• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て   A01D
管理番号 1039494
異議申立番号 異議1998-74133  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-08-18 
確定日 2001-01-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2563286号「多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2563286号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続きの経緯
本件実用新案登録第2563286号に係る考案は、平成3年1月10日に実用新案登録出願されたものであり、その実用新案権は平成9年11月7日に設定登録され、この実用新案登録に対し、異議申立人、井関農機株式会社より実用新案登録異議の申し立てがなされ、平成12年9月7日付けで取消理由を通知したところ、平成12年11月9日に訂正請求がなされたものである。
なお、平成11年1月18日付けの訂正請求は取り下げられた。

2.訂正の適否についての判断
2-1.訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、実用新案登録明細書を訂正明細書のとおりに訂正しようとするものである。すなわち、
(a)実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された「引起しケースを列設してなる多条刈コンバインにおいて、引起しケースの前方に、外方に向かってく字状に屈曲形成された分草杆が設けられ、その分草杆の上端は引起しタインの駆動ケースに支持されるとともに、その下端は機体側より延設された分草パイプにブラケットを介して固定されている分草板のほぼ中央に形成された長孔を貫通して固定されていることを特徴とする多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置。」を、「引起しケースを列設してなる多条刈コンバインにおいて、非作用部が背中合わせの引起しケースの中間に分草板を設けるとともに、その分草板のほぼ中央に位置するように、外方に向かってく字状に屈曲形成された分草杆が設けられ、その分草杆の上端は引起しタインの駆動ケースに支持されるとともに、その下端は、機体側より延設された分草パイプにブラケットを介して固定され、かつ非作用部が背中合わせの引起しケースの中間に設けられた前記分草板のほぼ中央に機体前後方向に長い長孔を形成し、その長孔を分草杆の分草板に対する角度が鈍角になるように上から貫通して固定されていることを特徴とする多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置。」と訂正する。
(b)実用新案登録明細書(以下、「登録明細書」という)2頁4?5行(本件登録公報2頁第3欄5?6行)の「引起しケースの前方に、」を「非作用部が背中合わせの引起しケースの中間に分草板を設けるとともに、その分草板のほぼ中央に位置するように、」と訂正する。
(c)登録明細書第2頁第7?8行(同公報2頁3欄第10?11行)の「固定されている分草のほぼ中央に形成された長孔を形成された長孔を」を「固定され、かつ非作用部が背中合わせの引起しケースの中間に設けられた前記分草板のほぼ中央に機体前後方向に長い長孔を形成し、その長孔を分草杆の分草板に対する角度が鈍角になるように上から」と訂正する。
(d)登録明細書5頁23行(同公報3頁第5欄2行)の「形成された長孔」を「形成された機体前後方向に長い長孔」と訂正する。
(e)登録明細書第5頁25行(同公報3頁第5欄4行)の「であり、長孔」を「であり、このような長孔」と訂正する。
(f)登録明細書6頁20?21行(同公報第3頁第6欄第5行)の「なるし、長孔」を「なるし、機体前後方向に長い長孔」と訂正する。
(g)登録明細書第6頁21行(登録公報第3頁第6欄6行)の「行える。」を、「行える。また、分草杆の分草板に対する角度が鈍角になっているため、穀稈の流れを妨げることがない。また、内側の引起しケースに設けた分草杆の分草作用を適切に作用させながら、分草杆の上下を、分草作用を妨げることなく確実に支持しているので、分草杆の機体振動による共振や破損を極力防止することができる。」と訂正する。
2-2.訂正の目的の適否及び拡張・変更の存否
