• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て   G07D
審判 全部申し立て   G07D
審判 全部申し立て   G07D
管理番号 1039502
異議申立番号 異議1999-72166  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-06-02 
確定日 2001-01-29 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2594435号「硬貨投出装置」の請求項1、2に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2594435号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
実用新案登録第2594435号の請求項1、2に係る考案(平成4年12月11日出願、平成11年2月26日設定登録。以下、「本件登録」という。)に対する異議申立事件の手続の経緯は、以下のとおりである。

異議申立 平成11年6月 2日
取消理由通知(発送日) 平成12年5月26日
訂正請求 平成12年7月12日
訂正拒絶理由通知 平成12年9月26日

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正事項
(a)請求項1の「形成されている硬貨ガイドピンと、」を、「形成すると共に傾斜面の下端を前記ベースの上面より下方に位置させた硬貨ガイドピンと、」と訂正する。
(b)請求項1の「上記ベースと上記硬貨ガイドピンとの間に設けられ、上下方に変形可能な弾性手段と」を、「上記ベースに一端を取付けられ他端に前記硬貨ガイドピンを取付けた板ばねと、」と訂正する。
(c)請求項2を削除する。

(2)訂正の目的、新規事項、拡張・変更の存否
訂正事項(a)乃至(c)は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするもので、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内でなされたもので、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものでないと認められる。

(3)独立実用新案登録要件
(a)訂正明細書の請求項1に係る考案
訂正明細書の請求項1に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、次のものである。
「硬貨を載置するベースと、上記ベース上へ設けられ、上記硬貨を捕捉して正逆両方向に回転可能な硬貨投出円板と、硬貨出口と、上記硬貨投出円板の正回転時に該硬貨投出円板に捕捉された硬貨と当接して該硬貨を上記出口に案内する硬貨ガイドピンであって、上記硬貨投出円板の逆回転時に上記硬貨と当接する面を傾斜面として形成すると共に傾斜面の下端を前記ベースの上面より下方に位置させた硬貨ガイドピンと、上記ベースに一端を取付けられ他端に前記硬貨ガイドピンを取付けた板ばねと、を備える硬貨投出装置。」

(b)刊行物等
これに対して、本件登録の出願前の昭和55年12月6日に頒布された特公昭55-48634号公報(以下、「刊行物1」という、甲第1号証参照。)には、「硬貨投出装置」(発明の名称)の「孔付円板12」の回転方向に関して、次の記載がある。
(ア)「硬貨容器の下端に円形の硬貨送り部材が前記容器に対して同心的に回転し得るよう取付けられ」(特許請求の範囲抜粋、第1頁右欄17?19行)
(イ)「3は投出機構1を駆動するための電動モータ、4はモータ3と投出機構1との間に介挿された減速歯車装置を示す。モータ3および歯車装置4は既知の型式のものとし、したがつて詳細な説明を省略するが、モータ3に取付けられる付属部分については第6図につき後述する。」(第2頁左欄6?12行)
(ウ)「円板12が上から見て反時針方向に回転する際、ホッパー部分5内の硬貨が少なくとも数個の孔内に落下して入る。」(第3頁左欄1?3行)
(エ)「モータ3の電機子の慣性のために余分の硬貨が送出されるのを防止するよう構成するため、第6図に示す停止装置をモータに設けるのが有利である。 図示の停止装置ではナイロン製の停止部材24をモータ軸25上に取付けて設ける。停止部材24には半径方向外方に突出する複数個の突起26を設け、突起26に掛合し得る止め27を枢着接極片28に形成して設け、この接極片28をモータ枠に取付けられたブラケット29に取付けた枢支軸30上に揺動可能に枢着する。接極片28の延長端部31をモータ3のヨーク32の側方に僅かに離間して延在させる。かように構成することによって、モータ3が附勢される際、延長端部31がモータヨーク32に向け引きつけられ、接極片の止め部分27を停止部材24との掛合から引き外し、モータを自由に回転し得るようにする。モータが減勢される際、接極片28は復帰ばね33によって最初の位置に揺動して戻り、止め部分27が突起26の1個に掛合してモータの回転を停止する。」(第4頁左欄4?23行)

そして、前記(ア)乃至(エ)及び図面の記載からみて、刊行物1の「孔付円板12」は、正方向(通常の投出方向)に回転可能であるが、逆方向に回転可能か否か特定されていないと認められる。

