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審決分類 審判 全部申し立て   F01K
管理番号 1039514
異議申立番号 異議1999-71543  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-04-22 
確定日 2001-04-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第2583428号「加圧流動床ボイラを備えた発電プラント」の請求項1ないし2に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2583428号の請求項1ないし2に係る実用新案登録を取り消す。
理由 I、手続の経緯
本件実用新案登録第2583428号に係る考案についての出願は、平成5年1月7日に実用新案登録出願され、平成10年8月7日にその実用新案権の設定登録がなされ、その後、請求項1及び2に係る実用新案登録について登録異議の申立てがなされ、これに対して平成11年8月16日付けで取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成11年11月2日に訂正請求書及び意見書の提出がなされ、平成11年12月2日付けで訂正拒絶理由が通知され、その指定期間内である平成12年2月10日に意見書の提出がなされ、平成12年9月7日に再度の訂正拒絶理由が通知され、その指定期間内である平成12年11月9日に意見書の提出がなされたものである。

II、訂正の要旨
上記訂正請求は、本件実用新案登録明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めたものであるが、その要旨は次の(あ)?(う)のとおりである。
(あ)、実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし2の記載を、
「【請求項1】 加圧流動床ボイラ、前記加圧流動床ボイラのSO_(2) を含有する生成ガスで駆動されるガスタービン、及び前記ガスタービンの出口に接続された排ガス系統に設置された排熱回収熱交換器とアンモニアが注入された排ガスが流過する脱硝触媒が充填された脱硝装置を備えた加圧流動床ボイラを備えた発電プラントにおいて、前記ガスタービンの出口に接続された排ガス系統に、ともに前記加圧流動床ボイラの給水を加熱する上流側の第1の排熱回収熱交換器と下流側の第2の排熱回収熱交換器を設け、前記排ガス系統の前記両排熱回収熱交換器の間に脱硝装置を設置し、前記給水を前記第2の排熱回収熱交換器から前記第1の排熱回収熱交換器に流すとともに、前記第2の排熱回収熱交換器から前記第1の排熱回収熱交換器に流入し同第1の排熱回収熱交換器を通過する給水量を制御するように構成したことを特徴とする加圧流動床ボイラを備えた発電プラント。
【請求項2】前記脱硝装置の入口の排ガスの温度を検出する温度計及び前記温度計の信号によって制御され前記第1の排熱回収熱交換器を通過する加圧流動床ボイラの給水量を制御して排ガスからの熱吸収量を制御する手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の加圧流動床ボイラを備えた発電プラント。」と訂正する
(い)、明細書段落【0012】中の「前記排ガス系統の前記両排熱回収熱交換器の間に脱硝装置を設置した」の記載を、「前記排ガス系統の前記両排熱回収熱交換器の間に脱硝装置を設置し、前記給水を前記第2の排熱回収熱交換器から前記第1の排熱回収熱交換器に流すとともに、前記第2の排熱回収熱交換器から前記第1の排熱回収熱交換器に流入し同第1の排熱回収熱交換器を通過する給水量を制御するように構成した」と訂正する。
(う)、明細書段落【0027】中の「脱硝装置入口の排ガス温度を最適値にすることができるので、」の記載を、「第1の排熱回収熱交換器に流入してこれを通過する給水量を制御して脱硝装置入口の排ガス温度を最適値にすることができるので、」と訂正する。

III、訂正の適否についての判断
III-1、訂正の目的
上記訂正事項の(あ)は、実用新案登録請求の範囲を減縮することを目的とし、上記訂正事項(い)及び(う)は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものと認める。

III-2、独立特許要件について
III-2-A、訂正考案
平成11年11月2日付け訂正明細書の請求項1ないし2に係る考案のうち、請求項1に係る考案(以下「訂正考案1」という。)は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された前記「II-(あ)」のとおりのものと認められる。

