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審決分類 審判 全部申し立て   B60K
審判 全部申し立て   B60K
審判 全部申し立て   B60K
管理番号 1039508
異議申立番号 異議2000-72470  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-06-13 
確定日 2001-03-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2601944号「作業車輛のモニター装置」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2601944号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 I.手続きの経緯
本件実用新案登録第2601944号の請求項1に係る考案についての出願は、平成5年3月31日に出願され、平成11年10月8日にその実用新案の設定登録がされた。その後、本件実用新案登録の請求項1に係る考案に対して、溝畑典宏及び井関農機株式会社より実用新案登録異議の申立てがされ、取消理由通知がされたところ、その指定期間内である平成13年1月16日付けで訂正請求がされたものである。
II.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
(1)実用新案登録請求の範囲に関する訂正
「【請求項1】車輛の各部に設けるセンサと、車輌の運転状態、/及び車輌の異常の有無を判断するコントローラと、該コントローラによって表示内容を指令されるキャラクタ、又はパターン表示器、及びホーンとを備える作業車輌において、前記コントローラは、センサの検出信号に基づいて表示器の表示内容を適宜変更し、さらに表示内容を切換変更するにあたっては、切換わる表示と同時に所定の短時間にわたってホーンを作動させ、オペレータに表示内容の変更があることを報知するようになす作業車輌のモニター装置。」を
「【請求項1】車輛の各部に設けるセンサと、車輌の運転状態、及び車輌の異常の有無を判断するコントローラと、該コントローラによって表示内容を指令されるキャラクタ、又はパターン表示器、及びホーンとを備える作業車輌において、前記コントローラは、センサの検出信号に基づいて表示器の表示内容を適宜変更し、さらに表示内容を切換変更するにあたっては、車輌の運転状態が変化した時は切換わる表示と同時に所定の短時間にわたってホーンを作動させ、オペレータに表示内容の変更があることを報知するようになし、車輌の異常が検出された時は異常内容の表示と共に断続的又は連続的にホーンを作動させてオペレータに警報するようになす作業車輌のモニター装置。」と訂正する。
(2)考案の詳細な説明に関する訂正
(2-1)明細書中の段落「0004」の記載において、「・・・/及び・・・切換わる表示と同時に所定の短時間にわたってホーンを作動させ、オペレータに表示内容の変更があることを報知するように・・・」を、
「・・・及び・・・車輌の運転状態が変化した時は切換わる表示と同時に所定の短時間にわたってホーンを作動させ、オペレータに表示内容の変更があることを報知するようになし、車輌の異常が検出された時は異常内容の表示と共に断続的又は連続的にホーンを作動させてオペレータに警報するように・・・」と訂正する。
(2-2)明細書中の段落「0005」の記載において、「・・・車輌の運転状態が変化したり、或いは車輌の異常が検出されると、・・・ことができる。」を、
「・・・車輌の運転状態が変化すると、・・・ことができる。一方、車輌の異常が検出されると、キャラクタ、又はパターン表示器に異常内容を表示すると共にホーンを断続的に、又は連続的に作動させて、オペレータに異常発生を緊急通報する。」と訂正する。
(2-3)明細書中の段落「0012」の記載において、「・・・コントローラは、・・・ことができる。」を、
「・・・コントローラは、車輌の運転状態が変化して・・・ことができる。一方、車輌の異常が検出されると、コントローラは異常内容の表示と共に断続的に、又は連続的にホーンを作動させ、オペレータに異常発生を緊急通報する。従って、オペレータは表示器に基づいて異常箇所を知り、さらに作業を中断して適切な対応を取ることができる。」と訂正する。
2.訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無及び拡張・変更の存否
上記(1)の訂正において、「/及び」とあるのを「及び」と訂正する点は、明りょうでない記載の釈明であり、実用新案登録請求の範囲を減縮するものと認められる。
同じく、上記(1)の訂正において、訂正前の「切換わる表示と同時に所定の短時間にわたってホーンを作動させ、オペレータに表示内容の変更があることを報知するようになす」点の記載は、考案の詳細な説明に記載された(a)エンジン始動前後における運転状態の表示、異常の診断表示を指すのか、(b)作業中の異常が検出されたときの異常内容の表示、異常の警報を指すのか、(c)前記(a)、(b)の両方を含みうるものか、が不明りょうであった。
しかし、訂正後の「車輌の運転状態が変化した時は切換わる表示と同時に所定の短時間にわたってホーンを作動させ、オペレータに表示内容の変更があることを報知するようになし、車輌の異常が検出された時は異常内容の表示と共に断続的又は連続的にホーンを作動させてオペレータに警報するようになす」点の記載は、訂正により明りょうになった。
したがって、上記(1)の訂正の「車輌の運転状態が変化した時は切換わる表示と同時に所定の短時間にわたってホーンを作動させ、オペレータに表示内容の変更があることを報知するようになし、車輌の異常が検出された時は異常内容の表示と共に断続的又は連続的にホーンを作動させてオペレータに警報するようになす」点は、明りょうでない記載の釈明であり、そして、構成要件を付加して構成を限定するものであるので、実用新案登録請求の範囲を減縮するものと認められる。
上記の付加した構成要件は、実用新案登録公報の段落【0009】、【0010】、及び【0011】(特に、公報6欄第8行?16行、及び同欄第24行?33行参照)に記載されている範囲内におけるものと認められ、新規事項の追加に該当せず、また実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものではないものと認められる。
上記(2-1)?(2-3)の訂正は、実用新案登録請求の範囲の上記訂正(1)に伴って考案の詳細な説明の記載を整合させるものであり、明瞭でない記載の釈明に該当する。そして、上記(2-1)?(2-3)の訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める