また、刊行物1には、「硬貨投出装置」の「案内ピン」の形状に関して、次の記載がある。
(オ)「硬貨送り部材の腕により運ばれた硬貨を前記放出部材に向け案内する位置で底板8に孔44をあけ、この孔から前記底板上に案内ピン45を突出させ、前記案内ピン上を前記腕12aが通過し得るよう案内ピンを通過させ切欠46を前記腕に設け、前記案内ピンを板ばねにより支持して過負荷が作用した際に前記底板面から後退し得るようにしてなる」(特許請求の範囲抜粋)
(カ)「44は底部材8に形成された孔45からばね(図示せず)により弾性的に押出されて常時突出するピンで硬貨送り装置の腕12aにより運ばれた硬貨が当る際、この硬貨の進行方向を放出板19に向ける作用をする。46はピン44に対応する半径方向位置で腕12aに形成された切欠で腕12aがピン44を越えて通過し得るようにする。
かように構成することによって腕12aによって押し動かされる硬貨を案内ピン44により放出板19に沿って出口溝孔11に向けて円滑に案内するとともに何等かの理由で、例えば2個の硬貨が案内ピン44と放出板19の位置にあって、これら2個の硬貨の中間に後続の硬貨が押力を作用させる場合があり、かかる場合、後続の硬貨が一方の硬貨を出口溝孔11に向け押し出し、他方の硬貨を案内ピン44と放出部材19との間に押し、案内ピン44をそのばね力に抗して底板上から後退させるとともに放出部材19をそのばね20の力に抗して外方に後退させて硬貨を、放出部材をバイパスして底板上に通過させることが可能であり、これにより硬貨が出口部分において詰って作動不能になる欠点をなくすことができる。」(第2頁右欄18?39行)
(キ)「上述した案内ピン44が突出したままであると、異常な姿勢で孔14に硬貨が入っているため、または小径の硬貨が位置していることによって硬貨が出口溝孔11でつかえて押し出されない状態が生じた場合、スパイダー腕により送られてくる硬貨が案内ピン44によって通過を阻止され、この結果、モータを過負荷し、これを損傷する問題があり、これがため案内ピン44を板ばねによって支持し、底板8に形成した孔44から底坂上に案内ピンを弾性的に突出させ、上述した過負荷が加わった際に案内ピンが底板面から後退し得るように取付けることが必要である。
上述したように、放出部材19および案内ピン44に係合する硬貨によって過負荷が加わった際には放出板19はばね21のばね力に抗して外方に回動するとともに案内ピン44は板ばねを弾性的にたわませて底板面より下方に後退して硬貨を通過させる。」(第3頁右欄16?33行)

そして、前記(オ)乃至(キ)及び図面の記載からみて、刊行物1の「硬貨投出装置」の「案内ピン44」は、傾斜面を有していないものと認められる。

また、本件登録の出願前の昭和52年7月16日に頒布された特開昭52-85895号公報(以下、「刊行物2」という、甲第2号証参照。)は、「硬貨投出装置」(発明の名称)の「硬貨送り部材14」の回転方向に関して、次の記載がある。
(ク)「円板上の硬貨送り部材を前記容器に対して同心的に回転し得るように取付け」(特許請求の範囲抜粋、第1頁右欄10?11行)
(ケ)「3は投出機構1を駆動するためのモータ、4はモータ3と投出機構1との間に介挿された減速歯車装置、5はモータ冷却用ファンを示す。モータ3および歯車装置4は既知の型式のものとし、したがって詳細な説明を省略する」(第2頁右上欄13?18行)
(コ)「円板状のの硬貨送り部材14をその中心ボス15を底部材7の中心に形成した支承孔16内に挿入して底部材7上に回転可能に支持して容器6内に取り付ける。」(第2頁左下欄13?16行)
(サ)「硬貨送り部材14の硬貨送り方向から見て後方に位置する上端縁19の部分19aの傾斜を緩やかにする」(第2頁右下欄7?9行)
(シ)「本発明の硬貨投出装置の作動に際しては、硬貨送り部材14が上から見て反時針方向に回転する際、容器6内の硬貨が前述したように硬貨受け孔18内に落下して入り、底部材7上に支持されて出口孔10に向け送られ、案内ピン26,27,28に当ることによって押し出され、」(第3頁左下欄7?13行)

そして、前記(ク)乃至(シ)及び図面の記載からみて、刊行物2の「硬貨送り部材14」の回転方向は、正方向(通常の投出方向)に回転可能であるが、逆方向に回転可能か否か特定されていないと認められる。

また、刊行物2の「硬貨投出装置」の「案内ピン」の形状に関して、次の記載がある。
(ス)「腕によって運ばれる硬貨が当ることによって硬貨を前記出口孔に向けて案内する複数個の案内ピンを前記送り腕の外端と円板状硬貨送り部材の外周縁との間で半径方向に互いに離間して前記底部材上に弾性的に突出させて設け」(特許請求の範囲抜粋)
(セ)「本発明はかかる問題を解決しようとするもので、本発明によれば、半径方向腕によつて運ばれる硬貨が当ることによって硬貨を出口孔に向けて案内する複数個の案内ピンを前記送り腕の外端と円板状硬貨送り部材の外周縁との間で半径方向に互に離間して前記底部材上に弾性的に突出させて設け、送り部材の回転に際して前記案内ピン間に通過し得る位置で硬貨押し出し突起を硬貨受け孔間で前記硬貨送り部材の下側に突設してなることを特徴とする。かように構成することによつて、送り部材の下側に突設した硬貨押し出し突起によつて硬貨を出口孔に向け押し出すとともに底部材に弾性的に突出して設けた案内ピンによって出口孔に向け案内して出口孔から押し出すことかでき、これによつて最後の1枚の硬貨をも確実に押し出すことができる」(第2頁左上欄15?同頁右上欄10行)
(ソ)「底部材7の下側面に固着された板ばね片24,25の遊端にそれぞれ固着した案内ピン26,27,28をピン孔21,22,23を経て底部材7の上面に弾性的に突出させ」(第3頁左上欄5?8行)
(タ)「この円形孔18に入った硬貨は底部材7上に支持され、送り部材14の回転に従って送り腕20および硬貨押し出し突起29,30,31によつて出口孔10に向けて円周方法に送られ、かようにして送られた硬貨は案内ピン26,27,28に当り、出口孔10に向け半径方向に押し出し突起29,30,31によって送られ、さらに出口孔10を経て容器6外に押し出される。」(第3頁左上欄16?同頁右上欄3行)
(チ)「本発明の硬貨投出装置の作動に際しては、硬貨送り部材14が上から見て反時計方向に回転する際、容器6内の硬貨が前述したように硬貨受け孔18内に落下して入り、底部材7上に支持されて出口孔10に向け送られ、案内ピン26,27,28に当ることによつて押し出し突起29,30,31により出口孔10から容器外に押し出され」(第3頁左下欄7?13行)

