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審決分類 |
審判 全部申し立て F28D |
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管理番号 | 1039496 |
異議申立番号 | 異議1997-72035 |
総通号数 | 19 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-07-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1997-04-28 |
確定日 | 2000-12-25 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 登録第2515352号「熱交換器」の請求項1、2に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 登録第2515352号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本件実用新案登録第2515352号の実用新案登録請求の範囲の請求項1および請求項2に係る考案についての出願は、平成3年5月28日に出願され、平成8年8月2日にその考案について実用新案登録の設定登録がなされ、その後、その実用新案登録について異議申立人・大峽公子による実用新案登録異議の申立てがなされ、当審よりの取消理由通知がなされ、それに対しその指定期間内である平成9年11月4日に訂正請求がなされたものである。 2.明細書の訂正 実用新案権者が求めている訂正の内容は、次の通りである。 (イ)願書に添付した明細書(以下、実用新案登録明細書という)の実用新案登録請求の範囲に記載の「【請求項1】エレメントを複数個バスケット内に詰め込んだ熱交換器において、矩形断面のエレメント及び傾斜する面が互いに接触する対をなす台形断面のエレメントをバスケット内に詰め込んだことを特徴とする熱交換器。【請求項2】エレメントを複数個バスケット内に詰め込んだ熱交換器において、矩形断面のエレメントと台形断面のエレメントが台形断面のバスケット内に詰め込まれ、前記台形断面のバスケットの傾斜する面と前記台形断面のエレメントの傾斜する面を互いに接触させたことを特徴とする熱交換器。」を、「【請求項1】エレメントを複数個バスケット内に詰め込んだ熱交換器において、矩形断面のエレメントと台形断面のエレメントが台形断面のバスケット内に詰め込まれ、前記台形断面のバスケットの傾斜する面と前記台形断面のエレメントの傾斜する面を互いに接触させたことを特徴とする熱交換器。」に訂正する。 (ロ)実用新案登録明細書の考案の詳細な説明欄中の段落【0005】の全文「本考案は、以上に鑑みてなされたもので、各方向にエレメントの保持力を発生することができるエレメントをバスケットに詰め込んだ型式の熱交換器を提供しようとするものである。」を「本考案は、以上に鑑みてなされたもので、各方向に、特にエレメントとバスケットの間に、エレメントの保持力を発生することができるエレメントをバスケットに詰め込んだ型式の熱交換器を提供しようとするものである。」に訂正する。 (ハ)実用新案登録明細書の考案の詳細な説明欄中の段落【0007】を削除する。 (ニ)実用新案登録明細書の考案の詳細な説明欄中の「【0008】(2)矩形断面のエレメントと台形断面のエレメントとが台形断面のバスケット内に詰め込まれ、前記台形断面のバスケットの傾斜する面と台形断面のエレメントの傾斜する面を互いに接触させた。」を「【0007】矩形断面のエレメントと台形断面のエレメントとが台形断面のバスケット内に詰め込まれ、前記台形断面のバスケットの傾斜する面と台形断面のエレメントの傾斜する面を互いに接触させた。」に訂正する。 (ホ)実用新案登録明細書の考案の詳細な説明欄中の「【0009】【作用】本考案では、矩形断面と台形断面のエレメントがバスケット内に詰め込まれている。かつ、対をなす台形断面のエレメントの傾斜する面が互いに接触し、又は台形断面のエレメントの傾斜する面と台形断面のバスケットの傾斜する面が互いに接触している。従って、前記対をなす台形断面のエレメントの傾斜する面、又は台形断面のエレメントの傾斜する面と台形断面のバスケットの傾斜する面がくさびとなる方向へ向ってエレメントを詰め込むと、エレメントにはくさび作用によって詰め込み方向と直交する方向に適正なくさび力が発生して詰め込み圧力が得られ、エレメントはバスケット内で確実に保持される。」を「【0008】【作用】本考案では、矩形断面と台形断面のエレメントがバスケット内に詰め込まれている。そして台形断面のエレメントの傾斜する面と台形断面のバスケットの傾斜する面が互いに接触している。従って、前記台形断面のエレメントの傾斜する面と台形断面のバスケットの傾斜する面がくさびとなる方向へ向ってエレメントを詰め込むと、エレメントにはくさび作用によって詰め込み方向と直交する方向に適正なくさび力が発生して詰め込み圧力が得られ、エレメントはバスケット内で確実に保持される。」に訂正する。 (ヘ)実用新案登録明細書の考案の詳細な説明欄中の「【0010】本考案の第1実施例を、図1及び図2によって説明する。1は複数の熱交換器のエレメントを詰め込むバスケットであり、同バスケット1は直方体をなし、かつ、紙面に対して直角の前後方向が開放されている。