III.実用新案登録異議申立てについての判断
1.本件考案
本件実用新案登録の請求項1に係る考案は、訂正請求による訂正が認められるので、訂正請求書に添付された訂正明細書の請求項1(以下、本件考案という)に記載された上記II.1.(1)のとおりのものと認める。
2.異議申立ての理由の概要
各実用新案登録異議申立人のした実用新案登録異議申立ての理由は概要は次のとおりである。
(イ)異議申立人溝畑典宏は、証拠として、甲第1号証:実願昭59-8901号(実開昭60-122242号)のマイクロフィルム(当審が取消理由に引用した引用例1)、甲第2号証:特開昭59-29531号公報(当審が取消理由に引用した引用例2)、甲第3号証:実願昭56-95989号(実開昭58-2675号)のマイクロフィルム、甲第4号証:特開昭63-284698号公報、甲第5号証:特開平2-60853号公報、及び甲第6号証:特開昭60-136900号公報を提出し、以下の旨主張している。
訂正前の請求項1に係る考案は、
(イ-1)甲第1号証には異常発生時にブザーを作動させることの技術的開示があることから、本件公報の【従来技術】及び【考案が解決しようとする課題】の記載に誤りがある。また、本件公報の【作用】に記載されているような技術が実施例に記載されていない。したがって、考案の詳細な説明の欄には記載不備があるから、実用新案法第5条第4項の規定に違反する、及び
(イ-2)甲第1号証に記載された考案と甲第2号証又は甲第3号証に記載された考案に基づいて、又はこれらと甲第4号証乃至甲第6号証に記載された周知の技術に基づいて、きわめて容易に想到できた考案であるから、実用新案法第3条第2項の規定に違反する。
したがって、訂正前の請求項1に係る考案についての実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものである。
(ロ)異議申立人井関農機株式会社は、証拠として、甲第1号証:特開昭62-4652号公報、甲第2号証の1:特開昭61-193946号公報、甲第2号証の2:特公平4-68590号公報、甲第3号証:特開昭58-84310号公報、及び甲第4号証:特開平5-338467号公報を提出し、以下の旨主張している。
訂正前の請求項1に係る考案は、
(ロ-1)甲第1?3号証に記載された考案に基づいて、きわめて容易に想到できた考案であるから、実用新案法第3条第2項の規定に違反する、及び
(ロ-2)甲第4号証の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であると認められるので、実用新案法第3条の2の規定に違反する。
したがって、訂正前の請求項1に係る考案についての実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものである。
3.引用例及び甲各号証に記載の考案及び発明
(1)当審が通知した取消理由で引用した引用例1(実願昭59-8901号(実開昭60-122242号)のマイクロフィルム、異議申立人溝畑典宏が提出した甲第1号証)には、
(A)「コンバイン(A)の各作動部に異常を検出する異常検出センサー(25)、及び運転状況を検出するセンサー(22)を配設し、各センサー(25)(22)の出力をマイクロプロセッサー(20)に入力し、同プロセッサー(20)によって、異常個所及び運転状況の両方を表示することができるキャラクタ表示部(15)を制御すべく構成し、同表示器(15)に、各作動部に異常あるときは、異常個所を示すキャラクタを、異常なきときは、運転状況を示すキャラクタを表示するように構成してなるコンバインの表示器」(明細書第1頁実用新案登録請求の範囲の欄)、
(B)「キャラクタ表示器(15)は、縦8行×横21桁の液晶ドット(17)で構成されており、同ドット(17)は、ドライブ回路(18)に接続しており、同回路(18)は、キャラクタゼネレータ(19)からの信号を増巾して同表示器(15)を作動させるものであり、同ゼネレータ(19)は、マイクロプロセッサ(20)からの信号により、あらかじめ記憶した文字及び数字パターン信号を出力するものであり、マイクロプロセッサ(20)の入力端子(21)には、各作動部に配設した作動状態を示すセンサー、例えばエンジンの回転数センサー(22)からの出力が、インタフェース(23)を介して入力しており、更に、同プロセッサ(20)の割り込み端子(24)には、各作動部の異常発生を検出するセンサー、例えば油圧低下時に出力する油圧スイッチ(25)、充電電圧低下時に出力する電圧スイッチ(26)、及び籾収納ホッパー(10)のオーバーフロー時に出力するオーバーフロースイッチ(27)等からの出力が、インターフェース(23)及びインタラプトコントローラ(28)を介して入力しており、同コントローラ(28)内に構成したデイジーチエンにより、各作動部のセンサーからの出力に、同作動部の重要度に応じたプライオリティが与えられている。また、マイクロプロセッサ(20)からは、異常発生時に増巾器(29)を介してブザー(30)に出力することができ、同ブザー(30)作動のみを停止させることもできるものである」(同第4頁第7行?第5頁第15行目)、及び
(C)「各作動部に以上(「異常」の誤記)が発生したときは、同センサーからの出力は、インタラプトコントローラ(28)によりプライオリティに従って、マイクロプロセッサ(20)に割り込み入力され、同入力により同プロセッサ(20)からキャラクタゼネレータ(19)及びドライブ回路(18)を介して表示器に、異常が発生した作動部のキャラクタを表示するものである」(同第6頁第12?19行目)の記載がある。
上記(B)の「マイクロプロセッサ(20)からは、異常発生時に増巾器(29)を介してブザー(30)に出力することができ、同ブザー(30)作動のみを停止させることもできるものである」の記載及び第5図等から、異常発生時のキャラクタ表示器への表示とブザーの作動とは同時に、又は略同時であると認められる。
してみれば、これらの記載及び図面等を参酌すると、引用例1には、
「コンバインの各部に設けるセンサー22、25,26,27と、コンバインの運転状態、及びコンバインの異常の有無を判断するマイクロプロセッサー20・インタラプトコントローラ28と、該マイクロプロセッサー20・インタラプトコントローラ28によって表示内容を指令されるキャラクタ、又はパターン表示器15、及びブザー30とを備えるコンバインにおいて、前記マイクロプロセッサー20・インタラプトコントローラ28は、センサー22、25,26,27の検出信号に基づいて表示器15の表示内容を適宜変更し、コンバインの異常が検出された時は異常内容の表示と共にブザー30を作動させてオペレータに警報するようになすコンバインの表示器。」が記載されているものと認められる。