そして、前記(ス)乃至(チ)及び図面の記載からみて、刊行物2の「硬貨投出装置」の「案内ピン」は、傾斜面を有していないものと認められる。
また、本件登録の出願前の1985年に頒布された「Asahi SEIKO CO.,LTD. 総合カタログ ’85-’86年度版」(以下、「刊行物3」という、甲第3号証参照。)には、「COIN PAYOUT DEVICE SERIES」(目次)に関して、「57 コイン規正板バネ」(第44頁)、「20 コイン規正板バネ」(第46頁)が記載され、図面には、コイン規正板バネに、突起部があることが窺える。

また、本件登録の出願前の1986年に頒布された「Asahi Seiko 総合カタログ ’86-’87年度版」(以下、「刊行物4」という、甲第4号証参照。)には、「ペイアウト・ホッパーシリーズ」(目次)に関して、「19 コイン規正板バネ ASS’Y」(第65頁)、「20 コイン規正板バネ」(第69頁)が記載され、図面には、コイン規正板バネに、突起部があることが窺える。

また、本件登録の出願前の1988年に頒布された「Asahi Seiko 総合カタログ ’89」(以下、「刊行物5」という、甲第5号証参照。)には、「ペイアウト・ホッパーシリーズ」(目次)に関して、「55 コイン規正板バネ」(第89頁)、「19 コイン規正板バネ ASS’Y」(第91頁)と記載され、図面には、コイン規正板バネに、突起部があることが窺える。

また、本件登録の出願前の1989年に頒布された「Asahi Seiko USA INC.」(以下、「刊行物6」という、甲第6号証参照。)には、硬貨投出装置の分解組立図に「19 Coin Regulating Leaf Spring 」、「55 Coin Regulating Leaf Spring 」、「10 Regulator Spring 」と記載され、図面には、これらの一部に、突起部があることが窺える。

また、本件登録の出願前の平成3年4月25日に頒布された実願平1-103976号(実開平3-44768号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物7」という、甲第7号証参照。)には、「硬貨投出装置」(考案の名称)に関して、次の記載がある。
(ツ)「環状容器(1)と、この環状容器(1)内に回転される硬貨送り円板(2)と、硬貨送り円板(2)を駆動するモータ(3)と、硬貨をばら状態で貯留して下端開口を経て前記環状容器(1)内に硬貨を供給するホッパー(25)とを具え、前記硬貨送り円板(2)に硬貨を受け入れる複数個の円形孔(5)が円周方向に離間して設けられ、これらの円形孔間で硬貨送り円板(2)の下側に硬貨送り片(6)が設けられ、環状容器の周壁に硬貨出ロ(9)が設けられ、この硬貨出口(9)に向け硬貨を案内する出ロ案内片(40)が環状容器(1)の底板(7)上に突設されている硬貨投出装置において、前記モータ(3)が可逆モータで構成され、硬貨送り片(6)により環状容器(1)内に円周方向に押し進められる硬貨により前記出口案内片(40)が正常案内位置からスプリング負荷に抗して移動可能に設けられ、前記出ロ案内片(40)が正常案内位置から予定量移動される際に前記可逆モータ(3)の電力回路のスイッチが切換えられて可逆モータ(3)が所定時間一時的に逆転されるよう構成したことを特徴とする硬貨投出装置。」(実用新案登録請求の範囲)
(テ)「この出ロ案内片40を枢支軸42によって揺動可能に支持し、固定ピン43と出口案内片40の内側端との間に連結した引張スプリング45によって常時上流側の図示の正常案内位置に弾性的に保持し、出ロ案内片40が図示の正常案内位置にある際には、可逆モータ3を正転して硬貨送り円板2を矢Aで示すように正転するよう電気回路を接続する。」(第7頁16行?第8頁3行)

そして、前記(ツ)、(テ)及び図面の記載からみて、刊行物7には、次のものが記載されていると認められる。

硬貨を載置する底板と、上記底板上へ設けられ、上記硬貨を捕捉して正逆両方向に回転可能な硬貨送り円板と、硬貨出口と、上記硬貨送り円板の正回転時に該硬貨送り円板に捕捉された硬貨と当接して該硬貨を上記出口に案内する出口案内片であって、上記底板に一端を取付けられ他端に前記出口案内片を取付けたスプリングと、を備える硬貨投出装置。

また、本件登録の出願前の1990年に頒布された「Asahi Seiko 総合カタログ Catalog No,2101J」(以下、「刊行物8」という、甲第8号証参照。)には、「PAYOUT HOPPER」(目次)に関して、「20 コイン規正板バネ」(第75頁)、「21 コイン規正板バネ ASS’Y」(第75頁)、「55 コイン規正板バネ」(第77頁)、「10 コイン規正板バネ ASS’Y」(第79頁)、「11 規正板バネ補助」(第79頁)、「19 コイン規正板バネ」(第81頁)が記載され、図面には、一部のコイン規正板バネに、突起部があることが窺える。

