• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01F
管理番号 1039475
審判番号 不服2000-3011  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-03-03 
確定日 2001-05-25 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 60107号「複合積層LCフィルタ」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 6月 2日出願公開、実開平 7- 29815]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.本願考案
本願は、平成5年11月9日に出願したものであって、その請求項に係る考案は、平成11年9月27日付け及び平成12年3月31日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載よりみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された下記のとおりのものである。
「フェライトから成る絶縁磁性体層と、該絶縁磁性体層の一面に配され、インダクタンスを形成するインダクタ導体としてのつづら折れ導体パターンと、前記絶縁磁性体層の他面に配され、該つづら折れ導体パターンをキャパシタ電極対の一方の電極としてキャパシタを形成するキャパシタ電極対の他方の電極としての電極導体とを有する積層LCフィルタにおいて、前記電極導体が前記つづら折れ導体パターンの少なくとも一部と同一形状を呈し、かつ積層方向から透視した場合に該つづら折れ導体パターンに対して相対向する積層LCフィルタの複数個を、フェライトから成る他の絶縁磁性体層を介して、積層してなる複合積層LCフィルタであって、複数の前記積層LCフィルタ各々の積層方向に隣り合う前記つづら折れ導体パターン同士が積層方向から透視した場合に閉ループを該つづら折れ導体パターン同士が協働して相補完的に形成するように交互に配されることで、該つづら折れ導体パターンの一方で発生した磁束が該つづら折れ導体パターンの他方に対して鎖交可能であり、前記絶縁磁性体層および前記他の絶縁磁性体層は、その両面を連通する連通部を有し、各前記つづら折れ導体パターンおよび各前記電極導体はそれぞれ、前記連通部をとおって、互いに接続されたことを特徴とする複合積層LCフィルタ。」(以下、本願考案という。)
2.引用例
原審の拒絶の理由に引用された、特開平3-215917号公報(以下、引用例1という。)には、「第1図?第3図には、本発明のLC素子を3端子ノーマルモード型のノイズフィルタとして形成した場合の好適な一例が示されている。
実施例のLC素子は、複数の絶縁板32-1,32-2を積層して形成された積層体30と、前記絶縁体板32の層間36-1,36-2に設けられ所定ターン数のコイルを形成するインダクタ導体40と、前記絶縁板32の層間36-2,36-3に、絶縁板32を介して前記インダクタ導体40と相対向するよう設けられたキャパシタ導体50とを有する。
前記各絶縁板32は、必要に応じて各種絶縁材料を用いて形成すればよい。この絶縁材料としては、例えばセラミックス、プラスチックおよび各種合成樹脂等が考えられるが、実施例ではセラミックスを用いて形成されている。
また、実施例の積層体30では、前記インダクタ導体40およびキャパシタ導体50の短絡、露出等を防止するため、各絶縁板32を絶縁シート34-1,34-2,・・・34-5を介して積層している。
本発明において、前記インダクタ導体40は、絶縁板32の各層間36-1,36-2に設けられたスパイラル導体44-1,44-2から構成され、各スパイラル導体44-1,44-2は、1つの層間から他の層間にかけて同方向に連続して周回するよう直列に接続されている。これにより、前記インダクタ導体40は、積層体30という限られた小さな空間内において、十分なターン数およびインダクタンスをもったコイルとして機能することになる。」(第5頁左上欄第10行?右上欄第20行)、「そして、これら絶縁板32および絶縁シート34上に被覆形成された補助端子部42a’は、絶縁板32-1上に設けられたスパイラル導体44-1の外側端部に接続されている。同様に、これら絶縁板32および絶縁シート34上に被覆形成された補助端子部42b’は、絶縁板32-2上に設けられたスパイラル導体44-2の内側端部に絶縁シート34-5上に設けられた層間接続リード46、絶縁シート34-4、絶縁板32-2上に設けられたスルーホール35,33を介し接続されている。
そして、前記各絶縁板32-1,32-2上に被覆形成されたスパイラル導体44-1,44-2は、これら絶縁板32および絶縁シート34上に形成されたスルーホール33,35および層間接続リード46を介して、1つの層間から他の層間にかけて連続して周回するように接続されている。