同バスケット1内には、断面が矩形をなす(直方体)のエレメント2aと、断面が台形をなす六面体のエレメント2bが詰め込まれている。前記エレメント2a,2bは、バスケット1内で複数段をなすように配置され、各段においては、図1に示すように、エレメント2bはその傾斜する面2cが互いに接触するように対をなして配置されている。また、各段の対をなすエレメント2bは、バスケット1内において、図1における上下方向に並んで配置されている。」を「【0012】図2及び図3に示す比較例において、1は複数の熱交換器のエレメントを詰め込むバスケットであり、同バスケット1は直方体をなし、かつ、紙面に対して直角の前後方向が開放されている。同バスケット1内には、断面が矩形をなす(直方体)のエレメント2aと、断面が台形をなす六面体のエレメント2bが詰め込まれている。前記エレメント2a,2bは、バスケット1内で複数段をなすように配置され、各段においては、図2に示すように、エレメント2bはその傾斜する面2cが互いに接触するように対をなして配置されている。また、各段の対をなすエレメント2bは、バスケット1内において、図2における上下方向に並んで配置されている。」に訂正する。 (ト)実用新案登録明細書の考案の詳細な説明欄中の「【0011】本実施例において、バスケット1内に複数のエレメント2a,2bを詰め込む場合には、図2に示すように、バスケット1の上壁をなす部分を取外した上、エレメント2a,2bをバスケット1の上方から下方(P1 の方向)へ向って充填する。その際、図2に示すように、各段において、対をなすエレメント2bのうちの一個を、上方からP1 の方向へ最後に詰め込むことによって、対をなすエレメント2a,2bの傾斜面が接触すると共に、傾斜する面によるくさび作用によって、P1 と直交するP2 ,P3 方向に(水平方向)エレメントの詰め込み圧力が発生する。」を「【0013】本比較例において、バスケット1内に複数のエレメント2a,2bを詰め込む場合には、図3に示すように、バスケット1の上壁をなす部分を取外した上、エレメント2a,2bをバスケット1の上方から下方(P,の方向)へ向って充填する。その際、図3に示すように、各段において、対をなすエレメント2bのうちの一個を、上方からP1 の方向へ最後に詰め込むことによって、対をなすエレメント2a,2bの傾斜面が接触すると共に、傾斜する面によるくさび作用によって、P1 と直交するP2 ,P3 方向に(水平方向)エレメントの詰め込み圧力が発生する。」に訂正する。 (チ)実用新案登録明細書の考案の詳細な説明欄中の「【0012】従って、各エレメント2a,2bには、図1及び図2における上下方向(詰め込み方向P1 )には詰め込みに当って下方に加えられる力が、またこれと直交する水平方向(P2 ,P3 方向)には前記のくさび作用による力が作用することとなり、各エレメント各方向には、適当な保持力が作用する。これによって、各エレメントは、確実にバスケット1内で保持され、また保持力不足によるエレメント同志の衝突による損傷を受けることがない。」を「【0014】従って、各エレメント2a,2bには、図2及び図3における上下方向(詰め込み方向P,)には詰め込みに当って下方に加えられる力が、またこれと直交する水平方向(P2 ,P3 方向)には前記のくさび作用による力が作用することとなり、各エレメント各方向には、適当な保持力が作用する。これによって、各エレメントは、確実にバスケット1内で保持され、また保持力不足によるエレメント同志の衝突による損傷を受けることがない。」 (リ)実用新案登録明細書の考案の詳細な説明欄中の「【0013】本考案の第2の実施例を、図3によって説明する。本実施例は、バスケット11を、図3の紙面に直角な前後方向が開放すると共に断面が台形をなして傾斜面11aをもつ六面体とし、その内部に複数のエレメントを詰め込むようにした。エレメントは、断面が矩形の直方体のエレメント12aと傾斜面12cをもつ断面が台形のエレメント12bとの2種からなっている。前記エレメント12a,12bは、図3に示すように、バスケット11内で複数段をなすように配置され、各段のエレメント12bはその端部におかれ同エレメント12bの傾斜面12cは、バスケット11の傾斜面11aに接触するように配置される。」を「【0009】【実施例】本考案の実施例を、図1によって説明する。11は複数の熱交換器のエレメントを詰め込むバスケットであり、同バスケット11を、図1の紙面に直角な前後方向が開放すると共に断面が台形をなして傾斜面11aをもつ六面体とし、その内部に複数のエレメントを詰め込むようにした。エレメントは、断面が矩形の直方体のエレメント12aと傾斜面12cをもつ断面が台形のエレメント12bとの2種からなっている。前記エレメント12a,12bは、図1に示すように、バスケット11内で複数段をなすように配置され、各段のエレメント12bはその端部におかれ同エレメント12bの傾斜面12cは、バスケット11の傾斜面11aに接触するように配置される。」に訂正する。 (ヌ)実用新案登録明細書の考案の詳細な説明欄中の「【0014】本実施例においても、第1実施例におけると同様に、格段において、エレメント12bを最後に下方へ向って詰め込むことによって、エレメント12bの傾斜面12cとバスケット11の傾斜面11aとの間のくさび作用によって、水平方向のくさび力が発生する。従って、エレメント12a,12bを確実にバスケット11内に保持してその破損を防ぐことができる。」