(2)同引用例2(特開昭59-29531号公報、異議申立人溝畑典宏が提出した甲第2号証)には、
(D)「警報表示装置2は、その内部にブザーとディスプレイおよびそれらのドライバが設けられており、またそのディスプレイ面が第4図に示すように、D1,D2,D3からなる方向表示ランプと、障害物までの距離を0.1m単位で有効数字2桁でデジタル表示させる距離表示部と、システムの作動表示ランプWとからなっている」(公報第2頁右上欄第17行目?同頁左下欄第4行目)、
(E)「このように構成された走行車両の後方警戒システムにあって、特に本発明では、システムに主電源4が投入されてから車両のバック時における運転操作に応じて警報表示装置2の動作テストおよび最適な後方警戒を段階的に行なわせる手段をとるようにするものである」(同第2頁右下欄第5?10行目)、
(F)「まず、操作装置3の主電源スイッチM・SWが押されてシステムに主電源4が投入されたうえで、車両のギヤがバックに入れられると、ギヤシフトポジションセンサS1の検知出力によって信号処理装置1がテストモードになって警報表示装置2にブザーおよび方向表示ランプに各駆動指令を与え、短時間(0.8秒程度)だけブザーの鳴動と全ランプD1,D2,D3の点灯とを行なわせて運転者に警報表示が正常になされるか否かのチェックを行なわせる」(同第2頁右下欄第11?20行目)、及び
(G)「次に、テストモードの完了後に信号処理装置1は車両のギヤが継続してバック位置に入っていることを検知して障害物の検知モードに入る。・・・障害物が検知されたときには情報表示装置2における方向表示ランプD1,D2,D3を全て同時に点灯させるとともに、短時間(0.8秒程度)だけブザーを鳴動させて運転者に警報を与える」(同第3頁左上欄第8?18行目)の記載がある。
これらの記載及び図面等を参酌すると、引用例2には、
「車輛の各部に設けるセンサS1、S2、S3と、車輌の運転状態を判断する信号処理装置1と、該信号処理装置1によって表示内容を指令されるキャラクタ及びディスプレイ、及びブザーとを備える車輌において、前記信号処理装置1は、センサS1、S2、S3の検出信号に基づいてディスプレイの表示内容を適宜変更し、車輌のギヤがバックに入れられると、ギヤシフトポジションセンサS1の検知出力によって信号処理装置1がテストモードになって警報表示装置にブザーおよび方向表示ランプに各駆動指令を与え、短時間(0.8秒程度)だけブザーの鳴動と全ランプD1,D2,D3の点灯とを行なわせて運転者に警報表示が正常になされるか否かのチェックを行なわせる後方警戒システム」が記載されているものと認められる。
(3)異議申立人溝畑典宏が提出した甲第3号証(実願昭56-95989号(実開昭58-2675号)のマイクロフィルム)には、
(H)「図において、例えばエンジン回転速度センサ,車速センサ等の車両運転状態検出装置1からの運転状態検出信号に基づいて運転状態判定回路2が経済運転或いは非経済運転状態にあることを判定する。そして、非経済運転状態であることを判定すると、フィルタ回路3及び表示ランプ4へこの状態が継続されている間出力を発し表示ランプ4はその間点灯している。一方、フィルタ回路3は前記判定回路2の出力信号のうちその継続時間が所定時間以上のもののみ通過させ、フィルタ回路3を通過した非経済運転判定信号は単安定マルチバイブレータ5へ入力する。単安定マルチバイブレータ5は非経済運転判定信号が入力すると同時に一定時間の出力信号を発する。この出力信号は一つの非経済運転判定信号が入力する毎に一つ発進する。そして単安定マルチバイブレータ5からの出力信号は増巾回路6で増巾され警報ブザー7へ入力し警報が発せられ表示ランプ4の表示と共に非経済運転状態にあることを運転者に知らせる」(明細書第3頁第3行目?第4頁第2行目)、及び
(I)「このように、非経済運転状態を表示ランプ4と警報ブザー7の両方で警告できるので、従来よりも効果的に運転者に知らせることができる。しかも、非経済運状態の継続時間が長く続いた場合でも警報ブザー7の警報時間が一定でかつ短いので運転者にうるさがられることはない。また、警報ブザー7が鳴り終わっても非経済運転状態が継続されている場合、表示ランプ4の方で表示されているので、非経済運転状態か否かを知ることができ便利である」(同第4頁第17行目?第5頁第6行目)の記載がある。
これらの記載及び図面等を参酌すると、甲第3号証には、
「車両が非経済運転状態であることを判定すると、フィルタ回路3及び表示ランプ4へこの状態が継続されている間出力を発し表示ランプ4をその間点灯し、警報ブザー7へ入力し警報も発せられ、非経済運状態の継続時間が長く続いた場合でも警報ブザー7の警報時間が一定でかつ短いので運転者にうるさがられることはない車両の経済運転指示装置」が記載されているものと認められる。
(4)異議申立人溝畑典宏が提出した甲第4号証(特開昭63-284698号公報)には、
(J)「つぎに、第5図はこの農作業機の作業部制御装置40の構成をあらわす図である。トラクタ本機2もしくはロータリ耕耘機5の適所に設置したコントロールボックス41内に、データを時間経過にしたがってシリアルに入出力するコントローラ43と、該コントローラ43に付設のコネクタ44が設けられている。コントローラ43には、トラクタ本機2の左右方向の傾斜度を検出する傾斜センサ46、・・・およびリフトアーム12の回動上限を設定する上限設定器56が接続されており、これらから供給されるデータを処理して、ローリング用比例ソレノイドバルブ58および昇降用比例ソレノイドバルブ59に指令信号を発信する。」(公報第2頁左下欄第6行目?同右下欄第9行目)、及び
(K)「前記各種設定器およびセンサからコントローラ43に供給されるデータは、シリアル信号としてクロック信号とともにモニタ63に送信される。第6図に示す如く、シリアル信号Aは1ビットづつクロック信号Bに乗せて転送される。モニタ63に転送されたシリアル信号Aは、ホトカプラ64を介してCPU65に入力される。作業車がモニタスイッチ67で所望のデータ(設定値、センサ値)を設定することにより、そのデータが適当な数値に変換されて表示部68に表示される。また、このモニタ63には警報ブザー70が設けられており、例えば傾斜センサ46が±20度を越すと警報を鳴らして傾きを表示し、手動昇降スイッチ60を下げ側で作業中にリフトアーム角センサ47の検出値が上限設定値まで上昇すると、リフトアーム角を表示して警報を鳴らす」(同第2頁右下欄下から5行目?第3頁左上欄第11行目)の記載がある。
