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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02J
管理番号 1039474
審判番号 不服2000-2884  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-03-02 
確定日 2001-05-25 
事件の表示 平成 4年実用新案登録願第 53696号「バッテリの出力制御回路」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 3月 4日出願公開、実開平 6- 17341]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 【1】手続の経緯・本願考案
本願は、平成4年7月30日の出願であって、その請求項1に係る考案(以下「本願考案」という)は、平成10年11月6日、平成12年4月3日各付けで補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「外部バッテリから出力端子への電源電圧の供給を制御する第1のスイッチング素子と、
前記外部バッテリからの電源電圧の供給を制御する第2のスイッチング素子と、
前記第2のスイッチング素子からの出力電圧を分圧する分圧手段と、
前記分圧手段の分圧電圧を監視する電圧監視手段と、
前記電圧監視手段の監視結果に応じて前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子をオフさせる制御手段とを有することを特徴とするバッテリ出力制御回路。」

【2】引用例
原査定の拒絶の理由において引用された特開平4-71335号公報(以下「引用例」という)には、次のものが記載されている。
ニッケル・カドミウム電池(1)から負荷(6,7,8)への電源電圧の供給を制御するスイッチング電源回路(4)と、
前記ニッケル・カドミウム電池(1)からの電源電圧の供給を制御するスイッチ回路(9)と、
前記スイッチ回路(9)からの出力電圧を分圧する分圧抵抗(R1,R2)と、
前記分圧抵抗(R1,R2)の分圧電圧を入力し、前記分圧電圧が所定のレベル(Vth2)以下になったとき、制御出力(C)により、前記スイッチング電源回路(4)及びスイッチ回路(9)をオフさせるマイクロコンピュータ(2)とを有する二次電池駆動機器。
(なお、引用例には、前記スイッチ回路(9)の動作に関し、「第2のスレッシュホールドレベルVth2に下がったことをマイコン2が端子Aの入力によって認識し、これに伴って、制御出力Cにより、スイッチング電源4の動作を停止させ、かつ、スイッチ回路9を閉状態に設定して自らもスタンバイモードに転じる」(第3頁左下欄第16行?同頁右下欄第5行)との記載があり、該記載における「(スイッチ回路9を)閉状態に設定して」との記載事項は前記所定のレベル(Vth2)以下ではオン状態に設定するかのような意味に解されるが、これは過放電の防止という観点からみて明らかに「オフ状態(即ち開状態)に設定して」の誤記と認められるので、前記のとおりオフ動作するものと認定した。)

【3】対比・判断
本願考案と引用例に記載されたものとを対比すると、本願考案における「第1のスイッチング素子」は引用例におけるスイッチング電源回路(4)に、「第2のスイッチング素子」はスイッチ回路(9)に、「分圧手段」は分圧抵抗(R1,R2)に、「電圧監視手段,制御手段」はマイクロコンピュータ(2)に、「バッテリ出力制御回路」は二次電池駆動機器に、それぞれ相当するものである。
よって、両者は、
「外部バッテリから出力端子への電源電圧の供給を制御する第1のスイッチング素子と、
前記外部バッテリからの電源電圧の供給を制御する第2のスイッチング素子と、
前記第2のスイッチング素子からの出力電圧を分圧する分圧手段と、
前記分圧手段の分圧電圧を監視し、監視結果に応じて前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子をオフさせる電圧監視・制御手段とを有するバッテリ出力制御回路。」である点で一致し、
ただ、前記「電圧監視・制御手段」が、本願考案では、「電圧監視手段」と「制御手段」の2つのものであるのに対し、引用例では、1つのもの(マイクロコンピュータ2)である点で相違するが、該相違点に格別の意義は認められず、かかる相違点は当業者が適宜きわめて容易に想到し得た程度のものにすぎない。
【4】審判請求人の審判請求書における主張について
審判請求人は、審判請求書(平成12年4月3日付手続補正書による)において、「本願考案と引用例1とを比較すると、スイッチング素子の・・(中略)・・引用例1には分圧手段の分圧電圧に応じて第1及び第2のスイッチング手段を制御する点について何ら記載はない。よって、引用例1の構成からは・・(中略)・・消費電力を低減できる等の本願考案特有の効果を奏することはできない。」(上記手続補正書第2頁第27行-第3頁第7行)と主張する。
しかしながら、引用例1(引用例)には、その第1図と共に例えば「・・それ以上の過放電を行うと、ニッカド電池にダメージを与えることがあり、・・(中略)・・このため、ニッカド電池の放電時には、その電池電圧を監視していて、この電圧がある一定値(遮断電圧)以下に低下した場合には、ニッカド電池と機器の間の電気的接続をほとんど断ち、ニッカド電池に殆ど負荷を与えないようにした機器が開発されている。」(同引用例第2頁コラム3第10-19行)「・・さらに、該電源電圧が一定値以下に低下すると、ニッカド電池と負荷とを切り離すようにする。」(同第2頁コラム6第1-3行)「この放電が進んで、ニッカド電池1が、その出力電圧が5.0Vになって、完全放電状態になると、第2のスレッシュホールドレベルVth2に下がったことをマイコン2が端子Aの入力によって認識し、これに伴って、制御出力Cにより、スイッチング電源回路4の動作を停止させ、かつ、スイッチ回路9を閉状態に設定して自らもスタンバイモードに転じる。これにより、ニッカド電池1は、主要負荷から完全に遮断され、その過放電が防止できる。」(同第3頁コラム9第16行-コラム10第5行)との記載があり、これらの記載によれば、前記引用例に対する認定のとおり、引用例の「スイッチング電源回路4」及び「スイッチ回路9」がそれぞれその順に本願考案の「第1スイッチング素子」及び「第2スイッチング素子」に相当し、そのマイクロコンピュータ2によって分圧手段(抵抗R1,R2)の分圧電圧を監視し、該監視結果に応じて(分圧電圧が第2のスレッシュホールドレベルVth2以下に低下すると)上記第1のスイッチング素子(スイッチ電源回路4)及び第2のスイッチング素子(スイッチ回路9)をオフさせるものであって、これにより本願考案と同じく外部バッテリ(ニッカド電池)の消費電力を低減できる等の効果を奏することは当業者に明らかである。
よって、審判請求人の上記主張は引用例1の記載に基づかないものであってその根拠がなく、採用できない。

【5】むすび
したがって、本願考案は,引用例に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-03-14 
結審通知日 2001-03-21 
審決日 2001-04-04 
出願番号 実願平4-53696 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (H02J)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 羽鳥 賢一右田 勝則吉川 潤  
特許庁審判長 三友 英二
特許庁審判官 菅澤 洋二
岩本 正義
考案の名称 バッテリの出力制御回路  
代理人 伊東 忠彦  

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