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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F16J
管理番号 1039491
審判番号 審判1998-11264  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-07-16 
確定日 2001-02-13 
事件の表示 平成4年実用新案登録願第 56925号「金属積層形ガスケット」拒絶査定に対する審判事件(平成8年1月17日出願公告、実公平 8- 1330)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・本願考案の要旨
本願は、平成4年7月21日の出願であって、その請求項1に係る考案(以下、「本願考案」という。)は、平成8年1月17日に出願公告された明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
【請求項1】
「複数枚の金属板を積層することにより形成し、燃焼室穴シール部における積層した金属板の一部を折り返して他の金属板を挟み込むことにより、該燃焼室穴シール部における金属板の積層厚さを他の平坦部よりも厚く形成し、その部分に締め付け時の面圧を集中させるようにしたガスケットにおいて、上記折り返し部分を設けた金属板を除くいずれかの金属板における折り返し部分が当接する部分の片面に、部分的な圧縮変形により、該折り返し部分における金属板の積層厚さを燃焼室穴のシールに適した厚さに調節する段差を形成した、ことを特徴とする金属積層形ガスケット。」
2.引用例
これに対し、当審における拒絶の理由に引用された実願昭53-182247号(実開昭55-98857号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、
▲1▼「図面は本考案における金属積層形ガスケットの一実施例を示し、上板1と下板2の間に逃げ板3および中間板4を介在させ、上板1をシリンダー孔5において折り返してシリンダー孔5の縁どり部6と成し、逃げ板3を前記縁どり部の構成板すなわち、上板1より薄肉にして構成するのである。」(明細書第1頁12行?第2頁第2行参照)と、また、
▲2▼「縁どり部全体に面圧をかけさせ、尚一層シール性を向上させることができ、」(明細書第2頁第6行?第8行参照)と、記載されている。さらに、
▲3▼逃げ板3が上板1より薄肉であること及び図面の記載から、上板1を折り返した縁どり部6(逃げ板3が挟み込まれていない部分)のガスケットの厚さは、逃げ板3が存する平坦部分のガスケットの厚さより厚く形成されたものが認められ、また、
▲4▼図面の記載から、中間板4における上板1の折り返し部分が下板2に当接する部分の面側(中間板4の片面側)に、逃げ板3を介在させることによって、逃げ板3の厚さに相当する段差が形成されたものが認められる。
以上の記載事項及び図面の記載から、引用例1には、「上板1、下板2、逃げ板3および中間板4を積層することにより形成し、シリンダー孔5の縁どり部6における上板1を折り返して下板2および中間板4を挟み込むことにより、該シリンダー孔5の縁どり部6における各板の積層厚さを他の平坦部より厚く形成し、縁どり部6全体に面をかけさせるようにしたガスケットにおいて、上記中間板4における上板1の折り返し部分が下板2を介して作用する部分の片面に、上板1よりも薄肉の逃げ板3を介在させることにより、該折り返し部分におけるシール面圧を調整するための逃げ板3の厚さに相当する段差を形成した金属積層形ガスケット。」といった考案が記載されているものと認める。
3.対比
本願考案と引用例1記載の考案とを比較すると、引用例1記載の考案の「上板1、下板2、逃げ板3および中間板4」は、本願考案の「複数枚の金属板」に、「シリンダー孔5」は、「燃焼室穴」に、「縁どり部6」は、「シール部」に、「上板1」は、「積層した金属板の一部」に、「下板2および中間板4」は、「他の金属板」に、「中間板4」は「折り返し部分を設けた金属板を除くいずれかの金属板」に、それぞれ相当する。
また、引用例1記載の考案において、ガスケットの縁どり部分には、締め付けによって面圧が集中することが明らかであるから、「縁とり部6全体に面圧をかけさせるようにした」は、本願考案の「その部分に締め付け時の面圧を集中させるようにした」と実質的に等価なものである。
さらに、引用例1記載の考案の「段差」は、逃げ板の厚さを変更することで高さが調節されて、シール面圧を調整する機能を有することから、本願考案の「折り返し部における金属板の積層厚さを燃焼室穴のシールに適した厚さに調節する段差」と実質的に等価なものである。
したがって、本願考案と引用例1記載の考案とは、「複数枚の金属板を積層することにより形成し、燃焼室穴シール部における積層した金属板の一部を折り返して他の金属板を挟み込むことにより、該燃焼室穴シール部における金属板の積層厚さを他の平坦部よりも厚く形成し、その部分に締め付け時の面圧を集中させるようにしたガスケットにおいて、上記折り返し部分を設けた金属板を除くいずれかの金属板における折り返し部分における金属板の積層厚さを燃焼室穴のシールに適した厚さに調節する段差を形成した金属積層形ガスケット。」の点で一致し、以下の各点で相違する。
[相違点]
(1).本願考案では、「折り返し部分が当接する部分の片面に段差を形成した」のに対し、引用例1記載の考案では、「折り返し部分が下板2を介して作用する部分の片面に段差を形成した」点。
(2).本願考案では、「部分的な圧縮変形により、段差を形成した」のに対し、引用例1記載の考案では、「上板1よりも薄肉の逃げ板3を介在させることにより、段差を形成した」点。
4.当審の判断
そこで、上記相違点1、2について検討する。
相違点(1)についてみると、本願考案においては第1、第2、及び第3実施例が示されているが、そのうち、第1,第3実施例(図2,図5参照)のものは、外板2,8を介して中板3,9の段差部に折り返し部1a,7aが作用しており、第2実施例(図4参照)のもののみが、金属板5(外板)の段差部に折り返し部4aが直接当接して作用した構成が示されている。また、本願明細書における本願考案の目的、構成、効果に係る記載を参酌しても、実用新案登録請求の範囲において考案の構成に特定した事項の上記「折り返し部分が当接する部分の片面に段差を形成した」点を、第2実施例に示されている事項のみに限定して解釈しなければならない根拠は認められない。してみると、本願考案における「折り返し部分が当接する部分の片面に段差を形成した」点は、上記第1、第3実施例の構成、すなわち、折り返し部1a,7aが外板2,8を介して中板3,9の段差部に作用する構成を排除するものではないから、結局、上記相違点は格別のものではない。
次に相違点(2)についてみると、当審における拒絶の理由で引用された実願平2-119783号(実開平4-75270号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には、中間板4に予備押し加工(圧縮変形に相当)を加えて段差5a,5b,5cを変更することによって補償部8(折り返し部に相当)の段差5dを任意に設定して、面圧調整可能とした金属積層形ガスケットが記載されており、しかも、引用例1及び2記載のものは、金属積層形ガスケットにおける燃焼室孔周りのシール構造に関する点で共通するから、引用例1に引用例2記載の技術を適用し本願考案のように構成することは、当業者がきわめて容易に想到できたものである。
5.むすび
したがって、本願考案は、引用例1、2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-05-25 
結審通知日 1999-06-11 
審決日 1999-06-21 
出願番号 実願平4-56925 
審決分類 U 1 8・ 121- WZ (F16J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柴沼 雅樹千葉 成就  
特許庁審判長 舟木 進
特許庁審判官 佐藤 洋
和田 雄二
考案の名称 金属積層形ガスケット  
代理人 林 宏  
代理人 内山 正雄  
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