これらの記載及び図面等を参酌すると、甲第4号証には、
「農作業機において、傾斜センサ46が±20度を越すと警報を鳴らして傾きを表示し、手動昇降スイッチ60を下げ側で作業中にリフトアーム角センサ47の検出値が上限設定値まで上昇すると、リフトアーム角を表示して警報を鳴らすモニタ装置」が記載されているものと認められる。
(5)異議申立人溝畑典宏が提出した甲第5号証(特開平2-60853号公報)には、
(L)「障害物検出手段と表示手段及び/又は発声手段を有し、車体と障害物との距離に応じて異なる表示及び/又は発声を行うことを特徴とする自動車用ディスプレイ装置。」(公報特許請求の範囲の欄)の記載があり、この記載と図面等を参酌すると、甲第5号証には、
「自動車が障害物に近づいたときに接近した距離に応じて異なる表示と発声をする」点が記載されているものと認められる。
(6)異議申立人溝畑典宏が提出した甲第6号証(特開昭60-136900号公報)には、
(M)「第1図中、1は油圧ショベル等の作業機械に加えられる負荷の大きさを検出する検出器で、この検出器1は負荷が所定値以上になると出力信号2を発する。・・・4は警報音を発する音の警報器・・・6は警報光を発する光の警報器」(公報第1頁右下欄第6?14行目)の記載があり、この記載と図面等を参酌すると、甲第6号証には、
「作業機械の作業時における負荷状態の異常を警報音及び警報光により作業者に知らせることのできる警報装置」が記載されているものと認められる。
(7)異議申立人井関農機株式会社が提出した甲第1号証(特開昭62-4652号公報)には、
(N)「(1)自動車における入力スイッチと情報表示部とを一体化したキー入力表示一体化装置であって、文字および図形がともに表示可能な表示装置と、前記表示装置の表示面上に配設され、情報を入力するための透明タッチキーと、前記透明タッチキーを介して入力された情報の内容を検出するスイッチ情報検出手段と、前記スイッチ情報検出手段からの検出情報に応答して対応する画像を前記表示装置の表示面上表示する第1の表示制御手段と、前記スイッチ情報検出手段からの検出情報が外部の装置の制御を指示しているとき、その外部装置へ制御信号を伝達し、かつその外部装置からその制御状態を示す信号を受けて前記表示装置の表示面へその制御状態を表示する第2の表示制御手段と、外部から与えられる異常状態検出信号に応答して前記表示装置の表示面上へ対応する警告画像を表示する第3の表示制御手段と、前記異常状態検出信号に応答して警告音を発生する警告装置とを備えるキー入力表示一体化装置。
(2)前記第3の表示制御手段が表示する警告画像は文字、図形およびその組合わせのいずれかを用いて構成される、特許請求の範囲第1項記載のキー入力表示一体化装置。
(3)前記異常状態検出信号は、自動車内のランプ断線状態、排気音度高温度状態(「排気温度」の誤記)、ドア開度状態、ブレーキ異常状態、エンジンオイル異常状態、電圧異常状態、ラジエータ異常状態、燃料異常状態、ウオッシャ液異常状態、シートベルト異常状態、タイヤ空気圧異常状態および外部装置の制御回路の異常状態を検出する信号である、特許請求の範囲第1項または第2項記載のキー入力表示一体化装置。
(5)前記警告画像の表示は、前記異常状態検出信号が発生された後予め定められた時間だけ前記表示装置の表示面上へその警告画像を表示し、前記予め定められた時間経過後その警告画像表示以前の表示状態に戻るように行なわれる、特許請求の範囲第1項ないし第4項のいずれかに記載のキー入力表示一体化装置。
(8)前記第3の表示制御手段は、エンジン始動を示すイグニションスイッチ信号に応答して、イグニションがオフからオンになったなった(「なった」の誤記)とき異常状態にある外部装置を予め定められた時間ずつ順次警告表示してゆく、特許請求の範囲第1項または第4項記載のキー入力スイッチ表示一体化装置。」(公報特許請求の範囲の欄の抜粋)の記載がある。
これらの記載及び図面等を参酌すると、甲第1号証には、
「車輛の各部に設けるセンサおよびスイッチと、車輌の運転状態、及び車輌の異常の有無を判断するスイッチ入力および表示制御回路と、該スイッチ入力および表示制御回路によって表示内容を指令されるキャラクタ、又はパターン表示装置、及びブザーとを備える車輌において、前記スイッチ入力および表示制御回路は、センサの検出信号に基づいて表示装置の表示内容を適宜変更し、車輌の異常が検出された時は異常内容を予め定められた時間表示すると共にブザーを作動させてオペレータに警報するようになす車輌のモニター装置」が記載されているものと認められる。
(8)異議申立人井関農機株式会社が提出した甲第2号証の1(特開昭61-193946号公報)には、
(O)「次いで、異常があったか否かの判断がなされる。(第2図ステップS6)。異常があった場合には時間T1に亘って警告音が発せられる(第2図ステップS7,S8)。」(公報第2頁左下欄第9?12行目)の記載があり、この記載と図面等を参酌すると、甲第2号証の1には、
「自動車において、異常があった場合には時間T1に亘って警告音が発せられる診断装置」が記載されているものと認められる。
(9)異議申立人井関農機株式会社が提出した甲第2号証の2(特公平4-68590号公報)には、
(P)「農機の自動制御装置が不調になったことを操縦者が発見した場合、作業を中断してチェック用入力ポートをONとなし、各駆動部と対応する検出器の検出手段の検出状態を順次変化させる。この時、検出器と制御部との間に故障がない場合は診断ソフトに入力され、該診断ソフトから警報器に正常であることを示す信号が入力されて警報器が所定の短い時間だけ作動し、」(公報第3欄第3?10行目)、及び
(Q)「作業機の駆動部に対応する検出器を設け、検出器の検出信号を入力とする制御部の出力信号により作業機を制御するようにした農機において、前記制御部にチェック用入力ポートを付設すると共に警報器に通ずる診断ソフトを挿入し、該診断ソフトを、チェック用入力ポートがONの状態で前記検出器の検出信号を変化させてそれが正常であると所定の短時間だけ警報器に出力するように構成したので、操縦者が農機の自動制御装置に何らかの故障があると判断した時、チェック用入力ポートIN0をONにするだけで、チェック装置を介装しなくとも検出器の検出信号を変化させると、制御部から検出器までが正常であると警報器が作動し、それらが故障していると警報器が作動せず、」(公報第5欄第23行目?第6欄3行目)の記載がある。
これらの記載及び図面等を参酌すると、甲第2号証の2には、