上記(a)の訂正は、実用新案登録請求の範囲の記載において、「引起しケース」の構成及び「分草杆」の取付位置等を限定するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、(b)ないし(g)の訂正は、考案の詳細な説明の記載を訂正後の実用新案登録請求の範囲の記載と整合させるためのものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、実用新案登録請求の範囲の記載を訂正する、上記(a)の構成は実用新案登録明細書の5頁4?9行及び第1図、第6図に記載されているので、上記(a)ないし(g)の訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって新規事項を追加するものでなく、かつ、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
2-3.独立実用新案登録要件の判断
訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、「訂正明細書の考案」という)は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、
「引起しケースを列設してなる多条刈コンバインにおいて、非作用部が背中合わせの引起しケースの中間に分草板を設けるとともに、その分草板のほぼ中央に位置するように、外方に向かってく字状に屈曲形成された分草杆が設けられ、その分草杆の上端は引起しタインの駆動ケースに支持されるとともに、その下端は、機体側より延設された分草パイプにブラケットを介して固定され、かつ非作用部が背中合わせの引起しケースの中間に設けられた前記分草板のほぼ中央に機体前後方向に長い長孔を形成し、その長孔を分草杆の分草板に対する角度が鈍角になるように上から貫通して固定されていることを特徴とする多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置。」
により特定されるものである。
これに対し、取消理由で引用した、実願平63-151025号(実開平2-70632号)のマイクロフイルム(以下、「引用例1」という)、実願平1-56050号(実開平2-148233号)のマイクロフイルム(以下、「引用例2」という)及び実願昭55-88787号(実開昭57-11934号)のマイクロフイルム(以下、「引用例3」という)には、以下の考案が記載されていると認められる(括弧内に、訂正明細書の考案において相当する構成を記す)。
引用例1
穀稈引起体11,11a,12(引起しケース)を列設してなる多条刈コンバインにおいて、穀稈引起体11,11a,12に分草板体10a(分草板)を設けるとともに、その分草板体10aのほぼ中央に位置するように、外方に向かってく字状に屈曲形成された中分草杆20(分草杆)が設けられ、その中分草杆20の上端は穀稈引起体11aの上部カバー21に支持されるとともに、その下端は、機体側より延設された刈取フレーム7(分草パイプ)に固定されている分草板の裏側を通して刈取フレーム7のブラケット18に固定している多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置。
引用例2
引起しケース(22)を列設してなる多条刈コンバインにおいて、非作用部が背中合わせの引起しケース(22)の中間に分草板(20)を設けるとともに、その分草板(20)のほぼ中央に位置するように、外方に向かって屈曲形成された引起し分草棒(36)(分草杆)が設けられ、その引起し分草棒(36)の上端は引起しタインの外筒(38)(駆動ケース)に支持されるとともに、その下端は、機体側より延設された分草パイプに取付板(37)(ブラケット)を介して固定されている分草板(20)の裏側を通して取付板(37)に固定し、引起し分草棒(36)と引起しケース(22)前面との間隔を小さくしている多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置。
引用例3
コンバインにおいて、ガイドローラ20の下端を、分草体12のほぼ中央に形成された長孔を貫通して取り付ける構成。
訂正明細書の考案と上記引用例1記載の考案とを比較すると、両者は、引起しケースを列設してなる多条刈コンバインにおいて、引起しケースの中間に分草板を設けるとともに、その分草板のほぼ中央に位置するように、外方に向かってく字状に屈曲形成された分草杆が設けられ、その分草杆の下端は、機体側より延設された分草パイプにブラケットを介して固定されている多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置で一致しているが、