を「【0010】本実施例においては、後述する図2、図3の比較例におけると同様に、各段において、エレメント12bを最後に下方へ向って詰め込むことによって、エレメント12bの傾斜面12cとバスケット11の傾斜面11aとの間のくさび作用によって、水平方向のくさび力が発生する。従って、エレメント12a,12bを確実にバスケット11内に保持してその破損を防ぐことができる。」に訂正する。 (ル)実用新案登録明細書の考案の詳細な説明欄中の段落【0014】と段落【0015】の間に、「【0011】すなわち、後述する比較例は、本実施例のようにエレメント12bの傾斜面12cとバスケット11の傾斜面11aとの間のくさび作用を期待することができず、エレメントとバスケットとの間の保持力については本実施例に劣るものであるが、バスケット内に詰め込まれたエレメント相互の保持については、本実施例と同様に適正な保持力を得るものであるので、本実施例の理解を容易にするために以下比較例を、図2及び図3によって説明する。」を挿入するように訂正する。 (ヲ)実用新案登録明細書の考案の詳細な説明欄中の段落【0015】の全文「【考案の効果】以上説明したように、本考案では、台形断面の対をなすエレメントの互いに接触する傾斜面又は台形断面のエレメントの傾斜面と台形断面のバスケットの傾斜面間のくさび作用によって、バスケットにエレメントを詰め込む場合、一方向からの詰め込み作業で、全方向に容易にエレメント詰め込み圧力を発生させることによって、適正なエレメント保持力を得ることができる。従って、確実にエレメントをバスケット内に保持し、かつ、エレメント同志の衝突による損傷を防ぐことができる。」を「【考案の効果】以上説明したように、本考案では、台形断面のエレメントの傾斜面と台形断面のバスケットの傾斜面間のくさび作用によって、バスケットにエレメントを詰め込む場合、一方向からの詰め込み作業で、全方向に容易にエレメント詰め込み圧力を発生させることによって、適正なエレメント保持力を得ることができる。従って、確実にエレメントをバスケット内に保持し、かつ、エレメント同志の衝突による損傷を防ぐことができる。」に訂正する。 (ワ)実用新案登録明細書の考案の詳細な説明欄中の【図面の簡単な説明】欄中の「【図1】本考案の第1の実施例の斜視図である。【図2】同実施例におけるくさび作用の説明図である。【図3】本考案の第2の実施例の斜視図である。【図4】従来のエレメントを詰め込んだ熱交換器のバスケットの斜視図である。」を「【図1】本考案の実施例の斜視図である。【図2】本考案の比較例の斜視図である。【図3】図2の比較例におけるくさび作用の説明図である。【図4】従来のエレメントを詰め込んだ熱交換器のバスケットの斜視図である。」に訂正する。 (カ)願書に添付した図面の「図3」を「図1」に、「図1」を「図2」に、「図2」を「図3」に、図番を訂正する。 3.訂正の適否についての判断 (1)訂正の目的の適否、新規事項の有無および拡張・変更の存否 上記2.(イ)の項における訂正は、実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の【請求項1】を削除し、同【請求項2】の項番号2を1に単に繰り上げる訂正であるから、上記訂正は実用新案登録明細書に記載された事項の範囲内において訂正するもので、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、変更するものでもない。 また、同(ロ)乃至(カ)の項における訂正は、実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の【請求項1】を削除し、同【請求項2】の項番号2を1に繰り上げる訂正に整合させて、考案の詳細な説明の欄を、新たな請求項1に係る考案についてのみの実施例、作用および効果の記載に訂正すると共に図面の図番を訂正するものであるから、上記各訂正は実用新案登録明細書および図面に記載された事項の範囲内において訂正するもので、明細書または図面の明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、変更するものでもない。 (2)独立実用新案登録要件の判断 訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次の通りのものと認める。 「【請求項1】エレメントを複数個バスケット内に詰め込んだ熱交換器において、矩形断面のエレメントと台形断面のエレメントが台形断面のバスケット内に詰め込まれ、前記台形断面のバスケットの傾斜する面と前記台形断面のエレメントの傾斜する面を互いに接触させたことを特徴とする熱交換器。」 これに対して、当審において通知の取消理由に引用した刊行物である実願昭59?7346号(実開昭60?122670号)のマイクロフィルムには、「このような伝熱管束1は、第2図に示すように長方形状の板体からなるフイン2に多数の伝熱管3,3…が挿通せしめられており、この伝熱管束1を上下及び左右に多数組み付けることにより、フインの接触による摩擦力とサポート部材8,8の押圧力とで一体化されて強度が付与されている。」(第2頁10?15行)、「第3図において、各伝熱管束10,10…はフレーム7,7によって前後方向が固定されると共に、フレーム7,7に掛け渡された逆T字形のサポート部材8によって上下方向が固定されている。