また、各絶縁板32および絶縁シート34上に設けられた接地用の補助端子部52’は、各絶縁板32-1,32-2の裏面側に設けられた分割接地導体58-1,58-3の外側端部と接続され、さらに前記補助端子部52’は、各絶縁板32-1,32-2の裏面側に設けられた残りの分割接地導体58-2,58-4と、絶縁シート34上に設けられたスルーホール35および層間接続リード56を介して接続されている。」(第5頁右下欄第12行?第6頁左上欄第18行)および「第6図、第7図には、本発明のLC素子を3端子LCノイズフィルタに適用した場合の好適な第2実施例が示され、第6図はその分解斜視図、第7図はその完成図である。
前記第1図、第2図に示す実施例では、各絶縁板32-1,32-2上に設けられたスパイラル導体44-1,44-2のスパイラルパターンが同じになるように形成されている。この場合には、各絶縁板32-1,32-2に設けられたスパイラル導体44をそれぞれ直列に接続するために、層間絶縁シート34-3等に層間接続リード46,56等を設ける必要があった。
しかし、これら層間接続リード46は、各絶縁板32上に設けられたスパイラル導体44の磁路の一部を横切るため、その分、インダクタ導体40のインダクタンスが低下するおそれがある。
本実施例のLC素子は、層間接続リード46,56が、各絶縁板32上に設けられたスパイラル導体44の磁路を横切ることがないように構成したことを特徴とする。
このため、本実施例のLC素子は、各スパイラル導体44-1,44-2,・・・44-4のパターンを、第6図に示すように形成することによって、層間接続リード46を用いることなく、これら各スパイラル導体44を、1の層間36から他の層間36へ向けて連続して周回するよう直列に接続している。
また、実施例のキャパシタ導体50は、複数の分割接地導体58-1,58-2,・・・58-6から形成されており、各分割接地導体58は、前記第3図(A)と同様にアースされるよう、各絶縁板32の側面に設けられた補助端子部52’へ接続されている。」(第8頁左下欄第6行?右下欄第18行)と記載されている。
そして、第6図によれば分割接地導体58-1,58-2,58-3は、スパイラル導体44-1,44-2,44-3,44-4のパターンの少なくとも一部と同一形状を呈しており、かつ「絶縁板32を介してインダクタ導体40と相対向するように設けられたキャパシタ導体50」の記載から分割接地導体は積層方向から透視した場合スパイラル導体のパターンに対して相対向している。
また、第6図では複数の積層LCフィルタが絶縁シート34-2,34-3,34-4を介して積層してなる複合積層LCフィルタが開示されている。
したがって、上記記載と第6図によれば引用例1には、絶縁板と該絶縁板上に配され、インダクタンスを形成するインダクタ導体としてのスパイラル導体のパターンと、前記絶縁板の裏面側に配され、該スパイラル導体のパターンをキャパシタ電極対の一方の電極としてキャパシタを形成するキャパシタ電極対の他方の電極としての分割接地導体とを有する積層LCフィルタにおいて、前記分割接地導体が前記スパイラル導体のパターンの少なくとも一部と同一形状を呈し、かつ積層方向から透視した場合に該スパイラル導体のパターンに対して相対向する積層LCフィルタの複数個を、絶縁シートを介して積層してなる複合積層LCフィルタであって、前記絶縁板および前記絶縁シートは、その両面を連通するスルーホールを有し、各前記スパイラル導体のパターンおよび各前記分割接地導体はそれぞれ、前記スルーホールをとおって、互いに接続されたことを特徴とする複合積層LCフィルタが記載されている。
同じく、特開平4-271610号公報(以下、引用例2という。)には、「本発明は、電子回路に供するフィルタ素子に関し、特に高周波の雑音除去等の用途に適した簡素、かつ高性能なLCフィルタ素子の構成に関する。」(第2頁左欄第22?25行)および「図1(a)において、未焼成のフェライト粉末と結合樹脂とを練り合わせて形成した絶縁磁性体板11上に、まずAg-Pd等による導体ペーストを用いて蛇行した第1の導体13のパターンを印刷する。次いで前記絶縁磁性体11と同様の磁性ペーストを全面に印刷して絶縁磁性体層14を形成した後に第2の導体15のパターンを印刷形成する。最後に前記絶縁磁性体11を形成したものと同様な磁性ペーストを全面に印刷して絶縁磁性体板11と同様の厚みを有する磁性体12を形成して複数のチップによる積層体の形成工程を終了する。このような複数の積層体を磁性体シート上に並設し、図1(b)で示すような個々チップに切断して一体焼成する。前述の工程において第2の印刷導体15は磁性体中に埋設され蛇行するインダクタ形成用導体として両端とも積層体端面15A’まで延長し、焼成後に図1(c)のように前記積層体の側端面設けた膜状端子15Aと接続されている。また、前記第1の導体13は、前記第2の印刷導体15と前記印刷絶縁磁性層14を介して互いに対向かつ経路が積層方向に重畳するようになした容量形成用導体として一方の端13’を前記第2の印刷導体15と同様に前記膜状端子13Bと接続する構成であるため、前記印刷された第1の導体13の周辺に形成される閉磁路を阻害することも少なく良好なインダクタ成分を形成するとともに、前記容量成分は前述したインダクタ成分を形成する前記印刷された第2の導体15に対して分布定数形となるためこれを図1(d)で示すようなローパスフィルタ素子として電子回路中に挿入すれば簡素な構成で広帯域の雑音除去フィルタ素子が得られる。」(第3頁左欄第39行?右欄第17行)と記載されている。