「農機の自動制御装置が不調になったことを操縦者が発見した場合、警報器に通ずる診断ソフトを挿入し、該診断ソフトを、チェック用入力ポートがONの状態で前記検出器の検出信号を変化させてそれが正常であると所定の短時間だけ警報器に出力するように構成した」点が記載されているものと認められる。
(10)異議申立人井関農機株式会社が提出した甲第3号証(特開昭58-84310号公報)には、
(R)「この診断装置(60)は中央処理装置(61)、診断プログラム記憶回路(62)、及び故障表示機構(63)とから構成されており、前記マイクロコンピュータ(15)に各制御におけるセンサー信号や操作信号に代えて予め記憶させてある各チェック項目の模擬信号を順次的に入力し、この模擬信号に応答する出力をモニターし、この応答出力を予め記憶しておいて適正出力データと比較して異常の有無を判別し、異常があれば、表示機構(63)に各チェック項目ごとに装備してあるランプ群(64)・・・のうちの該当する項目のものを点灯表示するように構成されている。」(公報第4頁右下欄第10行目?第5頁左上欄1行目)の記載があり、この記載と図面等を参酌すると、甲第3号証には、
「移動農機において、異常があれば、表示機構(63)に各チェック項目ごとに装備してあるランプ群(64)のうちの該当する項目のものを点灯表示する故障診断装置(60)」が記載されているものと認められる。
(11)異議申立人井関農機株式会社が提出した甲第4号証(特開平5-338467号公報)には、
(S)「【0003】【課題を解決するための手段】この発明は、車速や動力取出軸の回転数のような通常表示すべき事項を文字表示する通常画面表示と、スタート時や運転中においてオペレータに対する指導乃至確認事項を文字表示する割込画面表示とを行うことができ、かつ、エンジン始動条件が満たされていないときオペレータの指導事項乃至確認事項を表示する文字表示装置1を、メータパネル2に設けてなるトラクタ等のメータパネルの構成とする。
【0004】【作用、及び発明の効果】エンジン始動時に、始動条件が整っているときは、メータパネル2の文字表示装置1には、通常画面表示の事項や割込画面表示の事項等は表示されないで、エンジンの始動が行われる。又、エンジン始動後の回転を上げて車体の走行に入ると、車速が文字表示装置1に表示され、又、動力取出軸が出力されると、この動力取出軸の回転数も表示されることとなる。
【0005】エンジン始動条件が整っていないときは、エンジンの始動は行われず、割込画面表示によって、オペレータに対する指導事項乃至確認事項が、該文字表示画面に表示される。このため、オペレータは、この文字表示画面に表示される指導事項に従って点検、操作を行えば、エンジンの始動を行うことができることとなり、操作を迅速、的確に行うことができる。」(公報段落【0003】?【0005】)、及び
(T)「【0021】割込画面として文字表示装置1に表示される事項として、スタート時に表示されるもの、運転中に表示されるもの、異常表示されるもの等がある。このうちスタート時に表示されるものは、図10D?Gで、諸条件にもとづき表示され、条件が解除されるまで点滅表示する。これらの事項は、表示に従って、オペレータを指導する。
【0022】運転中に表示されるものとして、図11Hの表示は、フューエルセンサ条件にもとづき表示され、条件が解除されたとき、及び、リセットスイッチが押されるまで点滅表示する。又、この表示時は、表示切換え時一定時間ブザーを出力する。又、図11H-Aの表示は、条件にもとづき、一定時間点滅表示する。又、上記同様に一定時間ブザーを出力する。このような事項は、表示に従って、オペレータを指導する。
【0023】運転中に表示されるものとして、図12I?Lの表示がある。モード切換スイッチによって判断して、スイッチ入力が変化したとき一定時間表示する。但し、Lの「フルタイムスイッチ?」については、リセットスイッチが押されるまで表示を継続する。これら各表示は、オペレータが確認する。異常表示として、図13M?Sがあるが、通信により送られてくる異常情報にもとづき表示され、リセットスイッチが押されるか、又は異常状態が解除されるまで表示する。表示は点滅される。この表示もオペレータが確認する。」(同段落【0021】?【0023】)の記載がある。
これらの記載と図面等を参酌すると、甲第4号証には、
「車輛の各部に設けるセンサと、車輌の運転状態、及び車輌の異常の有無を判断するメータBOX・コントロールボックスと、該メータBOX・コントロールボックスによって表示内容を指令されるキャラクタ、又は文字表示装置1、及びブザーとを備える作業車輌において、前記メータBOX・コントロールボックスは、センサの検出信号に基づいてキャラクタ、又は文字表示装置1の表示内容を適宜変更し、
(1)始動時に始動条件が整っているときは、メータパネルの文字表示装置1には、通常画面表示の事項や割込画面表示の事項等は表示されないで、
(2)エンジン始動条件が整っていないときは、エンジンの始動は行われず、割込画面表示によって、オペレータに対する指導事項乃至確認事項が、該文字表示画面に表示され、条件が解除されるまで、異常内容の表示と共に一定時間ブザーを作動させてオペレータに警報するようになす、
作業車輌のメータパネル」が記載されているものと認められる
4.対比・判断
(4-1)明細書中において、従来技術として掲げた公報の技術内容について一部不十分な記載があるものの、本件考案の目的、構成及び効果は不明りょうであると認められず、したがって、明細書の記載に誤りがあるとまではいえないものと認められる。また、本件考案は、上記II.2に記載した理由でもって上記II.1の訂正により、明りょうになった。したがって、考案の詳細な説明の欄に記載不備があるとは認められない。
(4-2)次に、本件考案と、当審が取消理由に引用した引用例1,2、異議申立人溝畑典宏が提出した甲第3?6号証、及び異議申立人井関農機株式会社が提出した甲第1?4号証に記載された考案及び発明とをそれぞれ対比する。
引用例1,2及び上記甲各号証に記載された考案及び発明には、作業車輛のモニター装置として、いずれも本件考案の構成に欠くことができない事項である「表示内容を切換変更するにあたっては、車輌の運転状態が変化した時は切換わる表示と同時に所定の短時間にわたってホーンを作動させ、オペレータに表示内容の変更があることを報知するようになし、車輌の異常が検出された時は異常内容の表示と共に断続的又は連続的にホーンを作動させてオペレータに警報するようになす」点が記載されていない。