この各伝熱管束10は層状に重ねられたフイン11に多数の伝熱管12,12…が挿通されて構成されるが、フイン11は台形板状に形成されて、その傾斜部が隣接する伝熱管束の傾斜部と衝合せしめられて段状に積み重ねられている。このように傾斜部が相互に突き合わされて伝熱管束10,10…が組み付けられた場合には、第4図で示す外圧Pが一の伝熱管束に上方から負荷しても、この外圧Pは下方の伝熱管束のみならず、左右の伝熱管束にも伝達され、さらに周囲の伝熱管束にも分散されるため、単一の伝熱管束がフリーの状態となることがない。従って、サポート部材8の押圧力は全ての伝熱管束に分散するため、伝熱管束は確実に締め付けられており、サポート部材が彎曲したり、傾いて取り付けられたり、通風間口が広く、一部の伝熱管束に押圧力が直接作用しなくても、伝熱管束は一体化せしめられて、特定の伝熱管が破損することもない。」(第4頁6行?第5頁7行)、「以上、説明したように本考案はフインに傾斜部又は段部を形成し、この部分を他の伝熱管束のフインに傾斜部又は段部と突き合わせたから、サポート部材の押圧力が全体の伝熱管束に分散して管束全体が締め付けられ、強度が向上する。このため、押圧力不足に起因する伝熱管の破損もなく、耐久性が向上する。」(第6頁12?18行)点がそれぞれ記載されている。そして、図面第2図には従来例の断面図が、第3図および第4図には実施例の斜視図および断面図がそれぞれ示されている。 そこで、本件の訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案と前記刊行物に記載されたものとを比較すると、本件の同実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案においては、エレメントを複数個、バスケット内に詰め込んだ熱交換器において、特に「矩形断面のエレメントと台形断面のエレメントが台形断面のバスケット内に詰め込まれ」るものであり、その際に「前記台形断面のバスケットの傾斜する面と前記台形断面のエレメントの傾斜する面を互いに接触させた」構成を採るのに対し、前記刊行物に記載のものは、単に層状に重ねられた台形板状のフインに伝熱管を挿通した伝熱管束を、その台形の傾斜部が互いに突き合わされるように、フレームによって前後方向に、サポート部材によって上下方向に組み付け固定するというだけであって、同じ熱交換器とは言え、本件の同実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案における、特に「台形断面のバスケット」を用い、「矩形断面のエレメントと台形断面のエレメントが台形断面のバスケット内に詰め込」まれるようにするものとは構成が異なると言えるし、更に、「前記台形断面のバスケットの傾斜する面と前記台形断面のエレメントの傾斜する面を互いに接触させた」点の構成も何ら記載されてない。 そして、本件の同実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案におけるこの点の構成が、本件の訂正明細書の考案の詳細な説明欄中の【作用】の項に記載されているように、「台形断面のエレメントの傾斜する面と台形断面のバスケットの傾斜する面が互いに接触している。従って、前記台形断面のエレメントの傾斜する面と台形断面のバスケットの傾斜する面がくさびとなる方向へ向ってエレメントを詰め込むと、エレメントにはくさび作用によって詰め込み方向と直交する方向に適正なくさび力が発生して詰め込み圧力が得られ、エレメントはバスケット内で確実に保持される。」という作用を有し、同【考案の効果】の項に記載されているように、「本考案では、台形断面のエレメントの傾斜面と台形断面のバスケットの傾斜面間のくさび作用によって、バスケットにエレメントを詰め込む場合、一方向からの詰め込み作業で、全方向に容易にエレメント詰め込み圧力を発生させることによって、適正なエレメント保持力を得ることができる。従って、確実にエレメントをバスケット内に保持し、かつ、エレメント同志の衝突による損傷を防ぐことができる。」という効果を有するものと言える。 これらのことから、本件の同実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案は、前記刊行物に記載されたれたものに基づいて当業者が容易に考案をすることができたものであるとは言えない。 したがって、本件の同実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。 (3)むすび 以上の通りであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定により、なお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において更に準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書きおよび同条第2項および同条第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 4.実用新案登録異議の申立てについての判断 (1)本件考案 本件の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案は、訂正明細書および訂正図面の記載からみて、上記3.