上記記載事項と図1によれば、引用例2には未焼成のフェライト粉末と結合樹脂とを練り合わせて形成した絶縁磁性板11上に、蛇行した第1の導体13、絶縁磁性板11と同様の磁性ペーストを印刷した絶縁磁性体層14、第2の導体15,絶縁磁性板11と同様の磁性ペーストを全面に印刷し絶縁磁性板11と同様の厚みの絶縁磁性体層12を、個々チップに切断して焼成した積層体であって、前記第1の導体13は、インダクタ形成用導体としての前記第2の印刷導体15と前記印刷絶縁磁性体層14を介して互いに対向かつ経路が積層方向に重畳するようになした容量形成用導体となる積層LCフィルタ素子が示されている。
3.対比
本願考案と引用例1記載のものを対比すると、引用例1の「絶縁板」、「絶縁板上に」、「スパイラル導体のパターン」、「絶縁板の裏面側に」、「分割接地導体」、「絶縁シート」および「スルーホール」はそれぞれ本願考案の「絶縁体層」、「絶縁体層の一面に」、「導体パターン」、「絶縁体層の他面に」、「電極導体」、「他の絶縁体層」および「連通部」に相当するから、両者は、絶縁体層と該絶縁体層の一面に配され、インダクタンスを形成するインダクタ導体としての導体パターンと、前記絶縁体層の他面に配され、該導体パターンをキャパシタ電極対の一方の電極としてキャパシタを形成するキャパシタ電極対の他方の電極としての電極導体とを有する積層LCフィルタにおいて、前記電極導体が前記導体パターンの少なくとも一部と同一形状を呈し、かつ積層方向から透視した場合に該導体パターンに対して相対向する積層LCフィルタの複数個を、他の絶縁体層を介して積層してなる複合積層LCフィルタであって、前記絶縁体層および前記他の絶縁体層は、その両面を連通する連通部を有し、各前記導体パターンおよび各前記電極導体はそれぞれ、前記連通部をとおって、互いに接続されたことを特徴とする複合積層LCフィルタの点で一致し、下記の点で相違している。
(相違点)
(1)絶縁体層が、本願考案ではフェライトから成る絶縁磁性体層であるのに対して、引用例1記載のものでは磁性体層であるかどうか不明な点。
(2)導体パターンおよび電極導体が、本願考案ではつづら折れであるのに対して、引用例1記載のものはスパイラルである点。
(3)本願考案では、複数の積層LCフィルタ各々の積層方向に隣り合うつづら折れ導体パターン同士が積層方向から透視した場合に閉ループを該つづら折れ導体パターン同士が協働して相補完的に形成するように交互に配されることで、該つづら折れ導体パターンの一方で発生した磁束が該つづら折れ導体パターンの他方に対して鎖交可能であるようにしているのに対し、引用例1記載のものでは、その様な構成をとっていない点。
4.検討
上記相違点について以下で検討する。
相違点(1)について
引用例2には、積層LCフィルタ素子の絶縁体層を、フェライトから成る絶縁磁性体層で形成することが記載されているから、引用例1記載の積層LCフィルタの絶縁体層をフェライトから成る絶縁磁性体層とすることは当業者にとってきわめて容易なことである。
相違点(2)について
引用例2には、積層LCフィルタ素子のインダクタ形成用導体と容量形成用導体を蛇行するパターンとすることが記載されており、これはつづら折れに他ならないから、引用例1記載の積層LCフィルタの導体パターンおよび電極導体をスパイラル状にすることにかえて、引用例2のつづら折れ状とすることに、困難性は認められない。
相違点(3)について
高インダクタンスの積層コイルを得るために、各々の積層方向に隣り合うつづら折れ導体パターン同士が積層方向から透視した場合に閉ループを該つづら折れ導体パターン同士が協働して相補完的に形成するように交互に配されることで、該つづら折れ導体パターンの一方で発生した磁束が該つづら折れ導体パターンの他方に対して鎖交可能であるようにすることは周知(例えば、実願昭55-24712号(実開昭56-126814号)のマイクロフィルム参照のこと)であるので、引用例1記載の積層LCフィルタのスパイラル導体パターンをつづら折れ導体パターンとする際に、複数の積層LCフィルタ各々の積層方向に隣り合うつづら折れ導体パターン同士が積層方向から透視した場合に閉ループを該つづら折れ導体パターン同士が協働して相補完的に形成するように交互に配されることで、該つづら折れ導体パターンの一方で発生した磁束が該つづら折れ導体パターンの他方に対して鎖交可能であるようにすることは、当業者がきわめて容易に想到しうることである。
5.むすび
以上のとおりであるので、本願考案は引用例1、2記載のものおよび周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-03-21 
結審通知日 2001-03-28 
審決日 2001-04-11 
出願番号 実願平5-60107 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (H01F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 貞嗣朽名 一夫仲間 晃  
特許庁審判長 張谷 雅人
特許庁審判官 小田 裕
左村 義弘
考案の名称 複合積層LCフィルタ  
代理人 後藤 洋介  
代理人 池田 憲保  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