そして、本件考案は、上記構成に欠くことができない事項により、明細書の段落【0005】記載の「オペレータは表示器の表示内容に変更があることをホーンによる聴覚的手段によって二次的に知り、ホーンが鳴れば表示器に視線を移しその内容を確認することができる。そのため、オペレータは表示器に度々視線を移し、車輌の状態を常に監視するといった煩わしさから開放され、しかも、車輛の運転状態等を必要に応じて、またホーンによって注意を喚起された時に、表示器にて確認するだけで常に適切な対応を即座にとることができる。」、及び段落【0011】記載の「作業中において、エンジンオイルが不足したり、オルタネータに故障が発生した場合は、・・・CPUが異常箇所の表示と、”NG”の表示指令を出力し、この場合は異常が取り除かれるまで、異常内容の表示と共にホーン15が断続的に、又は連続的に作動して、オペレータに異常発生を緊急通報する。従って、オペレータは表示器14に基づいて異常箇所を知り、さらに作業を中断して適切な対応を取ることができる。」という顕著な効果等を奏するものと認められる。
したがって、本件考案は、当審が取消理由に引用した引用例1,2、異議申立人溝畑典宏が提出した甲第3?6号証、及び異議申立人井関農機株式会社が提出した甲第1?3号証に記載された考案から当業者が容易に考案できたものとは認められない。
また、本件考案は、異議申立人井関農機株式会社が提出した甲第4号証の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であるとも認められない。
5.むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立人が主張する理由及び提出した証拠によっては本件考案の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件考案についての実用新案登録は拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものとは認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
作業車輌のモニター装置
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 車輌の各部に設けるセンサと、車輌の運転状態、及び車輌の異常の有無を判断するコントローラと、該コントローラによって表示内容を指令されるキャラクタ、又はパターン表示器、及びホーンとを備える作業車輌において、前記コントローラは、センサの検出信号に基づいて表示器の表示内容を適宜変更し、さらに表示内容を切換変更するにあたっては、車輌の運転状態が変化した時は切換わる表示と同時に所定の短時間にわたってホーンを作動させ、オペレータに表示内容の変更があることを報知するようになし、車輌の異常が検出された時は異常内容の表示と共に断続的又は連続的にホーンを作動させてオペレータに警報するようになす作業車輌のモニター装置。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、作業車輌のモニター装置に係り、詳しくはコンバイン、田植機、トラクタ等の作業車輌にあって、キャラクタ、又はパターンを表示する表示器を用いて案内・指示・警報等を行う装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車輌の運転状態、或いは車輌各部の異常をオペレータに報知する手段として、ホーン、或いは音声発生装置等の音響をもって報知するものが知られている。同様に、ランプ等の視覚的な表示装置をもってオペレータに報知するものが知られている。
また、後者の視覚的な表示装置として、例えば実開昭60-122242号公報、或いは実開昭58-142152号公報等に記載されているように、キャラクタ、或いはパターンをもって表示器を構成するものが知られている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
前記した報知手段のうち前者の音響報知手段は、車輌各部に発生した異常を聴覚的に訴える点で、比較的確実にその旨をオペレータに報知できる利点がある。しかし、定常の運転状態を案内・指示する場合等において、毎回同じ音声が発声されると熟練したオペレータにとっては、逆に耳障りとなり好ましくない。
しかも、この報知手段では、車輌各部の運転状態を例えば、デジタル、又はアナログ的な量として伝えることは困難である。
一方、後者の表示手段は、視覚的に報知するものであるから、必要に応じてオペレータが表示器を見ればそれを確認でき、上記した煩わしさがないという利点がある。しかも、キャラクタ、或いはパターンをもって表示器を構成すれば、車輌各部の運転状態をデジタル、又はアナログ的な量として比較的容易に伝えることができる利点がある。しかし反面、この報知手段はオペレータが表示器を目視しない限り報知できないという致命的な欠点があり、例え、これを解消するために表示部を大きくしたり、オペレータの視線上に表示器を設けるといった工夫を施しても、この欠点を完全にカバーすることができないという問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで本考案は、視覚的に報知する表示器の優位性を生かしながら、その問題点を解消するモニター装置を提供することを目的とするものであって、車輌の各部に設けるセンサと、車輌の運転状態、及び車輌の異常の有無を判断するコントローラと、該コントローラによって表示内容を指令されるキャラクタ、又はパターン表示器、及びホーンとを備える作業車輌において、前記コントローラは、センサの検出信号に基づいて表示器の表示内容を適宜変更し、さらに表示内容を切換変更するにあたっては、車輌の運転状態が変化した時は切換わる表示と同時に所定の短時間にわたってホーンを作動させ、オペレータに表示内容の変更があることを報知するようになし、車輌の異常が検出された時は異常内容の表示と共に断続的又は連続的にホーンを作動させてオペレータに警報するように構成する。
【0005】
【作用】
車輌の各部に設けるセンサは、車輌の運転状態、或いは車輌の異常の有無を検出し、コントローラにその検出信号を伝達する。そして、コントローラはセンサからの信号に基づき、キャラクタ、又はパターン表示器に表示指令を出し、表示器は車輌の運転状態を案内したり、又は車輌の異常をオペレータに警報する。
この場合、車輌の運転状態が変化すると、コントローラは同時に、ホーンを所定の短時間にわたって作動させ、その旨報知する。それ故、オペレータは表示器の表示内容に変更があることをホーンによる聴覚的手段によって二次的に知り、ホーンが鳴れば表示器に視線を移しその内容を確認することができる。
そのため、オペレータは表示器に度々視線を移し、車輌の状態を常に監視するといった煩わしさから開放され、しかも、車輌の運転状態等を必要に応じて、またホーンによって注意を喚起された時に、表示器にて確認するだけで常に適切な対応を即座にとることができる。