(2)の項において示したように、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される通りのものである。 (2)申立ての理由 これに対して、実用新案登録異議申立人は、 イ.本件の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案は、その出願前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載の考案に基づいて当業者が容易に考案をすることができたものと認められ、実用新案登録法第29条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない、 ロ.本件の実用新案登録請求の範囲の請求項2に係る考案は、その出願前に頒布された刊行物である前記甲第1号証および甲第2号証に記載の考案に基づいて当業者が容易に考案をすることができたものと認められ、実用新案登録法第29条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない、旨主張している。 (3)甲各号証に記載の事項 実用新案登録異議申立人の提出した前記甲第1号証の刊行物である実願昭59?7346号(実開昭60?122670号)のマイクロフィルムは、当審において通知の取消理由に引用した刊行物に相当するものであり、これについては先の3.(2)の項にて示した通りである。 また、前記甲第2号証の刊行物である、高性能熱交換器データブック編集委員会著「高性能熱交換器データブック」(昭和54年10月30日、財団法人省エネルギーセンター発行)には、「ローテミューレ式空気予熱器の特長」「最大の特長は、全体重量に対して最もその多くを占める伝熱エレメントおよびそれを収納するケーシング(ステーター)が固定されていることと、軽量回転空気フードにある。」(第161頁1?3行)、「パッケージタイプの伝熱エレメント(特に低温側)は、簡単に交換が可能である。」(第161頁11行)、「伝熱エレメント」「数多くの実験と長い使用実績に基づき設計された伝熱エレメントは、低い圧力損失で高い熱伝達が得られ、使用条件によって適正に選択された伝熱エレメントの寿命は、極めて長く、また各ブロック毎に伝熱エレメントは、前もってパックされているため取替え時間が短縮される。」(第163頁9?15行)点が記載され、第161頁にはローテミューレ式熱交換器の斜視図が、第163頁には空気フードとシール装置の分解構造図とスチールエレメントの斜視図がそれぞれ示されている。 (4)対比・判断 そこで、実用新案登録異議申立人の主張について検討する。 イ.について 本件における願書に添付した明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1は、訂正により削除されたものであるから、この請求項1に対しての実用新案登録異議申立ての対象は存在しなくなったものとなる。 ロ.について 本件における願書に添付した明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項2は、訂正の結果、実質上その項番号2が1に繰り上がって新たに請求項1となったものであり、訂正後の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される考案については、先の4.(1)の項において述べた通りである。 ところで、同実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案と前記甲第1号証の刊行物に記載のものとの比較については、先の3.(2)の項にて述べたように、当審において通知の取消理由に引用した刊行物即ち前記甲第1号証の刊行物には、同実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案の構成が記載されていない。 また、前記甲第2号証の刊行物に記載のものは、単にローテミューレ式空気予熱器のケーシングにパッケージタイプの伝熱エレメントを収納するようにしたというだけであり、本件の同実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案における、「エレメントを複数個、バスケット内に詰め込んだ熱交換器において、矩形断面のエレメントと台形断面のエレメントが台形断面のバスケット内に詰め込まれ」るものである点および「前記台形断面のバスケットの傾斜する面と前記台形断面のエレメントの傾斜する面を互いに接触させた」た点の構成は何ら記載されてない。 そして、本件の同実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案におけるこれらの点の構成が、先の3.(2)の項にて述べたように、訂正明細書の考案の詳細な説明欄中の【作用】および【考案の効果】の項に記載されているような作用、効果を有するものと言える。 したがって、本件の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案は、前記甲第1号証および甲第2号証に記載の考案に基づいて当業者が容易に考案をすることができたものであり、実用新案登録法第29条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない、とする実用新案登録異議申立人の上記主張は採用することができない。 (5)むすび 以上の通りであるから、実用新案登録異議申立ての理由およびその証拠によっては、本件の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案についての実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に本件の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案についての実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 したがって、本件の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案についての実用新案登録は拒絶の査定をしなけてばならない実用新案登録出願に対してされたものと認められない。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、上記のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 熱交換器 (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 エレメントを複数個バスケット内に詰め込んだ熱交換器において、矩形断面のエレメントと台形断面のエレメントが台形断面のバスケット内に詰め込まれ、前記台形断面のバスケットの傾斜する面と前記台形断面のエレメントの傾斜する面を互いに接触させたことを特徴とする熱交換器。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、複数個のエレメントをバスケット内に詰め込んだ熱交換器に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来のエレメントをバスケット内に詰め込んだ熱交換器を、図4によって説明する。この熱交換器では、矩形断面のエレメント22を多数個組み合せてバスケット21に詰め込んだ構造となっている。このエレメントをバスケットに詰め込む際には、エレメントに適正な保持力を発生させる必要上、適正な詰め込み圧力が必要である。 【0003】 【考案が解決しようとする課題】 従来の前記の熱交換器では、エレメントのバスケットヘの詰め込み方向にしか適正な詰め込み圧力を発生させることしかできず、詰め込み方向と異なる方向には詰め込み圧力を発生させることはできない。 【0004】 このために、適正なエレメント保持力を得ることができず、エレメントの緩みによるエレメント同志の衝突が起り、エレメントを損傷するおそれがある。 【0005】 本考案は、以上に鑑みてなされたもので、各方向に、特にエレメントとバスケットの間に、エレメントの保持力を発生することができるエレメントをバスケットに詰め込んだ型式の熱交換器を提供しようとするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】 本考案は、エレメントを複数個バスケット内に詰め込んだ熱交換器において、次の手段を講じた。 【0007】 矩形断面のエレメントと台形断面のエレメントとが台形断面のバスケット内に詰め込まれ、前記台形断面のバスケットの傾斜する面と台形断面のエレメントの傾斜する面を互いに接触させた。 【0008】 【作用】 本考案では、矩形断面と台形断面のエレメントがバスケット内に詰め込まれている。そして台形断面のエレメントの傾斜する面と台形断面のバスケットの傾斜する面が互いに接触している。従って、前記台形断面のエレメントの傾斜する面と台形断面のバスケットの傾斜する面がくさびとなる方向へ向ってエレメントを詰め込むと、エレメントにはくさび作用によって詰め込み方向と直交する方向に適正なくさび力が発生して詰め込み圧力が得られ、エレメントはバスケット内で確実に保持される。 【0009】 【実施例】 本考案の実施例を、図1によって説明する。11は複数の熱交換器のエレメントを詰め込むバスケットであり、同バスケット11を、図1の紙面に直角な前後方向が開放すると共に断面が台形をなして傾斜面11aをもつ六面体とし、その内部に複数のエレメントを詰め込むようにした。エレメントは、断面が矩形の直方体のエレメント12aと傾斜面12cをもつ断面が台形のエレメント12bとの2種からなっている。前記エレメント12a,12bは、図1に示すように、バスケット11内で複数段をなすように配置され、各段のエレメント12bはその端部におかれ同エレメント12bの傾斜面12cは、バスケット11の傾斜面11aに接触するように配置される。 【0010】 本実施例においては、後述する図2、図3の比較例におけると同様に、各段において、エレメント12bを最後に下方へ向って詰め込むことによって、エレメント12bの傾斜面12cとバスケット11の傾斜面11aとの間のくさび作用によって、水平方向のくさび力が発生する。従って、エレメント12a,12bを確実にバスケット11内に保持してその破損を防ぐことができる。 【0011】 すなわち、後述する比較例は、本実施例のようにエレメント12bの傾斜面12cとバスケット11の傾斜面11aとの間のくさび作用を期待することができず、エレメントとバスケットとの間の保持力については本実施例に劣るものであるが、バスケット内に詰め込まれたエレメント相互の保持については、本実施例と同様に適正な保持力を得るものであるので、本実施例の理解を容易にするために以下比較例を、図2及び図3によって説明する。 