また、本件登録の出願前の1992年1月10日に頒布された「Asahi Seiko General Catalog No,2302E」(以下、「刊行物9」という、甲第9号証参照。)には、硬貨投出装置の分解組立図に「20 Coin Regulating Plate」(第65頁)、「21 Coin Regulating Leaf Spring Ass'y」(第65頁)、「55 Coin Regulating Leaf Spring 」(第67頁)、「10 Regulator Spring Ass'y」、「11 Regulator Collar」、「23 Coin Regulating Plate」(第71頁)、「24 Coin Regulating Leaf Spring 」(第71頁)、「19 Coin Regulating Leaf Spring 」(第73頁)と記載され、図面には、これらの一部に、突起部があることが窺える。

また、本件登録の出願の日前の平成4年4月14日(優先権主張平成3年7月3日)付け他の出願であって、その出願後に出願公開された実願平4-36053号(実開平7-3267号公報参照。)の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「先願明細書等」という、甲第10号証参照。)には、硬貨投出装置(考案の名称抜粋)に関して、次の記載がある。
(ト)「(従来の硬貨送出し装置)
従来の硬貨送出し装置は、図4,図11及び図12に示すように、複数の硬貨Aを収容する収容空間を規定するホッパー1の下端に設けられた円筒形ケース52と、円筒形ケース52の上方の周壁の一部下端部を開口して成る出口孔53と、円筒形ケース52の底部を形成する形成する基板3と、基板3上に配され、駆動電動機のモータ軸11の回転により回転駆動される硬貨送り円板2と、硬貨送り円板2を貫通し、硬貨Aを基板3上に導く硬貨受け孔54と、基板3と硬貨送り板2との間で、硬貨受け孔54のほぼ中央を結ぶ円まで半径方向に延長して設けられ、硬貨送り板2の回転に伴って回転し、硬貨受け孔54から基板3上に導かれた硬貨Aを基板3上を摺動させて出口孔53の方向に送出す硬貨送り腕55と、基板3と硬貨送り板2との間で、出口孔53の下流側に配され、硬貨送り腕55により送出された硬貨Aを、硬貨送り腕55から出口孔53に導く出口案内部材56と、基板3上に配され、硬貨送り腕55により送出された硬貨Aを、出口案内部材56と共働きして、硬貨送り腕55から出口孔53に導く出口案内ピン57とから主に構成されている。」(段落【0008】)
(ナ)「なお、硬貨送り円板2の硬貨受け孔54と同数の送り羽根58を放射状に有するスクレーパ59は、基板3上を、硬貨送り円板2と同期して回転する。送り羽根58は、出口案内部材56及び出口案内ピン57により送出される硬貨Aを、積極的に出口孔53の外側へ送出す。」(段落【0009】)
(ニ)「(従来の硬貨送出し装置の課題)
一方、上述した従来の硬貨送出し装置では、駆動電動機のモータ軸が逆回転(図中において時計方向)した場合、硬貨送り円板はモータ軸の逆回転方向に従って、同様に逆回転する。このとき、出口案内部材及び出口案内ピンに、硬貨受け孔から基板上に導かれた硬貨が面接触衝突を起して、出口案内部材及び出口案内ピンと硬貨送り腕との間で、硬貨が挟まれ固定されることになる。その結果、硬貨送り円板の逆回転の移動が阻止され、同時に、モータ軸の逆回転が不可能となる問題が生じる」(段落【0012】)
(ヌ)「本考案の第2の技術的課題は、上記硬貨送出し装置の欠点に鑑み、駆動電動機のモータ軸が逆回転時においても、出口案内部材及び出口案内ピンと硬貨送り腕との間で、硬貨が挟まれ固定されることなく、円滑に、硬貨送り円板及びモータ軸の逆回転を許容する硬貨送り装置を提供することである。」(段落【0014】抜粋)
(ネ)【課題を解決するための手段】として、「本考案によれば、前記硬貨投出装置において、前記基板上に配され、前記硬貨送り腕により送出された硬貨を、前記出口案内部材と共働きして、前記硬貨送り腕から前記出口孔に導く案内ピンを設け、該案内ピンは、前記硬貨送り板が前記送出し方向に対して逆方向に回動した場合に、当該逆方向への回動を許容するために、傾斜してなる第2の乗上面を有し、前記硬貨受け孔から基板上に導かれた硬貨を前記第2の乗上面に乗せ上げることを特徴とする硬貨投出装置が得られる。
また、本考案によれば、前記硬貨投出装置において、前記第2の乗上面の下端側は、前記基板の上面よりも下方に位置することを特徴とする硬貨投出装置が得られる。」(段落【0022】、【0023】)
(ノ)「(第4の実施例)
図8,図9及び図10を参照して、本考案の第4の実施例の硬貨送出し装置について説明する。
第4の本実施例の硬貨送出し装置は、上述した第3の本実施例の駆動電動機における楔係合解除機構31と共に用いられるものであり、モータ軸11の逆回動を円滑に実施するための出口案内部材56及び出口案内ピン57との改良に関する。
本実施例の出口案内部材56では、図8を参照して、硬貨送り板2が逆方向に回動した場合に、硬貨受け孔53から基板3上に導かれた硬貨Aに衝突する。ところが、下端側から上端側に傾斜してなる第1の乗上面61を、その衝突部位に設けることにより、衝突する硬貨Aを乗せ上げる。
なお、第1の乗上面61の下端側は、基板3を貫通しているため、硬貨Aの乗り上げを円滑に行うことができる。
図9に示すように、基板3に第1の乗上面61の下端側を収容する凹部62を設けてもよい。
一方、図10に示すように、出口案内ピン57は、硬貨送り板2が逆方向に回動した場合に、硬貨受け孔53から基板3上に導かれた硬貨Aに衝突する。ところが、下端側から上端側に傾斜してなる第2の乗上面63を、その衝突部位に設けることにより、衝突する硬貨Aを乗せ上げる。
したがって、駆動電動機のモータ軸11が逆回転(図中において時計方向)した場合、硬貨送り円板2はモータ軸11の逆回転方向に従って、同様に逆回転し、出口案内部材56及び出口案内ピン57に、硬貨受け孔54から基板3上に導かれた硬貨Aが面接触の衝突を起しても、第1及び第2の乗上面61,63より、衝突する硬貨Aを乗せ上げることができるから、硬貨送り円板2の逆回転の移動が許容され、同時に、モータ軸11の逆回転を可能となる。」(段落【0040】乃至【0045】)