一方、車輌の異常が検出されると、キャラクタ、又はパターン表示器に異常内容を表示すると共にホーンを断続的に、又は連続的に作動させて、オペレータに異常発生を緊急通報する。
【0006】
【実施例】
本考案の実施例を図面に示すコンバインに基づいて説明すると、図1においてコンバイン1は、クローラ走行装置2を有する機体3の前部に前処理装置4を上下昇降自在に架設する。また、その後方の機体3上には脱穀装置5を搭載し、機体3の右側には前部より順に操縦部6、穀粒排出オーガー7を有する穀粒タンク8等を搭載する。
そして、操縦部6は図2に示すように操縦席9を備え、操縦席9下方の機体フレーム上には、ディーゼルエンジン(図示せず)を搭載する。また、ステップ10を挟んで前部右側には、機体の左右操向、及び前処理装置4の昇降操作を行うマルチレバー11、及びその下方の操作コラムにはキースイッチ12を設ける。
さらに、操縦席9左側のサイドパネル13の前部には、コンバインのモニター装置を構成する表示器14と、ホーン15、及び脱穀回転計16をそれぞれ設け、後部には走行変速レバー17、脱穀クラッチレバー18、刈取クラッチレバー19、扱深さ制御,方向制御,機体水平制御等の自動手動切換スイッチ20・、及び左右のクローラ装置2を手動で上下昇降させるクロスレバー21等を設けている。
【0007】
次に、コンバインのモニター装置の概要を、図3に示す制御ブロック図に基づいて説明すると、コントローラを構成するマイクロコンピュータユニット22は例えば、機体のサイドパネル13内に設けられ、周知のCPU,RAM,ROM等から構成する。
そして、マイクロコンピュータユニット22の入力ポートには、前記したキースイッチ12と、ディーゼルエンジンの予熱を行うグロータイマの出力23を接続する。また同様に、エンジンオイルの有無を検出するオイルプレッシャスイッチ24、オルタネータのL端子出力25、機体の左右傾斜を検出する傾斜センサ26、及びクロスレバー21の各スイッチ27a・・27d等を入力ポートに接続する。
さらに、マイクロコンピュータユニット22の出力ポートには、表示装置のドライバ28(専用のマイクロコンピュータ等によって構成される)を接続し、ドライバ28は、マイクロコンピュータユニット22の出力指令に基づき、表示器14に指令されたキャラクタ、又はパターンを表示する。また、出力ポートにはホーン15、及び電磁ソレノイド29…を接続し、電磁ソレノイド29・・は左右のクローラ装置2,2を昇降駆動する油圧シリンダ30,30の切換弁31,31に付設する。
【0008】
なお、表示器14としては、蛍光表示するVFD(Vacuum Fluorescent Disp-lays)を用い、キャラクタ表示とパターン表示を切り換えるように使用するが、例えばLED(Light Emitting Diode)、LCD(Liquid CrystaI Display)等のキャラクタ、或いはパターンを表示できる表示器を使用してもよく、或いはコスト的に許せばこれらを相互に組み合わせて表示器を構成することもできる。
そして、好ましくは機体の左右傾斜を表示する場合、図4に示すように機体の傾斜状態をアナログ的に表示する表示面14a、デジタル的に傾斜度合いを表示する表示面14b、及びメッセージ等を表示するキャラク表示面14c等を一連に表示できるものが望ましい。また、ホーン15に代わるものとして、例えばブザー等を使用することも支障がない。
【0009】
一方、図5、及び図6はモニター制御のフローチャートの一例を示し、メイン電源スイッチとなるキースイッチ12が投入されると、マイクロコンピュータユニット22、ドライバ28、及び表示器14は稼働状態になり、CPUはイニシャルセットを行った後、モニター制御を実行する。なお、イニシャルセットにおいてそれぞれのフラグはリセットされる。
そして、モニター制御はキースイッチ12の状態検出から開始され、キースイッチ12がOFFからONに切り換わると、CPUはグローコイルによってディーゼルエンジンが予熱されるものと判断し(グローコイルはキースイッチのONにより別途グロータイマを介して所定時間通電される)、この旨をドライバ28に出力指令する。また、ドライバ28はその指令信号に基づき、表示器14に”グロー”のキャラクタ表示をなさしめる。そして、キースイッチ12の投入後、所定時間を経過するとグローコイルによる予熱は終了し、グロータイマ23がタイムアップしてCPUに信号を入力する。そこで、CPUはグロー表示のループを抜け出し、ドライバ28にグロー完了の表示指令を出す。
なお、CPUがドライバ28に対して、夫々”グロー”、”グロー完了”の表示を指令するとき、CPUは同時にホーン15に対して、例えば0.2秒程度の短時間にわたる作動指令を出し、表示器14の表示内容が変更されることをオペレータに報知する。
【0010】
さらに、ホーン15の喚起音に基づいて表示器14を確認し、グロー完了の表示を認めれば、オペレータはキースイッチ12をエンジン始動位置に投入する。これによりスタータモ一夕(図示せず)は駆動し、エンジンが始動する。また、エンジンが始動すると、オルタネ一夕のL端子電圧は所定電圧以上となり、CPUはエンジンが回転中であると判断する。
そして、CPUがエンジン回転中であると判断すると以後、オイルプレッシャスイッチ24、オルタネ一夕のL端子電圧25の入力信号に基づき、エンジンオイルが不足していないか、バッテリヘのチャージが適正になされているか否かを診断し、夫々”エンジンオイル”は、”OK”又は”NG”、そして”チャージ”は、”OK”又は”NG”の表示指令が出力される。
また、以上のステップにおいて、CPUは、”エンジンオイル”及び”チャージ”の表示指令を出すと同時に、ホーン15に対して0.2秒間の作動指令を出力し、それに引き続く関連する”OK”又は”NG”の表示指令においては、特に作動指令を出さない。
さらに、グロー表示、及びエンジンオイル等の診断表示が終了すると、CPUは傾斜センサ26の出力信号に基づき、機体の左右傾斜量をドライバ28に出力し、ドライバ28は機体の左右傾斜度合いを表示器14に対してアナログ、又はデジタル表示させる。
【0011】
そして、以上説明したエンジン始動前後における運転状態の表示、異常の診断表示を終了すると、CPUはキースイッチが再度オフからオンに変化するまで、またエンジンが停止するまで、エンジンオイル、及びバッテリのチャージを常時監視し、夫々異常がなければ傾斜センサ26の検出値のみをドライバ28に出力する。また、この定常状態においては、表示器14に対する表示内容に変更がないため、CPUはホーン14に作動指令を出力しない。