【0012】 図2及び図3に示す比較例において、1は複数の熱交換器のエレメントを詰め込むバスケットであり、同バスケット1は直方体をなし、かつ、紙面に対して直角の前後方向が開放されている。同バスケット1内には、断面が矩形をなす(直方体)のエレメント2aと、断面が台形をなす六面体のエレメント2bが詰め込まれている。前記エレメント2a,2bは、バスケット1内で複数段をなすように配置され、各段においては、図2に示すように、エレメント2bはその傾斜する面2cが互いに接触するように対をなして配置されている。また、各段の対をなすエレメント2bは、バスケット1内において、図2における上下方向に並んで配置されている。 【0013】 本比較例において、バスケット1内に複数のエレメント2a,2bを詰め込む場合には、図3に示すように、バスケット1の上壁をなす部分を取外した上、エレメント2a,2bをバスケット1の上方から下方(P_(1)の方向)へ向って充填する。その際、図3に示すように、各段において、対をなすエレメント2bのうちの一個を、上方からP_(1)の方向へ最後に詰め込むことによって、対をなすエレメント2a,2bの傾斜面が接触すると共に、傾斜する面によるくさび作用によって、P_(1)と直交するP_(2),P_(3)方向に(水平方向)エレメントの詰め込み圧力が発生する。 【0014】 従って、各エレメント2a,2bには、図2及び図3における上下方向(詰め込み方向P_(1))には詰め込みに当って下方に加えられる力が、またこれと直交する水平方向(P_(2),P_(3)方向)には前記のくさび作用による力が作用することとなり、各エレメント各方向には、適当な保持力が作用する。これによって、各エレメントは、確実にバスケット1内で保持され、また保持力不足によるエレメント同志の衝突による損傷を受けることがない。 【0015】 【考案の効果】 以上説明したように、本考案では、台形断面のエレメントの傾斜面と台形断面のバスケットの傾斜面間のくさび作用によって、バスケットにエレメントを詰め込む場合、一方向からの詰め込み作業で、全方向に容易にエレメント詰め込み圧力を発生させることによって、適正なエレメント保持力を得ることができる。従って、確実にエレメントをバスケット内に保持し、かつ、エレメント同志の衝突による損傷を防ぐことができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本考案の実施例の斜視図である。 【図2】 本考案の比較例の斜視図である。 【図3】 図2の比較例におけるくさび作用の説明図である。 【図4】 従来のエレメントを詰め込んだ熱交換器のバスケットの斜視図である。 【符号の説明】 1 バスケット 2a 矩形断面のエレメント 2b 台形断面のエレメント 2c エレメントの傾斜面 11 バスケット 11a バスケットの傾斜面 12a 矩形断面のエレメント 12b 台形断面のエレメント 12c エレメントの傾斜面 【図面】 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 ▲1▼ 訂正事項 実用新案登録請求の範囲の請求項1を削除し、請求項2を請求項1に繰り上げる。 従って、実用新案登録請求の範囲の請求項1は次の通りとなる。 「エレメントを複数個バスケット内に詰め込んだ熱交換器において、矩形断面のエレメントと台形断面のエレメントが台形断面のバスケット内に詰め込まれ、前記台形断面のバスケットの傾斜する面と前記台形断面のエレメントの傾斜する面を互いに接触させたことを特徴とする熱交換器。」 ▲2▼ 訂正事項 段落【0005】の文を、次のように訂正する。 「本考案は、以上に鑑みてなされたもので、各方向に、特にエレメントとバスケットの間に、エレメントの保持力を発生することができるエレメントをバスケットに詰め込んだ型式の熱交換器を提供しようとするものである。」 ▲3▼ 訂正事項 段落【0007】の文を削除する。 ▲4▼ 訂正事項 段落【0008】の文を次のように訂正して段落【0007】とする。 「矩形断面のエレメントと台形断面のエレメントとが台形断面のバスケット内に詰め込まれ、前記台形断面のバスケットの傾斜する面と台形断面のエレメントの傾斜する面を互いに接触させた。」 ▲5▼ 訂正事項 段落【0009】の文を、次のように訂正して段落【0008】とする。 「 【作用】 本考案では、矩形断面と台形断面のエレメントがバスケット内に詰め込まれている。そして台形断面のエレメントの傾斜する面と台形断面のバスケットの傾斜する面が互いに接触している。従って、前記台形断面のエレメントの傾斜する面と台形断面のバスケットの傾斜する面がくさびとなる方向へ向ってエレメントを詰め込むと、エレメントにはくさび作用によって詰め込み方向と直交する方向に適正なくさび力が発生して詰め込み圧力が得られ、エレメントはバスケット内で確実に保持される。」 ▲6▼ 訂正事項 段落【0010】の文を、次のように訂正して段落【0012】とする。 「図2及び図3に示す比較例において、1は複数の熱交換器のエレメントを詰め込むバスケットであり、同バスケット1は直方体をなし、かつ、紙面に対して直角の前後方向が開放されている。同バスケット1内には、断面が矩形をなす(直方体)のエレメント2aと、断面が台形をなす六面体のエレメント2bが詰め込まれている。