訂正明細書の考案では、分草杆の下端を「非作用部が背中合わせの引起しケースの中間に設けられた前記分草板のほぼ中央に機体前後方向に長い長孔を形成し、その長孔を分草杆の分草板に対する角度が鈍角になるように上から貫通して固定」しているのに対し、引用例1記載の考案では、非作用部が背中合わせの引起しケースではなく、また、分草杆の下端を分草板の裏側を通して刈取フレーム7のブラケット18に固定している点で相違している。
また、訂正明細書の考案と上記引用例2記載の考案とを比較すると、両者は、引起しケースを列設してなる多条刈コンバインにおいて、非作用部が背中合わせの引起しケースの中間に分草板を設けるとともに、その分草板のほぼ中央に位置するように、外方に向かって形成された分草杆が設けられ、その分草杆の上端は引起しタインの駆動ケースに支持されるとともに、その下端は、機体側より延設された分草パイプにブラケットを介して固定されている多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置で一致しているが、
訂正明細書の考案では、分草杆の下端を「引起しケースの中間に設けられた前記分草板のほぼ中央に機体前後方向に長い長孔を形成し、その長孔を分草杆の分草板に対する角度が鈍角になるように上から貫通して固定」しているのに対し、引用例2記載の考案では、分草杆の下端を、分草板(20)の裏側を通して取付板(37)に固定し、分草杆と引起しケース(22)前面との間隔を小さくしている点で構成が相違している。
上記相違点について検討すると、引用例1記載の考案は、非作用部が背中合わせの引起しケースではなく、その引起しケースの形式が異なり、また、引用例2記載の考案は、引起し分草棒(36)と引起しケース(22)前面との間隔を小さく構成した点に特徴があり、しかも、引用例3に記載されたものは、回転するガイドローラ20の下端を、分草体12のほぼ中央に形成された長孔を貫通して取り付けるものであるから、分草杆が回転しない、引用例1又は2記載の考案に引用例3に記載された構成を適用することは、当業者がきわめて容易に想到できるとはいえない。
そして、訂正明細書の考案は、訂正明細書記載の効果を奏するものであるから、訂正明細書の考案が上記引用例1ないし3に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
したがって、訂正明細書の考案は実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。
2-4.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項、同条第3項で準用する第126条第2ないし4項の規定に適合するので、当該訂正請求を認める。

3.実用新案登録異議の申立てについて
3-1.異議申立て理由の概要
本件の請求項1に係る考案は、下記の甲第1号証の1ないし甲第3号証の3に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、その実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきである。

甲第1号証の1:実願平63-151025号(実開平2-70632号)のマイクロフイルム(上記「2-3.独立特許要件の判断」における引用例1)
甲第1号証の2:実願昭62-28000号(実開昭63-134634号)のマイクロフイルム
甲第2号証の1:実願昭55-88787号(実開昭57-11934号)のマイクロフイルム(上記「2-3.独立特許要件の判断」における引用例3)
甲第2号証の2:実願昭54-11457号(実開昭55-110023号)のマイクロフイルム
甲第3号証の1:実開昭59-34529号公報
甲第3号証の2:実開昭59-50231号公報
甲第3号証の3:実開昭62-178837号公報
3-2.本件考案
本件の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という)は、上記訂正明細書の請求項1に記載したとおりのものである(「2-3.独立実用新案登録要件の判断」参照)。
3-3.当審の判断
甲第1号証の1及び甲第2号証の1には、上記「2-3.独立実用新案登録要件の判断」において、引用例1及び3に記載したとおりの考案が記載されている。
甲第1号証の2、3及び甲第3号証の1ないし3には、次の考案が記載されたいると認められる(括弧内に、本件考案において相当する構成を記す)。
甲第1号証の2