III-2-B、先願明細書記載の発明
訂正考案1に対して、平成12年9月7日付け訂正拒絶理由で引用した、本件実用新案登録の出願の日前の出願であって、その出願後に出願公開された特願平4-178472号(特開平6-17607号、甲第1号証)の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「先願明細書」という。)には、以下の記載がある。
第2頁左欄第16?17行に「【産業上の利用分野】本発明は、加圧流動層ボイラ複合発電設備に係り、」、
第2頁左欄第40?50行に「【0005】環境保全から排ガス中の窒素酸化物を除去する触媒脱硝装置17を設置する必要がある。その設置位置としては、触媒脱硝装置17の性能にとって適正な排ガス温度となる位置が設計上求められるが、それにはガスタービン4から排出した排ガスを排ガス熱回収熱交換器である排ガスクーラー16を設置して冷却し、ガス温度が設計上適正な温度となるようにした後、触媒脱硝装置17にガスが導かれるように設置する必要がある。即ち、図3に示されるように排ガスクーラを2分割して高温排ガスクーラ16と低温排ガスクーラー19とし、その間に触媒脱硝装置17を設置する。」、
第2頁右欄第37行?第3頁左欄第3行に「図1に本発明の実施例を示す。空気圧縮機6で圧縮された燃焼用空気は圧力容器7内の流動層ボイラ1に送られ、ここで燃料の燃焼に供される。燃焼により発生した熱の一部は流動層中に配置された蒸発器9,及び過熱器10にて蒸気発生に使われ、残りは排ガスの有する熱となって流動層ボイラ1よりガス配管2へ排出される。この高温排ガス(約860℃)はガス配管2、脱塵装置3を通ってガスタービン4に導かれ、ここで発電機5を駆動するための仕事をした後、ガスタービン出口ダクト8、高温排ガスクーラ16、脱硝装置17、低温排ガスクーラ19を経て煙突21から大気に排出される。
【0011】一方、起動時、及び低負荷時においては、蒸発器9の管内流速を所定以上に保つために蒸発器9の出口流体を気水分離器12で蒸気と水に分離して、水は循環水としてボイラ循環ポンプ13により昇圧後循環水流調整弁22、循環水配管14を経て、高温排ガスクーラ16の入口の給水に混合させる。」、
第3頁左欄第27行?同頁右欄第5行に「【0016】なお、循環水流量調整弁22及び排ガスクーラ循環水弁23を設けて、必要に応じて循環水を循環水配管14により高温排ガスクーラー16入口またはボイラ給水配管15の出口に流すようにすることも可能である。即ち、高負荷のように、循環水を高温排ガスクーラ16入り口導入すると却って脱硝入口ガス温度が低下して脱硝効率の低下を招く場合は排ガスクーラ循環水弁23を閉じ、循環水流量調整弁22を開け循環水を高温排ガスクーラ16の出口給水に混合させる。」
また、図2を参照すると、ガスタービン4の出口に接続された排ガス系統に、ともに前記加圧流動層ボイラ1の給水を加熱する上流側の高温排ガスクーラ16と下流側の低温排ガスクーラ19を設け、前記排ガス系統の前記両排ガスクーラの間に触媒脱硝装置17を設置し、前記給水を前記低温排ガスクーラ19から前記高温排ガスクーラ16に流す点が示されている。
上記の記載、及び図面の記載から、先願明細書には、以下の発明が記載されているものと認められる。
「加圧流動層ボイラ1、前記加圧流動層ボイラ1の生成ガスで駆動されるガスタービン4、及び前記ガスタービン4の出口に接続された排ガス系統に設置された排ガスクーラと排ガスが流過する脱硝触媒が充填された触媒脱硝装置17を備えた加圧流動層ボイラ1を備えた発電プラントにおいて、前記ガスタービン4の出口に接続された排ガス系統に、ともに前記加圧流動層ボイラ1の給水を加熱する上流側の高温排ガスクーラ16と下流側の低温排ガスクーラ19を設け、前記排ガス系統の前記両排ガスクーラの間に触媒脱硝装置17を設置し、前記給水を前記低温排ガスクーラ19から前記高温排ガスクーラ16に流すとともに、前記触媒脱硝装置17の入口の排ガスの温度を所定の温度に制御するように、気水分離器12で分離した水を、循環水流量調整弁23により、必要に応じて高温排ガスクーラー16入口に流し、低温排ガスクーラ19から流入する給水と混合して、前記高温排ガスクーラ16を通過する給水量を制御し、排ガスからの熱吸収量を制御するように構成した加圧流動層ボイラ1を備えた発電プラント。」