前記エレメント2a,2bは、バスケット1内で複数段をなすように配置され、各段においては、図2に示すように、エレメント2bはその傾斜する面2cが互いに接触するように対をなして配置されている。また、各段の対をなすエレメント2bは、バスケット1内において、図2における上下方向に並んで配置されている。」 ▲7▼ 訂正事項 段落【0011】の文を、次のように訂正して段落【0013】とする。 「本比較例において、バスケット1内に複数のエレメント2a,2bを詰め込む場合には、図3に示すように、バスケット1の上壁をなす部分を取外した上、エレメント2a,2bをバスケット1の上方から下方(P_(1)の方向)へ向って充填する。その際、図3に示すように、各段において、対をなすエレメント2bのうちの一個を、上方からP_(1)の方向へ最後に詰め込むことによって、対をなすエレメント2a,2bの傾斜面が接触すると共に、傾斜する面によるくさび作用によって、P_(1)と直交するP_(2),P_(3)方向に(水平方向)エレメントの詰め込み圧力が発生する。」 ▲8▼ 訂正事項 段落【0012】の文を、次のように訂正して段落【0014】とする。 「従って、各エレメント2a,2bには、図2及び図3における上下方向(詰め込み方向P_(1))には詰め込みに当って下方に加えられる力が、またこれと直交する水平方向(P_(2),P_(3)方向)には前記のくさび作用による力が作用することとなり、各エレメント各方向には、適当な保持力が作用する。これによって、各エレメントは、確実にバスケット1内で保持され、また保持力不足によるエレメント同志の衝突による損傷を受けることがない。」 ▲9▼ 訂正事項 段落【0013】の文を、次のように訂正して段落【0009】とする。 「 【実施例】 本考案の実施例を、図1によって説明する。11は複数の熱交換器のエレメントを詰め込むバスケットであり、同バスケット11を、図1の紙面に直角な前後方向が開放すると共に断面が台形をなして傾斜面11aをもつ六面体とし、その内部に複数のエレメントを詰め込むようにした。エレメントは、断面が矩形の直方体のエレメント12aと傾斜面12cをもつ断面が台形のエレメント12bとの2種からなっている。前記エレメント12a,12bは、図1に示すように、バスケット11内で複数段をなすように配置され、各段のエレメント12bはその端部におかれ同エレメント12bの傾斜面12cは、バスケット11の傾斜面11aに接触するように配置される。」 ▲10▼ 訂正事項 段落【0014】の文を、次のように訂正して段落【0010】とする。 「本実施例においては、後述する図2、図3の比較例におけると同様に、各段において、エレメント12bを最後に下方へ向って詰め込むことによって、エレメント12bの傾斜面12cとバスケット11の傾斜面11aとの間のくさび作用によって、水平方向のくさび力が発生する。従って、エレメント12a,12bを確実にバスケット11内に保持してその破損を防ぐことができる。」 ▲11▼ 訂正事項 段落【0014】と段落【0015】の間に、次の文を追加して段落【0011】とする。 「すなわち、後述する比較例は、本実施例のようにエレメント12bの傾斜面12cとバスケット11の傾斜面11aとの間のくさび作用を期待することができず、エレメントとバスケットとの間の保持力については本実施例に劣るものであるが、バスケット内に詰め込まれたエレメント相互の保持については、本実施例と同様に適正な保持力を得るものであるので、本実施例の理解を容易にするために以下比較例を、図2及び図3によって説明する。」 ▲12▼ 訂正事項 段落【0015】の文を、次のように訂正する。 「 【考案の効果】 以上説明したように、本考案では、台形断面のエレメントの傾斜面と台形断面のバスケットの傾斜面間のくさび作用によって、バスケットにエレメントを詰め込む場合、一方向からの詰め込み作業で、全方向に容易にエレメント詰め込み圧力を発生させることによって、適正なエレメント保持力を得ることができる。従って、確実にエレメントをバスケット内に保持し、かつ、エレメント同志の衝突による損傷を防ぐことができる。」 ▲13▼ 訂正事項 【図面の簡単な説明】の項を、次のように訂正する。 「 【図1】 本考案の実施例の斜視図である。 【図2】 本考案の比較例の斜視図である。 【図3】 図2の比較例におけるくさび作用の説明図である。 【図4】 従来のエレメントを詰め込んだ熱交換器のバスケットの斜視図である。」 ▲14▼ 訂正事項 全図面である図1、図2、図3及び図4の記載(図番)を訂正する。 すなわち、原図面の図3を図1に換え、図1、図2を図2、図3に繰下げ、図4をそのまま維持する様に訂正する。 |
異議決定日 | 2000-11-29 |
出願番号 | 実願平3-38452 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
YA
(F28D)
|
最終処分 | 維持 |
特許庁審判長 |
大槻 清寿 |
特許庁審判官 |
櫻井 康平 岡田 弘規 |
登録日 | 1996-08-02 |
登録番号 | 実用新案登録第2515352号(U2515352) |
権利者 |
三菱重工業株式会社 東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 |
考案の名称 | 熱交換器 |
代理人 | 石川 新 |
代理人 | 石川 新 |