そして、前記(ト)乃至(ノ)及び図面の記載からみて、先願明細書等には、次のものが記載されていると認められる。

硬貨を載置する基板と、上記基板上へ設けられ、上記硬貨を捕捉して正逆両方向に回転可能な硬貨送り板と、硬貨出口と、上記硬貨送り板の正回転時に該硬貨送り板に捕捉された硬貨と当接して該硬貨を上記出口に案内する出口案内ピンであって、上記硬貨送り板の逆回転時に上記硬貨と当接する面を傾斜面として形成すると共に傾斜面の下端を前記基板の上面より下方に位置させた出口案内ピンと、を備える硬貨投出装置。

最後に、コイン規正板バネAssy追加工を示した図番TBN-3122Aの加工図A(以下、「加工図A」という、甲第11号証参照。)及びコイン規正板バネAssy追加工を示した図番NSH-3079の加工図B(以下、「加工図B」という、甲第12号証参照。)は、本件登録の出願前に公知であるか、否か定かではないが、規正板バネの規正ピンに傾斜面を設けることが記載されていると認められる。

(c)対比・判断
(ア)実用新案法第3条
そこで、請求項1に係る考案(前者)と刊行物7記載のもの(後者)とを対比すると、後者の「底板」は前者の「ベース」に相当し、後者の「硬貨送り円板」は前者の「硬貨投出円板」に相当し、後者の「出口案内片」は前者の「硬貨ガイドピン」に相当する。また、前者の「板ばね」と後者の「スプリング」とは、弾性体である点で共通する。
そうしてみると、両者は、

硬貨を載置するベースと、上記ベース上へ設けられ、上記硬貨を捕捉して正逆両方向に回転可能な硬貨投出円板と、硬貨出口と、上記硬貨投出円板の正回転時に該硬貨投出円板に捕捉された硬貨と当接して該硬貨を上記出口に案内する硬貨ガイドピンであって、上記ベースに一端を取付けられ他端に前記硬貨ガイドピンを取付けた弾性体と、を備える硬貨投出装置、

で一致し、次の点で相違する。
【相違点1】
前者は、弾性体として、板バネを用いて、硬貨ガイドピンを取り付けるのに対して、後者が、スプリングを用いて取り付ける点。

【相違点2】
前者は、硬貨ガイドピンが、硬貨投出円板の逆回転時に上記硬貨と当接する面を傾斜面として形成すると共に傾斜面の下端を前記ベースの上面より下方に位置させるのに対して、後者は、硬貨ガイドピンが傾斜面を有していない点。

そこで、各相違点を検討する。
【相違点1】
本件登録の出願時に、硬貨ガイドピンを板バネを用いて取り付けることは、周知技術(例えば、刊行物1,刊行物2参照。)であるから、後者において、スプリングに換えて、板バネを用いることは、当業者がきわめて容易に想到することができたものと認められる。

【相違点2】
前記2.(b)での認定によれば、刊行物1乃至刊行物6、刊行物8乃至9には、【相違点2】における前者の構成について、記載も示唆もされていないと認められる。
そして、前者は、当該構成によって、硬貨投出円板が逆方向に回転するときに「硬貨が傾斜面上に乗り上げ、硬貨ガイドピンを乗り越えるので硬貨詰まりが生じない」(段落【0015】抜粋)、「硬貨ガイドピンを下方に移動させることができ、傾斜面が下がるので硬貨は更に傾斜面を乗り上げ易くなる」(平成12年11月13日付け実用新案登録異議意見書第4頁3?4行)という作用・効果を生じるものといえる。

したがって、請求項1に係る考案は、刊行物1乃至9に記載されたものに基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたということはできない。

なお、加工図A,Bが公知であるとしても、加工図A,Bには、【相違点2】における前者の構成にいて、記載も示唆もされていないと認められるから、請求項1に係る考案は、刊行物1乃至9、及び加工図A,Bに記載されたものに基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたということもできない。

(イ)実用新案法第3条の2
次に、請求項1に係る考案(前者)と先願明細書等に記載された考案(後者)とを対比すると、後者の「基板」は前者の「ベース」に相当し、後者の「硬貨送り板」は前者の「硬貨投出円板」に相当し、後者の「出口案内ピン」は前者の「硬貨ガイドピン」に相当するから、両者は、