III-2-C、対比
訂正考案1と、上記先願明細書に記載された発明(以下、「先願発明」という。)とを対比する。
先願発明の「加圧流動層ボイラ1」、「排ガスクーラ」、「触媒脱硝装置17」、「高温排ガスクーラ16」、「低温排ガスクーラ19」は、それぞれ、訂正考案1の「加圧流動床ボイラ」、「排熱回収熱交換器」、「脱硝装置」、「第1の排熱回収熱交換器」、「第2の排熱回収熱交換器」に相当する。
したがって両者を対比すると、両者は、
〔一致点〕「加圧流動床ボイラ、前記加圧流動床ボイラの生成ガスで駆動されるガスタービン、及び前記ガスタービンの出口に接続された排ガス系統に設置された排熱回収熱交換器と排ガスが流過する脱硝触媒が充填された脱硝装置を備えた加圧流動床ボイラを備えた発電プラントにおいて、前記ガスタービンの出口に接続された排ガス系統に、ともに前記加圧流動床ボイラの給水を加熱する上流側の第1の排熱回収熱交換器と下流側の第2の排熱回収熱交換器を設け、前記排ガス系統の前記両排熱回収熱交換器の間に脱硝装置を設置し、前記給水を前記第2の排熱回収熱交換器から前記第1の排熱回収熱交換器に流すとともに、同第1の排熱回収熱交換器を通過する給水量を制御するように構成した加圧流動床ボイラを備えた発電プラント。」である点で一致しているが、
〔相違点1〕 加圧流動床ボイラで生成され、ガスタービンを駆動する生成ガスについて、訂正考案1では「SO_(2)を含有している」のに対して、先願発明では、それが明らかにされていない点、
〔相違点2〕 脱硝触媒が充填された脱硝装置を流過する排ガスについて、訂正考案1では「アンモニアが注入されている」構成を有しているのに対して、先願発明では、それが明らかにされていない点、
〔相違点3〕 脱硝装置の入口の排ガスの温度を所定の温度に制御することを目的として、訂正考案1では、「前記第2の排熱回収熱交換器から前記第1の排熱回収熱交換器に流入し同第1の排熱回収熱交換器を通過する給水量を制御するように構成した」構成を有しているのに対して、先願発明では、給水を第2の排熱回収熱交換器から第1の排熱回収熱交換器に流入しているが、「気水分離器12で分離した水を、循環水流量調整弁23により、必要に応じて高温排ガスクーラー16入口に流し、第2の排熱回収熱交換器から流入する給水と混合する」構成となっており、「前記第2の排熱回収熱交換器から前記第1の排熱回収熱交換器に流入し同第1の排熱回収熱交換器を通過する給水量を制御するようにした」構成を有していない点、
で一応相違している。

III-2-D、判断
〔相違点1〕について検討すると、訂正考案1と同様の流動床燃焼装置において、石炭、石灰石を混合して燃焼すると、その生成ガス中に残留SO_(2)を含有していることは、特開昭57-67707号公報、特開昭56-144310号公報等にも示されているとおり、技術常識であり、先願発明の生成ガスもSO_(2)を含有しているものと認められる。
〔相違点2〕について検討すると、訂正考案1と同様に、排ガスから窒素酸化物を除去する場合、排ガスにアンモニアを注入して脱硝触媒が充填された脱硝装置を流過させることは、たとえば「最新版 火力ハンドブック」1992年2月28日 株式会社電力新報社発行(甲第2号証)第616頁「c.排煙対策」の記載、及び「図5-2排煙脱硝装置の基本原理」の記載等があるように従来周知の事項であり、排ガスにアンモニアガスを注入することは、単なる周知手段の採用にすぎない。
〔相違点3〕について検討すると、排ガスを所定の温度に維持するよう熱交換器を設けるものにおいて、その熱交換器を通過する熱媒体の流量を制御する手段として、熱媒体の一部を熱交換器をバイパスさせることは、実願昭58-122179号(実開昭60-32678号)の願書に添付された明細書および図面の内容を撮影したマイクロフィルム、実願昭61-181087号(実開昭63-90709号)の願書に添付された明細書および図面の内容を撮影したマイクロフィルム等にも示されているとおり、本件実用新案登録の出願前に周知慣用の技術であるから、先願発明において、第2の排熱回収熱交換器からの給水の一部を第1の排熱回収熱交換器をバイパスさせる構成を採用して、訂正考案1のように「第2の排熱回収熱交換器から第1の排熱回収熱交換器に流入し同第1の排熱回収熱交換器を通過する給水量を制御するように」構成することは、単なる周知慣用手段の置換によって成しうるものであるので、上記〔相違点3〕は、課題解決のための具体化手段の、単なる構成の変更にすぎない。
以上のように、上記〔相違点1〕ないし〔相違点3〕は、実質上相違点と認めることができない。
したがって、訂正考案1は、先願明細書に記載された発明と同一と認められる。しかも、訂正考案1の考案者が上記先願明細書に記載された発明をした者と同一でなく、また、本件実用新案登録の出願の時において、その出願人が先願の出願人と同一でもない。
なお、実用新案権者は、平成12年11月9日付意見書において、先願明細書に記載された発明には、排ガス中に含有されたSO_(2)がSO_(3)に転換することを防止することは記載されていないと主張しているが、訂正考案1は、SO_(2)からSO_(3)への転換を防止することを目的とした温度目標値を考案の構成要件として設定しているものとは認められない。
また、排ガス中のSO_(3)とアンモニアとの化学反応によってできた酸性硫安が脱硝作用に害を与えること、及びその害を少なくするため排ガス中のSO_(3)を減少させることは、特表昭63-501031号公報第2頁左下欄第19行?同頁右下欄第19行の「NO_(X)用の従来の触媒反応器は、・・・・そのような毒作用の重要な原因の一つは、SO_(3)である。SO_(3)は一般的に酸化物触媒材料を硫酸塩化する。硫酸塩の形態では、触媒材料はその効果を失う。イオウ含有ガス内に存する酸化窒素を触媒反応器内のアンモニアガスによって還元する際に直面する他の中心的な問題点は、硫酸アンモニウム生成により起こるスチームボイラーのエアヒーターの腐食およびよごれである。」、第4頁左上欄第22行?同頁左下欄第6行の「【発明を実施するための最良の形態】・・・・SO_(3)の生成は実際上零である。それにより、触媒の毒作用が回避される。」等の記載もあり、従来周知の事項と認められ、また、SO_(2)からSO_(3)への転換速度は温度が高いほど大きいことも、「化学辞典」1981年10月30日森北出版株式会社発行第673頁「接触式硫酸製造方法」の項に記載されており、温度を下げることによって、SO_(2)からSO_(3)への転換率を下げようとすることも格別のこととみることができない。