また、湿田等において機体が左右の一方に傾く場合、オペレータは表示器14に表示される傾斜度合いを参考にして機体を水平に維持するように手動操作を行う。そして、機体の水平制御は、操縦部6に設けるクロスレバー21を操作することにより行い、クロスレバー21の各スイッチ27a・・27dがオンとなると、CPUはそれに基づいて電磁ソレノイド31の一方、又は両方を作動させてクローラ走行装置2を上下昇降させる。
さらに、作業中において、エンジンオイルが不足したり、オルタネ一夕に故障が発生した場合は、それぞれオイルプレッシャスイッチのオフ、又はオルタネータのL端子電圧の降下に基づいて、CPUが異常箇所の表示と、”NG”の表示指令を出力し、この場合は異常が取り除かれるまで、異常内容の表示と共にホーン15が断続的に、又は連続的に作動して、オペレータに異常発生を緊急通報する。従って、オペレータは表示器14に基づいて異常箇所を知り、さらに作業を中断して適切な対応を取ることができる。
【0012】
【考案の効果】
以上説明したように本考案は、車輌の各部に設けるセンサの信号に基づいて、コントローラ(マイクロコンピュータユニット)が、常に適切な表示を表示器に指令し、また、表示器はそれによりキャラクタ、又はパターンにより分かり易い案内、指示、又は警報を行う。しかも、コントローラは、車輌の運転状態が変化して表示内容に変更がある場合には表示の切換変更と同時に、所定の短時間にわたってホーンを作動させ、オペレータに表示内容の変更があることを報知する。それ故、オペレータはホーンによって注意を喚起され表示器をいち速く確認することができて、適切かつ迅速な対応をとることができる。
一方、車輌の異常が検出されると、コントローラは異常内容の表示と共に断続的に、又は連続的にホーンを作動させ、オペレータに異常発生を緊急通報する。従って、オペレータは表示器に基づいて異常箇所を知り、さらに作業を中断して適切な対応を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
コンバインの斜視図である。
【図2】
操縦部の平面図である。
【図3】
制御装置のブロック図である。
【図4】
表示画面の一例を示す正面図である。
【図5】
モニター制御のフローチャート図である。
【図6】
モニター制御の続きのフローチャート図である。
【符号の説明】
12キースイッチ(センサ)
14表示器
15ホーン
22コントローラ(マイクロコンピュータユニット)
23グロータイマ出力(センサ)
24オイルプレッシャスイッチ(センサ)
25オルタネータのL端子出力(センサ)
26傾斜センサ
訂正の要旨 訂正の要旨
(1)実用新案登録請求の範囲に関する訂正
「【請求項1】車輌の各部に設けるセンサと、車輌の運転状態、/及び車輌の異常の有無を判断するコントローラと、該コントローラによって表示内容を指令されるキャラクタ、又はパターン表示器、及びホーンとを備える作業車輌において、前記コントローラは、センサの検出信号に基づいて表示器の表示内容を適宜変更し、さらに表示内容を切換変更するにあたっては、切換わる表示と同時に所定の短時間にわたってホーンを作動させ、オペレータに表示内容の変更があることを報知するようになす作業車輌のモニター装置。」を明りょうでない記載の釈明と実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項1】車輌の各部に設けるセンサと、車輌の運転状態、及び車輌の異常の有無を判断するコントローラと、該コントローラによって表示内容を指令されるキャラクタ、又はパターン表示器、及びホーンとを備える作業車輌において、前記コントローラは、センサの検出信号に基づいて表示器の表示内容を適宜変更し、さらに表示内容を切換変更するにあたっては、車輌の運転状態が変化した時は切換わる表示と同時に所定の短時間にわたってホーンを作動させ、オペレータに表示内容の変更があることを報知するようになし、車輌の異常が検出された時は異常内容の表示と共に断続的又は連続的にホーンを作動させてオペレータに警報するようになす作業車輌のモニター装置。」と訂正する。
(2)考案の詳細な説明に関する訂正
(2-1)明細書中の段落「0004」の記載において、「・・・/及び・・・切換わる表示と同時に所定の短時間にわたってホーンを作動させ、オペレータに表示内容の変更があることを報知するように・・・」を明りょうでない記載の釈明を目的として、
「・・・及び・・・車輌の運転状態が変化した時は切換わる表示と同時に所定の短時間にわたってホーンを作動させ、オペレータに表示内容の変更があることを報知するようになし、車輌の異常が検出された時は異常内容の表示と共に断続的又は連続的にホーンを作動させてオペレータに警報するように・・・」と訂正する。
(2-2)明細書中の段落「0005」の記載において、「・・・車輌の運転状態が変化したり、或いは車輌の異常が検出されると、・・・ことができる。」を明りょうでない記載の釈明を目的として、
「・・・車輌の運転状態が変化すると、・・・ことができる。一方、車輌の異常が検出されると、キャラクタ、又はパターン表示器に異常内容を表示すると共にホーンを断続的に、又は連続的に作動させて、オペレータに異常発生を緊急通報する。」と訂正する。
(2-3)明細書中の段落「0012」の記載において、「・・・コントローラは、・・・ことができる。」を明りょうでない記載の釈明を目的として、「・・・コントローラは、車輌の運転状態が変化して・・・ことができる。一方、車輌の異常が検出されると、コントローラは異常内容の表示と共に断続的に、又は連続的にホーンを作動させ、オペレータに異常発生を緊急通報する。従って、オペレータは表示器に基づいて異常箇所を知り、さらに作業を中断して適切な対応を取ることができる。」と訂正する。
異議決定日 2001-02-15 
出願番号 実願平5-15504 
審決分類 U 1 651・ 16- YA (B60K)
U 1 651・ 121- YA (B60K)
U 1 651・ 531- YA (B60K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 河端 賢  
特許庁審判長 藤田 豊比古
特許庁審判官 西川 恵雄
西野 健二
登録日 1999-10-08 
登録番号 実用新案登録第2601944号(U2601944) 
権利者 三菱農機株式会社
島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地1
考案の名称 作業車輛のモニター装置  
代理人 北村 修一郎  
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