硬貨を載置するベースと、上記ベース上へ設けられ、上記硬貨を捕捉して正逆両方向に回転可能な硬貨投出円板と、硬貨出口と、上記硬貨投出円板の正回転時に該硬貨投出円板に捕捉された硬貨と当接して該硬貨を上記出口に案内する硬貨ガイドピンであって、上記硬貨投出円板の逆回転時に上記硬貨と当接する面を傾斜面として形成すると共に傾斜面の下端を前記ベースの上面より下方に位置させた硬貨ガイドピンと、を備える硬貨投出装置、

で、一致し、次の点で相違する。
【相違点】
前者は、ベースに一端を取付けられ他端に硬貨ガイドピンを取付けた板ばね、を備えるのに対して、後者が備えていない点。

そこで、相違点を検討する。
本件登録の出願時に、「ベースに一端を取付けられ他端に硬貨ガイドピンを取付けた板ばね」は、周知技術(例えば、実公昭56-52516号公報、刊行物2参照。)である。
しかしながら、(1)先願明細書等の第10図には、出口案内ピン57(硬貨ガイドピン)が基板3(ベース)との間に僅かの隙間を有することが窺えるが、出口案内ピン57の下端は、省略されていて如何なる構造なのか明らかでなく、しかも、出口案内ピン57(硬貨ガイドピン)が上下動するか否かについて、何ら記載がないこと、(2)前者は、【相違点】における構成を採ることで、「硬貨ガイドピンを下方に移動させることができ、傾斜面が下がるので硬貨は更に傾斜面を乗り上げ易くなる」(平成12年11月13日付け実用新案登録異議意見書第4頁3?4行)という作用・効果を生じるものと認められる。
そうしてみると、「ベースに一端を取付けられ他端に硬貨ガイドピンを取付けた板ばね」が前記のとおり、周知技術であるとしても、後者において、当該周知技術を採用していたとすることができず、しかも、前者は、「傾斜面が下がるので硬貨は更に傾斜面を乗り上げ易くなる」(平成12年11月13日付け実用新案登録異議意見書第4頁3?4行)という特有の作用・効果を生じるものといえる。
したがって、前者は、後者と実質的に同一のものとはいえない。

(d)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、平成11年法律第41号附則第15条の規定による改正後の平成6年改正法附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項、第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.異議申立について
(1)本件考案
前記のとおり、訂正が認められるので、請求項1に係る考案は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された、前記2.(3)(a)のとおりのもの(以下、「本件考案」という。)と認められる。

(2)異議申立の理由の概要
異議申立人は、甲第1号証乃至甲第13号証(甲第1号証乃至甲第12号証については、前記2.(3)(b)参照。甲第13号証は、本件登録の実用新案登録公報)を提出し、
本件考案は、実用新案法第3条第1項各号、又は第3条第2項の規定に違反して登録されたものであるから、本件登録を取消すべきものである旨主張する。

(3)判断
しかしながら、異議申立人が主張の根拠とする甲第10号証乃至甲第12号証は、本件登録の出願前に公知であるとは認められず、また、甲第1号証乃至甲第9号証には、前記2.(3)(c)(ア)で説示したとおり、本件考案の、硬貨ガイドピンが、硬貨投出円板の逆回転時に上記硬貨と当接する面を傾斜面として形成すると共に傾斜面の下端を前記ベースの上面より下方に位置させる点が記載も示唆もされておらず、しかも、前記のとおりの作用・効果を生じるから、異議申立人の前記主張は採用できない。