引起しケース(71)を列設してなる多条刈コンバインにおいて、引起しケース(71)の中間にデバイダ(72)(分草板)を設けるとともに、そのデバイダ(72)のほぼ中央に位置するように、外方に向かってく字状に屈曲形成された分草体(73)(分草杆)が引起装置(7)の略全長に亘って設けられ、その分草体(73)の下端はデバイダ(72)の下方に配置されている多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置。
甲第2号証の2
コンバインにおいて、分草杆13の下端を、分草板11のほぼ中央に形成された長孔を貫通して取り付け、分草杆13を回動自在にする構成。
甲第3号証の1ないし3
コンバインにおいて、分草パイプにブラケットを介して分草板を固定する構成。
本件考案と甲第1号証の1又は2記載の考案とを比較すると、両者は、引起しケースを列設してなる多条刈コンバインにおいて、引起しケースの中間に分草板を設けるとともに、その分草板のほぼ中央に位置するように、外方に向かってく字状に屈曲形成された分草杆が設けられ、その分草杆の下端は、機体側より延設された分草パイプにブラケットを介して固定されている多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置で一致しているが、
本件考案では、分草杆の下端を「非作用部が背中合わせの引起しケースの中間に設けられた前記分草板のほぼ中央に機体前後方向に長い長孔を形成し、その長孔を分草杆の分草板に対する角度が鈍角になるように上から貫通して固定」しているのに対し、甲第1号証の1又は2記載の考案では、非作用部が背中合わせの引起しケースではなく、また、分草杆の下端を分草板の裏側を通して刈取フレーム7のブラケット18に固定している点で相違している。
上記相違点について検討すると、甲第1号証の1又は2記載の考案は、非作用部が背中合わせの引起しケースではなく、その引起しケースの形式が異なり、また、甲第2号証の1又は2に記載されたものは、回動する、ガイドローラ20あるいは、分草杆13の下端を、分草体のほぼ中央に形成された長孔を貫通して取り付けるものである。
そうすると、甲第1号証の1又は2記載の考案において、引起しケースを非作用部が背中合わせのものにし、さらに、分草杆が回動しない、甲第1号証の1又は2記載の考案に甲第2号証の1又は2に記載された構成を適用することは、当業者がきわめて容易に想到できるとはいえない。
また、甲第3号証の1ないし3には、コンバインにおいて、分草パイプにブラケットを介して分草板を固定する構成が記載されているが、上記相違点の構成は記載されていない。
そして、本件考案は、明細書記載の効果を奏するものであるから、本件考案が上記甲第1号証の1ないし甲第3号証の3に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
なお、異議申立人は、参考資料として、実願昭58-118330号(実開昭60-27623号)のマイクロフイルム、実開昭58-100532号公報、特開昭50-18211号公報、特開昭54-97219号公報、実公昭53-42507号公報及び実公昭57-29549号公報を提出しているが、これらを考慮しても、本件考案がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
3-4.むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議の申立ての理由によつては本件考案についての実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件考案についての実用新案登録を取り消すベき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 引起しケースを列設してなる多条刈コンバインにおいて、非作用部が背中合わせの引起しケースの中間に分草板を設けるとともに、その分草板のほぼ中央に位置するように、外方に向かってく字状に屈曲形成された分草杆が設けられ、その分草杆の上端は引起しタインの駆動ケースに支持されるとともに、その下端は、機体側より延設された分草パイプにブラケットを介して固定され、かつ非作用部が背中合わせの引起しケースの中間に設けられた前記分草板のほぼ中央に機体前後方向に長い長孔を形成し、その長孔を分草杆の分草板に対する角度が鈍角になるように上から貫通して固定されていることを特徴とする多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本案は多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
