効とすべきである。また、審判に関する費用については、実用新案法第41条で準用する特許法第169条第2項でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1998-05-07 
結審通知日 1998-05-19 
審決日 1998-05-20 
出願番号 実願平8-12722 
審決分類 U 1 111・ 121- Z (A47G)
最終処分 成立  
特許庁審判長 佐藤 洋
特許庁審判官 和泉 等
熊倉 強
藤原 稲治郎
青山 紘一
登録日 1997-04-09 
登録番号 実用新案登録第3038708号(U3038708) 
考案の名称 衣服用ハンガーの掛止バー  
代理人 磯野 道造  
代理人 小谷 悦司  
代理人 振角 正一  
代理人 植木 久一  
代理人 山田 勉  
代理人 長田 正  
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