(4)むすび
以上のとおりであるから、異議申立ての理由及び証拠によっては本件考案についての実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件考案についての実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件考案についての実用新案登録は拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものと認めない。
よって、平成6年法律第116号附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
硬貨投出装置
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を載置するベースと、
上記ベース上へ設けられ、上記硬貨を捕捉して正逆両方向に回転可能な硬貨投出円板と、
硬貨出口と、
上記硬貨投出円板の正回転時に該硬貨投出円板に捕捉された硬貨と当接して該硬貨を上記出口に案内する硬貨ガイドピンであって、上記硬貨投出円板の逆回転時に上記硬貨と当接する面を傾斜面として形成すると共に傾斜面の下端を前記ベースの上面より下方に位置させた硬貨ガイドピンと、
上記ベースに一端を取付けられ他端に前記硬貨ガイドピンを取付けた板ばねと、を備える硬貨投出装置。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は硬貨投出装置に係り、特に、硬貨詰まりを効果的に防止するための硬貨ガイドピンを有する硬貨投出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば遊戯用の硬貨(疑似硬貨)の投出装置として、ベースに取付けられた硬貨タンクに硬貨を保有しておき、遊戯者が投入した金額に応じた量の硬貨を投出するものが知られている。
このような硬貨投出装置の従来例を図9および図10に示す。
【0003】
図9は従来例の硬貨投出装置の側面図である。図に示すように、フレーム1に固定されたベース2上には硬貨投出円板3が設けられている。この硬貨投出円板3は駆動手段4により回転駆動される。ベース2上には硬貨タンク5が設けられている。
図10は図9の従来例のペース2および硬貨投出円板3を示す図である。
【0004】
ベース2上には硬貨6が多数載置されている。硬貨投出円板3は硬貨捕捉孔7を複数形成され、この硬貨捕捉孔7の右方には段状の硬貨押し出しひれ17が形成されている。硬貨投出円板3はこの硬貨捕捉孔7に硬貨6を捕捉しながら駆動手段4により図面矢印A方向(正方向)に回転駆動される。
【0005】
ベース2上には案内板8が固定され、また、硬貨送り出しコロ9が点Sを中心として回転可能に設けられている。これら案内板8と硬貨送り出しコロ9の間の空間は硬貨出口を形成する。
ベース2にはさらに、硬貨ガイドピン12が取付けられている。
【0006】
硬貨投出円板3に捕捉された硬貨6が正方向に回転して硬貨ガイドピン12と当接すると、硬貨6は硬貨出口へ案内される。
【0007】
このような硬貨投出装置において、硬貨6が硬貨出口等で詰まった場合には、硬貨詰まりを解消するために硬貨投出円板3を逆方向に回転させることが行なわれている。
【0008】
図11は硬貨ガイドピン12の取付け構造を示し、ベース2および硬貨6のみを断面で示した図である。この硬貨ガイドビン12は、ベース2よりも上方に突出する部分の断面形状が台形に構成されている。ペース2には支持部材13が固定されており、硬貨ガイドピン12は、ばね14を介してこの支持部材13に取付けられている。
【0009】
図13は他の従来例の硬貨ガイドピン15の取付け構造を示す断面図である。この硬貨ガイドピン15は、円筒形状に構成されている。
板ばね16がその一端をベース2に取付けられ、その他端側に硬貨ガイドピン15を取り付けている。
【0010】
【考案が解決しようとする課題】
硬貨6は、繰り返し使用すると、図12(A)に示すように側面が摩耗して丸みRが形成される。
【0011】
図11に示した硬貨ガイドピン12の場合、このように摩耗した硬貨6と当接すると、図12(B)に示すように硬貨ガイドピン12の上に硬貨6が乗り上げ、この硬貨6が硬貨ガイドピン12と硬貨送り出しコロ9の間等にロックされ、硬貨詰まりを生じることがある。
【0012】
また、図13に示した硬貨ガイドピン15の場合、硬貨投出円板3が正方向に回転する時に上記のように摩耗した硬貨6と当接しても確実に硬貨出口へ誘導することができるが、硬貨投出円板3が逆方向に回転するときに摩耗した硬貨6と当接すると、硬貨6の逃げ道がないので、硬貨ガイドピン15と硬貨捕捉孔7との間にロックされ、硬貨詰まりを起こす。
したがって、本考案の目的は、硬貨詰まりを効果的に防止可能な硬貨投出装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本考案の硬貨投出装置は、硬貨を載置するベースと、上記ベース上へ設けられ、上記硬貨を捕捉して正逆両方向に回転可能な硬貨投出円板と、硬貨出口と、上記硬貨投出円板の正回転時に該硬貨投出円板に捕捉された硬貨と当接して該硬貨を上記出口に案内する硬貨ガイドピンであって、上記硬貨投出円板の逆回転時に上記硬貨と当接する面を傾斜面として形成されている硬貨ガイドピンと、上記ベースと上記硬貨ガイドピンとの間に設けられ、上下方に変形可能な弾性手段とを備える。
【0014】
【作用】
硬貨投出円板が正方向に回転するときに硬貨が硬貨ガイドピンと当接すると、板ばねがわずかに下方へたわむので硬貨詰まりを起こすことなく確実に硬貨出口へ誘導することができる。
【0015】
硬貨投出円板が逆方向に回転するときに硬貨が硬貨ガイドピンと当接すると、弾性手段は変形しないが、硬貨が傾斜面上に乗り上げ、硬貨ガイドピンを乗り越えるので硬貨詰まりが生じない。
【0016】
【実施例】
以下、図面に基づいて本考案の実施例を説明する。
【0017】
図1は本考案の硬貨投出装置の一実施例の側面図である。図に示すように、フレーム1に固定されたベース2上には硬貨投出円板3が設けられている。この硬貨投出円板3は駆動手段4により回転駆動される。ベース2上には硬貨タンク5が設けられている。
図2は図1の実施例のベース2および硬貨投出円板3を示す図である。
【0018】