引起しケースを列設してなる多条刈コンバインにおいて、引起し部に引起し分草装置を設けたものが実開平2-148233号として出願人が提案している。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
この実開平2-148233号の引起し分草装置においては、分草板を斜めに曲げて取り付け、その側部に分草杆の下端を固定するか、分草杆を機体側に屈曲させ、その下端を分草板の裏側に回り込ませて固定している。
しかしながら、理想的な分草作用を得るためには、機体外方に向かって屈曲形成された分草杆を分草板に対してほぼ中央に位置させることが望ましい。
そこで、本案は、外方に向かって屈曲形成された分草杆を分草板に対してほぼ中央に位置させることができる引起し分草装置を得ることを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本案は、以上のような目的を達成するため、次のような多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置を提供するものである。
すなわち、引起しケースを列設してなる多条刈コンバインにおいて、非作用部が背中合わせの引起しケースの中間に分草板を設けるとともに、その分草板のほぼ中央に位置するように、外方に向かってく字状に屈曲形成された分草杆が設けられ、その分草杆の上端は引起しタインの駆動ケースに支持されるとともに、その下端は、機体側より延設された分草パイプにブラケットを介して固定され、かつ非作用部が背中合わせの引起しケースの中間に設けられた前記分草板のほぼ中央に機体前後方向に長い長孔を形成し、その長孔を分草杆の分草板に対する角度が鈍角になるように上から貫通して固定されていることを特徴とする多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置である。
【0005】
【作用】
穀稈は分草板と分草板に対してほぼ中央に位置するように設けられた分草杆との共同作用によって、きわめて良好に分草されながら引起しケースの引起しタインで引起され、刈取部へ送られる。
【0006】
【実施例】
以下、図面に示す実施例について説明する。
図7はコンバインの全体図であり、図8はコンバインの平面図であって、図9は刈取部の平面説明図である。
図中1は走行クローラ2を設けたトラックフレーム、3はトラックフレーム1に設けた機台、4はフィードチェーン5を左側に張架し、扱胴6及び処理胴7を内蔵している脱穀部、8は刈刃及び穀稈搬送機構などを備える6条刈り用の刈取部、9は排藁チェーン10、11終端を臨ませる排藁処理部、12は運転席13及び運転操作部14を備える運転台、15はエンジン16を内設するエンジン部、17はエンジン部15前方に配設して、脱穀部4からの穀粒を揚穀筒18を介し溜める穀粒タンク、19は穀粒タンク17内の穀粒を外側に取出す上部排出オーガであり、連続的に刈取り、脱穀作業が行えるようになっている。
【0007】
図8、図9に示すように刈取部8は構成されている。すなわち、分草板20、20a、20b、20c、20d、20e、20f、20gを介して取入れられる穀稈を起立させる引起しタインを有する穀稈引起し装置としての6条用引起しケース22、22a、22b、22c、22d、22e、22fと、この引起れた穀稈の稈元側及び穂先側を掻込むスターホイル23、23a、23b、23c、23d、23e、23f及び掻込ベルト24と、この掻込時稈元側を切断する刈刃25と、切断後の右側2条分の穀桿の稈元側を左斜め後方に搬送する右稈元搬送チェーン26と、右側2条分の穀稈の穂先側を左斜め後方のフィードチェーン5の送り始端近傍まで搬送する右穂先搬送タイン27と、右側より3条及び4条の中央2条分の穀稈の稈元側及び穂先側を後方の右保元搬送チェーン26の送り終端位置近傍に合流させる中央稈元搬送チェーン28及び中央穂先搬送タイン29と、左側2条分の穀稈の稈元側及び穂先側を右稈元搬送チェーン26の送り終端位置近傍に合流させる左程元搬送チェーン30及び左穂先搬送タイン31と、前記稈元搬送チェーン26の送り終端に合流する6条分の穀稈の稈元側を前記フィードチェーン5の送り始端に搬送受継ぎする縦搬送チェーン32と、前記穂先搬送タイン27と縦搬送チェーン32の送り終端部上下略中間高さ位置に設けてフィードチェーン5に適性姿勢で穀稈を受継ぎさせる補助搬送チェーン33とを備え、刈取られた6条分の穀稈をこれらY字形搬送経路34を経てフィードチェーン5に受継ぎさせて脱穀処理するようになっている。
【0008】