III-2-E、むすび
以上のとおりであるから、訂正考案1は、実用新案法第3条の2の規定により、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものである。
したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号。)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第3項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。

IV、実用新案登録異議の申立てについての判断
IV-1、本件考案1ないし2
本件実用新案登録第2583428号の実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし2に係る考案(以下「本件考案1ないし2」という。)は、以上のように明細書の訂正が認められないから、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし2に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 加圧流動床ボイラ、前記加圧流動床ボイラの生成ガスで駆動されるガスタービン、及び前記ガスタービンの出口に接続された排ガス系統に設置された排熱回収熱交換器とアンモニアが注入された排ガスが流過する脱硝触媒が充填された脱硝装置を備えた加圧流動床ボイラを備えた発電プラントにおいて、前記ガスタービンの出口に接続された排ガス系統に、ともに前記加圧流動床ボイラの給水を加熱する上流側の第1の排熱回収熱交換器と下流側の第2の排熱回収熱交換器を設け、前記排ガス系統の前記両排熱回収熱交換器の間に脱硝装置を設置したことを特徴とする加圧流動床ボイラを備えた発電プラント。
【請求項2】前記脱硝装置の入口の排ガスの温度を検出する温度計及び前記温度計の信号によって制御され前記第1の排熱回収熱交換器を通過する加圧流動床ボイラの給水量を制御して排ガスからの熱吸収量を制御する手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の加圧流動床ボイラを備えた発電プラント。」

IV-2、先願明細書記載の考案
本件考案1ないし2に対して、平成11年8月16日付け取消理由で、本件実用新案登録の出願の日前の出願であって、その出願後に出願公開された特願平4-178472号(特開平6-17607号、甲第1号証)の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下「先願明細書」という。)を引用した。
上記先願明細書は、前記「III-2-B」に記載した明細書と全く同じ明細書であり、上記先願明細書には、前記「III-2-B」に記載した発明が記載されている。