ベース2上には硬貨6が多数載置されている。硬貨投出円板3は硬貨捕捉孔7を複数形成され、この硬貨捕捉孔7の右方には段状の硬貨押し出しひれ17が形成されている。硬貨投出円板3はこの硬貨捕捉孔7に硬貨6を捕捉しながら駆動手段4により図面矢印A方向(正方向)に回転駆動される。
【0019】
ベース2上には案内板8が固定され、また、硬貨送り出しコロ9がベース2の裏面側に設けられた軸Sを中心として回転可能な支持部材13の先端に取付けられている。支持部材13はばね10により図面右上方向に付勢されている。これら案内板8と硬貨送り出しコロ9の間の空間は硬貨出口を形成する。
【0020】
ベース2にはさらに、板ばね16を介して硬貨ガイドピン19が取付けられている。この板ばね16は、図示のように、硬貨ガイドピン19からほぼ45度の角度で右上方に伸びている。
【0021】
硬貨投出円板3に捕捉された硬貨6が正方向に回転して硬貨ガイドピン19と当接すると、硬貨6は硬貨押し出しひれ17に押されながら、硬貨ガイドピン19により硬貨出口へ案内される。
図3は硬貨ガイドピン19の取付け構造を示す断面図である。
【0022】
板ばね16は、その一端16Aがベース2に固定され、他端16B側に硬貨ガイドピン19を固定している。したがって、矢印A方向からの硬貨が硬貨ガイドピン19と当接すると、板ばね16はわずかに下方へたわむ。
【0023】
硬貨ガイドピン19は、円筒形状に構成されている。硬貨投出円板3が逆方向に回転するときに硬貨6は逆方向(図面矢印B方向)に移動して硬貨ガイドピン19と当接するが、硬貨ガイドピン19はこの時の当接側を傾斜面20として形成されている。
【0024】
本実施例においては、図4(A)に示すようにこの傾斜面20の下端20Aはベース2の上面(硬貨6の滑べり面)よりたとえば0.2?0.3mm下方に位置している。
【0025】
図4(B)に示すように、傾斜面20の下端20Aがベース2の上面より上方に位置していてもよい。この場合、摩耗していない硬貨6と当接すると、通常は振動等により傾斜面20に係合して乗り越えるが、硬貨6の側面が硬貨ガイドピン19の円筒面と当接するため硬貨詰まりを生じる可能性が残る。したがって、上述のように構成することが最良である。
【0026】
図5は、硬貨投出円板3が正方向に回転したときの硬貨6の移動経路を示し、図6はこのときの硬貨6と硬貨ガイドピン19との当接の状態を示す。
【0027】
硬貨投出円板3が正方向に回転するときに硬貨6が硬貨ガイドピン19と当接すると、板ばね16がわずかに下方へたわむので硬貨詰まりを起こすことなく確実に硬貨出口へ誘導することができる。
【0028】
図7は、硬貨投出円板3が逆方向に回転したときの硬貨6の移動経路を示す。図8はこのときの硬貨6と硬貨ガイドピン19との当接の状態を示す。
【0029】
硬貨投出円板3が逆方向に回転するときに図8(A)に示すように硬貨6と当接すると、板ばね16は変形しないが、図8(B)、(C)に示すように硬貨6が傾斜面20上に乗り上げ、図8(D)に示すように硬貨ガイドピン19を乗り越えるので硬貨詰まりが生じない。
摩耗した硬貨6の場合も図8(A)?(D)と同様に、硬貨ガイドピン19を乗り越える。
【0030】
以上、図面に示した実施例に基づいて本考案を説明したが、本考案はこの実施例には限定されず種々変形可能である。
【0031】
【考案の効果】
本考案によれば、硬貨詰まりを効果的に防止可能な硬貨投出装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案の硬貨投出装置の一実施例の側面図である。
【図2】
図1の実施例のベースおよび硬貨投出円板を示す平面図である。
【図3】
硬貨ガイドピンの取付け構造を示す断面図である。
【図4】
硬貨ガイドピンの取付け構造を説明するための断面図である。
【図5】
硬貨投出円板が正方向に回転したときの硬貨の移動経路を説明するための図である。
【図6】
硬貨投出円板が正方向に回転したときの硬貨と硬貨ガイドピンとの当接の状態を示す断面図である。
【図7】
硬貨投出円板が逆方向に回転したときの硬貨の移動経路を説明するための図である。
【図8】
硬貨投出円板が逆方向に回転したときの硬貨と硬貨ガイドピンとの当接の状態を示す断面図である。
【図9】
従来例の硬貨投出装置の側面図である。
【図10】
図9の従来例のベースおよび硬貨投出円板を示す平面図である。
【図11】
図9の従来例の硬貨ガイドピンの取付け構造を示し、ベースおよび硬貨のみを断面で示した図である。
【図12】
図9の従来例の硬貨ガイドピンが摩耗した硬貨と当接したときの状態を説明するための図である。
【図13】
他の従来例の硬貨ガイドピンの取付け構造を示す断面図である。
【図14】
図13の従来例の硬貨ガイドピンが摩耗した硬貨と当接したときの状態を説明するための図である。
【符号の説明】
1 フレーム
2 ベース
3 硬貨投出円板
4 駆動手段
5 硬貨タンク
6 硬貨
7 硬貨捕捉孔
8 案内板
9 硬貨送り出しコロ
12 硬貨ガイドピン
13 支持部材
14 ばね
15 硬貨ガイドピン
16 板ばね
16A 一端
16B 他端
17 硬貨押し出しひれ
19 硬貨ガイドピン
20 傾斜面
20A 下端
訂正の要旨 訂正の要旨
(a)請求項1の「形成されている硬貨ガイドピンと、」を、「形成すると共に傾斜面の下端を前記ベースの上面より下方に位置させた硬貨ガイドピンと、」と訂正する。
(b)請求項1の「上記ベースと上記硬貨ガイドピンとの間に設けられ、上下方に変形可能な弾性手段と」を、「上記ベースに一端を取付けられ他端に前記硬貨ガイドピンを取付けた板ばねと、」と訂正する。
(c)請求項2を削除する。
異議決定日 2001-01-05 
出願番号 実願平4-90891 
審決分類 U 1 651・ 113- YA (G07D)
U 1 651・ 121- YA (G07D)
U 1 651・ 161- YA (G07D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大橋 康史川本 真裕  
特許庁審判長 大久保 好二
特許庁審判官 岡本 昌直
冨岡 和人
登録日 1999-02-26 
登録番号 実用新案登録第2594435号(U2594435) 
権利者 ジューキ株式会社
東京都調布市国領町8丁目2番地の1 重機精密株式会社
栃木県大田原市富池301番地ノ2号
考案の名称 硬貨投出装置  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