つまり、左稈元搬送チェーン30の送り終端の手前位置に中央稈元搬送チェーン28の送り終端を合流させ、中央2条及び左2条合流用のY字形搬送経路34aを形成するとともに、さらに経路34aの送り終端を右稈元搬送チェーン26の送り終端近傍に合流させる左4条及び右2条合流用のY字形搬送経路34bを形成するもので、これら各搬送経路34a、34bからなるY字形搬送経路34を右及び中央及び左の稈元搬送チェーン26、28、30からなるY字形穀稈搬送機構35で構成している。
このように搬送経路を構成すると、中央2条の穀稈は左2条の穀稈にY字形に合流し、この合流した4条分の穀稈にさらに右2条の穀稈がY字形に合流するようになって、順次合流されることになるから、搬送がスムーズに行われる。
【0009】
本案は以上のような多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置の改良にかかるものである。
すなわち、図1で示すように、非作用部が背中合わせの引起しケース22bと22c及び引起ケース22dと22eとの中間に、それぞれ分草板20c、20eを設けるとともに、その分草板20c、20eに対して、ほぼ中央に位置するように分草杆36、37を設ける。
そして、引起しケース22fにも同様に分草板20gを設けるとともに、その分草板20gに対して、ほぼ中央に位置するように分草杆38を設ける。
【0010】
分草杆6、37、38は、何れも図2で示すように、機体外方に向かってく字型形状に屈曲形成されており、各引起しケース22b、22c、22d、22e、22fの前方に突出した状態となっている。
また、図2、図3で示すように、分草杆36、37の上端は、それぞれ引起タイン21の駆動輪を内蔵する駆動ケース41より垂下されたパイプ39に取付ブラケット40を介して取付けられており、分草杆38の上端は、引起しケース22fの裏側ケース42より横方向に延設されたブラケット44にボルトナットで取付けられた支持板45を介して取付けられている。
【0011】
分草杆36、37、38の下端は、それぞれ同様に取付けられるものであり、分草杆38を例にとって説明すると、まず、分草杆38の下部側は、図4乃至図6で示すように、機体側から延設された分草パイプ46にブラケット47、48を介して固定されている分草板20gのほぼ中央に形成された機体前後方向に長い長孔49を貫通している。これは、分草杆38が分草板20gに対してほぼ中央に位置するようにするためであり、このような長孔にすることによって、分草杆38を取付けるときに、分草板20gに挿通しやすくして、容易に取付けられるようにしている。
そして、分草板20gを貫通した分草杆38の下端は、前記ブラケット47において、上下左右に所定の間隔をあけて突設されたピン50、50、50、50の左右のピン50、50の間に挿通されて固定され、ブラケット47、48に固定されている。
【0012】
以上のような構成の引起し分草装置によれば、機体が前進すると、穀稈は分草板20c、20e、20g及び分草杆36、37、38の共同作用によって、きわめて良好に分草されながら引起しケースの引起しタインで引起され、刈取部8へ送られることになる。
また、図2で示すように、分草杆36、37、38の各分草杆20c、20e、20gに対する角度θが鈍角になっていると、穀稈の流れを妨げることがなくてよい。
その他、図8で示すように、上部排出オーガ19の端部を引起し装置上まで延長して、これにミラー51を設けたり、引起し装置の上方にミラー52を設けると、前方視界がこれに写り、刈取部の分草板位置などが運転席13からよくわかるようになる。
【0013】
【考案の効果】
何れにしても本案のものによれば、非作用部が背中合わせの引起しケースの中間に設けた分草板のほぼ中央に位置するように、外方に向かってく字状に屈曲形成された分草杆の上端が引起しタインの駆動ケースに支持されるとともに、その下端が機体側より延設された分草パイプにブラケットを介して固定されている分草板のほぼ中央に形成された長孔を貫通して固定されているので、分草板に対してほぼ中央に位置するように分草杆を設けることができ、分草作用がきわめて良好になるし、機体前後方向に長い長孔であるため、分草板に対する分草杆の取付けが容易に行える。また、分草杆の分草板に対する角度が鈍角になっているため、穀稈の流れを妨げることがない。また、分草杆の分草作用を適切に作用させながら、分草杆の上下を、分草作用を妨げることなく確実に支持しているので、分草杵の機体振動による共振や破損を極力防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本案分草装置の前面図
【図2】
本案分草装置の側面図
【図3】
本案における分草杆の取付状態を示す簡略平面説明図
【図4】
本案分草装置の部分平面図
【図5】
同上の側面図
【図6】
同上の正面図
【図7】
コンバインの全体図