IV-3、本件考案1について対比・判断
本件考案1と、上記先願明細書に記載された発明(以下、「先願発明」という。)とを対比する。
先願発明の「加圧流動層ボイラ1」、「排ガスクーラ」、「触媒脱硝装置17」、「高温排ガスクーラ16」、「低温排ガスクーラ19」は、それぞれ、本件考案1ないし2の「加圧流動床ボイラ」、「排熱回収熱交換器」、「脱硝装置」、「第1の排熱回収熱交換器」、「第2の排熱回収熱交換器」に相当する。
したがって両者を対比すると、両者は、
〔一致点〕「加圧流動床ボイラ、前記加圧流動床ボイラの生成ガスで駆動されるガスタービン、及び前記ガスタービンの出口に接続された排ガス系統に設置された排熱回収熱交換器と排ガスが流過する脱硝触媒が充填された脱硝装置を備えた加圧流動床ボイラを備えた発電プラントにおいて、前記ガスタービンの出口に接続された排ガス系統に、ともに前記加圧流動床ボイラの給水を加熱する上流側の第1の排熱回収熱交換器と下流側の第2の排熱回収熱交換器を設け、前記排ガス系統の前記両排熱回収熱交換器の間に脱硝装置を設置した加圧流動床ボイラを備えた発電プラント。」である点で一致しているが、
〔相違点4〕 脱硝触媒が充填された脱硝装置を流過する排ガスについて、本件考案1では「アンモニアが注入されている」構成を有しているのに対して、先願考案では、それが明らかにされていない点で一応相違している。
そこで、上記〔相違点4〕について検討すると、上記〔相違点4〕は、前記「III-2-C」の〔相違点2〕と一致する。したがって、上記〔相違点4〕は、前記「III-2-D」の〔相違点2〕に説示のとおり、実質上相違点と認めることができない。

IV-4、本件考案2について対比・判断
本件考案2と、上記先願発明とを対比する。本件考案2の記載は、請求項1に従属しており、本件考案2の構成から本件考案1の記述部分を除いた構成「前記脱硝装置の入口の排ガスの温度を検出する温度計及び前記温度計の信号によって制御され前記第1の排熱回収熱交換器を通過する加圧流動床ボイラの給水量を制御して排ガスからの熱吸収量を制御する手段を設けた」と、先願発明とを対比すると、両者は、
〔一致点〕「第1の排熱回収熱交換器を通過する加圧流動床ボイラの給水量を制御して排ガスからの熱吸収量を制御する手段を設けた」構成を有している点で一致しているが、
〔相違点5〕第1の排熱回収熱交換器を通過する加圧流動床ボイラの給水量を制御して排ガスからの熱吸収量を制御するに際して、本件考案2では、「脱硝装置の入口の排ガスの温度を検出する温度計及び前記温度計の信号」を用いているのに対して、先願発明では、この構成を有していない点で一応相違している。
そこで、上記〔相違点5〕について検討すると、排ガスからの熱吸収量を制御するため、排ガスを所定の温度に維持することが必要な個所(例えば脱硝装置)の入口の排ガスの温度を検出する温度計を設け、前記温度計の信号によって熱交換器を通過する熱媒体の流量を制御する手段を設ける点は、取消理由通知で引用した特開平1-217105号公報、及び実願昭58-122179号(実開昭60-32678号)の願書に添付された明細書および図面の内容を撮影したマイクロフィルム等にも示されているとおり、本件実用新案登録の出願前に周知慣用の技術であるから、先願発明において、上記周知慣用技術を採用して、「脱硝装置の入口の排ガスの温度を検出する温度計を設け、前記温度計の信号によって制御され前記第1の排熱回収熱交換器を通過する加圧流動床ボイラの給水量を制御する手段を設ける」ことは、単なる周知慣用手段の置換によってなしうるものであるので、上記〔相違点5〕は、課題解決のための具体化手段の、単なる構成の変更にすぎない。
以上のように、上記〔相違点5〕は、実質上相違点と認めることができない。

V、むすび
本件考案1ないし2は、先願明細書に記載された発明と同一と認められ、しかも、本件考案1ないし2の考案者が上記先願明細書に記載された発明をした者と同一でなく、また、本件出願の出願の時において、その出願人が先願の出願人と同一でもないから、本件考案1ないし2は、実用新案法第3条の2の規定により、実用新案登録を受けることができない。
したがって、本件考案1ないし2についての実用新案登録は、拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
異議決定日 2001-02-27 
出願番号 実願平5-145 
審決分類 U 1 651・ 161- ZB (F01K)
最終処分 取消  
前審関与審査官 佐藤 正浩  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 清水 信行
清田 栄章
登録日 1998-08-07 
登録番号 実用新案登録第2583428号(U2583428) 
権利者 三菱重工業株式会社
東京都千代田区丸の内二丁目5番1号
考案の名称 加圧流動床ボイラを備えた発電プラント  
代理人 石川 新  
代理人 吉岡 宏嗣  
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