【図8】
コンバインの平面図
【図9】
コンバインの刈取部の平面説明図
【符号の説明】
22f 引起しケース
38 分草杆
42 引起しケースの裏ケース
44 ブラケット
45 支持板
46 分草パイプ
47 分草パイプに固定のブラケット
48 分草パイプに固定のブラケット
49 長孔
50 ピン
訂正の要旨 本件登録第2563286号実用新案の明細書を本件訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに、すなわち、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として下記(a)のとおりに訂正し、明りようでない記載の釈明を目的として下記(b)ないし(g)のとおりに訂正する。
(a)実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された「引起しケースを列設してなる多条刈コンバインにおいて、引起しケースの前方に、外方に向かってく字状に屈曲形成された分草杆が設けられ、その分草杆の上端は引起しタインの駆動ケースに支持されるとともに、その下端は機体側より延設された分草パイプにブラケットを介して固定されている分草板のほぼ中央に形成された長孔を貫通して固定されていることを特徴とする多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置。」を、「引起しケースを列設してなる多条刈コンバインにおいて、非作用部が背中合わせの引起しケースの中間に分草板を設けるとともに、その分草板のほぼ中央に位置するように、外方に向かってく字状に屈曲形成された分草杆が設けられ、その分草杆の上端は引起しタインの駆動ケースに支持されるとともに、その下端は、機体側より延設された分草パイプにブラケットを介して固定され、かつ非作用部が背中合わせの引起しケースの中間に設けられた前記分草板のほぼ中央に機体前後方向に長い長孔を形成し、その長孔を分草杆の分草板に対する角度が鈍角になるように上から貫通して固定されていることを特徴とする多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置。」と訂正する。
(b)実用新案登録明細書(以下、「登録明細書」という)2頁4?5行(本件登録公報2頁第3欄5?6行)の「引起しケースの前方に、」を「非作用部が背中合わせの引起しケースの中間に分草板を設けるとともに、その分草板のほぼ中央に位置するように、」と訂正する。
(c)登録明細書第2頁第7?8行(同公報2頁3欄第10?11行)の「固定されている分草のほぼ中央に形成された長孔を形成された長孔を」を「固定され、かつ非作用部が背中合わせの引起しケースの中間に設けられた前記分草板のほぼ中央に機体前後方向に長い長孔を形成し、その長孔を分草杆の分草板に対する角度が鈍角になるように上から」と訂正する。
(d)登録明細書5頁23行(同公報3頁第5欄2行)の「形成された長孔」を「形成された機体前後方向に長い長孔」と訂正する。
(e)登録明細書第5頁25行(同公報3頁第5欄4行)の「であり、長孔」を「でありこのような長孔」と訂正する。
(f)登録明細書6頁20?21行(同公報第3頁第6欄第5行)の「なるし、長孔」を「なるし、機体前後方向に長い長孔」と訂正する。
(g)登録明細書第6頁21行(登録公報第3頁第6欄6行)の「行える。」を、「行える。また、分草杆の分草板に対する角度が鈍角になっているため、穀稈の流れを妨げることがない。また、内側の引起しケースに設けた分草杆の分草作用を適切に作用させながら分草杆の上下を、分草作用を妨げることなく確実に支持しているので、分草杆の機体振動による共振や破損を極力防止するこができる。」と訂正する。
異議決定日 2000-12-19 
出願番号 実願平3-3489 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (A01D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉田 英一  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 吉村 尚
日高 賢治
登録日 1997-11-07 
登録番号 実用新案登録第2563286号(U2563286) 
権利者 ヤンマー農機株式会社
大阪府大阪市北区茶屋町1番32号
考案の名称 多条刈コンバインの刈取部における引起し分草装置  
代理人 渡邊 敏  
代理人 渡邊 敏  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